都心の認定中古車センター「BMWプレミアム・セレクション・プラザ・六本木ヒルズ」に行ってみた
六本木ヒルズ地下に100台の在庫車、すべて試乗可能

東京 六本木ヒルズ
2010年4月1日開設



 ビー・エム・ダブリュー(BMW)は4月1日、BMWとMINIの認定中古車の試乗施設「BMWプレミアム・セレクション・プラザ・六本木ヒルズ」「MINIネクスト・プラザ・六本木ヒルズ」をオープンした。

都心の大中古車センター
 BMWのニュースリリースによるとこれら(ここでは「プラザ」と呼ぶ)は、六本木ヒルズの森タワー地下駐車場にあり、BMWとMINI合わせて最大約100台の認定中古車を在庫するのだと言う。ちなみにBMWもMINIも同じ場所に同居している。

 大量の在庫を持ついわゆる「中古車センター」は、たいてい地価の安い郊外に置かれるものだが、プラザは都心にあるというのが面白い。しかも、東京のど真ん中、六本木である。こんな「高そう」なところに100台ものクルマを置こう、という発想に驚いた記者は、さっそく六本木ヒルズを訪れてみた。六本木ヒルズの地下に100台のBMW・MINIが並ぶ絵だけでも、さぞかし迫力があるだろう。

 しかし、六本木ヒルズの地下に100台もクルマを並べられる場所があっただろうか……そう、記者は郊外によくある中古車センターのように、たくさんのクルマが平置きされているのを想像していた。郊外のセンターとの違いは、クルマが置かれているのが地上(たいていは露天)か、地下かくらいだと思っていたのだ。

 プラザの住所は、六本木ヒルズ森タワー地下1階。毛利庭園から森タワーの下に入って、P4/P1という駐車場に向かって行くと、プラザへの順路を示す看板が現れる。看板に導かれてドアを抜けると、広大なスペースに100台のBMWとMINIが並ぶ壮観な光景が……なかった。そこは、機械式駐車場の待合室だった。

六本木ヒルズ毛利庭園から森タワーの地下に入り、P4/P1に向かっていくと、プラザの看板が案内してくれる
プラザ入口にはBMWのパイロンが立っているそこは機械式駐車場の待合室だった
プラザの受付。この端末で望みの中古車を検索する

端末でクルマを検索
 利用された方ならお分かりだと思うが、六本木ヒルズの機械式駐車場は、バース(停車場)にクルマを入れて乗員が降りると、パレットが地下の車庫にクルマを運び、格納する仕組みになっている。出庫するときは、パレットが車庫からバースにクルマを運んでくるのだが、これに数分かかるので、乗員はバースの外の待合室でクルマが出てくるのを待つ必要がある(動画共有サイトで「六本木ヒルズ」「機械式駐車場」のキーワードで検索すると、非常に興味深い映像を見ることができる)。

 実はこの機械式駐車場、もとは六本木ヒルズに入居する企業・団体のための駐車場。六本木ヒルズには居住者や入居企業・団体のほか、来客用など、いくつもの機械式駐車場がある。ご時世を反映して駐車場は空き気味なのだが、その1つを、BMWが中古車センターとして利用しているのだ。

 平置きの駐車場なら、クルマの間を歩きまわって、お眼鏡にかなうモデルを探すところだが、プラザでは、受付にある端末のタッチパネル・ディスプレイで希望の車種を検索することになる。プラザの係員にそのクルマの試乗をしたい旨を告げると、機械式駐車場を操作して、クルマを出してくれる。

 クルマを待つプロセスはほかの機械式駐車場と全く同じ。バースの外にあるディスプレイに出庫までの残り時間が「約3分」などと表示されるのも同じだ。待合室の窓からバースを眺めていると、サンダーバード1号の発進シーンよろしく、クルマがパレットで運ばれてくるのが見える。出てきたクルマにセールスマンと乗り込み、六本木ヒルズ周辺へ試乗に出かけるわけだ(ちなみに試乗コースは決まっているそうだ)。

端末のタッチパネルで在庫を検索できる。1~7シリーズはもちろん、XシリーズやZ4もある。一番沢山あるのはもちろん3シリーズ。バブルの頃は「六本木のカローラ」なんて言われてましたから望みのクルマを出してもらう。駐車場の操作はプラザの係員が
機械式駐車場ではおなじみのディスプレイパレットがクルマを運んできた

交通至便で在庫多数
 この施設を運営するビー・エム・ダブリュー東京は、BMW100%出資の正規ディーラー、いわば“直営ディーラー”だ。プラザは、天王洲にあった同社の認定中古車ディーラーが、移転してきたもの。天王洲での在庫数は25台が限界。六本木に移ることで、交通の便と、在庫数が大幅に改善されたわけだ。

 記者が訪れたのは開設初日の夕方だったが、その日の昼休みには早くも、六本木ヒルズの企業で働いている人が中古車を見に訪れたと言う。さらにビー・エム・ダブリュー東京はここだけでなく、勝どきと杉並にも中古車ディーラーを持っているが、事前に要望しておけば、それらの在庫をプラザに運んできてもらい、試乗することもできる。

 クルマが運ばれてくるバースの中は、とても明るく照明されている。世間では「雨の日や夜に中古車を買うな」とよく言う。雨に濡れていたり、暗がりにあるクルマは、実際以上によく見えてしまい、とんでもないものを掴まされがちだからだ。屋内であるプラザなら、そんな心配もなさそうだ。

バースに運ばれてきたクルマ。走行距離2万4300km、検2年付、2年間走行距離無制限保証で550万2000円の335iカブリオレちなみにこの日のカブリオレの在庫を検索してみたところ。カブリオレのように希少なモデルでも、5台もある
ここから試乗へ戻ってきたらBMW専用バースに
MINIもちゃんと在庫されている。走行たったの1400kmのジョン・クーパー・ワークス クラブマン

事前にインターネットで目星を
 BMWとMINIのWebサイトの「認定中古車」には、全国の在庫を検索するコーナーがある。ここでディーラーを「BMW Tokyo」と指定して検索すると、ビー・エム・ダブリュー東京の持つ認定中古車の在庫が出てくる。お目当てのクルマの詳細情報を表示し、「お問い合わせ」ボタンをクリックすると、試乗を予約できるフォームが開く。あるいは、詳細情報の中の「お問い合わせ番号」を控えておき、プラザに電話してもよい。ちなみにこの検索システムは、複数の候補を「ウォッチリスト」に入れて比較することもできて、なかなか使い勝手がよい。

BMWのWebサイトの認定中古車検索走行3万km以下の320i Mスポーツパッケージ付きを検索してみた
複数のクルマを比較したければ、ウォッチリストに最大10件登録して、横並びで見ることができる試乗車が決まったら「お問い合わせ」フォームから試乗の予約ができる

 最近はこのように、インターネットなどで事前にクルマに目星をつけてから、来店する人が多いと言う。だからこそ、プラザのようにクルマが並んでいない中古車センターが成立するわけだ。もちろん、昼休みや買物の合間にふらっと行って、受付の端末でクルマを探すのもアリだ。

 ちなみにプラザで扱われているのは、認定中古車の中でもより品質のよい「BMWプレミアム・セレクション」「MINIネクスト アプルーブドカー」である。

 受付のタッチパネルディスプレイには、各モデルごとの在庫数が表示されている。合計すると80台ほど。開設したばかりなので、車庫が埋まり切っていないようだ。「本当に100台入るのか、地下の車庫を見せてほしい」とお願いしてみたのだが、メンテナンス要員以外は入ってはいけないことになっているのだそうだ。

 記者の顔がいかにも残念そうで同情したのだろうか、同行したBMWの仕事熱心な広報マンが提案してくれた。「今ある在庫を全部、バースに運び出してみましょうか」。よく考えると、これは同情でなくソフトな恫喝だったのかもしれない。プラザにあるBMWのバースは1つ。プラザのスタッフが総がかりでも、すべてを出し終わるのは翌朝になっただろうから。

(編集部:田中真一郎)
2010年 4月 2日