F1チケット発売直前企画「鈴鹿F1チケット完全ガイド」【東コース編】
各シートからの風景をパノラマ写真で紹介


 10月8日~10日に開催される「2010 FIA F1世界選手権シリーズ 日本グランプリレース」のチケット販売が5月16日から始まる。今年は東コースのチケットは5月16日から、西コースのチケットは5月23日から販売開始となる。昨年は東コースではQ1席、西コースではG席、J席、L席、M席、N席が完売となったので、人気の高い席を希望する方は販売開始日を忘れないようにカレンダーに印しておこう。販売開始に先立ち、各指定席の詳細をパノラマ写真をふんだんに使い、東コース編と西コース編に分けて紹介していく。

 筆者は鈴鹿サーキットで開催されたF1グランプリを21回、皆勤賞で観戦してきた。国内レースや8耐なども含めると、ほぼ全エリアでレースを見てきた。その経験をふまえ各指定席について解説していく。レースの観戦スタイルは人それぞれ。値段は高くてもグランドスタンドでゆったり見たい人もいれば、コストを抑えて見たい人もいるだろう。1コーナー、シケインなどのパッシングポイントにこだわる人もいれば、望遠レンズを持って写真を撮りたい人もいるはずだ。筆者自身はコストを抑えて、写真が撮りたい人なのだが、なるべく平均的な見方で解説したいと思っている。

 まず、昨年の日本グランプリのチケットの価格と販売状況、実際に決勝が行われたときの混雑状況を見ておこう。チケットの販売状況は昨年鈴鹿サーキットのWebページに公開されていた最終データを参考にした。混雑度は東コースに関しては筆者自身が見た印象、西コースはテレビ中継の映像でチェックしたものだ。チケット状況は○が残数ありで、×が完売、混雑度は★が多いほど混雑しており、★5つが最高となる。

スタンド名価格チケット状況混雑度
V16万2000円★★
V27万2000円★★★★
A14万1000円★★★★
A24万7000円★★★★★
B14万3000円★★★★★
B25万7000円★★★★★
C13万2000円★★★
C23万7000円★★★★
D3万7000円
E3万5000円★★★
G1万1000円×★★★★
H1万1000円×★★★★★
I3万5000円★★★★★
J1万1000円×★★★★★
L1万8000円×★★★★★
M1万8000円×★★★★★
N1万8000円×★★★★★
O3万0000円★★
P3万2000円★★★★★
Q12万9000円×★★★★★
Q25万8000円★★★
R4万4000円★★
S3万7000円★★★★

 傾向を見ると、3万円未満のチケットはすべて完売、価格が高くても人気があったのはA席、B席、I席、P席、S席だ。自由席だったところを指定席にしたD席、E席、O席は価格の設定が高かったのか空席が目立っていた。ほかに空席が多かったのはV1席、Q2席、R席などである。

 今年のF1グランプリのチケットで、昨年と大きく異なるポイントは、
・金曜日はV1、V2席以外は自由席
・金曜日チケット、カメラマンシート、アウトレットシート、レディースシート、ゆったりシートの新設
・エリア区分の細分化
・子供席の値下げ
・一部指定席の値下げ
などとなっている。昨年のレース後に行われたアンケートの結果を反映したもので、個人的にはなかなか気の利いた企画が多いと思っている。

金曜日の自由席化
 金曜のV1、V2席以外の自由席化は、全席指定の弊害を大幅に解消できたと思う。F1のタイムテーブルは金曜日に1時間30分のフリー走行が2回、土曜が1時間フリー走行と約1時間の予選、日曜が約1時間30分の決勝となっている。5つのセッションをずっと同じ席で見るのは今ひとつ楽しさが感じられない。全部で約6時間30分の走行のうち、金曜日は3時間も走行するマシンを見ることができる。もっとも走行時間の長い金曜日がV1、V2席を除いて自由席になることで、例えば金曜は西コースまで遠征してスプーン、ヘアピンで観戦、土日は東コースでじっくりレース観戦といったスタイルも可能となる。

金曜日チケット
 金曜日観戦券が復活したのは、土日に仕事をしている方や、一度F1が走るところを見てみたいといった方には朗報だ。筆者も以前、金曜日だけ知人を連れていったことがある。テレビでは感じることのできないF1サウンドを、一生に一度でも体験するなら数千円のチケットは高くないだろう。金曜日観戦券の価格は以下のとおりだ。

大人高校・大学生中学生子ども(小学生)3歳~未就学児
4000円3000円1600円800円600円

カメラマンシート
 企画シートの中で目玉の一つはカメラマンシートだ。D席の逆バンク側のシートに加え、5つの指定席エリアに入る権利が付いてくる。5つのエリアはC2席、E席、I席、L~M席、M~N席となっている。価格は5万5000円とやや高めだが、土日のセッションも6つのエリアで撮影できる。また、今回は土日の指定席エリアではレンズ長20cmを超える望遠レンズは使用不可となったが、カメラマンシートでは長い望遠レンズを自由に使うことができる。
 このカメラマンシートには、F1フォトグラファー原富冶雄氏をアドバイザーのワンポイント講座の実施、EF600mm F4L IS USMなどの超望遠レンズの貸出など特典も多数付いてくる。まだ公表されていない撮影ポイントもあるらしく、サプライズも期待できそうだ。3日間がっつり撮影したい方にはお勧めのシートになりそうだ。カメラ好きの筆者としては注目度ナンバーワンのシートだと思っている。

・カメラマンシート
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/camera/index.html

アウトレットシート
 アウトレットシートもカメラマンシートと同様、今回の目玉だと思っている。サーキット関係者に聞いたところ、これまで金網や階段部分の手すり、オフィシャルのポストなど、視界不良な席は販売していなかったらしい。かなり良心的な販売方法だったようだ。今年はその一部をアウトレットシートとして、約半額で販売することになった。例えばA1席の場合は通常4万1000円が2万円、B2席は5万7000円が2万8000円などとなっている。具体的なシート位置までは公開されていないが、鈴鹿サーキットのWebページにアウトレットシートからコースを見た写真が掲載されている。

 筆者の過去の経験からすると、低いスタンドの最前列はそれなりに金網が気になる可能性があるが、高さのあるスタンドはそれほど気にならないと思われる。B2席、Q2席のアウトレットは穴場かもしれない。

・アウトレットシート
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/outlet/index.html

レディースシート/ゆったりシート
 V1席の中にレディースシートが新設された。個人的には都会の通勤電車と違って、女性だけのシートが必要なのかと思ってしまうが、価格設定は一工夫されている。V1席は6万2000円だが同じエリアのレディースシートは1名で5万円、2名で9万円と人数が増えると単価が安くなる設定で、6名を越えると3万円とかなりリーズナブルな設定だ。また、E席の逆バンク側に1.5席分の横幅がある、ゆったりシートが設定された。体格のよい方には選択肢になるかもしれない。

・レディースシート
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/lady/index.html

・ゆったりシート
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/wide/index.html

エリア区分の細分化
 いくつかの指定席は、その指定エリアの中が細分化されることになった。例えばV2席は上下に4分割、左右に3分割され、合計12のエリアから選択できる様になった。上段の1コーナー側がよい人はV2席/10エリア、下段の最終コーナー側の場合はV2/3エリアといったように、好みのエリアを指定して購入可能だ。V1席も左右に3分割されている。ほかにはD席、G席が細分化されている。これにともないV2席の場合、昨年は一律7万2000円だったが今年は上下のエリアで6万4000円から7万6000円まで4段階に価格設定されている。D席、G席も同様だ。

一部指定席の値下げ
 昨年はサーキットの大改修により、元々自由席だった場所が指定席になったエリアが多い。席によってはやや高めの価格設定になっていて、ふたを開けてみると空席が目立つ指定席エリアが何カ所か存在してしまった。それらのエリアが今年は値下げされている。3万円だったO席は1万1000円と、適正価格になった印象だ。

子供席の値下げ
 子供席の価格は昨年の半額となった。昨年6000円だったG席、J席は3000円、9000円だったL、M、N席は4500円となっている。O席にいたっては大人の指定席料金が大幅に下がったお陰で1万5000円が3000円だ。新たにD2席とE1席にも子供席が新設され、それぞれ4500円、3000円となった。それ以外の指定席に関しては、子供席の設定がなく、年齢に関係なく同一料金となっている。

 この様に、昨年の販売状況やアンケート結果を反映して、よりよい方向へ向かっていることがハッキリと感じられる。観戦スタイルに応じて、幅広い選択肢が用意されたので、自分にピッタリ来る企画シートがある方も多いだろう。通常の指定席だけでなく、これらのチケットにも注目だ。

 さて、各指定席の紹介の前に全般的なところに触れておこう。指定席には常設スタンドと仮設スタンドがある。常設スタンドも昨年の大改修で新しくなったスタンドと、以前からある古めのスタンドに分かれる。新しくなったスタンドのうち、V1/V2席とQ2席は椅子型のシートで快適度はかなり高い。D席、E席、G1/G3席はベンチシートだが、以前からあるスタンドのベンチシートと比べるとやや快適度が高い。A1席、B1/B2席、C1/C2席、I席など以前からあるスタンドはすべてベンチシートで、やや古さを感じさせるシートだ。

座席配置図V2席のシートV1席のシート
Q2席のシートD席、E席、G1/G2席のシート古くからスタンドのシートはこんな感じ

 それ以外はすべて仮設スタンドとなる。C2席やI席、R席などは常設スタンドの後方や左右に仮設スタンドを増設している。エリア内の席位置の指定はできないので、これらの席では常設スタンドになるか仮設スタンドになるかはチケットを入手してみないと分からない。仮設スタンドは個人的には快適度は低いと思っている。印象としては前後にピッチが短めで、列の真ん中の席に入ろうとすると、「スイマセン、スイマセン」と言いながら、ほかのお客さんに避けてもらわないと入りづらい感じた。仮設スタンドに関しては、チケットの販売状況によって段数や左右幅が変更になる可能性はあると思われるが詳細は不明だ。

 今回はなるべく多くの位置からパノラマ撮影を行ったが、実際に座る席は前後左右にズレるので、いざサーキットに行ってみると印象が違うことがある。このあたりはご了承いただきたい。また、仮設スタンドは現在設置されていないので、本来の位置から撮影することは不可能だ。なるべく近い位置で撮影しているが、実際の仮設スタンドから見るのとは差がある。仮設スタンドによっては10mを越える高さのスタンドもあり、最上段から見る景色は相当違うことが予想される。各スタンドからの写真はそのあたりを考慮して見ていただきたい。

 では、東コースから紹介していこう。東コースはシケイン、最終コーナーからグランドスタンド、1~2コーナーを回ってS字、逆バンク、ダンロップまでとなる。メインスタンドのV1/V2席からコースに沿って詳細を解説していきたい。

指定席ロケーション詳細エリアサーキットビジョン大人高校生・大学生子ども(3歳~中学生)
V1グランドスタンド下段1~36万2000円5万円9000円
レディースシート2【1名で】5万円
【2名で】9万円
【3名で】12万円
【4名で】14万円
【5名で】16万5000円
【6名で】18万円
【7名以上追加1名ごとに】プラス3万円  
V2上段1~36万4000円
4~66万8000円
7~97万2000円
10~127万6000円
アウトレットシート3万6000円
A1メインストレートエンド4万1000円
アウトレットシート2万円
A24万7000円
B11コーナー~2コーナー1階4万3000円
B22階5万7000円
アウトレットシート2万8000円
C12コーナー先下段3万2000円
アウトレットシート1万6000円
C2上段3万7000円
DS字コーナー~逆バンクカメラマンシート15万5000円(D-1席+撮影エリア5ヶ所)  
21万8000円1万4000円4500円
4・53万7000円
アウトレットシート1万1000円
Eダンロップ11万4000円1万1000円3000円
ゆったりシート23万5000円【全席が1.5席分のゆったりシート!】  
Q1シケイン下段2万9000円
アウトレットシート1万4000円
Q2上段4万8000円
アウトレットシート2万4000円
R最終コーナー・シケイン側常設席4万4000円
アウトレットシート2万2000円
S最終コーナー・ストレート側3万7000円

V1/V2席
 ここは大改修によって立派なスタンドになった席だ。スタートシーン、ゴールシーン、ピット作業などが目の前で見られる。椅子型のシートで快適度は高い。またピットビルの上に設置された大型モニターは仮設(移動式)のモニターよりはるかに高解像度でよく見える。スタート前のイベントも見ることができるので、レースを楽しむには最高の席となる。

ピット側から見たV1/V2席

 昨年まではV1とV2の2つに分かれていたが、今年から左右にエリアが分割され、V1は3エリア、V2は上下も4分割され12エリアから選択できる様になった。左右を選ぶ基準はなにか。やはりピット作業だろう。F1のピット順は前年のコンストラクターズポイントで決まる。1位のチームに選択権があり、入り口(最終コーナー)側か出口(1コーナー)側を選ぶことができる。

 昨年はブラウンレーシングが1位なので、今年はメルセデスグランプリのロス・ブラウンが選択権を持っている。メルセデスが入り口側を選択すると、ポイント順にレッドブル、マクラーレン、フェラーリと並び、出口側に新規参入にチームといった順になる。

 ピットの広さ、コースレイアウトなどによって決まるのだと思うが、傾向としては入り口側を選ぶケースが多い。先日行われたスペイングランプリもその前の中国グランプリもメルセデスは入り口側を選択している。入り口側のメリットはピットインするとき真っ直ぐ進入できることにある。出口側は真っ直ぐスタートできるメリットがあるが、ミスの起こりやすいピットイン、停止が楽になる入り口側がオーソドックスな選択なのだろう。

 だが、昨年の日本グランプリでは、2008年1位のフェラーリは出口側を選択している。2006年以前もビデオで確認できた数年は、すべて出口側が選択されている。おそらく今年もトップチームは1コーナー側に並ぶと思われるが、参戦チームが増えピットボックスの数が増えたことにより逆になる可能性もある。いずれにせよ現段階ではどちらになるか分からない。

V2席8エリア付近。この辺りは雨の心配はなさそうだ。席の後ろにあるガラス部屋は放送ブース

 V1席の1エリア(1コーナー側)と2エリアの間にレディースシートが用意される。V1席は低い位置なので、金網の影響もあり、左右の見通しは少しわるくなる。最終コーナー側の3エリアでは1コーナーのバトルを見るのは難しいだろう。

 V2席はV1席の上段に位置し、左右3分割、上下4分割されている。左右の価格差はなく、上段の席に行くほど高くなる。V2席には屋根があり、雨のときは快適度が格段に違いそうだ。ただし、1コーナー側はVIPルームが上部にあり屋根が短め。当然風向きの影響は受けるので、下段のエリア1~3はあまり期待しない方がよさそうだ。上段のエリア8~9、11~12は雨でもゆったり観戦できるだろう。最上段は76,000円となるが、リッチな気分でゆったり快適に観戦したい方には魅力的なシートだ。

V1席1エリア。V1席の1コーナー側。おそらく上位チームのピットは目の前となる
V1席2エリア。V1席の真ん中。この少し左側がレディースシート
V1席3エリア。V1席の最終コーナー側。1コーナーは金網で見えない可能性大
V2席2エリア。V2席の最下段の真ん中
V2席6エリア。V2席の下段の最終コーナー側
V2席8エリア。V2席の上段の真ん中
V2席10エリア。V2席最上段の1コーナー側

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/v.pdf

A1/A2席
 A1席はピットエンドから1コーナー側の常設スタンド。昔からあるスタンドなのでベンチシートとなる。A2は仮設スタンドでA1後方から1コーナー付近まで左右に長く、1コーナー側ではビルの様な高さのスタンドとなる。A2のパノラマ写真は、仮設スタンドがないので、A1席後方の土手から撮っている。実際にはもっとコースに近く、高い位置から観戦することが可能だ。

 この席の見所は何と言っても1コーナーのバトルだ。そこから2コーナー、S字と東コース前半の攻防を見ることができる。サーキットビジョンは仮設のものが2台用意される予定だ。ここは決勝中は逆光になるので、サーキットビジョンに太陽光が当たらす見やすいと思われる。

2009年の決勝直前のA1/A2席。A2席のアップ

 筆者は昨年の日本グランプリでQ1のセッションだけA2席で見る機会があった。人気が高く混雑していたのと、仮設スタンドのシートはやや狭い感じがして快適度は低めの印象だった。筆者の場合メタボ体型で暑さが苦手な80kg、加えてカメラバッグを持っていたのが影響している。体格のよい方や荷物の多い方は、狭さが多少気になるかもしれない。

A1席
A2席付近。実際の仮設スタンドはこれより高い位置となる

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/a.pdf

B1/B2席
 2コーナーの大きな2階建て、野球場のスタンド様な形をしているのがB1/B2席だ。B1は2コーナー側の1階席、B2はB1の上の2階席と1コーナー側の中2階に分かれている。席によって見え方に差はあるが、ストレートエンドから1~2コーナーのバトル、その後S字に向かっていくマシンを見ることができる。特にB2の1コーナー側の中2階は、個人的には鈴鹿の最高の観戦席だと思っている。

 スタンド自体は古くからあるので座席はベンチシートとなる。立派な作りの建造物で、スタンド内に売店やトイレが設置されている。この辺りも野球場に似ている感じだ。B1の後方は上部の2階席の下になるので、雨をしのぐことができる。サーキットビジョンは仮設のものが2コーナーのイン側に設置される。B1席とB2席中2階の前方の席は金網越しの観戦となる。

 B2席にはアウトレットシートが用意されている。V2席、A1席などのメインストレートの席と異なり、コース全体が比較的正面に位置するので、金網はそれほど気にならないと思う。手すりなども、多少顔を動かせば観戦に支障はなさそうなので、2万8000円ならお得感があるアウトレットシートだ。

B1席1コーナー側
B1席のC席側。左側の柵の向こうはC1席
B2席1コーナー側の中二階
B2席2階席

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/b.pdf

C1/C2席
 2コーナーからS字入り口まで、左右に長いスタンドがC1/C2席だ。C1席は常設スタンドの下段、C2席は上段とその後ろの仮設スタンドとなる。仮設スタンドは独立した入り口があるが、常設スタンドのC1/C2は自由に行き来できる。ちなみにV1/V2、Q1/Q2などは入り口や、建物が構造的に異なっているので全く別の席となるが、このC1/C2席は間仕切りは用意されない。

 常設スタンドは古くからあるもので、座席はベンチシートとなる。サーキットビジョンは仮設のものが2コーナー側とS字側に2台用意される。筆者は以前C1の2コーナー側の席で観戦したことがある。そのとき気になったのはサーキットビジョンが見にくかったことだ。理由はこの席は順光になるのでビジョンの画面に日が当たること、さらに順光が金網自体に反射する影響で映像がよく見えなかった印象が残っている。指定席内の場所は選べないが、2コーナー側の席はワンセグなどで自衛したほうがよいかもしれない。C1のS字側、C2は特に問題はないだろう。

C1席のB席側。金網が少々じゃまとなる
C1席の真ん中付近
C1席のS字側
C2席のB席側
C2席の真ん中付近
C2席のS字側
昨年は土手のところは封鎖されていた

 C席の常設スタンドのS字側に土手がある。昨年までは席と土手の間に鉄柵があったが、現在は撤収されシームレスにつながっている。この土手の部分は昨年は封鎖されていが、今年はカメラマンシート購入者の撮影ポイントとして利用される。普段の国内レースでもカメラマンには人気の高いポイントなのでカメラマンシートを検討される方はチェックしておこう。


カメラマンシート購入者はC席横の土手で撮影することができる

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/c.pdf

D席
 昨年もっとも空席が多かったのがD席だ。ここはS字よりの小さめの常設スタンドと、S字二つ目から逆バンクまでの細長い常設スタンドに分かれている。この常設スタンドは、昨年の大改修でできたスタンドで、ベンチシートだがやや快適度は高い。シートも新しいが、前後の距離もやや広めで移動しやすく感じる。

 今年はS字よりの小さめの常設スタンドがD席5エリア、細長いスタンドのS字よりから順番に4エリア、2エリア、1エリアと分割されている。3エリアは販売されない。5エリア、4エリアは昨年と同じ3万7000円だが、2エリアは1万8000円、1エリアはカメラマンシートとなっている。5エリア/4エリアは仮設のサーキットビジョンが用意される。2エリア/1エリアはビジョンなしとなっているが、チケット販売のイラストを見ると2エリアは席によってはサーキットビジョンが見えそうなレイアウトとなっている。

 昨年、筆者が購入した席は4エリアだ。1コーナーから逆バンクの進入、ダンロップからデグナーへ消えていくマシンを見ることができる。4エリアは東コースの後半を全部見ることができるので個人的にはお勧めの席だ。ただし、曲がり込むコーナーに面しているので、ワンブロック左右にズレるだけで見え方がかなり異なってくる。S字側によると逆バンクが見えなくなり、逆バンク側によるとS字が見えなくなる。

 昨年は5エリアとそれ以外の細長い席は自由に行き来することができた。ガラガラに空いていたので、5エリア上段と4エリア上段以外は、ほとんど自由席状態だった。今年はエリアを分割したのでどうなるか分からないが、5エリアは独立した形となり、4エリア~1エリアは比較的自由に動けるかもしれない。

 D席にもアウトレットシートが用意される。場所は2エリア、1エリアの前方の席となる。逆バンクに面する2エリア、1エリアは2重金網となるためだと思われる。アウトレットシートの価格は1万1000円。D2席の1万8000円からすると、少々高めに感じられる設定だ。昨年の様にガラガラだと上段に移動して見られる可能性もあるが、基本的に2万円以下の席は完売になる可能性が高い。D席のアウトレットシートに関しては少々迷うところだ。

D席5エリア
D席4エリア。S字は見えるが逆バンクは見えない
D席3エリア。販売されない3エリア付近。逆バンクは見えるがS字は見えない
D席2エリア。金網が二重になるので、前の方の席はアウトレットシートになる
D席1エリア。カメラマンシート購入者の席はこの辺り

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/d.pdf

E席
 E席も昨年は半分ほどしか観客がいなかったシートだ。逆バンクの立ち上がりからダンロップへ曲がり込む常設スタンドで、逆バンク側が席幅1.5倍のゆったりシートのE2席、ダンロップ側がE1席がとなっている。筆者は2006年、シューマッハ引退(のはずだった)イヤーはE2席付近(当時は自由席)で観戦した。上段の席からは、距離は遠いが2コーナーからダンロップまで東コースの後半を見ることができる。カメラマンシート購入者はE席でも撮影ができる。撮影場所はE2席の最上段の後方部分になるらしい。

 E2席は昨年空席が多かったので、価格は据え置きだが席幅1.5倍のゆったりシートとなっている。サーキットビジョンも用意されている。E1席は昨年はエクストラ・ビューエリアになっていた場所で、ダンロップからデグナーに向かうマシンを間近で見られる。デグナーに向けてアクセルを踏み込んで行く場所で、距離が近く音がいいのも特徴だ。シケインから最終コーナーへ駆け下るマシンもチラっと見ることができる。サーキットビジョンはないが、価格は1万4000円安く、子供席も3000円となっているので、家族で行かれる方にはよいかもしれない。


E2席。今年はゆったりシートとなる
E1席。ここは音がよい。シケインから最終コーナーへ駆け下るマシンがチラッと見える

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/e.pdf

Q1/Q2席
 Q2席は大改修で新設された巨大なスタンドだ。設置場所の高さにスタンドの高さが加わり、鈴鹿サーキットで一番高い位置から東コースを一望することができる。130Rの立ち上がりからマシンが見え、パッシングポイントであるシケインが目の前となる。ダンロップからデグナーの進入までも見ることができ、観戦ポイントとしては魅力的なスタンドだ。スタンドは3分割されていて、見え方は場所によって異なってくる。130R側のスタンドは130Rからシケイン進入のバトルを見られ、最終コーナー側のスタンドは東コース全体を見渡せる。

 昨年は大人気のスタンドになるかと思われたが、意外に空席が多かった。そのため今年は昨年の5万8000円から4万8000円に値下げされている。シートは椅子型で快適度は高く、サーキットビジョンも用意される。観戦環境はわるくないので、1万円値下げで完売になるかもしれない。

 Q2席にはアウトレットシートが用意されている。価格は半額の2万4000円。B2席と同じく高さのあるスタンドなので、それほど視界はわるくないと思われる。個人的にはB2席とQ2席のアウトレットシートは期待できると思っている。


Q2席の130R側のブロック
Q2席の真ん中のブロック
Q2席の最終コーナー側のブロック

 Q2席の最終コーナー側の下に位置するのがQ1席だ。昔からある常設スタンドで座席はベンチシート、Q2席ができてなかり小さくなった印象だ。席数も少なめ、価格は東コースで一番安かったこともあり、昨年の日本グランプリで東コース唯一の完売となったシートだ。シケインはパッシングポイントに加え、マシンの接触も多いところなので、今年も人気は高そうだ。Q1席を狙う人は早々に購入したほうがよいだろう。

 Q1席にもアウトレットシートが用意されている。価格は半額以下の1万4000円。元々2重金網がある席なので、場所によってはシケインのバトルが見えない可能性がある。人気の高い席のため、空いてる席に移動することも不可能だと思うので、多少リスクがある様に思っている。

Q1席は金網が少々じゃまだが完売になる人気席だ

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/q.pdf

R席
 R席は古くからある常設スタンドと、その後方の仮設スタンドで、昨年はA2席と同様、ビルの様な高さの仮設スタンドが用意されていた。だが、観客は半分程度で仮設スタンドの上段の方に集まっていた感じだ。価格が据え置かれているので、今年は仮設スタンドが小さくなる、あるいは廃止され常設スタンドだけになるかもしれない。

 場所は最終コーナーが目の前で、メインストレートを真っ直ぐ後ろから見通すことができる位置だ。筆者は8耐のスタートをこの位置から何度か見たが、場所的には悪くないと思う。だが、隣のQ1席が2万9000円、S席が3万7000円なので4万4000円はやや割高に感じられる。R席にもアウトレットシートが用意されているが低い位置で2重金網なので、ここもリスクがありそうな気がする。


R席は金網が気になるが、スタートを真後ろから見ることができる

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/r.pdf

S席
 R席のすぐ隣、メインストレート側に位置するのがS席だ。逆バンク方面に抜けるトンネル通路の向こう側がV席となる。ここも昔からある小さめの常設スタンドで座席はベンチシートとなる。席数が少なめということもあり、昨年はほぼ完売状態となっていた。昨年の予選でトヨタのグロックがクラッシュしたのがS席目の前のタイヤバリアだ。V席の隣の席だが、スタンド位置が低いことと、金網の影響でストレートエンドを見渡すことはできない。アウトレットシートが用意されているが、2重金網なのでここもリスクはありそうだ。スタンドのすぐ裏というか、ほぼスタンド内に飲食店がある。スタンド自体が小さいので飲食の調達には一番近い席だろう。

S席は金網があるので1コーナーを見ることはできない

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/s.pdf

 以上で東コースは終了だ。最初に書いたようにレースの観戦スタイルは人それぞれ。筆者の場合、撮影優先ならC席かD席あるいはカメラマンシート、観戦優先ならB2席かQ2席と思っている。ちなみに東コースで携帯電話のワンセグは充分受信可能だ。機種によってはサーキットビジョンより見やすい場合もあるだろう。自分の観戦スタイルにあった席を探して、秋にはF1グランプリを堪能していただきたい。西コースについては、西コースチケット販売前の掲載を予定している。

(奥川浩彦)
2010年 5月 12日