ツインリンクもてぎ、夏休み向けイベント「夏休み 冒険家族」

敷地内に豊かな自然がある「ツインリンクもてぎ」

2010年7月17日~8月22日開催



 栃木県芳賀郡茂木町に1997年にオープンしたツインリンクもてぎは、第一級のロードコースと、オーバルレイアウトのスーパースピードウェイの2つのレーシングコースを持つ、世界的にも珍しいサーキットだ。

 このツインリンクもてぎの総面積がどれくらいあるかご存じだろうか? 実に640ha、東京ドーム140個が入るだけの広さを誇っている。そのうち、サーキットなどの施設として使われているのは220haで、残りの420haは自然あふれる里山となっている。さらにツインリンクもてぎの周囲はどうなっているかといえば、これもまた里山。北側を流れる那珂川では秋には鮭の遡上が見られるほどだ。

 ツインリンクもてぎでは、毎年夏休みシーズンにこの豊かな自然を楽しんでもらうさまざまなイベントを企画しており、そのもっとも大きな枠組みが、今回紹介する「夏休み 冒険家族」と銘打たれたイベントだ。

 「夏休み 冒険家族」は7月17日~8月22日の日程で開催。この期間中の入場料は、大人(15歳以上)が1200円、小中学生が500円、幼児(3~6歳の未就学児童)が300円で、通常のレース開催がないときの料金と同じ。ただし駐車料金は土日祝日料金が適用になり、4輪が600円、2輪が300円となる(ただし8月7日、8日はフォーミュラ・ニッポン開催のため、8月14日は花火の祭典【雨天順延の場合は15日】のため別料金)。

 夏休み 冒険家族期間中、アウトドア体験の拠点となるハローウッズでは、森の中で木登りをしながらクイズに答え、その後感想文や絵などを募集し、優秀作には賞品がプレゼントされる「里山冒険王」(参加無料)や、昆虫を見つけてビンゴを完成させると賞品がもらえる「ムシムシBINGO」(参加無料)など数多くのイベントを開催。自分で操る乗り物が多数用意されているモビパークでは、子供がチャレンジカート(700円)、大人がレーシングカート(5周:1500円、10周:2500円)に乗り、その合計タイムを予想する「親子でタイムトライアル」などを用意している。

 そのほかコレクションホールではASIMOとU3-Xのデモンストレーションが開催されるなど、さまざまなイベントが用意されている。

ハローウッズ内で開催されるキャストトークショー。今回は外来種がもたらす自然への影響を話してくれた森の中を歩くツアーもキャストと一緒だとひと味もふた味も違うものとなる。キャストと一緒に話を聞きながら歩くのはとてもためになる森の中の散歩はしっかりとした歩道が作られているので3歳児でも大丈夫。ゆっくり歩き、さまざまな動植物に出会うことは楽しい
森の中にある鉄骨組の冠樹タワー。里山の頂上付近に樹木より高い位置に配置されるので、辺り一面を上から見渡すことができる。自然を壊さない小さな重機のみで組み立てられた森を抜けるとその奥にはきれいな棚田が現れる。元々は放棄された棚田であったが、キャストやボランティアの手によってよみがえったと言う
子供よりも大人が熱中してしまうのがホンダコレクションホール。往年のF1から最新モデルまで、さまざまなクルマを展示。隣接するコースでは動態テストが行われていることもあるコレクションホール内の会場で毎日開催されているASIMOのショー。走り、踊り、ボールを蹴り、コーヒーまで運んでしまうASIMOには子供達も大喜びASIMOのショーと同時に行われているのが、U3-Xのデモンストレーション。1輪でバランスを保ちながら動く姿は、なんだか手品を見ているようだ

 ツインリンクもてぎの宿泊施設としては、ハローウッズ内のオートキャンプ場とホテルが用意されている。ホテルを利用するプランでは、カブトムシやクワガタムシを探しに行く「昆虫探検ナイトツアー宿泊プラン」や「1泊3食&モビパーク1day乗り放題パス付宿泊プラン」などを設定。アウトドアは楽しみたいけど、テントに宿泊するのはイヤという人でも、快適に過ごせてしまうのがツインリンクもてぎのよいところだろう。

ハローウッズのプロデューサー 崎野隆一郎氏

 ハローウッズをはじめとして、ツインリンクもてぎの自然は高い評価を受けている。それを実現できたのは一人のカリスマアウトドアマンと、彼を慕い信頼する多くの人々の手によるものにほかならない。そのアウトドアマンの名前は崎野隆一郎氏と言う。

 ハローウッズのプロデューサーである崎野氏は、鹿児島県で生まれながら1981年に北海道の然別湖畔に移住。冬季に氷結した然別湖の湖上に氷上露天風呂やアイスバー、氷上ミュージアムなどを企画、設計建設し注目を浴びた。

 崎野氏は、「1998年に無理矢理もてぎにつれて来られたんです。せっかく北海道の自然一杯のところで骨を埋めるつもりだったのに、こんなレーシングカーの音がうるさいところなんてイヤだなと思っていたんですよ。よくよく施設全体を見ると、自然は一杯なのにクルマはうるさくてなんだか矛盾だらけ。でもこんな矛盾のかたまりのなかで、子供達に自然の大切さを教えていくのも意味があるだろうな思ったのです。それからはやる気が起きて、今に至っています」と語る。

 そして、崎野氏はハローウッズを作る際に徹底的にこだわったことがある。それは、森の中にたった2つだけあるトイレ。このトイレは水洗なのだが、水道も井戸もわき水もない。大小便は土壌菌によって98%が水になると言う。その水を還流して水洗としているのだそうだ。崎野さんが持ち歩くペットボトルには、このトイレで生まれた水が入っている。大小便はキチンと処理をすれば、決してきたないものではないことを子供達に教えるためだと言う。

 また、毎年人気となっている企画が30泊31日のサバイバルキャンプ「夏のガキ大将の森キャンプ」。今年で9回目となるこのキャンプは、小学4年生から中学3年生までの少年少女が、夏休みの間に親元を長期間離れてキャンプ生活を送るというもの。

 与えられたナイフで木を削り、魚をさばいて料理する。ツリーハウスを作ったり、火を起こしたりとメニューは盛りだくさん。このサバイバルキャンプを締めくくるのは、もてぎから海までカヌーと徒歩だけで自力で移動する旅。自分たちだけでさまざまなことを解決していく生活から得ることは人生に大きく役立つことだろう。すでにこのキャンプは、定員に達しており申し込むことはできないが、1泊2日の「ファーブル昆虫ファミリーキャンプ」や、「夏休みファミリーキャンプ」などは、現時点(7月12日)でまだ申込み可能だ。夏休みの各種イベントに興味のある方は、ツインリンクもてぎのWebページを確認してみてほしい。

(諸星陽一)
2010年 7月 13日