横浜ゴム、新コンセプトの低燃費タイヤ「BluEarth AE-01」
転がり抵抗を「DNA ECOS」より24%低減。性能グレードは「AA」

BluEarth AE-01の前に立つ、横浜ゴム代表取締役社長 南雲忠信氏

2010年7月1日より順次発売
オープンプライス



 横浜ゴムは、低燃費タイヤ「BluEarth AE-01(ブルーアース エーイー・ゼロワン)」を7月1日より順次発売する。サイズは145/80 R13 75S~215/60 R16 95Hの全20サイズで、価格はいずれもオープンプライス。

低燃費タイヤのラベリング制度に対応するBluEarth AE-01。転がり抵抗性能は「AA」、ウェットグリップ性能は「c」コンピューターシュミレーションによって最適解が追求されたトレッドパターン

 BluEarth AE-01は、横浜ゴムの新タイヤ作りコンセプト「BluEarth」の第1弾製品で、ラベリング制度に対応する低燃費タイヤ。ラベリング制度では、燃費性能に影響するタイヤの転がり抵抗性能を「AAA」~「C」まで5段階で、ウェットグリップ性能を「a」~「d」まで4段階で定めており、転がり抵抗性能は「AAA」、ウェットグリップ性能は「a」が最高グレードとなる。

 BluEarth AE-01は、転がり抵抗性能で「AA」、ウェットグリップ性能で「c」のグレードとなっており、同社の低燃費タイヤ「Earth-1」の下位に位置する、量販モデルと位置づけられている。

横浜ゴム代表取締役社長 南雲忠信氏

 6月8日に開催した発表会の席上、横浜ゴム代表取締役社長 南雲忠信氏は「今から12年前に国内メーカーとして初めて転がり抵抗の低減、燃費の向上に取り組み、これまで13アイテムの商品を開発してきた。2006年にはすべての製品を環境貢献商品にするため、原材料の調達、非石油系資源の積極活用など4つの環境指標を設けた」と言い、横浜ゴムの環境への取り組みを紹介。現在はすべての製品が環境貢献度の高いものになっているとし、BluEarthコンセプトは、同社のもの作りの取り組みとして、地球環境に優しいだけでなく、使う人にとっても優しい製品であると述べた。


PC・LT企画部 部長 狭間浩久氏

 製品の開発コンセプトやその詳細については、PC・LT企画部 部長 狭間浩久氏と、タイヤ第一設計部 部長の久世哲也氏が紹介した。狭間氏はユーザーがタイヤに要求する性能は、「2000年当時は運動性能や安全性能が重視されていた。その後環境問題の関心の高まりから、燃費性能に関する重要度が年々高まってきた。過去6年ではベスト3に入り、2009年の調査ではトップになっている」と紹介。

 これまで横浜ゴムでは「DNA」シリーズなど環境性能を重視しているタイヤを発売してきたが、BluEarth AE-01では運動性能や環境性能を推し進めた上で、ユーザーのストレスを低減するタイヤであるとした。この優しさとは摩耗性能に優れること(タイヤ交換の回数を減少させる)、車外への走行音を含め静かであることを指し、今後の同社のタイヤ開発の方向性を示した。


横浜ゴムは、1998年以来13の環境志向タイヤを発売してきた偏平率65%のタイヤ利用者へのアンケート。燃費性能を重視するユーザーがこの10年増えてきているBluEarthシリーズは、世界へ向けて発売していく
BluEarthシリーズは、これまでのDNAシリーズの運動性能、環境性能に加えて、人への優しさも追求BluEarth AE-01のポジショニング。Earth-1の下に位置し、量販車種向けに展開
タイヤ第一設計部 部長の久世哲也氏

 技術的には転がり抵抗低減のために、コンパウンドにAE-01専用の「ナノパワーゴム」を採用。これは、分子鎖が長いポリマーを使い、ポリマーの末端形状を工夫することで発熱を低減させることで、転がり抵抗性能を高めている。また、グリップ性能を高めるためEarth-1と同様オレンジオイルも配合。これにより、タイヤの微少な接地性能を高め、ウェットグリップ性能を確保している。

 久世氏は、「トレッドパターンもコンピューターシミュレーションを繰り返すことで、静粛性を向上しつつウェット性能と偏摩耗性抑制を両立した」と言い、これまでのスタンダードタイヤ「DNA ECOS ES300」と比較して、転がり抵抗で24%低減、ウェット性能(ラップタイム)で2%向上、パターンノイズで0.4dB(A)低減したほか、車外騒音についても2dB(A)低減できたと語った。

 また、重量についても同サイズのDNA ECOS ES300と比較して、平均で10%軽量化されており、この面でも省燃費性能に寄与している。


BluEarth AE-01の3つのコンセプトターゲット車種は、コンパクトカー。軽自動車もカバーするBluEarth AE-01の技術特徴
発熱をコントロールしつつ、グリップ性能を確保したと言うBluEarth AE-01のコンパウンド、専用ナノパワーゴムオレンジオイルを配合することで、路面追従性を高めている
タイヤプロファイルは、各サイズごとにコンピューターシミュレーションを繰り返して決定していると言う発熱によるエネルギーロスのシミュレーション。赤や緑の部分は、青の部分に比べて温度が高いことを表す偏摩耗のシミュレーション。偏摩耗性を抑制することで、タイヤライフを伸ばしている
BluEarth AE-01のタイヤパターンDNA ECOS ES300との性能比較。制動能力はほぼ同等ながら、転がり抵抗を24%低減

 BluEarthシリーズの第1弾としてAE-01には下記の20サイズが用意され、コンパクトカーなど量販車のレンジをカバーしていくことになる。

インチ偏平率タイヤサイズ
1660215/60 R16 95H
1560175/60 R15 81H
195/60 R15 88H
65175/65 R15 84S
185/65 R15 88S
195/65 R15 91H
205/65 R15 94H
1460175/60 R14 79H
65155/65 R14 75S
175/65 R14 82S
185/65 R14 86S
195/65 R14 89S
70165/70 R14 81S
175/70 R14 84S
185/70 R14 88S
1365155/65 R13 73S
70155/70 R13 75S
165/70 R13 79S
175/70 R13 82S
80145/80 R13 75S

(編集部:谷川 潔)
2010年 6月 8日