アウディ、「Q7」をマイナーチェンジ、燃費を改善
クリーンディーゼルモデルを2010年に国内導入

2009年9月30日発売



 アウディ ジャパンは、7人乗りSUV「Q7」をマイナーチェンジし、9月30日に発売した。
次の2モデルが用意される。

モデル名エンジン変速機
価格ステアリング
Q7 3.6 FSI クワトロ3.6リッター
V型6気筒 DOHC
直噴ガソリンエンジン
6速AT740万円
Q7 4.2 FSI クワトロ4.2リッター
V型8気筒 DOHC
直噴ガソリンエンジン
970万円左/右

 同社は30日、東京 表参道のアウディフォーラムで発表会を開催。この中で同社のドミニク・ベッシュ社長が、Q7のクリーンディーゼルモデルと、フランクフルトモーターショーで発表されたR8スパイダーを、2010年に日本に導入することを明らかにした。

3.2リッターモデル。外観での変更点は、縦のクロームが強調されたグリルと、LEDのポジションランプなど。ホイールも新デザインとなる

フェイスリフトと燃費改善が目玉
 2006年にクワトロ生誕25周年記念として発売された同社初のSUV。車体サイズ5085×1985×1740mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース3000mm、重量2270~2350kgのボディーに3列シートを搭載し、7人乗りとした。エンジンをフロントに縦置きし、4輪を駆動する。前後のトルク配分は40:60だが、状況に応じて65:35~15:85の範囲で配分を変える。

 マイナーチェンジでは、フェイスリフトのほか、ドライバーアシストなどの機能向上、燃費の改善が図られている。

 フェイスリフトは、新デザインのシングルフレームグリルとドアミラー、テールゲート、LEDポジションランプが与えられた。テールランプもLED。省電力のLEDの採用と、ドアミラーの小型化は、燃費の改善にも一役買っている。

4.2リッターモデル
LEDのウインカーが内蔵されたミラーは小型化されており、燃費改善に貢献LEDのポジションライト。その下のウインカーもLEDテールランプもLED
Q5(左)と。デザインは非常によく似ているが、上からの写真(右。上がQ5)を見ると大きさの違いが分かる
4.2リッター(左)と3.2リッターのエンジン

 機能面ではMMI(マルチメディアインターフェイス)が進化。プロセッサーが高速になり、Bluetoothに対応するなどの改良がされている。さらに、車線逸脱を警告する「レーンアシスト」と、車線変更時に併走車両を警告する「サイドアシスト」が、レーダーにより先行車との間隔を一定に保つ「アダプティブクルーズコントロール」とのセット「ドライブアシストパッケージ」として新たに設定された。45万円のオプションとなる。

 燃費は、エンジンを改良したほか、ブレーキング時にバッテリーにエネルギーを回生し、オルタネーターの負荷を軽減する仕組みを導入することで改善した。3.6リッター V型6気筒 DOHCと4.2リッター V型8気筒 DOHCの自然吸気直噴ガソリンエンジン2種は、従来と同じ最高出力やトルク(3.6リッターは206kW(280PS)/6200rpm、360Nm(36.7kgm)/2500~5000rpm。4.2リッターは257kW(350PS)/6800rpm、440Nm(44.9kgm)/3500rpm)を維持しているが、燃費はそれぞれ7.1km/Lから7.6km/Lへ、6.7km/Lから7.2.km/Lへ、7%前後向上した。従来同様、スクラップインセンティブ(エコカーへの買い換え補助)の対象となる。

4.2リッターのインテリア中央にインフォメーションディスプレイを配したおなじみのインストゥルメントパネル
6速ATのシフトレバーの後方にMMIMMIのスイッチ類のレイアウトは変わらないが、プロセッサーなどが高速になり、Bluetoothに対応したディスプレイは7インチVGA。バックモニター機能もある
オプションのバング&オルフセンサウンドシステムは、A8と同じ1000Wのアドバンスド仕様。フェイシア左右のツイーターは未使用時は格納される84万円
天井のランプやコントロール類の奥に、サイドビューモニターが設けられる
SDカードスロットを備える
前席センターアームレスト
2列目シートは前後に120mmスライドする
3列目シート。ラゲッジルーム容量は330L~2035L

 

Q7とドミニク・ベッシュ社長

クリーンディーゼルを来年導入
 発表会冒頭でドミニク・ベッシュ社長は、フランクフルトモーターショーで発表したミッドシップ・スポーツカー「R8スパイダー」と、R8ベースの電気駆動スポーツカー「e-tron」に触れ、R8スパイダーを2010年下半期に日本市場に導入すると発表した。

 またQ7のディーゼルモデル導入も発表した。本国にはV型12気筒のディーゼルモデルがフラッグシップとして存在するが、日本に導入されるのは3リッターのターボディーゼルを搭載する「3.0 TDI with Ultra low emission system」だ。

 ベッシュ社長によれば、日本における輸入車市場の状況は相変わらず悪く、とくにプレミアムメーカーは軒並み30%前後実績を落とす中で、アウディはその下げ幅を最小限に抑え、それがシェア拡大につながるという年初からの構図は、Q7発表時点でも変わらない。Q7は輸入車市場の同クラスのSUVで比較すると相対的に価格が安く、7人乗りという機能性と併せてバリュー・フォー・マネーは高い。これを利してQ7では、国産を含めた他社からの乗り換え需要を発掘し、さらなるシェア拡大につなげる構えだ。

(編集部:田中真一郎)
2009年 10月 1日