フォーミュラ・ニッポン第7戦オートポリス
ロイック・デュバル選手がシリーズチャンピオンに

大分のオートポリスで開催された第7戦。スタートで伊沢拓也選手が飛び出す

2009年8月30日決勝開催



 2009年フォーミュラ・ニッポン第7戦の決勝レースが8月30日、オートポリス(大分県日田市)で開催された。ポールポジションの小暮卓史選手(NAKAJIMA RACING)がスタートで3位と出遅れたが、早めのピットインが功を奏して逆転で優勝、今期2勝目を挙げた。2位にはアンドレ・ロッテラー選手(PETRONAS TEAM TOM'S)、3位に入ったロイック・デュバル選手(NAKAJIMA RACING)が、最終戦を待たず初のシリーズチャンピオンを獲得した。

 シリーズ全8戦で行われる2009年フォーミュラ・ニッポンは第7戦を迎え、チャンピオン争いは大詰めとなっていた。ここまでのドライバーズポイントトップ3は

順位号車名前(チーム)ポイント
1位31号車

ロイック・デュバル(NAKAJIMA RACING)

45
2位2号車

ブノワ・トレルイエ(LAWSON TEAM IMPUL)

39
3位32号車

小暮卓史(NAKAJIMA RACING)

26

 ポイントは、1位10ポイント、2位8ポイント、3位6ポイント、4位5ポイントで8位までがポイント圏内で、予選1位に対し1ポイントが与えられる。残り2戦で加算できるポイントは予選、決勝をすべて1位の場合で22ポイント。理論上は3位の小暮選手までシリーズチャンピオンの可能性はあるが、現実的にはトップ2人の一騎打ちと言える。今回のレースでデュバル選手がトレルイエ選手とのポイント差を11ポイントに広げると、最終戦を残してチャンピオン決定となる。

 予選1位は小暮選手、2位には伊沢拓也選手(DOCOMO DANDELION)が入り、第1戦以来のフロントローを獲得した。チャンピオン争いをするデュバル選手は予選10位、トレルイエ選手は9位と後方に沈んだ。

 オートポリスの天候は晴れ、路面温度も高く、タイヤマネジメントが重要なレースになりそうだ。立川祐路選手(CERUMO/INGING)がミッショントラブルでスターティンググリッドに並べず、12台でのスタートとなる。14時30分、54周で争われる決勝レースがスタートした。スタートで飛び出したのは予選2位の伊沢選手と4位のアンドレ・ロッテラー選手(PETRONAS TEAM TOM'S)。伊沢選手がトップに上がり、ロッテラー選手が2位、ポールポジションの小暮選手は出遅れ3位に後退した。4位は塚越広大選手(HFDP RACING)、5位に国本京佑選手(Team LeMans)、チャンピオン争いをするトレルイエ選手はポジションを6位まで上げた。デュバル選手もスタートで順位を上げ9位で1コーナーにアウトから進入するが、リチャード・ライアン選手(DOCOMO DANDELION)にエスケープに押し出される格好となり最後尾へ後退した。

 トップに立った伊沢選手は3周目に1分37秒489のファステストラップを刻み、その後も37秒台でコンスタントに走行、2位のロッテラー選手をジリジリを離していく。2位から7位の石浦宏明選手(Team LeMans)まではやや接近戦となるが、8位のライアン選手のペースが上がらず、石浦選手から4秒遅れとなる。9位以下の松田次生選手(LAWSON IMPUL)、大嶋和也選手(PETRONAS TEAM TOM'S)、平手晃平選手(ahead TEAM IMPUL)、最後尾のデュバル選手までが3秒差の団子状態で10周目を迎える。

 最初に動いたのは10位を走っていた大嶋選手。11周目終了時にピットイン、給油とタイヤ交換を18秒で済ませ最後尾から追い上げを狙った。10周を過ぎ各車のラップタイムが38~39秒台に落ちる中、タイヤ交換した大嶋選手が13周目に1分36秒436のタイムをたたき出した。

 16周目終了時に11位を走ってたデュバル選手がピットイン。15秒でタイヤ交換と給油を済ませてコースに復帰、最後尾の空いた空間でタイムアップを狙った。翌周、ライアン選手と平手選手が同時ピットイン、2ストップ作戦でストップ時間の短かったライアン選手はデュバル選手の前、平手選手はデュバル選手の後ろでコースに戻った。

 20周終了時の順位は伊沢選手、ロッテラー選手、小暮選手、塚越選手、国本選手、トレルイエ選手、石浦選手、松田選手と続き、ピットインをした大嶋選手が25秒ほど離れて9位、以下ライアン選手、デュバル選手、平手選手となった。タイヤ交換後、各車はタイムアップし、上位陣に対し2~3秒早いラップタイムで追い上げる形となった。

 54周のレースも中盤を迎え、上位陣のピットインが始まった。22周目終了時に3位を走る小暮選手と石浦選手がピットイン、小暮選手は16秒の作業でピットアウト、大嶋選手の後ろで復帰した。

 翌周、ロッテラー選手、塚越選手、国本選手、トレルイエ選手がピットイン、ロッテラー選手は19秒でピットアウト、小暮選手、ライアン選手に抜かれ順位を落とした。ロッテラー選手のすぐ後ろにはデュバル選手、平手選手が続き、少し距離を置いて石浦選手、そのすぐ後方に国本選手、塚越選手がコース復帰した。同時にピットインしたトレルイエ選手はエンジンストールで40秒の作業時間がかかり集団のはるか後方まで順位を落とした。

 さらに翌周、初優勝に向けトップ快走の伊沢選手と松田選手がピットイン、伊沢選手はタイヤ交換に手間取り31秒でピットアウト、国本選手の後方でコースに戻り、初優勝の期待は消滅した。

 全車ピットインが終わった25周目の順位は大嶋選手、小暮選手、ライアン選手、ロッテラー選手、デュバル選手、平手選手、石浦選手、国本選手、伊沢選手、塚越選手、松田選手、トレルイエ選手となった。大嶋選手とライアン選手はもう1回のピットインがあるが、早めにピットインを済ませタイムアップした選手が大幅に順位を上げた形となった。

 大幅に後れを取ったトレルイエ選手は、35周目に1分35秒978のファステストラップを叩きだし、集団に追いつくべく猛進を続けた。33周終了時にライアン選手が2度目のピットイン、35周終了時にはトップを走る大嶋選手も2度目のピットイン、ついに小暮選手がトップに浮上した。

途中から独走態勢を築いた小暮選手。今季2勝目を獲得

 1位に立った小暮選手は独走態勢を築く。2位にロッテラー選手、3位には最後尾から追い上げたデュバル選手、ポイント争いをするトレルイエ選手は10位で、このままの順位でゴールすると、デュバル選手は51ポイント、トレルイエ選手は39ポイント、その差12ポイントで最終戦を待たずチャンピオン決定となる。チャンピオン獲得を阻むためには、トレルイエ選手が7位まで順位を上げ2ポイントは獲得する必要がある。

2位に入ったロッテラー選手

 42周目、ペースの上がらない8位、塚越選手に対し松田選手、トレルイエ選手、大嶋選手が接近し、僅差の8位争いへ展開する。数周に渡り、各車オーバーテイクシステムのLEDを点滅させ抜きにかかる熾烈な攻防となった。45周目の1コーナーでアウトから並びかけた松田選手がそのまま立ち上がりで先行し順位を上げた。コーナーのライン取りで加速が鈍った塚越選手をすぐ後ろのトレルイエ選手もパスし、9位にポジションアップ。塚越選手は直後に左リアのトーロッドが破損しピットイン、そのままリタイヤした。

 ここまで唯一獲得ポイントゼロのルーキー、国本選手は6位を走行していたが、急激にペースダウン。47周目にタイヤ交換しコースに戻るが、初ポイント獲得を目前で逃す結果となった。コース復帰後に1分35秒336のファステストラップを記録するなど、ここに来て速さは見せているので、最終戦では結果を期待したい。

 国本選手の後退で松田選手が7位、トレルイエ選手が8位。このままではデュバル選手のチャンピオンが決定となる。チームオーダーでトレルイエ選手を7位にし、最終戦にチャンピオン争いを持ち越す手もあったが、走る闘魂、星野一義監督率いるTEAM IMPULにチームオーダーはなくそのままゴールとなった。

3位に入り、シリーズチャンピオンを獲得したデュバル選手

 小暮選手はロッテラー選手に20秒の大差を付け優勝、今期2勝目となった。2位にはロッテラー選手、3位に入ったデュバル選手は初のシリーズチャンピオンを獲得、NAKAJIMA RACINGはチームポイントでもシリーズチャンピオンを獲得した。最終順位は

最終順位号車名前(チーム)
1位32号車

小暮 卓史(NAKAJIMA RACING)

2位36号車

アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)

3位31号車

ロイック・デュバル(NAKAJIMA RACING

4位20号車

平手晃平(ahead TEAM IMPUL)

5位8号車

石浦宏明(Team LeMans)

6位41号車

伊沢拓也(DOCOMO DANDELION)

7位1号車

松田次生(LAWSON IMPUL)

8位2号車

ブノワ・トレルイエ(LAWSON TEAM IMPUL)

9位37号車

大嶋和也(PETRONAS TEAM TOM'S)

10位40号車

リチャード・ライアン(DOCOMO DANDELION)

11位7号車

国本京佑(Team LeMans)


表彰式。左から2位のロッテラー選手、優勝した小暮選手、3位となるもシリーズチャンピオンを獲得したデュバル選手、NAKAJIMA RACINGの中嶋監督チームポイントでもチャンピオンを獲得したNAKAJIMA RACINGのスタッフ。中嶋監督を中心に喜びを爆発させる

 次戦、シリーズ最終戦は9月26日、27日、宮城県のスポーツランドSUGOにて開催される。

(奥川浩彦)
2009年 8月 31日