ビーウィズ、マルチプロセシングDAC「BEWITHSTATE」発表会
「世界一の物を作りたかった」と中島社長

BEWITHSTATEを搭載したメルセデス・ベンツ SLR マクラーレン

2010年7月22日開催



ビーウィズ代表取締役社長 中島敏晴氏

 ビーウィズは7月22日、カーオーディオ用マルチプロセシングDAC「BEWITHSTATE(ビーウィズステート)」搭載のデモカーを用意しての発表会を都内ホテルで開催した。

 BEWITHSTATEは、2系統のデジタル入力のほか、6chのアナログ音声入力を持つDACで、31ポイントのデジタルイコライザーなどを備えるデジタルプロセッシング機能も持つ。発表会の冒頭、ビーウィズ代表取締役社長の中島敏晴氏は、「ここ最近の純正オーディオシステムはマルチチャンネルなどクオリティが高くなっている。2002年にこのブランドを立ち上げ、あと2年で10年になる。その中で我々(カーオーディオメーカー)の存在意義を明確にする必要があった」と言い、世界一の物を作りたいという思いを込めた製品の第1弾がBEWITHSTATEだと語った。


BEWITHSTATE。デジタル入力2系統、アナログ出力6系統を持つマルチプロセシングDACリンクケーブルを使って、BEWITHSTATEをカスケード接続可能
神山拓氏

 BEWITHSTATEの機能については、同社の神山拓氏から行われた。神山氏は、「BEWITHSTATEは拡張することでスーパーハイエンドプロセッサーになる製品だ」と言う。BEWITHSTATEは、6ch出力を持つDACであるものの、デジタルプロセッシング機能を持ち、接続台数を増やすことでその機能を高めることができる。1台では6chのシステムとなるが、2台接続すれば12chのシステムを構築でき、10台接続すれば60chのシステムまで拡張できる。また、タイムアライメント機能とイコライジング機能を持ち、専用ソフトウェアによって音響補正も可能。1台で31ポイントの周波数位置の補正が可能で、複数台接続するとさらに多くのポイントの補正が可能になる。


10台までカスケード接続できる車内の音響表示。赤い縦線が、音響補正ポイント。ここでは8個所を補正する
専用ソフトウェアの画面。中域で5ポイント、高域で3ポイント補正する補正後の画面。先ほどよりフラットな特性になったのが分かる
純正システムとの組み合わせ例。3台のBEWITHSTATEを追加し、15chシステムを構築しているライト仕様。1台のBEWITHSTATEを使って4chシステムを構築
左右独立仕様。左右それぞれに1台のBEWITHSTATEを使って、4chシステムを構築5.1ch仕様。左右それぞれに1台のBEWITHSTATEを使って、5.1chシステムを構築しているが、BEWITHSTATEには5.1chのデコード機能はないので、別途デコーダーが必要

 主なターゲットユーザーは、同社独自の機器間通信フォーマット「Mirror Link」にも対応しているため、「すでにルームミラータイプのメモリーオーディオユニット『Mirror MM-1』購入者」としながらも、幅広い人に使ってほしいと語った。

新日本無線 半導体販売事業部長 瀬志本明氏

 このBEWITHSTATEには、新日本無線と共同開発したオペアンプ「BS02」が6基搭載されていることも特徴で、オペアンプについての説明は、開発総責任者である新日本無線 半導体販売事業部長 瀬志本明氏から行われた。瀬志本氏は、ウォークマン用のDolby Btype ノイズリダクションや、Dolby C/S、Dolby Pro Logic ICの開発に携わり、近年ではオペアンプ「MUSES」シリーズを手がけている。

 瀬志本氏によると、今回共同開発したオペアンプは内部のリードフレーム素材から見直し、新日本無線の無酸素銅リードフレーム技術を採用。99.99%の無酸素銅素材を採用していると言う。無酸素銅リードフレームの量産には苦労したと言い、高音質を目指すためあえて採用したとのことだ。そのほか、チップのベースとなるウェハーや、チップの実装レベルで工夫を行い、「素の音」を活かすようなオペアンプになっていると言う。

ビーウィズと新日本無線で共同開発したオペアンプリードフレームに99.99%の無酸素銅素材を採用
チップ基板のウェハーに新日本無線の高音質化ウェハプロセス技術を採用チップ生産においても、関連工場での特別な技術を用いている

 ウォークマンほどの量産モデルならカスタムオペアンプの製造に不思議はないが、BEWITHSTATEは20万円のカーオーディオ製品となるため、ウォークマンとは製造を見込める台数が大幅に異なる。新日本無線にとっては少量の生産となるが、これに関しては「確かにこれまでにない少量生産品のオペアンプとなるが、新日本無線はオーディオ関連メーカーの要望にできるだけ応えたい」と、一緒に音のよい製品を作っていくチャレンジであるとした。

 デモカーについては、メルセデス・ベンツ SLR マクラーレンのほか2台を用意。SLR マクラーレンでは、メモリーオーディオユニットMirror MM-1とBEWITHSTATEを組み合わせ4chスピーカーシステムを構築して、デモを行っていた。

ホテルロビーにメルセデス・ベンツ SLR マクラーレンなど3台のデモカーが用意されたSLR マクラーレンには2台のBEWITHSTATEを使って、4chシステムを構築ルームミラーと一体になった、メモリーオーディオユニットMirror MM-1
MM-1には液晶ディスプレイが内蔵されているカーナビ画面曲名画面
MM-1はリモコンで操作できる

(編集部:谷川 潔)
2010年 7月 22日