アウディ、「クワトロ」30歳の誕生パーティー開催
日比谷公園地下駐車場をスポーツ・クワトロが爆走!

コース脇に鈴なりの観客の中を駆け抜けるロッテラー選手のTT RS

2010年4月13日開催
日比谷公園駐車場



 アウディ ジャパンは4月13日、4WDシステム「クワトロ」の誕生30周年を祝うパーティー「アウディ・クワトロ・ナイト」を東京 日比谷公園駐車場で開催した。

「クワトロの走り」が主役のパーティー
 アウディのフルタイム4WDシステムを搭載したクーペ「アウディ・クワトロ」が1980年にデビューしてから30周年を迎えるのを記念したイベント。同社のイベントは表参道のショールーム「アウディ・フォーラム東京」で開催されるのが通例だが、今回は日比谷公園地下2階の駐車場を借り切り、会場とした。

 この会場が選ばれた理由は「車両が走行できる」から。駐車場の外周路をコースに設定し、クワトロ・システムを搭載したアウディ車が迫力の走行を間近で見せるのが、このイベントの目玉なのだ。

 コースは長辺約100m、短辺約60mの長方形で、コーナーはすべて90度。コース幅は5mほどで、来場者はコースのすぐ脇でクワトロの走りを見ることができる。柵で仕切られているとは言え、手で触れられそうな距離を車両が走る。地下駐車場なので天井が低く、音だけでなくゴムの焼けるにおいまで味わえる、まさに五感でクワトロの走りを堪能できる趣向。

 アウディ ジャパンのドミニク・ベッシュ社長によれば、日本でのクワトロのシェアは年を追って拡大しており、2009年には半数以上がクワトロになったと言う。同社の技術的なアイコンであるだけでなく、販売面でも重要な役割を持つクワトロだけに、30周年を契機に改めてクワトロの性能をアピールしようというのがクワトロ・ナイトの目論見だ。

赤くライトアップされた地下駐車場入口から会場へ地下2階が会場になった。外周コースが走行エリアで、内側がアトラクションエリアこんな標識が会場中に貼り付けられていた

伝説のドライバーが伝説のクワトロをドライブ
 走行するのは、最新のクワトロスポーツモデル「TT RS」「R8」「A5」の3台。これだけでも豪華な布陣だが、加えて、12月までアウディ・フォーラム東京に展示されている歴史的車両、「スポーツ・クワトロS1」(1985年)も、走行した。

 スポーツ・クワトロS1は、アウディ・クワトロに600PSの2.1リッター5気筒ターボエンジンを載せ、WRC(世界ラリー選手権)参戦車両に仕立てられたモデル。スポーツ・クワトロの登場以降、WRCではフルタイム4WDが当たり前になったほど、クワトロ・システムの威力を世界に知らしめた、「クワトロ」の象徴的な車両だ。

 このイベントで走行したS1は、1986年のモンテカルロラリーにワルター・レアルのドライブで参戦した車両そのもの。通常はアウディの博物館に収蔵され、12月までアウディ・フォーラム東京に展示されているこのS1を走らせるために、独アウディAGからエンジニアとドライバーが派遣されてきた。

 S1を走らせたドライバーもまた、クワトロを象徴する人物だ。ハラルド・デムート氏は1950年生まれのドイツ人で、アウディ・クワトロでドイツ選手権ラリーで優勝したほか、アウディ専属のテストドライバーでもあった。彼とクワトロの関わりで最も有名なのが、雪の積もったスキージャンプ台をアウディ100が駆け上がってクワトロ・システムのトラクション性能をアピールする、1986年のアウディのCM。そのアウディ100をドライブしていたのがデムート氏というわけだ。

デムート氏がドライブするスポーツ・クワトロS1。これは報道関係者向けのデモ走行で観客がいないでも走行を終えたデムート氏(右)とロッテラー選手
こちらは一般客を前にしたスポーツ・クワトロS1の走行デモ

 「CMの依頼を受けたとき、面白そうだし、いろいろ試してみてできそうだと思った。しかし、ジャンプ台に登って下を見たとき“バカなことを引き受けてしまった”と後悔した」。そんな意外な裏話を聞かせてくれたデムート氏だが、ひとたびS1のステアリングを握れば、幅員わずか4mほどのコースを爆走。コーナーではテールスライドも見せる本気の走りを目の前で披露した。

CMの1カット。ジャンプ台を駆け登るアウディ100デムート氏。背景のスクリーンにはCMのメイキング映像が放映されていたTT RSをドライブしたロッテラー選手

アウディ・ワークス・ドライバーのタクシー
 もう1人、アウディゆかりのドライバーとして、東京在住のドイツ人ドライバーであるアンドレ・ロッテラー選手も来場。国内ではSUPER GTやフォーミュラ・ニッポンでおなじみだが、2009年のル・マン24時間レースにチーム・コレスのアウディR10 TDIで出場。2010年はアウディ・ワークスにリクルートされ、R15 TDIで同レースに出場することになっている。昨年は惜しくもプジョーに敗れたアウディだが、ロッテラー選手はアップデートされたR15 TDIに大きな手応えを感じているようだ。

 ロッテラー選手は青いTT RSでの走りを披露。こちらも激しい加速とテールスライドを披露。デモ走行だけでなく、抽選で当たった幸運な来場者を助手席に乗せた“クワトロ・タクシー”でも、同じ勢いで多数の周回をこなした。

ロッテラー選手によるTT RSの走行デモ。コーナーにはリアをスライドさせて突入
A5も走行デモに参加
こちらはR8

アトラクションも大盛り上がり
 13日夕方、長い入場待ちの列を作っていたおよそ2000人の招待客が入場。周回コースに沿って展示されたクワトロ搭載車を観たり、レーシング・シミュレーター、アウディ・オリジナル・プリクラ、カジノなどのアトラクションを楽しんだりした。また、2セッションのデモ走行の間には、クレイジーケンバンドがミニ・ライブを開催。クルマ好きとして知られ、クルマを織り込んだ楽曲も多いバンマスの横山剣さんは「晴海のモーターショーで観て以来、アウディは憧れのクルマ」とリップサービス。アンコールの名曲「GT」では、歌詞の“GT”を「TT」と歌って会場を盛り上げた。

スポーツ・クワトロS1をはじめとするクワトロ搭載車が、それぞれの車のキャラクターに合わせたシチュエーションで展示されていた
盛大なパーティーにふさわしく多くのスペシャルゲストが来場。スズカグレーのTT RSで登場した田原俊彦さんは、歌手生活30周年でイニシャルが「TT」、というのがその心。ベッシュ社長と、バースデーケーキに立てられた30本のロウソクを吹き消した
A5カブリオレで華やかに登場したのはバンクーバー・オリンピックでの活躍も記憶に新しい「チーム青森」改め「クリスタル・ジャパン」の5人
元サッカー全日本代表の本田泰人氏はS4アバントで来場
真っ赤なR8 V10から降り立ったのは、元キックボクサーの魔裟斗氏
クワトロの歴史などの説明パネル。クワトロを表すグラフィックは「ゲッコー(ヤモリ)」。ゲッコーのように4つ足で地面に吸い付くクワトロのグリップ力を表す来場者に供されたスパークリングウォーター。グラスの中にはゲッコーを象ったゼリーが
やはり会場で振舞われたアウディオリジナルのカクテルは「ゲッコーマティーニ」。しまった、レシピを聞き忘れたアトラクションの1つ、カジノ
こちらはレーシングシミュレーター。さまざまなサーキットをさまざまなクルマで走行できる。このほか、アウディ・オリジナル・プリクラもあったアトラクションで遊ぶには、入場時に配られたアウディオリジナル紙幣が必要。紙幣の肖像はアウディ創設者のアウグスト・ホルヒ博士クレイジーケンバンドのライブで会場の熱気は最高潮に

(編集部:田中真一郎)
2010年 4月 14日