ミシュラン、2モデルが「低燃費タイヤ」に適合
ラグジュアリーコンフォート「Primacy LC」と低燃費性に優れる「ENERGY SAVER」

日本のタイヤラベリング制度

2010年2月9日発表



Primacy LCを例にとったラベリング表示

 日本ミシュランタイヤは2月9日、同社が発売するラグジュアリーコンフォートタイヤ「Primacy LC」と低燃費性能と安全性を両立する「ENERGY SAVER」が、業界自主基準の「低燃費タイヤ等普及促進に関する表示ガイドライン(ラベリング制度)」に適合したことについて、東京都内で発表会を開催した。

 2009年12月にJATMA(日本自動車タイヤ協会)が制定したラベリング制度は、転がり抵抗の低い低燃費タイヤ(エコタイヤ)について、消費者に適切な情報を提供することで普及促進を図るとともに、温室効果ガス(CO2)の削減を目標としたもの。

 タイヤの転がり抵抗性能とウェットグリップ性能にグレーディングシステム(等級制度)を設け、一目で性能が分かるラベルで表示される。転がり抵抗については抵抗の低いものからAAA、AA、A、B、Cの5等級、ウェットグリップ性能の高いものからa、b、c、dの4等級に分類する。

 今回ラベリング制度に適合したのはPrimacy LCの28サイズと、ENERGY SAVERの20サイズ。いずれのモデル・サイズとも転がり抵抗性能はA、ウェットグリップ性能はcに分類される。この2商品が「低燃費タイヤ」として表示されるのは、3月からだと言う。

ミシュランの転がり抵抗低減への歩み。1946年にラジアルタイヤを発明以降、1992年に転がり抵抗に配慮したタイヤ「ENERGY MXT」などを発売しており、同社は転がり抵抗低減に関するパイオニアだと位置づける日本における一般的な消費者がタイヤを選ぶ際に重要視する性能として「寿命性能」「省燃費性能」「快適性能」「ウェットブレーキング性能」「静粛性能」の5点が挙げられると言う今回ラベリング制度に適合したPrimacy LCとENERGY SAVERの位置づけ
日本ミシュランタイヤ 代表取締役社長 ベルナール・デルマス氏

 発表会の冒頭で、同社の代表取締役社長 ベルナール・デルマス氏は「ミシュランはとくに日本、米国、欧州でラベリング制度を導入するよう支持してきた」と述べ、同社がラベリング制度を重要とする理由を転がり抵抗性能、そして安全上で重要なウェットグリップ性能を消費者が同一の基準で比較し、客観的に見ることができるからと話した。

 また、今回の制度は非常に重要なものだと位置づけながら、タイヤには寿命、乗り心地、静粛性などドライバーが求める性能はほかにもあるとし、「ミシュランはどの性能を犠牲にすることなくトータルバランスに優れるタイヤ作りを心がけており、将来的には転がり抵抗性能、ウェットグリップ性能以外の性能についても表示をできるようにしていきたい」と述べるとともに、転がり抵抗性能に優れた高性能タイヤを今後も作っていくとした。

Primacy LCとENERGY SAVERについての紹介を行ったのは日本ミシュランタイヤ PC/LT事業部 マーケティング部 プロダクト・マーケティング・マネージャー 大江一孝氏

 また、両モデルとも昨年の2月に発売されたものだが、あらためて同社のPC/LT事業部 マーケティング部 プロダクト・マーケティング・マネージャー 大江一孝氏より、製品特徴が紹介された。

 ENERGY SAVERは、安全性と耐久性を兼ね備えた低燃費タイヤに位置づけられる。想定される装着車両はコンパクトカー、小型・中型セダン、ミニバンで、経済性や環境、安全性のほか、耐久性を重視するユーザーに向けて開発したモデルだと言う。

 「燃費に影響する転がり抵抗の低減」「安全性に直結するウェットグリップの向上」「ロングライフ」をコンセプトとし、アシンメトリック(非対称)トレッドパターンを採用。摩耗時のコンパウンドの剛性や特性の変化を防ぐとともに、グリップの低下を抑制する「デュラブルセキュリティ・コンパウンドテクノロジー」を導入した。これにより「長期にわたって優れたウェットブレーキング性能が持続する」と言う。また、トレッド面が路面により均一で接地するように設計し、「グリップ性能を最大限に発揮しながら、偏摩耗も防ぐ」という特徴を持つ。

ENERGY SAVERのターゲットモデルおよびユーザー層ENERGY SAVERの特徴ENERGY SAVERの性能イメージ。従来モデルのENERGY E3Aと比較し、転がり抵抗、排水性、ウェットハンドリングおよびウェットブレーキング時の性能向上を果たしている

 Primacy LCは、静粛性と低燃費性を重視して開発したラグジュアリー・コンフォートタイヤ。プレミアムセグメントに位置づけられ、各自動車メーカーからリリースされるラグジュアリーモデルへの装着を想定したもの。

 「静粛性のさらなる向上」「転がり抵抗のさらなる低減」「ウェット性能のさらなる向上」を開発コンセプトとし、溝とブロック幅の比率を常に一定にし、タイヤの回転時に接地するリブの剛性を周方向で均一になるよう設計した「サイレント・リブテクノロジー」を採用。これにより「パターンノイズの原因の1つとなるトレッドブロックの振動の抑制を図った」と言う。

各自動車メーカーからリリースされるラグジュアリーモデルへの装着を想定Primacy LCの特徴
タイヤの回転時に接地するリブの剛性を周方向で均一になるよう設計した「サイレント・リブテクノロジー」従来モデルのENERGY MXV8との比較性能図。転がり抵抗係数やウェットでの性能向上に成功している

(編集部:小林 隆)
2010年 2月 9日