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バッテリEVを普通の選択肢にするための新サービス「TEEMO」について、メーカーと販売店の両方から話を聞く

2026年4月23日 開催
トヨタが展開する150kW主体の高速充電網「TEEMO」についての取材会が開催。トヨタの担当者だけでなく販売の現場から営業スタッフも参加した

 トヨタ自動車はカーボンニュートラルの実現に向けたパワートレーン開発において、さまざまなユーザーのニーズに応えることを念頭に、電動車の選択肢を用意する「マルチパスウェイ」に取り組んでいる。その一環として2026年2月25日に新型バッテリEV「bZ4X Touring」を発売した。

 bZ4X Touringは都会派のbZ4Xに対してアウトドアをコンセプトとしたモデルで、使い勝手を向上させるため、リアオーバーハングを140mm延長することで広い荷室容積を確保。また、走りの強化のために高出力化を図っている。さらにデザイン面でもアウトドアをイメージさせる力強さが追加されたモデルだ。

2026年2月25日に発売された新型バッテリEV「bZ4X Touring」

 bZ4X Touringの投入に先駆けて、昨年の秋から開始したのが150kW主体の高速充電網の「TEEMO(TOYOTA E-Energy for Mobility・読みはティーモ)」である。

 バッテリEVの充電には自宅での「基礎充電」と外出先での「経路充電」の2つのシーンが存在しているが、TEEMOは経路充電となるもので、使用する充電器は150kW主体の高速充電器となる。

 充電器の設置場所は全国のトヨタ車/レクサス車販売店で、現在は順次機器の設置が進んでおり、2026年度末までの目標として全国で約650店舗にTEEMO充電器の設置予定している。

 また、トヨタでは日本最大の充電インフラサービス「eモビリティパワー」と連携している。こちらの充電器はすでに全国に設置されていて、今後広がっていくTEEMOの充電網と合わせて全国をカバーするようになっていく。

 今回はトヨタモビリティ東京 小平BS前店にて、自動車メディアを対象に開催された「TEEMO取材会」の内容をお伝えしていこう。

トヨタが展開する経路充電サービス「TEEMO」は2026年度末までに全国の約650店舗のトヨタ車/レクサス車販売店に設置を予定している
今回の取材場所となったのは、東京都小平市にある「トヨタモビリティ東京 小平BS前店」。TEEMO、eモビリティパワーの両方の充電器を設置してある
TEEMO充電器。150kWの急速充電器となっている。設置数や充電口の数は、店舗によって異なるそうだ
こちらは普通充電器
トヨタモビリティ東京 小平BS前店ではV2Hスタンドも設置している。トヨタホームと連携しているので、自宅に充電器設置の検討にも対応。バッテリEVのある生活を丸ごとサポートできる体制だ
トヨタが公表している数字ではないが、現在ガソリンスタンドの数は、全国で約2万7009カ所となっていて、それに対してEV充電スポット(拠点ベース)は約2万6300カ所(とほぼ同じ数となっている。充電スポットが少ないと言っていた時代は過去のもののようだ

 TEEMOは会員登録をして利用するサービスである。その会員プランは2つ用意されていて、トヨタのBEV/PHEVユーザー(新型bZ4X・bZ4X Touring/新型RAV4 PHEV)を対象とする「TEEMO会員」と、その他のBEV/PHEVユーザー(トヨタ車以外の車両も含む)を対象とする「TEEMO”Lite”会員」となる。

 それぞれの内容としては「TEEMO会員」はTEEMO充電器(2026年度末までに全国約650店舗に設置)のほか、eモビリティパワーの充電器(急速充電が9800口・普通充電が1万5500口)が使用でき、「TEEMO”Lite”会員」はTEEMO充電器のみの利用となる。

 どちらのプランも月額基本料金は0円に設定されている。仕事でバッテリEVを使う場合ではなく、一般家庭でバッテリEVを使う場合は、クルマの使用頻度は月ごとに変わってくる。レジャーも多く出かける時もあれば、ほとんど乗らない時もある。しかし、ここで一般的な月額料金制であると、乗らない月の料金は無駄になってしまうので、そこを考慮して月額料金を0円としている。こうした設定であればバッテリEVを所有した際「気軽に」加入できるものである。

 利用料金についてはTEEMO充電器が150kW以上の場合80円/分。50kW超え150kW未満が60円/分、50kW以下は40円/分となる。TEEMO”Lite”会員ではTEEMO充電器の使用で150kW以上が100円/分、50kW超え150kW未満が75円/分、50kW以下は50円/分に設定されている。

 充電器の利用時間は15分か30分のどちらかの選択となり、利用にはアプリか充電カード(TEEMO会員のみ持っている)が必要となる。

 なお、TEEMO会員はeモビリティパワーの充電器も使用でき、こちらでは急速充電が電力の大小にかかわらず80円/分。普通充電が4円/分となっている。利用には充電カードが必要で利用可能時間は30分(急速充電)設定。普通充電の利用時間は施設ごとに異なるので現地での確認となる。

 月間の燃料コストについてトヨタが作成した資料によると、ガソリン車(燃費は15.6km/l計算)では5600円、HEV(22.4km/l)では3850円なのに対し、TEEMO会員(自宅充電+一回の30分充電)で2440円とされていた。

 このようにTEEMOでは利用料金を低く設定することで、充電インフラの拡充だけでなく「急速充電の料金は高い」といった従来のイメージを変えることも目標としている。それだけにTEEMOではトヨタ車ユーザーに使って欲しいことはもちろん、トヨタ車以外のバッテリEVユーザーの利用も歓迎とのこと。

TEEMO充電器の利用方法。トヨタの充電カードを持っている場合は、カードリーダーにカードをタッチする
スマホでは充電器に表示されているQRコードを読み取って画面の指示に従い操作することで充電が可能となる

 TEEMOの利用では専用のアプリが用意されている。アプリの機能は充電器との通信のほか、TEEMO及びeモビリティパワー、それぞれの充電スポットの検索(スポットの空き状況も確認できる)も可能で、空いていればそのまま利用することができるが、検索した地点から充電スポットまでの移動中に他のクルマが利用してしまうこともあるだろう。

 そこでTEEMO会員では検索して見つけた充電スポットに60分間の使用予約を入れることができる「お取り置き予約」というサービスが用意されている。

 このサービスは充電スポットの検索画面からそのまま操作できるようになっているので、スピーディに予約操作をすることは可能である。

 予約できる時間は60分間となっているが、これは充電時間が60分確保されるのではなくて「予約を開始した時間から60分間」であるから、例えば充電スポットまで移動に40分かかってしまった場合は、残りの20分間が充電に使える時間となる。

 この際、後の予約がなければそのまま充電を続けることが可能だけど、別の予約が入っている場合は、自分の予約時間が過ぎたら充電の状況に限らずスペースを空けなければいけないルールである。

 そのため予約する際は移動時間を含めて、どのタイミングで予約を入れればいいかを考えることが上手な利用のポイントになる。

専用アプリで充電スポットの検索ができる。充電器のスペックも表示される
スポットをタップすると詳細な情報が表示される。検索時の充電器の空き具合などもわかる
充電スポットの利用予約ができる「お取り置き予約」という機能もあり、予約をすると60分間はスポットがキープされる。予約が入った状態で他の利用者が機器を操作してもエラーが出るので、予約をしたけれど到着したら誰かが使っていたということはないとのこと
充電中の機器の表示。機器の操作がわからない、慣れていないので操作が不安といった場合は、販売店のスタッフに声をかければサポートをしてもらえる体制でもある。店舗営業時間外であればコールセンターで対応する
充電を開始するとアプリ側にも経過時間が表示されるので、充電中にクルマから離れている際にはこの表示で残り時間をチェックできる。充電中にはショールーム内で休んでもらうことも歓迎という。またTEEMOの充電スポットは毎日深夜でも解放されているので、時間を問わず、使いたいときに利用することができる
トヨタでは販売店をクルマのお店であることだけでなく、モビリティ、エネルギー、コミュニティといった地域の生活にとって欠かせない存在になっていくことを目指しているとのこと

販売現場に聞く、バッテリEVの市場での立ち位置

 新型bZ4X Touringのように最新のバッテリEVとはクルマの進化の姿のひとつである。そしてバッテリEVが進化すると同時に「充電も進化する」。この2つの進化によりバッテリEVが「普通の選択肢」になると言うことである。

 そこで今回の取材会では、実際に販売店から営業担当のスタッフも参加してみて、バッテリEVのセールスについてや、実際に購入されたお客さまからの声などを聞ける場も設けられていたので、次はその内容を紹介していくが、その前にトヨタではメーカーと販売店の両輪での取り組みとして、お客さまに最適な電動車の提案を行なうバッテリEVのプロフェッショナルとして「マルチパスウェイスペシャリスト」を任命している。こちらは車種の説明のほか、補助金、ランニングコスト、充電環境などを丁寧に説明、提案するものとなる。

 そのためバッテリEVを含めた電動車に興味があるのであれば、トヨタのお店に行きマルチパスウェイスペシャリストから詳しくわかりやすい説明を受けてみることを勧める。

取材会に参加をした販売店の方々。販売の現場でバッテリEVがどのような立ち位置にあるのか? 購入されたお客さまの反応はどんなものなのか? といった通常の取材会では聞くことができない貴重なお話を聞くことができた

 まずは来店するお客さまの意識としてバッテリEVへの関心はどのようになっているかについて答えてもらったところ、最初からバッテリEVの話をするわけではなくても、会話の中に電動車関連のワードを聞くことが増えているとのこと。

 そして現在、新型bZ4X Touringは約8割の店舗で試乗車を用意しているので、販売の現場ではバッテリEVの走りを感じてもらうことを重視しているそうだ。バッテリEVの走りの良さは口頭でも説明はできるが、言葉よりも体験ということで、やはり試乗をしてもらうのがいちばんだという。

 そこから話が進んだ場合に、次に出るのが充電環境の話。東京は人口の半数以上が集合住宅に住んでいる地域であるため、自宅に充電器を設置することができない。そのためバッテリEVに興味があっても購入まで話が進まない状況だった。

 しかし、TEEMOの拡充や新型bZ4XとbZ4X Touringに設定されたTEEMOでの1年間の充電無料キャンペーンにより、お客さまへのアプローチの仕方が変わってきたという。

 新型bZ4Xは一充電での航続距離(WLTC)が746km(Z FWD)、bZ4X Touringは734km(Z FWD)と長いので、バッテリの残量が少なくなってから利用してもらうと、月に500km走行するユーザであっても、規定の2回の充電で足りてしまう。そのため自宅での基礎充電が不要になっている。これはまさに、バッテリEVと充電の技術が進化したことによる変化である。

航続距離が伸びたことと、充電環境の充実により「バッテリEVに乗るなら、自宅に充電環境が欲しい」と言う常識が過去のものになってきているようだ

 また、車両価格は高めになっているが、補助金やプラスアルファの補助金があるため(東京での話)、車両価格が高めでも乗り出しの価格は比較的リーズナブルとなる。このことは購入のきっかけとなるポイントになっているそうだ。なお、買い方で多いのは5年後の価格が保証されている残価設定クレジットの利用が多いとのことだった。

お客さまからのフィードバックについて

 店舗の営業スタッフはクルマを販売して終わりではなく、その後のメンテナンスなど、長い期間にわたって自身が販売したお客さまと付き合っていくことになる。それだけに納めたクルマの感想を聞く機会が多いので、今度はどのような反応があるかを伺ってみた。

 まず、買い物で利用する場合、ショッピングモールの駐車場では限られた数ではあるが、充電器が設置されているケースが多い。そして設置場所の多くは、駐車場の中で使いやすい位置であったりするし、一般のスペースが混んでいてもバッテリEV用のスペースが空いていることも多いからすぐに入れる。しかも買い物をしている間に充電もできるので非常に便利であるという感想もあったそうだ。

大きなショッピングモールの駐車場では、バッテリEV専用の駐車スペースが設けられていることが多く、そこを利用することで、店舗入り口から近かったり、混んでいても優先的に駐車できたりするメリットがあるそうだ

 子育て中の家庭では、習い事に出ている子供を迎えに行く際、クルマの中でエアコンを使用して待機していても、エンジン車のようにエンジン音や排出ガスがないため周りに迷惑をかけずに済むことにメリットを感じる人も多く、納車した後で、バッテリEVを勧めたことに感謝されることもあるそうだ。また、他のお客さまからも「静かである」「早朝の出発でも、近所に気を使わずに済む」といったところを評価してくれる声が多いとのことだった。そして航続距離についてはもともとのスペックが高いことと、充電環境が充実していることから不満を聞くことはほとんど無いそうだ。

 このような話を聞くと見えてくるのが「バッテリEVに持っていたネガティブな印象があったとしても、実際に乗って自分にとっての便利さがそれらを上回ってしまうと、気にしていた部分が残っていても、それが気にならなくなってしまう」ということである。

 このことはバッテリEVが広まっていくことに対して、静かだがとても強い力を持つものである。これまでバッテリEVについては、数字で説明をすることが多かったが、これからは従来のクルマ同様に「使い勝手」で話をする段階になったのだろう。そしてそんな環境であればTEEMOというサービスの存在感はさらに大きいものになる。バッテリEVについては、いろんなアプローチがあっても、どこか停滞気味だったが、トヨタのこれらの仕掛けにより大きく動き出す予感がした。

バッテリEVを選ぶことが「挑戦」ではなく「普通の選択肢」となるためのインフラサービスがTEEMO。トヨタのクルマに限らず、バッテリEVに乗っているのなら、このサービスを利用してみてはいかがだろうか