フォーミュラ・ニッポン第6戦もてぎリポート NAKAJIMA RACINGの連勝がストップ、優勝はロッテラー |
2009年フォーミュラ・ニッポン第6戦の決勝レースが8月9日、ツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)で開催された。4連勝と圧倒的な強さを見せてきたNAKAJIMA RACINGの小暮卓史選手がスタートで飛び出すがフライングスタートと判定され最後尾へ、スタートで予選5位から2位へジャンプアップしたアンドレ・ロッテラー選手(PETRONAS TEAM TOM'S)がトップに立ち、ロイック・デュバル選手(NAKAJIMA RACING)を抑えて優勝しNAKAJIMA RACINGの連勝をストップさせた。2位にはデュバル選手が入りシリーズポイントトップをキープ、3位には最終ラップで石浦宏明選手(Team LeMans)を抜いたブノワ・トレルイエ選手(LAWSON TEAM IMPUL)が入り、表彰台を外国人選手が独占した。
全8戦で行われる2009年フォーミュラ・ニッポンは第1戦こそトレルイエ選手が勝ったが、その後デュバル選手が3勝、小暮選手が1勝と、NAKAJIMA RACINGが圧倒的な強さを見せていた。シリーズポイントもデュバル選手が37ポイント、トレルイエ選手が33ポイント、小暮選手が22ポイントと強さを見せ、誰がNAKAJIMA RACINGを止めるかに注目が集まっていた。
第6戦のもてぎにおいても、予選ではNAKAJIMA RACINGの2台が圧倒的な強さを見せた。小暮選手が唯一の1分33秒台でポールポジションを獲得、2位のデュバル選手と3位の石浦選手のラップタイムが約0.7秒の大きな差となり、決勝でもNAKAJIMA RACINGの2台の独走が予想された。
決勝では、予選トップの小暮選手がスタートダッシュを決め、2位以下を引き離して1コーナーを抜けた。予選2位のデュバル選手と3位の石浦選手がサイドバイサイドで1コーナーへ進入するが、そのイン側に予選5位から好スタートを決めたロッテラー選手が飛び込んだ。
オーバーテイクシステム(OTS)を使い、そのままインをキープしたロッテラー選手が2位、3位争いはアウトで踏ん張った石浦選手が一旦先行するが、第3コーナーでデュバル選手がインに飛び込み再びサイドバイサイドに。ともにOTSを使い3位を狙うが、5コーナーを制したのはデュバル選手だった。
3コーナーでデュバル選手(31号車)がインに飛び込み石浦選手(8号車)とサイドバイサイドとなる | そのまま4コーナーまで併走、5コーナーでデュバル選手が3位となる。塚越選手(10号車)はここでは6位 | 逃げる小暮選手(32号車)。後方130Rで5位争いをするトレルイエ選手(2号車)と塚越選手 |
ツインリンクもてぎで行われた第3戦で大活躍した、地元出身の塚越広大選手(HFDP RACING)は予選4位からスタートするが3コーナーの飛び込みでトレルイエ選手に抜かれ6位と出遅れる。130Rでトレルイエ選手に並びかけるが、押し出される格好でコース外へ、なんとか立て直してコースに戻るが、大嶋和也選手(PETRONAS TEAM TOM'S)と松田次生選手(LAWSON IMPUL)に抜かれ8位に落ちてしまった。
塚越選手はダートへ押し出されるが、なんとか立て直しコースへ戻る | ||
塚越選手は大嶋選手(37号車)、松田選手(1号車)に抜かれ8位へ |
後方ではスタートで出遅れた立川祐路選手(CERUMO/INGING)を最後尾スタートの国本京佑選手(Team LeMans)が5コーナーで抜き11位に上がるが、ヘアピン立ち上がりから共にOTSを使ってダウンヒルストレートを併走。90度コーナーを制したのは立川選手だった。1周目の順位は小暮、ロッテラー、デュバル、石浦、トレルイエ、大嶋、松田、塚越、伊沢、ライアン、立川、国本、平手となった。
トップに立ったロッテラー選手。2位にはデュバル選手。デュバル選手はポイントリーダーのため、OTSが赤く光っている |
このまま独走かと思われた小暮選手だがフライングスタートとの判定でドライブスルーペナルティが課せられる。4周目終了時にピットロードに入り、最後尾でコースに復帰した。これでトップに立ったのはロッテラー選手だが、絶好調のデュバル選手がすぐ後方につけているので厳しい戦いが予想された。
予選では圧倒的な速さを見せたデュバル選手だが、抜きどころの少ないもてぎではロッテラー選手を抜くことができない。同じNAKAJIMA RACINGの小暮選手も、最後尾からのオーバーテイクショーが期待されたが、12位の平手選手を抜くことができずペースも上げられない状態が続いた。4位のトレルイエ選手にも大嶋選手が果敢に迫るが抜くことができない。そんな中、平手選手が13周目に国本選手をパス、15周目にOTSを使って立川選手をパス、20周目にはライアン選手を抜き1人だけ果敢なオーバーテイクを見せた。最後尾から順位を上げられない小暮選手は14周終了の時点で早めのピットイン、タイヤ交換と給油を行い、前にマシンのいないポジションでタイムアップを図る作戦に切り替えた。
4位のトレルイエ選手に迫る大嶋選手 | 立川選手(48号車)、国本選手(7号車)、平手選手(20号車)に続き最後尾を走る小暮選手 | 後方の立川選手、国本選手を抜きライアン選手に迫る平手選手(写真2番目) |
ピットストップで大嶋選手を抜いた松田選手 | どうしてもロッテラー選手を抜けないデュバル選手(後方) |
52周のレースが中盤に差しかかり、各車ピットインが始まった。ピットインで順位を上げたのが松田選手。大嶋選手を交わして順位を上げた。30周目、ついにトップ争いをするロッテラー選手とデュバル選手が同時にピットインを行った。ロッテラー選手の静止時間が20秒、デュバル選手は24秒かかりロッテラー選手が差を広げてコースに戻る。遅れたデュバル選手はコースインした1コーナーで、ピットイン前の塚越選手に抜かれポジションを落としてしまった。塚越選手を抜くのに1周を要したデュバル選手はロッテラー選手との差が7秒に広がってしまった。
レースも後半に入った36周目、5コーナーでライアン選手がブレーキトラブルで激しくクラッシュするが大事には至らなかった。国本選手はパドルシフトのトラブルでピットに戻りそのままリタイア、大嶋選手は、エンジンが吹けなくなりV字コーナーでストップ、塚越選手も残り4周でピットに戻ると、そのままリタイアした。
レース終盤に、この日最もエキサイティングなバトルが展開された。8位を走る伊沢選手に立川選手が130Rの立ち上がりで並びかける。2人のバトルはV字で接触ギリギリのブレーキング、そのままヘアピンを併走し、ダウンヒルストレートの立ち上がりで共にOTSを使うが、トラクションに優った立川選手が8位に上がった。翌周には平手選手も90度コーナーで伊沢選手を抜き順位を上げた。
130Rからバトルを続け、ダウンヒルストレートで伊沢選手を抜いた立川選手。OTSのLEDが消灯しているように見えるが、これは点滅していたため | ||
次の周、平手選手が伊沢選手を90度コーナーでパス |
トップを追うデュバル選手は徐々に差を縮めるが追いつくことはできず、逃げ切ったロッテラー選手が2007年以来の優勝となった。ロッテラー選手は通算8勝目。27勝の本山哲選手、11勝の高木虎之介選手、トレルイエ選手に次ぐ、フォーミュラ・ニッポン歴代4位の勝利数となった。
2位にはデュバル選手が入り、ポイントリーダーの座をキープした。3位を走っていた石浦選手が最終ラップ直前でミッショントラブルが発生。トレルイエ選手がスローダウンした石浦選手を130Rで抜き、3位の表彰台を獲得した。フライングスタートで最後尾に落ちた小暮選手は最終的に6位まで順位を上げてゴールした。
最終順位は以下のとおり。
順位 | ドライバー | チーム名 |
1位 | アンドレ・ロッテラー | PETRONAS TEAM TOM'S |
2位 | ロイック・デュバル | NAKAJIMA RACING |
3位 | ブノワ・トレルイエ | LAWSON TEAM IMPUL |
4位 | 石浦宏明 | Team LeMans |
5位 | 松田次生 | LAWSON TEAM IMPUL |
6位 | 小暮卓史 | NAKAJIMA RACING |
7位 | 立川祐路 | CERUMO/INGING |
8位 | 平手晃平 | ahead TEAM IMPUL |
9位 | 伊沢拓也 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING |
10位 | 塚越広大 | HFDP RACING |
11位 | 大嶋和也 | PETRONAS TEAM TOM'S |
シリーズポイントは残り2戦を残し上位3人に絞られたが、事実上デュバル選手とトレルイエ選手の2人の争いと言ってよいだろう。
順位 | ドライバー | ポイント |
1位 | ロイック・デュバル | 45 |
2位 | ブノワ・トレルイエ | 39 |
3位 | 小暮卓史 | 26 |
次回、第7戦は8月29日、30日、大分県のオートポリスで開催される。展開によってはシリーズ優勝が決まるレースとなるだけに、注目の一戦だ。
(奥川浩彦)
2009年 8月 11日