ツインリンクもてぎ、新アトラクションを含む新施設「モビパーク」開設
3月20日~4月4日までオープン記念「春のMOBIフェスタ」開催

モビパークのロゴ

2010年3月20日開設



 ツインリンクもてぎ、鈴鹿サーキットなどを運営するモビリティランドは、栃木県芳賀郡茂木町にあるツインリンクもてぎ内に新施設「モビパーク」を3月20日に開設した。本田技研工業の子会社であるモビリティランドは、自動車やオートバイなどに乗る楽しさや、ものづくりの楽しさを体感できるさまざまな施設を両サーキットに用意しており、今回開設されたモビパークもそうしたコンセプトに基づいて作られた新施設となる。

モビリティランド テックプロ所長 山上敏樹氏

子供達の自発性、創造性、社会性を育てる場にしたい
 ツインリンクもてぎ、鈴鹿サーキットとも、2輪や4輪の国内選手権をはじめ、インディ・ジャパンやF1など国際格式のレースが行われ、世界に誇れる設備を持っている。この両サーキットとも、サーキット以外の施設も充実しているのが特徴。特にファミリーで楽しめる施設が充実しており、鈴鹿サーキットでは、ゆうえんち内の「プッチタウン」を先日リニューアルするなど、常に新しい施設を導入し、多くの人が楽しめるサーキットを目指している。

 今回ツインリンクもてぎに開設されるモビパークも、そうした理想のもとに作られた施設。モビリティランド テックプロ所長 山上敏樹氏は「このような施設を作るのは、モータースポーツ大好きという愛好者だけでなく、家族全員が楽しめる場所であるべきという哲学がある」と説明する。山上氏によれば、モビリティランドの前身である株式会社鈴鹿サーキットが設立された当時、ホンダの創業者である本田宗一郎氏や藤沢武夫氏らの思いとして“家族で楽しめるサーキット”“エンジンの付いた乗り物を自ら運転できる楽しさを味わえる場所”があり、子供でも楽しめる乗り物のアトラクションを開設することになったのだと言う。

 さらに山上氏は、「現在の子供はさまざまな問題を抱えている。その背景には核家族化などによる社会構造の変化により、コミュニケーションが不足して子供の思考がパターン化するなどしている。実際いじめや不登校、さらには“キレる”子供の存在などの問題が発生している」と述べ、多くの子供達がストレスにさらされていると指摘した。

 「昭和30年代には祖父母と同居し、近所付き合いが当たり前だったが、現在では核家族化が進み、父親も仕事などで育児に参加できず、少子化も進んでいる。そうした中で母親と子供の母子密着が進む。その母親の子育てはメディア頼みになり子供の個性がなくなる方向になっている」と言う。実際、鈴鹿サーキットで子供に発想力を試すようなテストをしてみたところ、希薄な回答が多く、表現力の低い子供が増えていると述べた。

 山上氏は子供の健全な成長には、家族や友達との外遊びの実体験が大事だと指摘し、「子供を夢中にさせるには、きそう、つくる、かんじる、まねるという4つの要素が大事。モビリティランドでは子供のためにこれらの要素を取り入れた施設を用意してきた」と説明した。

 そうした中で今回作られたモビパークなどの施設により「車を運転するだけでなく、ポイントを稼ぐという工夫を入れることで子供の創意工夫を喚起する仕組みを取り入れている。これにより将来を担う子供のモビリティへの興味を醸成していきたい」と、新しい施設により子供の頃から自動車やオートバイなどに親しんでもらい、乗り物に対する興味を深めると同時に、子供の自発性、創造性、社会性を育ててもらう場としても活用してほしいと語った。

創業者が目指したモビリティランド開設時の思い乗り物に親しんでもらうことで、乗り物を操る面白さを理解してもらう今の子供が抱える問題点
昭和中期までは、社会という共同体全体で子供の面倒を見ていた子供の発想力も以前に比べて低下していると言う子供の健全な成長には家族と友達との外遊びが必要
子供を夢中にさせるには、きそう、つくる、かんじる、まねるという4つの要素が必要としたそれら4つの要素が、自発性、創造性、社会性を育てるツインリンクもてぎに開設したモビパークの目指すところは、将来を担う子供にモビリティへの興味を持ってもらうこと
モビパークはグランドスタンド裏の広場の向かいに位置する

子供達が自分で考え、高得点を目指す仕組みを用意した3つの新施設
 それらの理念のもと、モビパークには、「クイックレーサー」「ACRO-X(アクロエックス)」「キッズパイロット」という新しいアトラクションが追加され、よりファミリーで楽しめる施設となっている。

 屋内施設のクイックレーサーは、大人と子供が一緒に乗れる小型自動車を利用したアトラクション。4つの柱のうちパイロットランプのついた柱の外側を回ることで点数が加算されていき、その合計点数を競う。ランプはランダムにつくので、次にどこがつくかを予想し、素早くランプに反応することが求められる。面白いのは1度ついたランプが再度つく可能性もあり、そのあたりを予想しながら上手く回っていくと得点が高くなる。実際に、茂木町内の幼稚園児が参加してデモが行われたが、ランプをよく見て反応し、うまく回った子供が高得点を挙げていた。

クイックレーサーでは小回りの効くマシンに乗り込み、ランプがついた柱の外側を回って得点を稼ぐ。上手く次のランプを予想できると得点が高くなる得点は電光掲示板に分かりやすく表示されるので、子供の競争心に火をつけそうだ

 屋外のアトラクションであるアクロエックスのアクロは悪路を意味し、道の両側に車がはみ出ないような壁こそ設置されているが、凸凹などのある悪路を専用の車で乗り越えていくアトラクションだ。路面にはセンサーが埋められており、センサー上を通過すると得点が増える仕組みになっている。用意された悪路は、ツルツルの路面、凸凹の路面、吊り橋、水の中などさまざまで、そうした路面に適した運転をしながら、センサー上を確実に通過しないとポイントが増えていかない。

 専用車は耕耘機のエンジンを搭載し、それなりにパワフル。アクセル、ブレーキ、ステアリングを使い操作する。アクセルはON/OFF式のスイッチで、軽く踏んでも奥まで踏んでもパワーは同じ。車はサスペンションも備えた本格的なもので、大人でも十分楽しめそうな車になっている。

アクロエックスは耕耘機のエンジンを利用した車に乗って悪路を走りながらポイントを稼ぐ色の違う個所などにセンサーが用意されており、それらを乗り越えていかないとポイントが増えない丸太の路面なども用意され、運転は意外と難しい。左右に壁があるのでコースからはみ出すなどの心配はない
コースには橋や水の区間なども用意される右の青いペダルがアクセル、左の赤いペダルがブレーキ悪路を走るため、サスペンションも装備されている

 アクロエックスと同様、屋外に用意されたキッズパイロットは飛行機の形をした乗り物で、用意された操縦桿を利用して飛行機を持ち上げて、目印と同じ高さに維持することで得点が加算されるアトラクション。操縦士と副操縦士が息をあわせて昇降操作をしないと得点が上手く加算されないので、一緒に乗り組んだ2人の協力具合が高得点のポイント。

キッズパイロットは飛行機タイプのアトラクション前席には操縦桿が、後席左側面にはレバーがあり、2人で協力して高得点を獲得する

 いずれのアトラクションも、親子・兄弟・姉妹・友達同士など、複数人で乗ることができ、協力しながら楽しめるので、コミュニケーションを深めるのに役立つだろう。

3月20日~4月4日まで「春のMOBI(モビ)フェスタ」開催
 なお、モビパークにはこれ以外にも、モーターで走る「ファンビークル」、車やバイクの「シミュレーター」、さまざまな素材を使ってものづくりを楽しめる「ドリームスタジオ」などの既存の施設のほか、子供向けのキッズバイクやキッズカートがある「プッチタウン」、大人向けの本格的なレーシングカートコース「カートランド」がある。

 このモビパーク開設を記念して、3月20日~4月4日まで「春のMOBI(モビ)フェスタ」が開催されており、レッカー車やロンドンバスなどが展示される「働くクルマ大集合!」(会期中)、スーパーカーなどがパレード走行をする「クラシック&スーパースポーツカー大集合!」(4月3日、4日)、インディカーやSUPER GTマシンが展示される「レーシングマシン展」(3月27日、28日、4月3日、4日)など多数のプログラムが用意されている。

働くクルマ大集合!では、はしご車やロンドンバスなど多数の働くクルマを展示

 今週末の3月27日、28日には、スーパー耐久の開幕戦がツインリンクもてぎで開催されるのにあわせて、ホンダコレクションホールでヒューマンロボット「ASIMO(アシモ)」のショーを開催。このショーでは、ASIMOとクイズを楽しめたり、一緒に写真を撮ったりということができる。コレクションホールの1FにはASIMOの前身となるヒューマンロボットの試作機が展示されており、ロボット好きのお父さん達も楽しめそうだ。

ヒューマンロボットのASIMOによるショーASIMOの1つ前の段階のロボット。プロトタイプの「P4」1996年に試作された「P2」
1993年に試作された「P1」P1以前に試作されたロボットも多数展示されている
ホンダコレクションホールに展示されている数々のフォーミュラカー。

 なお、ツインリンクもてぎに併設されている「ホテルツインリンク」のレストラン「グリーンベイ」では、平日限定のランチ(11時30分~13時30分)として、中華料理のオーダーバイキングを行っている。料金は大人2000円、小学生1000円、小学生以下の幼児500円で、本格的な四川風中華料理をバイキング形式で楽しむことができる。通常のバイキングと異なるのは、あらかじめ作られているのではなく、必要な分だけオーダーし、オーダーを受けた後に調理する点で、できたての料理を食べられるのがうれしいところだ。

 筆者も試食してみたが、マーボー豆腐など結構辛く、本格的な四川料理だと感じた(もちろん辛いのが苦手な人向けに辛くないメニューもあるのでご安心を)。デザートもプリンやチーズケーキなど複数の選択肢が用意されているので、味にうるさい人でも十分満足できるだろう。

 このように、ツインリンクもてぎでは春休みにあわせてさまざまなイベントが企画されており、車好きなお父さんだけでなく、お母さんや子供も十分楽しめるようになっている。春休みに家族で出かけるのであれば、ツインリンクもてぎを選択肢の1つに入れてみてはいかがだろうか。

レストラングリーンベイのオーダーバイキングの料理。四川風の本格的な中華料理。もちろんデザートもある

(笠原一輝)
2010年 3月 25日