国土交通省、2009年の自動車不具合による事故・火災情報をとりまとめ
自工会へブレーキ・オーバーライド・システムの導入検討を要望

2010年4月23日発表



 国土交通省は4月23日、2009年に自動車メーカーから報告のあった自動車不具合による事故・火災情報のとりまとめを発表した。

 発表によると、事故・火災情報の総件数は1138件。内訳は、事故154件(13.5%)、火災984件(86.5%)となっている。また、装置別の事故・火災情報の上位は、不明342件(30.1%)、原動機191件(16.8%)、制動装置72件(6.3%)の順となっており、原因別では、点検・整備起因321件(28.2%)、原因特定できず273件(24.0%)、現車確認できず157件(13.8%)が上位。なお、製造設計に起因した事故・火災情報は、すべてリコールの届出がされているとのこと。

フロアマットの使用方法に関する調査結果概要
 事故・火災情報の中で、フロアマットにアクセルペダルが引っかかるなど、フロアマットの不適切な使用方法による事故が13件あり、その内訳は、社外品フロアマットの2重敷き11件、未固定2件。

 そのため、市販されているフロアマットの調査、フロアマットとアクセルペダルの引っかかりに関する再現試験(ブレーキ・オーバーライド・システムの効果を含む)、フロアマットの運転時等の視認性などの調査を行い、ユーザーへの注意事項をとりまとめている。ユーザーへの注意事項は下記のとおり。

・フロアマットをしっかりと固定して使用すること。
・フロアマットの重ね敷きは行わないこと。
・運転前にフロアマットが正しく固定されているか確認すること。
・フロアマットとアクセルペダルが干渉して加速した場合にブレーキ操作を繰り返し行うと、ブレーキ倍力装置の機能が大幅に低下するため、ブレーキ操作に大きな踏力(強く踏む力)が必要となり注意すること。

エンジンルーム内の可燃物置き忘れなどに関する調査結果概要
 事故・火災情報の中で、エンジンルーム内の可燃物置き忘れなどが原因となった火災が72件あり、火災の分析、可燃物の発火温度、実車によるエンジンルーム内の部位別温度測定及び発火試験などについて調査も行っている。それによると、車種別では、乗用車32件、軽乗用車19件で、原因別では、可燃物(ウエス等)の置き忘れ56件、枯れ草7件、小動物が持ち込んだ可燃物4件、鳥類が持ち込んだ可燃物4件であり、可燃物(ウエス等)の置き忘れが全体の約8割となっている。ユーザーへの注意事項は下記のとおり。

・運行前に、エンジンルーム内に可燃物の置き忘れがないことを確認すること。
・車両を長期間使用しなかった場合は、小動物や鳥類に持ち込まれた小枝等がないことを確認すること。
・走行中、焦げた臭いを感じたときは、走行を継続しないこと。

 国交省はこれらの調査結果を踏まえて、自工会(日本自動車工業会)や自動車用品小売業協会へ、フロアマットの使用方法及びエンジンルーム内の可燃物置き忘れなどに関し、ユーザーに注意喚起するよう協力依頼を行ったほか、自工会にブレーキ・オーバーライド・システムの導入を検討するよう要望した。

(編集部:谷川 潔)
2010年 4月 23日