ピレリ、グリーンパフォーマンスタイヤ「Cinturato P7」説明会 環境性能とエネルギー効率を重視した「P7」の進化形 |
ピレリ ジャパンは、同社がグリーンパフォーマンスタイヤと位置づけ、1月から発売している「Cinturato P7(チントゥラート P7)」の説明会を開催した。
Cinturato P7は、P7の後継として開発された中・大型セダン向けのタイヤ。環境負荷を軽減し、低転がり抵抗による経済性と、ウェット路面のブレーキ性能やグリップ力などの安全性を重視したCinturatoシリーズのトップモデルになる。16~18インチのCinturato P7が発売されたことで、コンパクトカー向けの「Cinturato P4」(13~15インチ)、中型車までをカバーする「Cinturato P6」(14~16インチ)とあわせ、Cinturatoシリーズが完成したことになる。
ピレリ ジャパン マーケティング&サプライチェーン部長 ジョバンニ・アンジェロ・ポンツォーニ氏 |
説明会においてピレリ ジャパン マーケティング&サプライチェーン部長のジョバンニ・アンジェロ・ポンツォーニ氏は、「世界のタイヤのトレンドとしてエコノミーという流れがあり、自動車のトレンドも同様で、OEMタイヤとしてもそれらの要求を満たす必要がある」と言い、ピレリタイヤがそれら顧客ニーズに適するものであると語る。
欧州においては、新車の走行距離1kmあたりのCO2平均排出量を130g以下にすることを目標としており、その中でタイヤによるCO2排出に寄与する割合を20%とし、自動車メーカーからは現状より10%の低減を要求されていると言う。また、タイヤにおけるラベリング表示も2011年11月から導入され、そこでは転がり抵抗とウェットブレーキ性能を表記するほか、タイヤから発する騒音についても規定。現行の規制に比べ、4dB低下させることを求められている。
また、消費者の好みが変化してきており、コンシューマー製品において、独自の突出した性能を持つものから、品質を低下させることなくすべてを1つの製品に盛り込んだものが求められる時代になっており、携帯電話から多機能なスマートフォンへの変化を例として挙げていた。この流れは自動車でも同様で、Cinturato P7はピレリの回答だと述べる。
ピレリジャパン プロダクト マーケティング ディレクター 市川仁氏 |
Cinturato P7の詳細については、ピレリジャパン プロダクト マーケティング ディレクターの市川仁氏より説明が行われた。市川氏は、ピレリのハイパフォーマンスタイヤである「P ZERO」について触れ、ランボルギーニのスーパーカーには全車種P ZEROが装着されていると紹介。その上で、グリーンパフォーマンスタイヤのCinturatoシリーズは、メルセデス・ベンツやアウディなどの中大型セダンから、フォルクスワーゲンやフィアットの小型車までをカバーするものだと言う。
Cinturato P7は、そのCinturatoシリーズの中でもトップモデルに位置づけられ、P ZEROで培ったパフォーマンス技術と、新たに開発した低転がり抵抗技術を採用している。たとえばCinturato P7の持つ4本溝は、P ZERO由来のもので、ウェット性能の向上に寄与。AOF(アロマティック・オイル・フリー)コンパウンドは環境負荷を低減すると言う。
Cinturato P7のポジショニング。P ZEROほどハイパフォーマンスではないものの、高性能セダンからコンパクトカーまで、ボリュームゾーンをカバーする | P ZEROのパフォーマンス性能と、Cinturatoシリーズの環境性能が組み合わされている |
安全性と低転がり抵抗を実現するために、アラミドとナイロンの融合体の繊維であるナノフィラーをタイヤの構造部に採用し、タイヤの接地面積を高速域まで維持。0km/hを100とした場合、100km/hで95%、200km/hでも87%の接地面積を実現し、この安定した接地形状が、安全性の向上や転がり抵抗の低減に寄与する。また、この設置面積はウェット時も維持され、水深7mmの場合で、0km/hを100%とすると、35km/hで85%、70km/hで55%になり、80km/hのときの排水量は30L/s(225/50 R17の場合)になると言う。
剛性コントロールも行われており、高い剛性を確保しつつも、サイプ(細溝)で走行音と乗り心地を改善。発熱もコントロールすることで耐摩耗性も優れたものになっているとする。
P7との比較では、ウェット時のハンドリング性能は106%、摩耗後では115%の性能を発揮し、ドライ路面ではブレーキ力が新品時105%、摩耗時104%になる。このように性能は上げつつ、転がり抵抗を20%低減。その結果、市街地での燃料の消費量を4.2%抑制し、90km/hの一定速走行時においても3.8%の改善が行われた。一般的な使用では、2%ほど改善する結果が出ているとのこと。
Cinturato P7は、パフォーマンス面でP7を上回りつつ、燃費にも優れるため、順次タイヤサイズが追加されていくことで、ハイパフォーマンスタイヤの代名詞でもあったP7を置き換えることになるだろう。
●サイズ一覧
インチ | サイズ | 備考 |
16インチ | 205/60 R16 92V | |
205/60 R16 92H | 発売予定 | |
205/55 R16 91H | ||
205/55 R16 91V | ||
205/55 R16 93V Extraload | 発売予定 | |
205/55 R16 91W | ||
215/55 R16 93V | ||
215/55 R16 93W | ||
215/55 R16 97W Extraload | 発売予定 | |
225/55 R16 95V | 発売予定 | |
225/55 R16 95W | ||
225/55 R16 99W Extraload | ||
225/55 R16 99Y | ||
225/55 R16 99Y Extraload | ||
17インチ | 225/55 R17 97Y | |
235/55 R17 99W | ||
205/50 R17 93W Extraload | ||
205/50 R17 93V Extraload | ||
225/50 ZR17 94H RF Extraload | 発売予定 | |
225/50 R17 94V | 発売予定 | |
225/50 ZR17 94V RF Extraload | 発売予定 | |
225/50 ZR17 98W Extraload | ||
225/50 ZR17 94Y | ||
225/45 R17 91W | ||
225/45 R17 94W Extraload | 発売予定 | |
225/45 R17 91Y | 発売予定 | |
235/45 R17 94Y | 発売予定 | |
235/45 R17 97W Extraload | 発売予定 | |
245/45 R17 95W | ||
245/45 R17 95Y | ||
245/45 R17 99Y Extraload | ||
18インチ | 225/45 ZR18 91V RF | 発売予定 |
225/45 ZR18 91W RF | 発売予定 | |
225/40 ZR18 92W Extraload | 発売予定 | |
245/40 ZR18 93Y | ||
245/40 ZR18 97Y Extraload | ||
255/40 ZR18 95V RF | 発売予定 | |
255/40 ZR18 95W RF | 発売予定 |
説明会では、実際の試乗車も用意された。試乗を行ったのは、アウディ A5カブリオレ 3.2 FSI quattroで、これは標準装着タイヤとしてCinturato P7が使われている。試乗したのは短時間であり、P7と直接比較を行ったわけではないものの、静かでしなやかなタイヤであるとの印象を受けた。機会があれば改めて、P7との比較などは行ってみたい。
試乗会に取りそろえられた試乗車。すべてがCinturato P7を装着 | アウディ A5カブリオレもCinturato P7を標準装着しており、タイヤサイズは245/40 R18。静かでしなやかな感触を確かめることができた | 245/40 R18のトレッドパターン。横溝の配置が不等ピッチになっていることが分かる。4本溝の配置からは、排水性のよさがうかがえる |
(編集部:谷川 潔)
2010年 3月 9日