【ラリージャパン2010】ラリージャパンがいよいよ開幕
札幌ドームに作られた特設ステージなどで開催

札幌で開幕したラリージャパン

2010年9月9日~12日



 WRC(世界ラリー選手権)第10戦ラリージャパンが9月9日、いよいよ北海道を舞台に開幕した。ドライバーとマシンは12日までの4日間で、札幌ドームに設けられた特設コースや、郊外に設けられたダートコース、計1220kmでその速さを競う。

 WRCはF1と並びFIA(国際自動車連盟)が主催する四輪車の世界選手権。世界中を転戦しており、2004年より日本でも開催されるようになった。当初は帯広市を中心とした十勝地区での開催であったが、2008年は札幌市を中心とした道央地区で開催。開催地をローテーション制とするFIAの方針により2009年は日本では開催されず、今年は2年ぶりの開催となる。開催地は一昨年と同様に道央地区となる。

 ラリーというのは、基本的には1台1台が2分間隔で順番にスタートし、指示されたルートを回って戻ってくるというもの。トラブルで動けなくなったり極端にペースダウンしたりしない限りは、F1の様にマシンが抜きつ抜かれつといった展開はない。

 ルート上にはSS(スペシャルステージ)という一般車両が入ってこられないクローズされた区間がいくつか用意されており、この区間はとにかく速く走ったものが勝ちとなる。コースはサーキットのように手入れされた場所ではないため、コース上に砂利が浮いていていたりして、最初に走るクルマは掃除役となって不利になる。半面、後半になるとダート路面などは掘られて轍がきつくなる場合もある。走る度に状況が変わるのがラリーの醍醐味なのだ。

 このSSを繋ぐ移動区間となる一般道もリエゾン区間と呼ばれ、競技の一貫になっている。ルートはコマ図という簡易な地図を頼りに走行し、決められた区間を決められた時間で走る。時間通りに来なければペナルティとしてタイムが加算される。これは一般車両も通行する道なので、当然交通ルールを守る必要があり、違反をすれば警察に捕まることもある。観戦する側からすると、街中で偶然マシンとすれ違ったり、あるいは信号待ちで間近でマシンを見れたりと、リエゾン区間も楽しみのポイントとなっている。

 さて、今年のラリージャパンの幕開けとなったのは、札幌ドーム内に作られた特設ステージだ。未舗装路を走ることが多いラリーだが、この特設ステージは全面舗装路。さらに通常1台ずつ走りそのタイムを競うラリーにおいて、スーパーSSと呼ばれるこのコースは2つのレーンが用意されており、2台同時にコースインするというシステム。ちょうどミニ四駆でレースをしているようなイメージだ。

 午前中にシェイクダウン走行が行われ、しばしのメンテナンス時間のあと、いよいよレースがスタートする。

札幌ドームのそばの月寒ドームに作られたサービスパーク。メカニックがマシンをメンテナンスしている姿を間近で見ることができるセバスチャン・ローブ選手のマシンキミ・ライコネン選手のマシンは慌ただしく修理が行われていた
実は午前中のシェイクダウンでフロントタイヤをヒットしてしまったキミ・ライコネン選手
サービスパークでは、ドライバー達によるファンへのサインイベントなども行われた。写真はセバスチャン・ローブ選手キミ・ライコネン選手ミッコ・ヒルボネン選手
ヤリ-マティ・ラトバラ選手ペター・ソルベルグ選手のブースの周りには多くのファンが詰めかけていたこちらはクラスが別になるがラリージャパンを走る俳優の哀川翔さん、並んでいるのはチームメイトの奴田原文雄選手だ

 まずは一台一台が登場するパレードラン行った後、いよいよSS1がスタート。最初にスターティンググリッドに付いたのは、現在ポイントランキング1位のセバスチャン・ローブ選手と2位のセバスチャン・オジエ選手のシトロエン・トタル同士のチーム対決。続いて行われたのはヤリ-マティ・ラトバラ選手とミッコ・ヒルボネン選手。これまたBPフォード・アブダビの同門対決だ。さらに三組目は、ペター・ソルベルグ選手とヘニング・ソルベルグ選手の兄弟対決と、興味深い組み合わせが続いた。

 SS1とSS2はいずれも札幌ドームで行われ、SS2ではコースのイン側とアウト側を切り替えて行われた。走るレーンによって若干の有利・不利があるようなので、それぞれを足した合計のタイムが問題だ。結果から言えば、初日に行われたSS1とSS2の合計のタイムでは、セバスチャン・オジエ選手が2秒の差を付けて圧勝。2位にはミッコ・ヒルボネン選手、3位はダニ・ソルド選手が躍り出た。以下、ヤリ-マティ・ラトバラ選手、キミ・ライコネン選手、セバスチャン・ローブ選手、フェデリコ・ビラグラ選手、ペター・ソルベルグ選手とヘニング・ソルベルグ選手、マシュー・ウィルソン選手、ハリ・アル-カシミ選手となっている。

札幌ドーム内に作られた特設ステージスタート前にはパレードランも行われた
0カーと00カーがまずはコースを試走してから本番がスタートするセバスチャン・ローブ選手セバスチャン・オジエ選手
ヤリ-マティ・ラトバラ選手ミッコ・ヒルボネン選手ソルベルグ兄弟対決
ダニ・ソルド選手とキミ・ライコネン選手フェデリコ・ビラグラ選手マシュー・ウィルソン選手
ハリ・アル-カシミ選手PWRCには新井敏弘選手も参戦。クラストップタイムをマークしていた。こちらも目が離せない

 ラリージャパンまでの9戦で、2位以下と58ポイントもの差を広げているのはセバスチャン・ローブ選手だが、ここラリージャパンはというと、あまり得意とは感じていないようだ。先日行われた記者会見でも、ラリージャパンでは優勝よりもポイントを抑えることが大事だとしている。

 一方、ラリージャパンを得意とするのはミッコ・ヒルボネン選手だ。2007年、2008年と優勝しており今年も当然注目できる。また、かつてはスバルのエースドライバーとして人気を博したペター・ソルベルグ選手もプライベーターとして参戦。今季は好調のため、日本のファンの期待に応えてくれるかもしれない。また、今年は元F1ワールドチャンピオンのキミ・ライコネン選手がラリージャパンに初参戦する。日本で見る初めてのF1チャンプのラリーの走りは、否が応でも期待がふくらむ。

 はたして札幌のポディウムのてっぺんに立つのはだれなのか? ラリージャパンの結果は追ってリポートする。

【お詫びと訂正】記事初出時、俳優 哀川翔さんの名前に間違いがありました。お詫びして訂正させていただきます。

(瀬戸 学 / Photo:安田 剛・瀬戸 学)
2010年 9月 10日