スズキ、新型「スイフト」発表会を開催
「クルマってこんなに楽しいんだ」ということを若者に体感してもらいたい

鈴木修会長と新型スイフト

2010年8月26日開催



 スズキは8月26日、新型「スイフト」の発表会を都内で開催した。

 今回のフルモデルチェンジで3代目となる新型スイフトは、開発コンセプトを「More SWIFT!」とし、走行性能から環境性能までをブラッシュアップした。グレードはXG、XL、XSの3モデルで、それぞれ2WD(FF)と4WDをラインアップ。トランスミッションは全グレードに副変速機機構付きCVTを設定するほか、XGとXLの2WD車に5速MTを用意する。エンジンは直列4気筒DOHC 1.2リッターのみの設定となる。

新型スイフトのエクステリア。立ったAピラー、直線的なルーフライン、太いCピラー、張り出した前後フェンダーなどを特徴とし、スイフトならではの力強い存在感を表現した
スイフトらしい縦長の大型ヘッドランプを採用ショルダーラインから連続したデザインが施されるリアコンビネーションランプ新型スイフトは直列4気筒DOHC 1.2リッターのみの設定
XL、XSグレードは185/55 R16サイズのタイヤを標準装備。XGのみ175/65 R15を装備ドアミラーに方向指示器を内蔵するインテリアデザインは“走り”の高揚感を高める造形とし、センターパネルに配置されるオーディオやエアコンパネルのスイッチ類を使いやすくレイアウトした
XL、XSグレードは、オーディオ操作が可能な本革巻きステアリングを標準装備。XSのみパドルシフトを装備するスピードメーターとタコメーターの間にマルチインフォメーションディスプレイを設けるキーレスプッシュスタートシステムは全車標準装備
後席「流れと揺らぎ」を表現したと言うウェーブデザインを、シート中央にレイアウト運転席に設けられるアームレスト
オーディオやエアコンスイッチを使いやすく配置したインパネアッパーボックスを開いたところ助手席側にはインパネトレーが用意される
コンソールトップに用意される1名分のドリンクホルダー運転席/助手席のドアはポケットとドリンクホルダースペースが設けられるコンソールエンドのドリンクホルダー
助手席用のドリンクホルダートランスミッションはCVTのほか、XG、XLグレードの2WD車は5速MTを選択できる
後席を6:4分割可倒式とし、シートバックを前倒しすることで積載容量を増やすことができる

 新型スイフトの商品概要について、常務役員 四輪技術本部 副本部長 蓮池利昭氏のほか、四輪技術本部 商品第二カーライン長 竹内尚之氏がVTRで登場し、解説を行った。

 2004年に登場した2代目スイフトは、「世界に通用するコンパクトカー」を目指したモデルで、現在では同社を代表するコンパクトカーに成長した。新型スイフトは、従来から好評を博してきた「走る喜び」「デザイン」に加え、「環境性能」を向上させることで、スイフトの魅力を高めたと蓮池氏は述べる。

 新型スイフトの商品特徴は、「新プラットフォームの採用による優れた走行性能」「新エンジン・新CVTの採用と燃費改善」「さらに洗練されたスイフト・デザイン」「運転のしやすさと使い勝手、安全性能」の4点だと言う。

常務役員 四輪技術本部 副本部長 蓮池利昭氏四輪技術本部 商品第二カーライン長 竹内尚之氏
新型スイフトの開発コンセプトは「More SWIFT!」新型スイフトの特長

 新型スイフトは、機敏なフットワークを実現するべく、プラットフォームを一新した。スポーティな走行性能と燃費性能を向上させるため、まず車両の骨格から作り直したと言い、ボディーの骨格には1500MPa級をはじめとする強度の高い高張力鋼板を使用(従来モデルでは590MPa級)するとともに、CAE(Computer Aided Engineering:コンピュータによる構造解析システム)解析により骨格構造を最適化したことで、2WDのCVT搭載モデルでは先代比約10kgの軽量化に成功したほか、ねじれ剛性を約15%高めることに成功。

 サスペンション形状は、従来モデルと同じくフロントにマクファーソンストラット式、リアにトーションビーム式を採用するが、リアサスペンションのトーションビーム断面を二重構造にすることでロール剛性を25%向上させながら、約2kgの軽量化に成功。このリアサスペンションの作り直しによって、車両安定性が高まったと言う。これに機敏なハンドリング特性を得るため、新たに採用された可変ギアレシオステアリングを組み合わせることによって、「ポテンシャルを高めたリアサスペンションによって車両は安定し、ステアリングに対する反応がより速くなった」と、その特徴を述べる。

 ボディーサイズは3850×1695×1510~1535mm(全長×全幅×全高)で、先代モデルと比較して95mm長く、5mm広くなった。また、ホイールベースを40mm延長したほか、トレッドが拡大したことで走行安定性が高められている。

ボディーサイズ高張力鋼板の使用範囲2WDのCVT搭載モデルでは先代比約10kgの軽量化と、ねじれ剛性を約15%高めることに成功した
フロントサスペンションはマクファーソンストラット式、リアはトーションビーム式を採用可変ギアレシオステアリングを採用したことで、機敏なハンドリング特性に仕上げた

 エンジンは吸排気側ともにVVT機構を採用する直列4気筒DOHC 1.2リッターで、低・中速域およびアイドリング領域の燃費向上を図るとともに、全域でのフラットなトルク特性を持たせる。トランスミッションは副変速機構を備えるCVTと5速MTを用意し、2WDのCVT搭載車の10・15モードは23.0km/L、2WDの5速MT搭載車は21.0km/Lを達成した。

 最高出力は67kW(91PS)/6000rpm、最大トルクは118Nm(12.0kgm)/4800rpmを発生。

直列4気筒DOHC 1.2リッターエンジンは、吸排気VVT(Variable Valve Timing)を採用CVTは副変速機構を備える
従来型のCVTと副変速機構付きCVTの変速比幅の比較イメージ。前進ローギヤと前進ハイギヤにより、従来型よりも格段に広い変速比幅を実現すると言う2WDのCVT搭載車の10・15モードは23.0km/L

 エクステリアデザインのキーワードは「Dynamic&Energetic」とし、従来モデルのデザインを踏襲しながらよりダイナミックに、よりエネルギッシュなデザインを施すことで、クルマとしての塊感を表現するとともに一目でスイフトと分かる強い存在感を表現したと言う。スイフトの特徴的な部分でもある縦長の大型ヘッドランプを採用したほか、ショルダーラインや前後フェンダーなどによって力強さを一層強調するデザインとなっている。

 ボディーカラーは、スノーホワイトパール、スターシルバーメタリック、スーパーブラックパールの3色に加え、新色のアブレイズレッドパール2、ブーストブルーパールメタリック、スモーキーグリーンメタリック2の合計6色を用意する。

 インテリアでは、運転に必要な情報が素早く読み取れるメーター類やスイッチ類を、センターパネルに集約し、視認性と操作性に優れたコクピットを目指したと言う。シルバー色のリングで縁取られるスピードメーターとタコメーターの中央には、瞬間燃費や平均燃費、航続可能距離を表示するマルチインフォメーションディスプレイやキーレスプッシュスタートシステム、大型ドアミラーなどを全車に標準装備したほか、XSグレードではパドルシフトや約45~100km/hの間で設定が可能なクルーズコントロールなどを装備し、スポーツ性と快適性が高められた。

 また、衝突時の衝撃を効率よく吸収する、軽量衝撃ボディー「TECT(Total Effective Control Technology)」などの採用により、安全面も十分に考慮していることを紹介した。

ボディーカラーは6色を用意クルーズコントロールはXSに標準装備。約45~100km/hの間で設定可能キーレスプッシュスタートシステムは全グレード標準装備
20~38mmの間で調整できる運転席シートリフターを全グレード標準装備する衝突時の衝撃を効率よく吸収する、軽量衝撃ボディー「TECT(Total Effective Control Technology)」を採用し、安全面も十分に考慮したと言う運転席、助手席にSRSエアバッグを全グレードに標準装備したほか、フロントシートSRSサイドエアバッグ、SRSカーテンエアバッグをXSグレードに標準装備した
ボンネット、バンパーなどを衝撃吸収構造とし、万が一の接触時に歩行者への衝撃を軽減させる室内のルーフサイドと全ピラーに衝撃吸収材を内蔵し、万が一の事故の際に頭部への衝撃を緩和させる各種センサーによって必要に応じてエンジンとブレーキをコンピューターが制御し、タイヤのスリップや横滑りを抑えるESP(車両走行安定補助システム)をXSに標準装備

鈴木修会長

 竹内氏は最後に、「新型スイフトは確実に進化させることができたと思っている。できるだけ多くの方に乗って頂きたい」と述べたほか、蓮池氏は「近年は若者の自動車離れが叫ばれるが、クルマの持つ本来の魅力は、シートに座っただけでワクワクしたり、運転することが楽しいと感じること。『クルマってこんなに楽しいんだ』ということを新型スイフトで体感してもらいたい。この想いを我々からのメッセージとして新型スイフトに託したいと思う」と語った。

 また、鈴木修会長は、新型スイフトの生産は日本を皮切りに、ハンガリー、インド、中国の順に開始すると言い、「従来モデルの売れ行きも非常に好調なため、この新型車にいつ切り替えるかはこれからの戦略として考えていきたい」と述べた。

(編集部:小林 隆)
2010年 8月 26日