三菱、新型コンパクトSUV「RVR」発表会を開催 人に、自然に、優しさと楽しさを。ジャストサイズのコンパクトSUV |
三菱自動車工業は2月17日、東京都港区にある本社ショールームにおいて新型コンパクトSUV「RVR」の発表会を開催した。
初代RVRは、乗用車とミニバンの優れる点を取り入れながら、タウンユースからレジャーユースまでさまざまなシーンで使い勝手に優れる新しいセグメントのモデルとして1991年に登場した。
新型RVRはそのコンセプトを引き継ぎながら、クリーンな排出ガス性能や優れた燃費性能による高い環境性能を持つこと、車両の小型化・低価格化に加え、優れた燃費効率により高い経済性を有すること、ユーザーの多用なライフスタイルに適用するSUVならではの機能を持たせることの3点を重視して開発が行われたと言う。
三菱自動車工業 商品戦略・開発統括部門 商品戦略本部(C&D-seg) プロダクトエグゼクティブ 野村真三氏 |
具体的な製品紹介は、三菱自動車工業 商品戦略・開発統括部門 商品戦略本部(C&D-seg) プロダクトエグゼクティブ 野村真三氏により行われた。
現在、国内のSUV市場では低燃費化やダウンサイジング化が求められており、同市場の中心はコンパクトクラスになっていくだろうと野村氏は語る。これは欧米でも同様の傾向にあり、さらに「新興市場においてもコンパクトSUVは注目されつつある」と言う。
コンパクトSUVを求めるユーザーに対しては、「低燃費で優れた環境性能、購入しやすい価格帯でありながら十分な安全・快適装備を備え、かつ上級感のあるインテリア&エクステリアであること。そして優れた多用途性能と走行性能を兼ね備えることが重要だ」と野村氏は述べた。
このような背景から、新型RVRは「人に、自然に、優しさと楽しさを。新しい時代にふさわしいジャストサイズのコンパクトSUV」を商品コンセプトに掲げた。ターゲット層は高い環境意識を持ちつつ、日々の生活の中で車を積極的に活用するユーザーで、ライフステージでは子育てを終えた世代から独身、ヤングファミリーまで幅広い層を想定する。
カテゴリー別SUV車需要動向。コンパクトSUVクラスが今後中心になっていくと予想する | 商品コンセプトは「人に、自然に、優しさと楽しさを。新しい時代にふさわしいジャストサイズのコンパクトSUV」 | 環境意識が強く、日常で車を活用するユーザーをメインターゲットとした |
新型RVRは、高出力と低燃費を両立した直列4気筒DOHC 1.8リッターエンジンに6速スポーツモード付きのCVT「INVECS-III」を組み合わせる。エンジンはピストンやカムシャフトなどの改良によって低フリクション化されたほか、高効率の発電制御を行う減速エネルギー回生システムや電動パワーステアリングなどを採用し、積極的に低燃費化を図った。
また、ボディーにはデリカD:5にも採用している耐衝撃性に優れた樹脂フェンダーを採用して軽量化を実現。さらに、ルーフ後端を下げるとともに床下レイアウトを工夫することで、「クラストップレベルの空力特性を実現した」と言う。
これらにより、10・15モード燃費は2WD(FF)車で15.2km/L、4WD車で15.0km/Lとし、全モデルとも「環境対応車 普及促進税制」(エコカー減税)により自動車取得税と自動車重量税が50%減税される。
ボディーサイズは4295×1770×1615mm(全長×全幅×全高)とし、SUVならではの視界の広さ、そして高いアイポイントが特徴。コンパクトボディーでありながら、1670mmのロングホイールベースとすることで、十分な居住空間を確保するとともに優れた直進安定性を実現する。
エクステリアデザインは、フロントフェイスにギャランフォルティスやランサーエボリューションXと同様の「ジェットファイターグリル」を採用した。ボディーラインやキャラクターラインはウェッジを効かせたシルエットにより、スポーティかつ躍動感のあるスタイリングが特徴だ。
ボディーカラーは翡翠(カワセミ)の羽の色をヒントに、自然との調和をテーマにした新色「カワセミブルーメタリック」のほか、同じく新色で落ち着きのあるチタニウムグレーメタリックを含む全8色を設定する。
インテリアは、ブラックを基調にシルバー、あるいはクロームメッキのアクセントを配し、上質でスポーティなものとした。インパネやドアトリムの一部は上級感を演出するためソフト素材を採用したと言う。
ラゲッジルームの使い勝手は特に考慮され、リアシートを前方に倒すと広くフラットな荷室が広がる。リアシートのアームレスト部にはスルー機構を設け、4名乗車時でもスキー板など長尺物も積載できると言う。ラゲッジルームの床下には使い勝手のよい折りたたみ式のボードを採用し、その下には容量約26Lの床下収納ボックスが用意される。
パッケージングレイアウト | ボディーカラーはカワセミブルーメタリック、チタニウムグレーメタリック、ホワイトパール、ブラックマイカ、クールシルバーメタリック、レッドメタリック、コズミックブルーマイカ、クォーツブラウンメタリックの全8色 |
後席シートバックを前方に倒すと、ラゲッジルームの室内長は1510mmに拡大する | ラゲッジスペースの床下には床下収納ボックスを用意する |
快適装備面では、アンバー色のイルミネーション付き「パノラマガラスルーフ」を採用する。昼間は大きな開口部により開放感を、夜間はLEDを使った間接照明によりムーディな演出をする。サンシェードは電動式を採用した。
機能面での主な特徴は、光軸自動調整機構付き「スーパーワイドHIDヘッドライト」を採用したことだと言う。これは従来のHIDヘッドライトよりも約35%の光量アップを実現したと言い、「80度というワイドな照射角によって交差点などでの見通しが高まる」と野村氏は述べた。
パノラマガラスルーフのサイズは954×860mm(縦×横)。UVカットガラスを採用する。開口部の左右にアンバー色のLEDを装備 | |
スーパーワイドHIDヘッドライトは従来のHIDヘッドライトよりも約35%光量アップしたと言う。写真右の上段が従来のHIDヘッドライト、下段がスーパーワイドHIDヘッドライト。よりワイドに照射しているのが分かる |
さまざまな快適装備 | 安全装備も多数備える。運転席にはSRSニーエアバッグも | 新型RVRの価格レンジ |
新型RVRのCM。水中から登場する新型RVRは実車ではなくミニチュアなのだそう。カワセミも登場する |
三菱自動車工業 取締役社長 益子修氏 |
発表会には同社取締役社長 益子修氏も出席し、「新型RVRに思いを込める象徴として、ボディーカラーに“カワセミブルー”を採用した。このカラーリングはカワセミの羽の色をモチーフにしたもので、自然の清流の中でたくましく生息するカワセミが持つクリーンなイメージ、そしてフットワークの俊敏さを表現した」と言う。これは新型RVRの特徴である環境性能と走行性能を表現したもので、「我々も、光のあたり具合によって輝きと色合いを変えるカワセミブルーのように、繊細にお客様の要望に応え、一人でも多くの方に明るくアクティブなカーライフを楽しんでいただきたい」と述べた。
すでに新型RVRの予約受付は1月に開始しており、2月16日の時点で3300台の受注を受けていると言う。また、日本市場での販売開始を皮切りに、コンパクトSUVの人気が根強い欧州市場、小型化が進む北米市場、さらに今後飛躍的な伸長が期待される中国を含むアジア市場などに世界戦略車として投入していくと述べた。
三菱自動車工業本社前に展示された新型RVR。写真左がカワセミブルーメタリック、写真右がチタニウムグレーメタリック | 可変バルブタイミング機構MIVECを搭載する直列4気筒DOHC 1.8リッターエンジン |
フロントマスクはジェットファイターグリルを採用 | Gは17インチアルミホイールを装着。タイヤサイズは215/60 R17 | ドアミラーはサイドターンランプを内蔵 |
サイドアンダーミラーを装着する | ブレーキランプはLED | オプションの7インチワイドディスプレイHDD ナビゲーションシステム「MMCS」を装着すると、ディスプレイに後方を映し出すリアビューカメラも備える |
Gのインテリア。ブラックを基調とし、随所にシルバーやメッキ加飾が施される。Gのみハンドルにマグネシウム合金製のパドルシフトを装備 | メーターは照明輝度の高いハイコントラスト文字板を採用 |
トランスミッションは6速スポーツモード付きCVT「INVECS-III」 | ドライブモードセレクターにより、より燃費を重視する「2WDモード」、適切な4WD制御を行う「4WDモード」、4WDモードよりもさらに後輪への駆動力配分を増やし、悪路でも高い走破性を発揮すると言う「4WDロック」モードのセレクトが可能 | エンジンのON/OFFはプッシュ式のスタートボタンで行う |
7インチワイドディスプレイHDD ナビゲーションシステム「MMCS」 | 前後シート。リアシートのシートバックは2段階のリクライニングと前倒し機構を備える |
パノラマガラスルーフ | 後席は6:4分割可倒式。撮影車はオプションのロックフォードフォズゲート プレミアムサウンドシステム装着車で、ラゲッジにサブウーファーが付く |
(編集部:小林 隆)
2010年 2月 18日