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トヨタ、三春町のミライハウスで水素エネルギーの夏休み学習イベント

「水素のお兄さん とびchan.と学ぼう!」

水素のお兄さん“とびchan.”と水素エネルギーロケットで楽しむ子供たち。三春町のミライハウスではさまざまな液体を使って水素の発生具合を確認、ロケットという形でエネルギーを体感していた

 福島県三春町とトヨタ自動車は7月下旬、福島県三春町の「ミライハウス」において地元の学生向けに夏休み自由研究応援ワークショップ「水素のお兄さん とびchan.と学ぼう!」を開催した。このミライハウスはトヨタと福島県内の自治体や企業が連携しての取り組みの一つで、水素を燃料とするFCEV「MIRAI」などから供給する電力での暮らしを体感できるようになっている。

 福島県では再生可能エネルギーを使用した水素製造施設「FH2R(福島水素エネルギー研究フィールド)」など、水素エネルギーの活用を進めており、このミライハウスもそうした福島発の水素技術の活用例を発信していく場となっている。

ミライハウスを案内していただいたトヨタ自動車株式会社 社会貢献部 地域貢献グループ 主査 古川勇氏(左)と、同 地域貢献グループ 松井知香氏(右)

 今回のイベントでは夏休み時期ということもあり、水素のお兄さんとして知られるYouTuberのとびchan.を招いての自由研究を実施。学研の電気分解キットである「学研の科学 水素エネルギーロケット」を用いて水素や酸素の力を学ぶことや、水素焙煎コーヒーの試飲、サムライブルーのFCEV「クラウン セダン」の展示、トヨタ紡織の水素自転車の展示が行なわれていた。

「水素製造技術」水素をつくる方法と種類(前編)

とびchan.の実践的水素学習

Youtuberのとびchan.が講師となって、子供たちと一緒に水素の実験。水の電気分解を行ない、発生した水素と酸素でロケットを飛ばしていた

 夏休みの自由研究ということで、三春町のミライハウスにはゆるい感じでワークショップに参加する子供たちが集まって来ていた。学習やワークショップという堅苦しいイメージではなく、学研の水素エネルギーロケットで楽しもうというのが趣旨。この水素エネルギーロケットキットはよくできていて、水を入れたら手回し発電機で水を電気分解、すると酸素と水素が1:2の割合で発生するので、その発生したガスに火花着火してロケットを発射する。

 例えばH3ロケットなど実際のロケットも燃料には水素と酸素を用いており(容量を圧縮するため液化されているが)、この水素エネルギーロケットキットは、実物と同じ仕組みでロケットを飛ばせるようになっている。

実験には学研の水素エネルギーロケットキットを使用。電気分解の電気も手回し発電機から供給していく

 とびchan.によると、そこが子供には理解してもらいやすく、非常に優れたキットであるとのこと。ただ、ワークショップでもあり、単に水を電気分解して水素と酸素にして飛ばすのではなく、水に重曹を入れたり、コーラを使ったりして電気分解。どのようなガスができるのか記録シートに記録しつつ、水素というものを学べるようになっていた。

 トヨタ自動車 社会貢献部 地域貢献室の古川勇氏によると、トヨタとして古民家再生という形で、新しいエネルギーに地域とともに取り組んでいくメッセージを出していきたいとのこと。

 地産地消となる水素エネルギーによるV2H(Vehicle to Home)で古民家の電力をまかない、夏であってもエアコン3台を動かしていくことが可能という。そのほか、リンナイとトヨタが共同開発した水素燃焼による調理器も持ち込んでおり、水素の燃焼に伴う水蒸気を活かしたBBQも可能にしてあるという。

 水素というエネルギーを電力や火力、そして水素エネルギーロケットキットという形ではあるが、動力としても体感できる試みとなっていた。

学研の水素エネルギーロケットキット。電気分解によって水素と酸素を発生させ、水素に着火してミニロケットを飛ばす
子供たちが来る前に水素エネルギーロケットキットを準備するとびchan.。液体素材として水だけでなく、水にまぜる重曹なども用意されていた
ワークショップというだけあり、自由な感じで学習は進んでいた。単に水を電気分解するのではなく、スポーツドリンクやコーラを電気分解。発生する水素の量などの変化も見ていた

三春駒ペイントワークショップや、アップサイクルワークショップも用意

ミライハウスの外観。古民家を利用し、そこにFCEVからV2H経由で電気を供給している

 メインコンテンツとしては、とびchan.が水素のさまざまなことを教えてくれるワークショップとなっていたが、三春駒ペイントワークショップやアップサイクルワークショップなどのコンテンツも用意してあった。

 三春駒ペイントワークショップは福島県の伝統工芸品である三春駒をカスタムペイントしていくもので、郷土玩具への親しみがわくようなコンテンツ。

今回のワークショップでは、サムライブルーのクラウン セダンFCEVも登場
FCEVの給電機能を使い、V2H経由で古民家に給電していくイメージ
トヨタ紡織の水素アシスト自転車も展示。水素を使って発電してモーターを駆動、航続距離の目標は最長100km。2030年の商品化を目指しているというもの

 アップサイクルワークショップはレクサスやトヨタ車のシート素材の端材を活かしたもので、ある一定の形となった革素材を組み合わせてストラップなどを作ることができるようになっていた。このアップサイクルワークショップは結構楽しく、自動車に使われている高耐久・高品質な素材を組み合わせて鎖状につなげていくことで、オリジナル模様のストラップを手軽に作ることができた。

 トヨタ自動車 社会貢献部 地域貢献グループの松井知香氏によると、このアップサイクル素材は型を使って打ち抜いて素材を作っており、16個ほどつなぎあわせてストラップを作っていくのだという。このストラップを実際に作らせてもらったが、非常に手触りもよく、高品質な素材であることがすぐに分かるほどのものだった。

三春駒のペイントワークショップ
アップサイクルワークショップ用のパーツ。この素材を鎖状につなぎあわせてストラップを作っていく

 このミライハウスには、これまでの水素関連の活動や、トヨタなどが福島県大熊町で製造するバイオ燃料の展示が行なわれており、新しいエネルギーへの取り組みが分かるようにもなっていた。

トヨタらが同じ県内の大熊町で生産するソルガムの写真と、そのソルガムから生産されたバイオ燃料の展示
水素によって焙煎されたコーヒーの試飲もできるようになっていた。水素焙煎コーヒーには独特のキレがある
FCEVトラックのミニカー展示など
水素カローラによる取り組みの紹介

 何より子供たちが水やあれこれ混ぜた混合水を楽しく電気分解し、発生させた水素を着火させてロケットを飛ばしている姿は、「水素=危険」とすぐに考えてしまいがちな大人の思い込みを乗り越えていく勢いを感じた。実際に水素を扱うことで新しいエネルギーを正しく理解し、そこから新しい活用方法が生まれていくのかもしれない。