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日産「長期ビジョン発表会」開催 新型「エクストレイル/ローグe-POWER」「ジュークEV」公開とともに新型「スカイライン」予告も

将来的に90%のモデルにAIドライブ技術を搭載へ

2026年4月14日 開催
新型「エクストレイル」と写真に納まる日産自動車株式会社 CEO イヴァン・エスピノーサ氏(中央)、チーフ テクノロジー オフィサーの赤石永一氏(右)、チーフ パフォーマンス オフィサーのギョーム・カルティエ氏(左)

 日産自動車は4月14日、本社グローバルギャラリーにおいて「長期ビジョン発表会」を開催した。この発表会では、新型「スカイライン」をチラ見せしたほか、新型「エクストレイル/ローグe-POWER」「ジュークEV」を初公開。「モビリティの知能化で、毎日を新たな体験に」という長期ビジョンが発表され、将来的に90%のモデルにAIドライブ技術を搭載することも明かされた。

 内容としてはかなり多岐にわたるものとなったが、今後の商品戦略として「各モデルの役割の明確化」「開発スピードの向上」を軸とし、モデル数を56から45へと絞り込み、低収益モデルから撤退して成長分野への投資を強化するとともに、車種ごとのパワートレーンのバリエーションを拡充することで選択肢を広げていくことがアナウンスされた。

 今後、各モデルは日産らしさを体現し、ブランドの情緒的価値と革新性を担うモデルを「ハートビートモデル」、グローバルで規模と安定性により事業を支えるモデルを「コアモデル」、新たな需要の拡大を担うモデルを「成長モデル」、規律ある協業を通じて市場カバレッジを広げるモデルを「パートナーモデル」として展開していくという。

 その一例として、会場では新型「エクストレイル/ローグe-POWER」「ジュークEV」を披露するとともに、米国におけるハートビートモデルの「エクステラ」、日本市場のハートビートモデルの「スカイライン」の存在などを明らかにした。また、今回の発表会にあわせて行なわれたグループインタビューにおいて、日産自動車 CEO イヴァン・エスピノーサ氏は今後GT-Rを復活させ市場投入することを予告するなど、今後の同社の展開に目が離せない内容が多数報告されている。

新型「エクストレイル/ローグe-POWER」
新型「ジュークEV」

 以下、登壇者であるエスピノーサCEO、チーフ テクノロジー オフィサーの赤石永一氏、チーフ パフォーマンス オフィサーのギョーム・カルティエ氏が説明した内容を全文で記す。

私たちのビジョンは「モビリティの知能化で、毎日を新たな体験に」(エスピノーサ社長)

日産自動車株式会社 CEO イヴァン・エスピノーサ氏

 本日は日産にとって大きな節目となる日です。長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を進化させ、より明確でよりシャープに、そしてお客さまの日常に寄り添うビジョンを打ち出します。それはシンプルで力強くコーポレートパーパスに基づいています。私たちのビジョンは「モビリティの知能化で、毎日新たな体験に」です。

 日産は創業当初から移動と社会の可能性を広げることで人々の生活を豊かにすることを信条としてきました。その信念は今も変わっていません。しかし取り巻く環境は急速に変化しました。テクノロジーの進化は加速し、市場の変動は激しさを増しています。同時にお客さまの期待はこれまで以上に高まっています。こうした環境下で社会やお客さまが求めているのは実用的で役立つ日々の暮らしに寄り添うテクノロジーです。モビリティの知能化を通じて最先端のテクノロジーをより安全に、より直感的により多くの人々にお届けするようにしていきます。

日産のビジョン「モビリティの知能化で、毎日を新たな体験に」

 一方で、現在の当社の立ち位置についてもしっかりと認識しなければなりません。当社の業績はこれまで積み重なってきた構造的な課題によるものです。商品ポートフォリオは市場の変化に追いつかず、コスト上昇のスピードは販売台数で補うことができませんでした 。規模は縮小しているのに固定費と事業の反雑性は高止まりしていました。

 1年前、私たちはより俊敏でスリムな会社となりお客さまとの繋がりを強めるために経営再建計画「Re:Nissan」を開始しました。この計画は折り返し地点に達する今こそ、長期ビジョンを心志しではなく行動を導く指針として明確にするべきだと考えました。このビジョンはどの分野で自らリードし、どの領域でパートナーと組むか、そしてどこで立ち止まるかを判断するための指針です。本当に重要なものに投資を集中させ、プレッシャーの中でも判断がぶれないようにします。

 このビジョンを実現するために、全てが連動する1つのシステムとして戦略の方向性を明確に定めました。進むべき方向を定める知能化、どんな商品をお届けするかを決めるポートフォリオ戦略、戦う場所を明確にする市場戦略、どう実行するかを決める事業モデル、強みを広げるパートナー戦略。これが一体となりビジョンを行動へと変えていきます。そして私たち1人ひとりの行動がお客さまの日々の体験を変えていきます。

知能化を核とし、各戦略が一体となってビジョンを行動へと変えていく

「日産のAIディファインドビークルは人の移動のあり方そのものを変える」(赤石永一氏)

日産自動車株式会社 チーフ テクノロジー オフィサーの赤石永一氏

 モビリティ体験の中心にあるのは日産が一貫して取り組んできた知能化であり、AIディファインドビークル(AIDV)です。日産のAIDVはAIドライブ技術、そしてAIパートナー技術により実現します。私たちは人を科学する技術開発のこだわりと車両制御などのこれまで培ってきた強みを生かしてテクノロジーを進化させていきます。ソフトウェアディファインドビークルを基盤として、AIは状況を学習しリアルタイムに適用し、日常のさまざまなシーンに自然に応えるクルマを実現します。そして将来に向けて、日産のAIDVは人の移動のあり方そのものを変え、モビリティを日常生活にシームレスに溶け込むものにしていきます。

日産のAIディファインドビークルはAIドライブ技術、AIパートナー技術により実現

 日産はこれまで自動運転を単なる技術競争だと考えたことはありません。日産ならではの車両制御、運動性能という強みを生かし、実社会での経験を重ねながら信頼を築いてきました。プロパイロットからプロパイロット2.0による高速道路でのハンズオフ走行に至るまで、安全性、そしてドライバーの信頼感を何よりも重視しながら段階的に進化を重ねてきました。エンドツーエンドAIへの移行は決められたルールに従うルールベースのクルマから、状況に応じて学び、そして進化する、そんな知能への大きな飛躍となります。

 次世代プロパイロットはクルマが周囲の状況を理解し、熟連した人間のドライバーのように自然に運転できるようになります。その結果、自動運転は高速道路だけでなく複雑な都市環境においても安全で、快適で、そして自然に感じられるドアtoドア、この移動を実現します。将来はAIドライブ技術がさらに進化し、AIが運転を担うことでドライバーは視線を運転から解放できるアイズオフ走行、ここまで支援できるようになります。これが私たちの目指す姿です。

 そして私たちはAIを活用したエンドツーエンドの自動運転技術を進化させ、小型車から大型車まで、そしてパーソナルカーから公共交通まで拡大していくことでクルマを所有するお客さま、そしてクルマを持たない選択をされたお客さま、そして交通手段が限られた地域のお客さま、全ての人々への移動の自由を提供していきます。中期的には多くのモデルにこのAIドライブ技術を搭載し、長期的にはラインアップの約90%まで拡大することを目指して進めていきます。

AI自動運転技術を全てのセグメントへ拡大していく
中期的には多くのモデルにこのAIドライブ技術を搭載し、長期的にはラインアップの約90%まで拡大することを目指す

 さらに、AIパートナー技術がモビリティを単なる移動手段から移動時間を価値あるものへ変化させる。そういった進化を遂げることでこの体験をさらに広げていきます。AIパートナーは人の意図や状況を理解しながら移動中の行動をそっと支え、またクルマ、スマートフォン、クラウド、こういったものを通じて日常の暮らしと自然につがっていきます。予定の変化に対しても柔軟に対応して、人が疲れたなという時には複雑な操作を見えないところで引き受け、また移動空間をよりシンプルで自然なものにしていきます。

 近い将来、AIドライブ、AIパートナーが連携し、クルマの運転と日常がスムーズにつがるようになります。それは限られた人のための特別な機能ではなく、日産の全てのお客さまが日常の中で自然に体感できるようになっていきます。最終的に私たちが目指しているのは、出発から到着まで全てのお客さまに寄り添い、サポートし続ける自動運転を実現することです。このAI主導のモビリティ体験を支え、自動運転を次のステージへ進めるうえで、電動化は極めて重要な役割を果たします。そこには日産ならではの電動化アプローチがあります。お客さまの選択に基づき1つの解を押し付けるのではなく、人々の今に寄り添っていきます。私たちが目指しているのは、変化を強いることではなく日常の中で実用的で信頼できる選択肢を提供していくことなのです。

 この電動化アプローチの中核であり、戦略の基盤となるのが日産独自であるe-POWERです。e-POWERは高効率でより快適なドライブを提供でき、EV技術と高い互換性を持つため無駄なく両者を並行して進化させることができるのです。私たちはe-POWERで磨いた技術でEVを強化し、またEVから得た学び、これをe-POWERに還元していきます。走破性や長距離走行時の安心感が必要なお客さまにはフレーム車向けのHEVソリューションも準備を進めていきます。

フレーム車向けの新たなHEVソリューションについても明らかにした

 さらに航続距離へ不安を感じることなく日常使いで電動化のメリットを享受したいというお客さまに対しては、プラグインハイブリッドまたはレンジエクステンダーをパートナーと共に展開していきます。同時に私たちはEVの拡大を進めるためにバッテリコスト、これを着実に提減していきます。さらに私たちは全固体電池を含む次世代バッテリ技術の開発を継続し、電動化の次のフェーズ、これに備えていきます。

 こうした取り組みによって私たちは投資の効率を維持しながらより早く、より正確に市場ごとのニーズに応えることができるようになります。電動化によってAIデファインドビークルは規模を拡大し、自動運転も進化していきます。そして知能化を高い信頼性で手の届く価値として実社会に展開できるようになります。私たちは中核となるこういう技術をさらに成熟させ、その価値を車両の枠を超えて広げていくことで、人と地域の可能性を広げていきます。AI活用した自動運転によりロボタクシー、ラスト1マイルのサービス、カーシェア、こういったものを始めとする新たなモビリティサービスを実現していきます。

 知能化技術はお客さまの車内体験のソリューションも支え、移動中の時間をサービスと結びついた価値ある体験へと転換することで新しいビジネスの可能性を広げていきます。電動化はこの価値をさらに高めていきます。私たちは世界に先駆けてV2Xを取り組んできました。このV2Xを通じて、クルマはエネルギーとデータのエコシステムの一部となり、日産はバッテリをあらゆるものとつげていきます。そしてエネルギーを蓄え、利用を最適化し、変動に強く、安定した社会を支える新しいエネルギーマネジメントの可能性を生み出していきます。新たな体験においてAIは重要な役割を果たします。そして自動運転と電動化がその体験を信頼性が高く誰もが使え、日常の中で自然に機能するものにしていきます。こうして日産は知能化技術で毎日の体験を変えていきます。

「スカイラインはまさに日産の原流と魂の象徴」(エスピノーサ社長)

 知能化技術が正しく機能することで商品を通じて確かな価値が生まれます。これからご覧いただくものは、私たちが定めた方向性を最も直接的かつ明確に表現したものです。ビジョンをデザイン、性能、そして体験へと具現化しています。

 まずは新型エクストレイル/ローグe-POWERをご紹介します。このクルマが最も大切な毎日の家族の移動に知能化と電動化をもたらします。日産独自のe-POWERを日産車の中で最も人気のあるグローバルSUVに採用することで、より洗練された電動車の走りをより多くのお客さまにお届けします。4輪駆動のe-4ORCEはあらゆる路面状況での高い安定性とコントロール性を実現し、プロパイロットは安全性と快適性を向上させます。こうした先進装備を採用した新型エクストレイル/ローグe-POWERはEVのような滑らかな加速と日常使いから長距離運転まで静かで安心感のある走りを提供します。

新型エクストレイル/ローグe-POWER

 合わせて新型ジュークEVをご紹介します。俊敏でコンパクト、ひと目で日産と分かる存在感。ジュークEVは個性と感情を失うことなく知能化と独自のキャラクターが両立することを体現しています。常に大胆で常に個性的なジュークがEVとなります。

 しかし当社のビジョンはニーズを満たすことにとどまりません。人の心を動かすインスピレーションを満たします。エクステラは本格志向で走破性を求める人々のために帰ってきます。真の冒険のために生まれ、フレーム構造ならではの強靭さを備え、目的に基づいたデザインを採用しています。

 そして最後にスカイラインです。まさに日産の原流と魂の象徴です。日本のエンジニアリングと走りへの情熱を体現してきたスカイラインは、高性能で正確で意のままの走りを実現します。このように、私たちのポートフォリオ戦略は収益性を軸に、よりスリムで力強いラインアップを具現化しています。

次期スカイラインの姿もキャッチ

 本戦略は次の2つの方法で実行してまいります。まずはモデル数を56から45に削減します。業績が芳しくない商品からは撤退し、その分を成長への投資に振り向けます。同時に各モデルのパワートレーンの種類を増やし、お客さまの選択肢を広げてまいります。

モデル数を56から45に削減

 次に開発を3つの商品ファミリーに集中させ、販売台数の8割以上をカバーします。これにより投資の最適化、開発のスピードアップ、市場動向への対応力向上を同時に実現します。このアプローチにより確実に成果を満たすために、まず各モデルの目的と役割を明確にします。ポートフォリオの中心にあるのは、日産らしさを体現した「ハートビートモデル」です。情緒的な価値と受け継がれてきた歴史を大切にしながら、イノベーションを進化させる役割を担います。ハートビートモデルにはリーフ、フェアレディZ、パトロールなどがあります。

 次にエクストレイル/ローグ、ノート、シルフィ、キャシュカイといった「コアモデル」です。コアモデルは最も人気の高いセグメントで規模とお客さまの信頼を担保し、日産の事業基盤を支えます。エルグランドやサクラを含む「成長モデル」は、新規需要のある分野や日産ならではの強みを発揮できる分野において狙いを定めた成長を可能にします。

 これらの3つのカテゴリーを補完するのが「パートナーモデル」です。マイクラやフロンティアプロ、NX8といったパートナーモデルは、規律ある協業を通じて効率的に戦略的な市場カバレッジを維持します。本日ご披露したモデルは明確な意図と目的を示しながら規律ある商品作りを進めてきた成果です。スカイラインはハートビートモデルで日本の高度なエンジニアリングと走りの性能、そして心を動かす魅力の象徴です。エクステラはお客さまのニーズに応え、真の冒険心に根差した1台としてアメリカでハートビートモデルとして復活します。

ハートビートモデル
コアモデル
成長モデル
パートナーモデル

 エクストレイル/ローグのe-POWERハイブリッドは、日産の最先端技術を市場の中心に届けるグローバルなコアモデルです。ジュークEVは再び既成概念を打ち破るデザインを通じて、新たなカルチャーを提示する欧州のコアモデルです。これらのモデルは当社のポートフォリオがセグメントや競合に追随するものではなく、集中する分野と目的を明確にしたものであることを示しています。

 インフィニティは今後も磨き上げ、さらなる成長につなげていく重要な資産です。QX65はデザイン、テクノロジー、走りの体験という私たちの強みを結集した最初の具体的な成果です。その後、新たな中型ハイブリッドSUVを始め、走りを重視したV6セダン、2車種の大型ハイブリッドフレームSUVなど、多様なパワートレーンを揃えた4つの新型モデルが続きます。そして数々の賞を受賞したQX80を始め、インフィニティはフルラインアップを整え、ブランドの力強さを取り戻してまいります。インフィニティの目指す姿はシンプルです。プレミアム市場において他にはない真に唯一無二のドライビング体験を提供することです。

インフィニティでは中型ハイブリッドSUV、走りを重視したV6セダン、2車種の大型ハイブリッドフレームSUVと多様なパワートレーンを揃えた4つの新型モデルが続いていく

今後の日本国内での戦略として3つの柱を紹介(ギョーム・カルティエ氏)

日産自動車株式会社 チーフ パフォーマンス オフィサーのギョーム・カルティエ氏

 これまでご説明したように、ポートフォリオを整理したことで全てのモデルの役割が明確になりました。そして、その明確さが新たなブランドプロミスへと結実しました。そのプロミスは「想像以上、を日常に」です。これは日常に挑む姿勢と期待を超え続ける規律を表し、日産ならではの価値をどのような日常の中で具現化するかを表現しています。このブランドプロミスは日産のDNAに根差しています。日産は、進歩とは時代を先取りするものであるのと同時に、より多くの人が使えるものであってこそ意味を持つものだと考えています。

「想像以上、を日常に」

 日産は個性と目的を持ったクルマを生み出すことに挑みます。時と共により賢く直感的に進化し、人々が信頼できる耐久性、品質、信頼性を備えたクルマです。このプロミスは誰のためにクルマを作るのかを明示しています。より良い明日を信じる人々のためにクルマをお届けするのです。そしてこのプロミスは車両の枠を超えて広がっていきます。『想像以上、を日常に』とはクルマの先を見据え、エコシステムやエネルギー、そして社会へと視野を広げ、モビリティが人々の生き方や繋がり方に大きな役割を果たすことを意味しています。

 もちろん、全ては車内の革新から始まります。進む方向と優先順位を定め、迷うことなく前進していきます。この革新こそが私たちをより強くし、競争に勝ち抜く力となります。そしてこの革新はインフィニティのブランドプロミス『アンビロング』にも通じ、真に個性的でプレミアムな体験を具限化していきます。商品とお客さまへのプロミスが明確になれば市場戦略もおのずと戦略的なものとなり、市場ごとに明確な役割を定め、目的を実現していきます。

 当社は明確な役割を担うリード市場を中心に市場戦略を立てています。リード市場は日本、米国、中国で、それぞれ2つの役目を担っています。1つ目はそれぞれが1つの市場として販売台数、収益性、ブランド力を確保することです。これらの市場は日産が最も規模と存在感を持つ市場だからです。2つ目は、その他の市場における競争力向上に寄与することです。すなわちリード市場の持つ商品技術、そして生産開発の力を生かし、グローバルに活用することです。

リード市場は日本、米国、中国

 日本国内市場の短期的な優先事項は明確です。昨年夏に底を打った後、2024年度後半の水準に向けて回復の気差しが見え始め、3月のマーケットシェアは約11%となりました。新型車の効果でお客さまの来店とWebサイトの閲覧数が回復してきています。

 今後の国内戦略は3つの柱があります。日本は自動運転技術やロボタクシーを含む新たなモビリティのサービスをリードしていきます。そして今日、私は2027年度末までに次世代プロパイロットを新型エルグランドに搭載することを皆さんにお伝えします。

 次に商品ラインアップの強化です。スカイライン、エルグランド、パトロールといった長い歴史を誇るモデルを強化すると同時に、キックスe-POWERやムラーノなどでSUVラインアップを拡充します。さらに2028年度以降は効率的に開発されたコンパクトカーシリーズを投入し、商品ラインアップのギャップを埋めていきます。

 3つ目は顧客層の拡大です。日産にとって若年層のお客さまは明確な成長の機会です。適切な商品と分かりやすいコミュニケーションを通じて若年層への対応力を強化していきます。そして国内市場における強さを取り戻し、2030年度までに年間55万台の販売を目指すと同時に、ベンチマークとしての役割を強化していきます。

日本では2030年度までに年間55万台の販売を目指す

 米国は最も競争の激しい市場の1つです。日産は米国市場において6か月連続で最も成長率の高いブランドとなり、小売りシェアを毎月拡大しています。過去15か月間で市場シェアは45%増加しました。これはパスファインダーが45%増、フロンティアが48%増となるなど、ポートフォリオ全体で力強い成長を果たした結果です。戦略を支えるのはSUV領域におけるリーダーシップです。

 新車攻勢は最大のセグメントにe-POWERハイブリッドを搭載した新型ローグを導入することから始まります。でもそれだけではありません。米国生産のフレーム車ファミリーとしてエクステラを含むV6ハイブリッドのフレーム車を投入し、走破性能を重視したSUV分野におけるリーダーシップをさらに高めます。DセグメントのモノコックSUVについても大規模なマイナーチェンジを行ないますが、米国のお客さまが求める性能と快適性に応えるためV6仕様は維持します。

 EV戦略については、市況や政策の動向に応じて規律ある投資を維持しながら柔軟に対応していきます。そしてインフィニティはハイブリッドを含む新型車やマイナーチェンジモデルを継続的に投入することで活性化を図り、フルラインアップでブランドへの信頼を回復していきます。

 現地化も戦略を支える重要な鍵です。米国において現地化率は現在60%ほどですが、将来的には80%まで引き上げることを目指しています。これにより競争力を強化し、コスト体制を高めるとともに関税や政策の変動による影響を抑えます。米国では商品ミックスを強化し、収益性の最も高い分野に投資を集中させることで2030年度までに年間100万台の販売を目指します。

米国では2030年度までに年間100万台の販売を目指す

 中国においては着実に国内市場戦略を実行し、新エネルギー車と小型商用車のラインアップを強化することで市場ニーズを満たしていきます。これらの取り組みはすでに成果として現れています。今年の第一四半期には市場全体が縮小する中でも、日産は前年同期比で7%の成長を達成しました。N7は発売以来、累計5万台以上を販売し、N6は年初来でセグメントシェア約5%に到達しています。新型ティアナは第1四半期にセグメントシェアを向上させました。同時に、中国はスピードとコスト、高度なEVとHEVの技術を生かし、グローバルなイノベーション及び輸出のハブとしての役割を果たしていきます。2026年度以降、中国からの輸出は日産にとって新たな戦略の柱となります。輸出モデル第1弾はN7とフロンティアプロをはじめとする商品群です。

 N7はラテンアメリカとアセアンへの輸出を開始します。これは中国以外の市場で手ごろな電動車両を拡販する第一歩となります。フロンティアプロはラテンアメリカ、アセアン、中東へとより幅広い地域に輸出し、戦略的に電動化を進めるとともに、走破性と耐久性が重視される市場において日産のピックアップの存在感をさらに強化します。NX8を含む追加モデルも順次投入されます。

 以上の取り組みを通じて競争の激しい中国の国内市場の事業を強化すると同時に、グローバルなイノベーションと輸出のハブという2つの役割を果たしていきます。2030年度までに年間100万台の販売を目指す野心を掲げております。詳細については来週のAuto China 2026で改めてお伝えします。

中国では2030年度までに年間100万台の販売を目指す

 もう1つのカテゴリー、メキシコ/中東は引き続き重点市場です。メキシコは事業規模と収益性を支えています。ピックアップ、セダン、コンパクトといった主要セグメントにおいてヴァーサやマグナイトが中心となり、日産は世界で最も高い市場シェアを獲得しています。さらに中国からの調達も組み合わさることで競争力を高めています。また、アメリカス及び中東向けの輸出拠点としての役割も一層強化されています。

 中東は湾岸地域だけで11%のシェアを誇る極めて重要な市場です。今後はリードマーケットからの輸出やパトロール、 エクストレイル、パスファインダー、キックス、マグナイトといったSUVを中心に高付加価値セグメントでの成長を加速していきます。さらにインフィニティ QX80などのプレミアムモデルの展開や、中国からの調達によって競争力をさらに高めていきます。

メキシコ/中東市場について

 その他の市場はリート市場の強みとパートナー戦略を生かし、事業の展開と拡大を支えていきます。欧州については日産がe-POWERを含めた電動化を推進する上でのEVの生産拠点を擁し、ルノーとのパートナーシップによる強固なエコシステム基盤に極めて重要な役割を担います。

 インドとアフリカは、需要の進化に合わせて存在感と競争力を高めていく長期的な成長市場として位置付けられています。初めてクルマを購入するお客さまを主なターゲットとした3つの新型車を含むSUVラインアップの拡充を通じて成長を支えていきます。

 オセアニアは成熟市場であり、今後よりお客さまに焦点を当てたSUVとピックアップトラックを含め、商品のラインアップを刷新していきます。そして、お客さまにより多くの価値を届け、安定した収益を確保することです。

その他の市場

 アセアンは日産のグローバルな事業フットプリントにおいて引き続き重要な地域です。新型キックスe-POWERをはじめとしてe-POWERの展開を拡大するとともに、市場の進化に応じて新エネルギー車を導入し、競争力を高めていきます。

 ラテンアメリカでは、ブラジルをはじめとする成長市場での勢いを加速させていくことを目指しています。積極的な商用品戦略により、2026年末までにポートフォリオの約40%を刷新し、2027年末までにほぼ全てのモデルを刷新します。

 リード市場が業績を支え、重点市場が成長の勢いを生み出し、そしてより広い市場基盤が日産の事業規模を確かなものにしていきます。

開発期間は4割短縮され、市場投入までの期間は最短で30か月に(エスピノーサ社長)

 ポートフォリオを明確にするのに合わせ、事業モデルのあり方も進化させなければなりません。調整の積み重ねではなく抜本的な見直しです。商品ファミリー戦略により開発、調達、生産の全てのあり方を変革してまいります。

 まずは開発です。ファミリー単位で商品開発を行なうことで開発の初期段階からスピードを高めることができます。標準化されたアーキテクチャー、共通コンポーネント、共通の開発ツールにより、モデルごとに順番に開発するのではなく、複数の車種を並行して開発することが可能となります。その結果、開発期間はすでに4割短縮され、市場投入までの期間は最短で30か月を実現しております。このプロセスはすでに仕組み化されており、効果は持続いたします。

開発期間は4割短縮され、市場投入までの期間は最短で30か月を実現するという

 調達も同様の考え方で行ないます。ファミリー商品に台数を集中させることでモデル間の共通化を進めながら、お客さまが実際に価値を感じる部分ではしっかりと差別化していきます。これにより、種類とコストを大幅に削減し、部品点数は2割削減、部品種類は7割削減するという目標を達成していきます。これらの判断を早い段階で行なうことでコスト、品質、及びタイミングの面で最大の効果が得られます。また、地域をまたがった調達を行なうことで調達の規模と効率を高めていきます。

部品点数を2割削減、部品種類を7割削減するという目標を掲げた

 生産体制も同じ考え方に基づいて見直します。モデルごとに工場を割り当てる方法からファミリー単位での生産へと移行することで、これらのモデルをより少ない工場に集約し、投資の重複を避け、生産効率を向上させます。生産の資産活用をより安定した形で行なうことで柔軟性が向上し、計画と実際の生産が一致します。これにより経営再建計画「Re:Nissan」における工場稼働率100%という目標達成を支えてまいります。

経営再建計画「Re:Nissan」では工場稼働率100%という目標を掲げている

 その結果、初期段階からコスト起率が組み込まれたより安定的で予見性の高い事業モデルを実現し、スピードと品質を共に向上させてまいります。2028年度以降、米国ではフレームファミリー、国内ではコンパクトファミリーがこの新たな体制のもと展開される予定です。想定される効果は明確です。モデルあたりの販売台数は3割以上拡大し、商品ライフサイクル全体を通じて競争力を高めてまいります。

2028年度以降、米国ではフレームファミリー、国内ではコンパクトファミリーが新たな体制のもと展開される予定
モデルあたりの販売台数は3割以上拡大

 最後の柱がパートナーシップです。私たちが商品、事業、技術、サービスなどにおいてパートナーシップを活用することで取り組みを補完し、日産の強みをさらに強化してまいります。商品と事業の両面で、私たちは価値創出につながる協議を続けています。長年のアライアンスパートナー、そして中国の合弁パートナーとの取り組みはその重要な一部です。ルノーとは、2025年度に欧州で新型マイクラ、インドでグラバイドを投入し、さらにインド向けにはテクトンを発表しました。テクトンも近々に発売予定です。

ルノーとのパートナーシップについて

 三菱自動車との協業では2025年度に3車種を投入しました。オーストラリアでナバラピックアップを、米国ではローグプラグインハイブリッドを発売しました。国内では軽自動車のルークスを同社の工場で生産しています。

三菱自動車との協業について

 同時に新たな分野へとパートナーシップを広げてまいります。技術開発においては、パートナーシップを通じてアーキテクチャーの主導権とブランドアイデンティティをしっかりと維持しながら知能化やソフトウェア、電動化、次世代商品に至るまで、先進技術の進化を加速させております。Wayve社との共業はその一例で、AIを自動運転に活用し、プロパイロットと将来の自動運転の進化につげていきます。

 モビリティサービスへのアプローチも同じです。国内では自治体や交通事業者と連携し、実際の社会環境の中でモビリティサービスの展開を進めております。Wayve社とUber社との協業も発表し、自動運転モビリティサービスの展開を加速してまいります。

Wayve社とUber社との協業も発表している

 以上が日産におけるパートナーシップのあり方です。焦点を明確にし、戦略的に日産を成長させてまいります。最終的に活動の成果を図る尺度はお客さまの体験価値と地域社会にご提供できる価値です。信頼は計画の中で生まれるものではありません。日産がどれだけ自然に人々の毎日の暮らしにとけ込んでいるかによって気づかれるものです。日産は商品ポートフォリオ、市場戦略、事業モデル、パートナーシップに至るまで、あらゆる意思決定をその目的のために行なってまいりました。これは日産を選びやすく、使いやすく、そして時間と共により強い存在にしていくためです。

「Re:Nissan」は今年度も引き続き最優先課題です。強固な基盤こそが優れた体験の信頼性と一環性を支える前提条件だからです。当社のビジョンはその基盤を具体的な成果につなげるための明確な方向性と目的を示しています。これによって全てが1つにつがります。戦略は人の行動として現れ、技術は言葉ではなく体験として伝わります。そして日産ならではの価値をお客さまにお届けします。『モビリティの知能化で毎日新たな体験に』 。ありがとうございました。

新型ジュークEVと登壇者