首都高、代表取締役就退任会見 新代表取締役は、三菱自動車の改革を進めた橋本圭一郎氏 |
首都高速道路は6月29日、代表取締役の就退任記者会見を開催した。新代表取締役会長兼社長には、三菱自動車工業などで改革を進めた民間出身の橋本圭一郎氏が就任した。
旧代表取締役会長 長谷川康司氏 |
会見は、これまで代表取締役会長を努めた長谷川康司氏の挨拶から始まった。長谷川氏は、2005年4月の就任から5年にわたる任期を振り返り、「国の重要な基幹インフラを担う会社として、社会的な制約があるのは仕方ないが、首都高では管理・運行する組織と、運営などを行う組織が分離された上下分離方式が採用されており、会社経営者としてはちょっと物足りず、自分たちの責任で管理したかった」と語った。
また、「5兆円を超える負債を45年で返却しなければならず、期間をあらかじめ決めてしまうのはどうかと思った」とし、「債務は返さなければいけないが、会社の経営がきちんとしていればよいのではないか。債務は5兆円を超えるが、首都高にはそれに見合うだけの優良な道路資産があり、収益もある。借金の返済にもう少し自由度があれば、海外事業なども展開できた。5年経過した節目として、将来どうするかいろいろ議論をしていけば」と述べた。
旧代表取締役社長 佐々木克巳氏 |
代表取締役社長を務めた佐々木克巳氏は、旧公団時代の2003年7月から首都高に関わり、最後の2年間に社長を務めた。佐々木氏は「就任直後には、板橋JCT(ジャンクション)でタンクローリーによる大火災事故があった。その際に、マスコミの方々が逐一報道していただいたおかげで、事故が大きかったわりに、比較的大きな混乱がなく済んだ」と挨拶。
「距離別料金制を自分の最大の任務だと思っていたが、国会の審議も途上であり、これを成就できず道半ばにして去らなければいけないのが非常に残念である」と言い、「都市高速とNEXCO系の道路を一緒にして同じスキームとして仕切ることに、5年たった今改めて問題が表面化したと思っている。そういう意味で、そろそろ見直しをするのにふさわしい時期になっている」と述べた。
最後に、新代表取締役会長兼社長に就任した橋本圭一郎氏が挨拶を行った。橋本氏は、当面の課題として、距離別料金制への移行を挙げ、「距離別料金制は距離に応じた公平で使いやすい料金体系であることから準備が進めており、国の方針が4月に示されたことを踏まえ、距離別料金制への移行に向けて検討を進めるほか、10月に開通予定の高速神奈川6号川崎線や、平成25年開通予定の中央環状品川線などの整備、首都高などの老朽化を道路空間のオープン化による収益還元を利用して整備に取り組む」とした。
同社の基本理念である「首都圏のひと・まち・くらしを安全・円滑な首都高速道路ネットワークで結び、豊かで快適な社会の創造に貢献します」を念頭に、交通ネットワークの構築や、良好な都市環境、都市景観の創造を推進し、首都圏の発展に貢献していくと、会見を締めくくった。
(平 雅彦(WINDY Co.))
2010年 6月 29日