トヨタ博物館で「マッハ号」が走った 日産の入門レースマシン「ザウルス」をベースにしたレプリカモデル |
新館前に移動したマッハ号と説明を聞く観客 |
1月9日、トヨタ博物館(愛知県愛知郡長久手町)でマッハ号の走行披露が行われた。トヨタ博物館が開設20周年記念企画展として開催している「マンガとクルマ(あの名車がマンガの世界を飛び出してここに夢の競演!!)」のイベントとして、レプリカモデルが館内の駐車場を疾走し、多くの観客を魅了した。
マッハ号が登場するアニメ「マッハGoGoGo」(制作:タツノコプロ)は1967年に第1作がフジテレビで、1997年にリメイク版の第2作がテレビ東京で放送された。マッハGoGoGoは海外でも人気が高く、2008年には映画マトリックスの監督であるウォシャウスキー兄弟によって実写映画「スピード・レーサー」を公開した。
今回走行したマッハ号は、リメイク版であるマッハGoGoGo第2作のPR用に製作したレプリカで、日産の入門レースマシン「ザウルス」をベースにFRP製のボディーを被せたもの。実際に走行するのは1997年以来13年ぶりとのことである。マッハ号は第1作では左ハンドルのツーシーターだったが、第2作はセンターコックピットのスリーシーターとなっていて、レプリカでは左右の助手席は省略される。
この日、マッハ号はマンガとクルマの展示会場から、本館入り口脇に移動していた。走行披露の時刻になると新館の前に移動し、簡単な説明が行われたのち、駐車場で実走行を行った。走行時間はおよそ5分。レースマシンがベースとなっているので、乗用車とは異なる太いエキゾーストノートを響かせながら観客の前を疾走した。
観客をバックに“GO!” | 疾走するマッハ号 |
走行後にはマシンを間近で見る時間も用意された。このレプリカは1997年のPR後に個人が購入したもので、今回は展示のたのために借りたもの。触れることはできないが、大人も子供もコックピットを覗き込んだり、撮影したりと30分近く人垣に囲まれていた。
走行後は多くの観客が人垣を作った | ステアリングのセンターには7つのボタン |
外観は特徴的なフロントデザインがみごとに再現され、第1作を見た父親、第2作を見た子供ともども、世代を越えてインパクトを感じられるものだった。コクピットを覗き込むと、ステアリングのセンターには子供時代に虜になった、あの7つのボタンも再現されていた。残念ながら特殊装備は実装していない。
ちなみに7つの特殊装備は第1作と第2作では若干異なっている。
ボタン | 第1作 | 第2作 |
A | オートジャッキ | エアロジャッキ |
B | ベルトタイヤ | バルーンタイヤ |
C | カッター装置 | カッターブレード |
D | ディフェンサー | ディフェンシブシールド |
E | イブニングアイ | エマージェンシーワイヤー |
F | フロッグ装置 | フィッシュダイバ- |
G | ギズモ号 | ギャラント号 |
Aボタンでジャンプ、Cボタンで木を切るなど、機能的に同じものが多いが、丸ノコがレーザーに変わるなど、時代の変化を反映したものとなっている。Eボタンのように第1作の赤外線ヘッドライトが、第2作では牽引ワイヤーになるといった装備の変更もあるが、ボタンのアルファベットと装備の頭文字(EボタンならEvening eye、Emergency wire)が一致するのは変わっていない。
その勇姿をご覧あれ |
マッハ号の走行披露は1月9日~11日まで行われたのだが、2月20日、21日にも開催される。時刻は11時30分、13時30分、15時30分の3回。写真を見て懐かしく思われた方は、是非その勇姿を生で見に行っていただきたい。
また、行きたくても行けない方にはマッハGoGoGoの第2作のDVDが2月に発売されるといった朗報も。これにより、すでにDVD化されている第1作の映画「スピード・レーサー」とあわせてマッハ号の映像をすべて見ることが可能となる。親子で新旧の作品を見るもよし、40年前の第1作を「覆面レーサーの声は愛川欽也なのか」と新たな発見をしながら鑑賞するのもよいだろう。
マッハ号の走行シーン
■19世紀末から20世紀の自動車の歴史に触れられるトヨタ博物館
さて、会場であるトヨタ博物館についても簡単に紹介しておこう。場所は東名高速道路と日進JCT(ジャンクション)で接続する名古屋瀬戸道路の長久手IC(インターチェンジ)を降りてすぐ、名古屋ICからでも数分と車でのアクセスは便利だ。公共交通機関で行く場合は、2005年開催の愛知万博で利用されたリニモの芸大通駅のすぐそばだ。入館料は大人1000円、中高生600円、小学生400円などとなっており、公式サイトでは割引優待も用意される。
トヨタ博物館。愛知万博の会場の近くにある | エントランスに飾られたトヨダAA型 |
1989年4月にオープンし、ガソリン自動車が誕生した19世紀末から20世紀の自動車の歴史を振り返ることができ、実用車を中心に約120台の車両が展示してある。1階のエントランスではトヨダAA型が来場者を迎えてくれる。2階に海外の歴史的な車が並べられるほか、3階には国内各メーカーの歴史的車種が用意される。
ロールスロイス 40/50HP シルバーゴースト | ベンツ 14/30HP | ブガッティ タイプ35B |
3階にも色違いのトヨダAA型。観音開きのドアが開けられている | トヨタ クラウンRS型 | 三菱 コルトギャラン GTO-MR型 |
ホンダ S500 AS280型 | マツダ コスモスポーツL10B型 | トヨタ スポーツ800 UP15型 |
トヨタ7 | プリンス R380 |
トヨタ2000GT。普段は白い2000GTだが、特別展示室に移動したためレース仕様の車両を展示していた |
マンガとクルマ展は3月7日まで開催 |
2階の一部は特別展示室になっており、期間限定の展示を行っている。現在は開設20周年記念企画展として「マンガとクルマ」を開催しており、マッハ号も走行日以外はここに展示される。人気マンガの中に登場する車、車をテーマとしたマンガなど計8作品を紹介し、あわせてその実車も展示する。
特別展示室の入り口には名探偵コナン197話「スーパーカーの罠(前編)」に登場するディーノ206GTが展示され、アニメのそのシーンを繰り返し再生していた。その先にはサーキットの狼に登場するロータスヨーロッパ、頭文字Dのスプリンタートレノ(AE86)、ルパン三世「カリオストロの城」に登場するフィアット500、クレヨンしんちゃん「嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」に登場するトヨタ2000GTなどを展示していた。
マンガとクルマの展示は3月7日まで。1月31日にはサーキットの狼の作者、池沢早人師氏のトークショーとスーパーカーが集合するイベントも予定している。
【お詫びと訂正】記事初出時、マッハ号の次回走行日を1月20日、21日としておりましたが、正しくは2月20日、21日になります。ご迷惑をおかけした皆様にお詫びを申し上げるとともに、訂正させていただきます。
(奥川浩彦)
2010年 1月 12日