三菱、東京モーターショーの出品概要を発表
プラグインハイブリッド「PX-MiEV」と「i-MiEV CARGO」を世界初披露

Mitsubishi Concept PX-MiEV

2009年10月1日発表



 三菱自動車工業は、10月23日から開幕する第41回東京モーターショーの出品概要を発表した。ワールドプレミアとして、電気とエンジンのハイブリッドモデル「Mitsubishi Concept PX-MiEV(コンセプト ピーエックス ミーブ)」と、電気自動車「i-MiEV」をベースにカーゴスペースを設けた「i-MiEV CARGO(アイ・ミーブ カーゴ)」を筆頭に、計16台を出品する。

 Concept PX-MiEVは、ガソリンエンジンとモーターによるハイブリッド駆動のクロスオーバーモデルで、前輪と後輪を駆動する2つの永久磁石式同期モーターと、発電機としての役割も担う1.6リッター DOHCガソリンエンジンを有する。走行状況や駆動用バッテリーの容量に応じて、モーターとエンジンを切り替える「三菱プラグインハイブリッドシステム」を搭載。駆動バッテリーを常時モニタリングし、バッテリー容量に応じて充放電を制御するとともに、EVコンポーネントとエンジンの総合制御によって最適な走行モードを選択する「MiEV OS(MiEV Operating System)も採用する。これらにより、10・15モード燃費は実に50km/Lを誇る。

新世代クロスオーバーモデルのConcept PX-MiEV。10・15モード燃費は50km/L

Concept PX-MiEVの走行モードは4パターン
 走行モードは4パターン。「EVモード」では駆動用バッテリーでフロントモーターを駆動し、前輪駆動で走行する。天候などにより前輪がスリップし、スタビリティが求められる場合は自動的にリアモーターを駆動して4WDに切り替わる。

 「シリーズハイブリッドモード」では、駆動用バッテリーの残量が低下した際にエンジンが始動し、発電を開始。この発電した電力によりモーターを駆動するというもの。EVモード同様に前輪駆動と4WDの切替を自動的に行う。

 「パラレルハイブリッドモード」では、高速走行時など高いエネルギー効率が求められる際にエンジンの動力も利用し、フロントとリアのモーターをあわせて高い動力性能を発揮する。このモードでも、前輪駆動と4WDの切替は自動的に行われる。

 「回生モード」では、長い下り坂などでアクセルをオフにすることにより、前後のモーターが発電機として機能。この発電機が減速エネルギーを電気に変換し、駆動用のバッテリーに充電する。

 そのほか、普通充電や急速充電を行う際の「充電モード」、駆動用バッテリーの電力を用いて家庭での電力利用を可能とする「給電モード」機能を持つ。この給電モードは、災害時などにおける緊急用の電源としての利用も想定される。

ボディーカラーは金属の素材感を演出する、新開発のメタルカラー塗装が施される

Concept PX-MiEV:エクステリア
 エクステリアデザインでは、「SOLID(ソリッド)」「SAFETY(セーフティ)」「SIMPLE(シンプル)」をコンセプトとし、無駄をなくしてシンプルな佇まいを演出した。ボディー全体の凹凸を極力排除したことによりデザインに一体感を持たせつつ、万が一人と衝突した際の対衝撃性を低減できるものとしている。

 ヘッドランプ、リアコンビランプにはLEDを採用した。ボディーカラーは金属の素材感を演出する新開発のメタルカラー塗装が施される。ホイール形状はスポークタイプとディッシュタイプを融合したもので、先進感を表現するとともに空気の流れを適正化し、ブレーキの放熱性や空力性を高めるものとしている。

 ボディー自体の安全強化も図られた。同社独自の衝突安全強化ボディー「RISE(Reinforced Impact Safety Evolution)」をベースに、駆動用バッテリーなどといった高電圧コンポーネント類はすべてアンダーフロアのボディー骨格内に配置。バッテリーパック自体の補強も兼ねたクロスメンバーを採用することにより、安全性を高めている。さらにGセンサーを搭載し、衝突を検知した場合は高電圧電源系を瞬時に遮断すると言う。

 足まわりには電子制御エアサスペンションを搭載し、「オート」「ハイ」「ロー」という3パターンの車高調整を可能としている。これにより路面状況に応じて走行安定性を高めるほか、乗降性の向上に一役買っている。タイヤサイズは245/45 R20。

ホイールデザインはスポークタイプとディッシュタイプを融合させたデザインとした。ブレーキ熱の放熱性能や、高速走行時の空力性も考慮しているスリーダイヤエンブレムを中心にリアゲート全体を取り囲むグラフィックデザインを特徴としているボディー下部はフラットな形状。空力的に優れそうだ
ヘッドライトのコンビランプはLEDを採用した。LEDの発光色は視認性の高い昼白色に近づけたと言う。リアコンビランプにもLEDを採用したことにより、ストップランプの点灯速度を早め、安全性を考慮している
i-MiEV同様、家庭用AC100V/AC200Vによる普通充電と、急速充電の3WAY充電システムを採用した。離れた場所からでも指定時間に充電やエアコンの予約が行える無線充電予約システムも備える

Concept PX-MiEV:インテリア
 インテリアは「クリーン」「ストレスフリー」「安心・安全」をテーマとした“cocochi(ここち)-インテリア”を展開。シート生地に抗アレルゲン加工剤と可視光応答型光触媒を加工した材質を用いることにより、VOC(揮発性有機化合物)や細菌、悪臭成分を分解できるものとした。また、従来のガラスでは遮ることができなかった、UV-A(紫外線の長波長域)の完全遮断化に成功したUV-Aカットガラスを採用している。

 そのほか、ドライバーの正面にカメラを配置し、視線の動きからドライバーの集中力を検知する「ドライバーモニタリングシステム」を装備。集中力が低下していると判断すると、警告御のほか光、香り、振動などを用いて注意を喚起する。

 カラーリングはパープルとオフホワイトを基調とし、ヌバックレザーで室内全体を覆う。センターコンソールのモニターとドアトリムには、柔らかに発光するイルミネーションを採用し、駆動用バッテリーが充電を行っている際にはイルミネーションが点灯し、ハイブリッドモデルらしさを演出する。また、パワーウインドーやハンドルスイッチにはタッチパネル式を採用し、先進感を演出するとともにすっきりとした印象を持たせている。

ヌバックレザーで室内全体を覆い、2トーンのインテリアカラーとしたことで、品質の高さと先進性を融合させたと言う。パワーウインドーやハンドルスイッチにはタッチパネル式を採用。インストルメントパネルに設定されたエコドライブスイッチにより、エンジン、トランスミッション、エアコンの省電力連携制御を可能としたほか、モニターにエコドライブの状況や結果の情報を表示することが可能。リアシートにもモニターを装備する
ホールド性に優れると言うフロントシート。リアも2名乗車

 Mitsubishi Concept PX-MiEVのサイズは4510×1830×1655mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2630mm。乗車定員は4名。フロントとリアに配置するモーターの最高出力はそれぞれ60kW、最大トルクは200Nm。エンジンの最高出力は85kW、最大トルクは125Nm。

i-MiEV CARGO
i-MiEV CARGOは、車体前方のラウンドフォルムと車体後方のスクエアフォルムをつなぎ合わせたスタイリングで、デザインコンセプトを「Joint.(ジョイント)」とした。

 乗車定員を2名としながらも、車体後方のカーゴルームに位置するフリースペースをフラットにし、使い勝手を高めるとともにユーザーの発想次第でオリジナリティある室内スペースを作り出すことができるものとしている。フリースペースのサイズは1350×1180×1100mm(幅×奥行×高さ)。

 i-MiEV CARGOのサイズは3395×1475×1860mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2550mm。最高出力は47kW、最大トルクは180Nm。駆動方式は2WD(FR)で、タイヤサイズはフロントが145/65 R15、リアが175/55 R15。

i-MiEVをベースにカーゴスペースを新たに設けたi-MiEV CARGO。写真は展示車とは一部デザインが異なる

(編集部:小林 隆)
2009年 10月 1日