ニュース
首都高と古坂大魔王さんが出張公開授業 青稜中学校の生徒に首都高の防災・災害対策を伝える
山手トンネルでの車両火災遭遇と避難体験や、24時間365日体制で安全を守る交通管制の裏側を伝える
2026年6月16日 06:00
- 2026年6月15日 開催
首都高速道路は6月15日、青稜中学校(東京都品川区二葉)の生徒50名を対象とした「首都高の防災・災害対策を学ぶ公開授業」を行なった。
この公開授業は、首都圏の物流と人流を支える基幹インフラである首都高が取り組んでいる安全・安心への施策について、次世代を担う学生たちに理解を深めてもらう目的で開催されたもの。
首都高は1962年の最初の開通(京橋~芝浦間、約4.5km)以来、現在では総延長約327.2km、1日の交通量が約105万台に達する巨大インフラへと成長し、23区内の道路貨物輸送量のうち約29%が首都高を利用するなど都市機能の中枢を担っている。
当日の授業には、ゲストとしてタレントの古坂大魔王さんが登壇したほか、首都高速道路からは経営企画部広報課の井上拓也氏をはじめ、保全・交通部の小川陽平氏、竹中嶺巨氏、鈴木直人氏といった実務担当者が参加した。
冒頭にあいさつを行なった同校の青田泰明校長は、生徒たちに向けて「皆さんに道路の裏にある工夫や社会課題、そしていかに道路というものがただのインフラではなく、未来の街づくり、皆さんが生きる将来の社会づくりにどう関わっているのか、そういったことに意識を持ってもらいたい」と今回の授業の趣旨を語った。
続いて登壇した首都高速道路 経営企画部広報課の井上拓也氏は、首都高について「トラックなどの貨物車の割合は約40%。東京23区内の貨物輸送量のうち約29%が首都高を利用している。皆さんが普段食べているものや、家に届く郵便物なども首都高を使って運ばれている可能性があります。お台場のレインボーブリッジや、この学校の近くを通る日本一長い道路トンネルである山手トンネル(全長18.2km)も首都高が管理している。お客さまに安全・安心にご利用いただけるよう日々努力している」と説明した。
トンネル火災への備えと、古坂大魔王さんが語る壮絶な火災遭遇体験
授業では「トンネル火災への備え」「交通管制の取り組み」「地震への備え」の3つのテーマを軸に解説が行なわれた。
「トンネル火災への備え」を担当した保全・交通部 道路情報・交通室 道路情報推進課の小川陽平氏は、トンネル内に設置された情報提供設備(トンネル警報板、トンネル信号機、ラジオ再放送設備、拡声放送)を紹介。万が一、利用者がトンネル火災に遭遇した際には、案内表示に従って約350mごとに設置されている非常階段(避難口)を目指し、地上出口へ退避する重要性を呼びかけた。その際、後続の緊急車両やパトロールカー、警察車両が現場で動かせない車両を移動させる場合を想定し、「キーは車内に置いて、ドアをロックせず避難してほしい」という基本的な避難行動を示した。
ここで、ゲストの古坂大魔王さんが2025年12月に首都高の山手トンネル内で実際に遭遇した車両火災の生々しい体験談を紹介した。
古坂大魔王さんは「テレビ番組に向かう途中、山手トンネルの地下で急に渋滞で止まった。そしたらトンネルの中、爆音で『ワンオン、ワンオン、火事です!』ってすごい爆音でアナウンスが流れた。そのときはFMラジオを聴いていたが、ラジオも同じ音声に切り替わって『火事です、今すぐ逃げてください。逃げていない人がいたら声をかけてください、必ず一緒に逃げてください』と何度も流れた」と振り返った。
当時の状況について「最初は煙も火も見えないから、人間って怖いよね、嘘かなって思っちゃう。正常性バイアスという難しい言葉があるけれど、“私は大丈夫”って思ってしまう。でも、すごい前のクルマが火を吹いていた。そのときにとりあえず外に出て、非常口を探した」と緊迫した瞬間を語った。
実際に非常口から脱出した経験を踏まえ、「非常階段を開けると、ビルでいうと3〜4階分を登る。だから、おじさんたちに言いたいのは、非常口から逃げようと思ったら体力が要る。足腰が結構ハァハァ言いました。例えばうちの子どもは今7歳と5歳で、これが3歳と1歳だった場合、抱っこしたまま3〜4階まで登らなきゃいけない。すごい恐怖だったんだけど、アナウンスを聞いて、アナウンスどおりに動けば問題ない。慌てず行動することが大事」と生徒たちへリアルな教訓を伝えた。
さらに「誰か1人が外に出ると、みんな出始める。それまで誰も出なかった。1人目に動くことが結構大事。ただしバイクなどには気をつけて」と現場での気づきを語っていた。
24時間365日の交通管制と、首都高の秘密兵器「黄バイ」の機動力
「交通管制の取り組み」のセクションでは、保全・交通部 防災・交通管理室 交通管理課の竹中嶺巨氏が登壇。道路に無数に設置されたカメラや設備を活用し、リアルタイムで全線を監視・対応するシステムを紹介した。管制室では、24時間365日体制で事故や故障車、落下物などを監視しており、トラブルを発見すると即座に無線で黄色いパトロールカーへ現場急行の指示を出している。
さらに、山手トンネル特有の対策として配備されている赤色灯とサイレンを装備した緊急車両のバイク、通称「黄バイ(きばい)」が紹介された。渋滞が激しくパトロールカーの急行が困難な状況でも、高い機動力を活かしてトンネル内をすり抜け、いち早く現場に到着して初期消火や避難誘導、トンネル入口の通行止め対応を行なう。この黄バイ部隊は、毎日欠かさず基地内でスラロームなどの厳しい運転訓練を行なって技術を維持しているという。
竹中氏は首都高の過酷な状況として「年間で事故と故障が約1万件ずつ発生しており、落下物はなんと年間約1万9000件も発生している。木材だけでなく、冷蔵庫や冷凍のマグロが落ちていることもあるが、発見したらすぐにパトロールカーが回収に向かう」と明かし、地道な管理体制が、生徒たちを驚かせた。
「たくさんの人々の命を救う道」は100%耐震補強が完了
最後に「地震への備え」を解説した保全・交通部 防災・交通管理室 防災対策課の鈴木直人氏は、首都高のインフラとしての強靭さを強調した。首都高の橋脚などは「100%耐震補強が完了」しており、分厚い鉄板を橋脚に巻き立てて補強する工事などを施した結果、阪神・淡路大震災クラスの激しい揺れがきても倒壊しない構造へと強化されていることを紹介。鈴木氏は「首都高は、地震が起きた際のたくさんの人々の命を救う道になる」と、その使命を語っていた。
また、もし走行中に大地震に遭遇した場合は、道路の左側(もしくは右側)に寄せてエンジンを止め、パトロールカーや点検車両の通行ルートを確保した上で、車内で地震情報や道路交通情報を得ながら警察やパトロール隊の指示に従うよう呼びかけた。高架区間から地上へ退避するための「非常階段」も約350m間隔で設置されていることが示された。
授業の最後には生徒からの質疑応答が行なわれ、「交通管制のカメラは何人で交代で見ているのか」という質問に対し、竹中氏は「常時3人から5人ほどで、自動で切り替わるモニターを見ながら点検を行なっている」と回答。また、黄バイの技術習得についての質問には「毎日訓練を重ねて技術を磨いている」と答えるなど、活発な意見交換が行なわれた。
古坂大魔王さんは「普段たいして興味がないことだと思うが、いざという時に『非常口はあそこ、こういう階段があるよ』と頭の片隅に置いておくだけで、いざという時にふっと思い出せればいい。この一瞬のために今日僕らはやっている」と総括し、公開授業を締めくくった。








