マセラティ、初の4シーターコンバーチブル「グランカブリオ」
グランカブリオによって普通の道が素晴らしいジャーニーになる

会場に展示された2台のグランカブリオと、Maserati S.p.A. 日本統轄マネージャーのファブリツィオ・カッツォーリ氏(左)、アジアパシフィック代表のシモーヌ・ニコライ氏(中央)、コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドのマセラティ・グループCOO 鴨下俊之氏(右)

2009年3月29日発表
1850万円



発表会が開催された東京・上野にある東京国立博物館

 マセラティの輸入を行っているコーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドは3月29日、都内で4シーターコンバーチブル「グランカブリオ」を発表した。価格は1850万円で、6月初旬からデリバリーを開始する。

 グランカブリオは、同社初の4シーターコンバーチブルモデル。1950年に「A6G フルア・スパイダー」、1960年に「3500GT ヴィニャーレスパイダー」、近年では2001年に「スパイダー」を世に送り出してきたが、4シーターモデルは過去にない。

アンベールされたグランカブリオ
シモーヌ・ニコライ氏は「グランカブリオのラグジュアリーで洗練された音によって、普通の道が素晴らしいジャーニーになる」と説明

 2009年に開催されたフランクフルトモーターショーで発表を行い、「クアトロポルテ」、「グラントゥーリズモ」に続く3番目のモデルに位置づけられる。このグランカブリオの登場によってセダン、クーペ、オープンモデルのフルラインアップが完成することを意味し、発表会の冒頭で挨拶したMaserati S.p.A. アジアパシフィック代表のシモーヌ・ニコライ氏は「今日は単なるニューモデルやモデルチェンジの発表会ではなく、マセラティブランドに新たなマスターピースが加わることを発表する場」「グランカブリオのラグジュアリーで洗練された音によって、普通の道が素晴らしいジャーニーになる」と述べた。


Maserati S.p.A. アジアパシフィック代表 シモーヌ・ニコライ氏Maserati S.p.A. 日本統轄マネージャー ファブリツィオ・カッツォーリ氏
クアトロポルテ、グラントゥーリズモ、グランカブリオの3台でフルラインアップが完成マセラティのモデルラインアップ

 グランカブリオの詳細はMaserati S.p.A. 日本統轄マネージャーのファブリツィオ・カッツォーリ氏から紹介された。

 ベースモデルはグラントゥーリズモS オートマチックで、エクステリアデザインはピニンファリーナが手がける。ルーフはマセラティの伝統に則ってキャンパス地のソフトトップ(3層構造)が採用された。ルーフのフレームは5本のスチールアルミニウム・スポークで構成され、重量を65kgに抑えたと言う。このソフトトップは30km/h以下であれば開閉が可能で、全開/全閉の所要時間は28秒。

 オープンモデルのため、ボディーフレームの見直しを徹底的に行ったと言う。トランク部にSMC(シート成形化合物)、ボンネットとバンパー・クロスメンバーにアルミニウムを採用して重量比を最適化するテクノロジー「ベアリング・モノコック」を用い、これにより重量配分はルーフオープン時で48:52、クローズ時で49:51とし、理想的な重量配分を実現したと言う。

 搭載するV型8気筒 4691ccエンジン、それに組み合わせる電子制御6速ATなどもグラントゥーリズモS オートマチックと同様で、最高出力は323kW(440PS)/7000rpm、最大トルクは490Nm(50kgm)/4750rpm。100km/hまでに必要な時間は5.4秒で、最高速度は283km/h(ルーフ全閉時)に達すると言う。

 ボディーサイズは4881×1915×1380mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2942mm。車両重量は1980kg。ボディーカラーは標準の9色に加えて5色のオプションカラーを設定する。また、ソフトトップに6色、ルーフライニングに3色用意するなど、さまざまなパーツにオプションカラーを設定し、それらのコンビネーション数は2000以上になると言う。

ボディーフレームの見直しから行われたグランカブリオ。設計計算やテストには数千時間を費やしたと言う
マフラーは左右出しのデュアルタイプヘッドランプはディスチャージ式。フォグランプも装備するシルバー色のドアグリップが高級感を演出する
V型8気筒 4691ccエンジンタイヤサイズはフロントが245/35 ZR20、リアが285/35 ZR20。ホイールサイズはフロントが8.5J×20、リアが10.5J×20。ブレーキキャリパーはブレンボと共同開発されたもので、カラーの選択も可能
LEDのブレーキランプは視認性が高いトランクリッド中央に配置される「maserati」エンブレム5本のスチールアルミニウム・スポークで構成されるルーフ
ルーフを開けている様子。30km/h以下であれば開閉操作を行える

 また、アルミニウムのエンジンフロアを新たに開発し、空力性能を向上。Cd値をルーフオープン時で0.39、クローズ時で0.35とし、オープン時とクローズ時の係数がほぼ変わらないことを強調する。

 安全面では、パニックブレーキ時に制動力を増強して停止距離を最短にする電子制御システム「ハイドロリック・ブレーキ・アシスト」(HBA)を初採用したほか、ボディーサイドやリア部が地面と接地すると、リアシート後部に設けられる「テレスコピック・ロールバー」が0.19秒で飛び出し、同乗者の負担を軽減する仕組みなどを有する。

 後席はドライブの“脇役”ではなく“共演者”と呼ばれ、「どの席でも五感が刺激されるモデルに仕上がった」と述べた。同社の調べでは、グランカブリオの後席に座った62.5%の人が快適と評価しているのだと言う。

 また、空調管理では外気温や太陽光線、温度に応じて車内温度や送風レベルを自動的に調整する「オートマチック・デュアルゾーン・クライメットコントロール」を採用し、常に快適な状態を保つ。

ハンドルにはシフトパドルを備える。左でシフトダウン、右でシフトアップインストゥルメントパネルは上下で異なるカラーリング
マセラティの特徴となる楕円形のアナログ時計スピードメーターは320km/hまで刻まれる。レブリミットは8000rpm運転席の左側に備える各種スイッチ。ライトの点灯/消灯のほか、給油口、トランクの開閉やパネルの照度調整を行える
インストゥルメントパネルの助手席側には「Gran Cabrio」のエンブレムブレーキペダルにはマセラティの象徴であるトライデントのロゴが刻まれるトランスミッションは6速AT
キッキングプレートには「maserati」のロゴドア部にもウッドパネルがデザインされ高級感のある作り。ドア自体の厚みもある
シートは前後とも独立タイプを採用。ヘッドレストにもトライデントのロゴが入る。シートベルトのカラーも選択可能
後席のセンターコンソールにはドリンクホルダーが2個備わるリアシート後部に設けられるテレスコピック・ロールバートランクルーム
グランカブリオのスペック。ルーフ全閉時の最高速度は283km/h、全開時は274km/hグランカブリオの技術面のハイライトエンジンスペック
グランカブリオの後席に座った62.5%の人が快適と評価ルーフ全閉時のCd値は0.35。全開時は0.39安全技術の説明
ボディーカラーは全14色を用意し、そのほかオプション設定されるカラーリングの組み合わせは2000以上

(編集部:小林 隆)
2010年 3月 30日