高速道路技術展示会「ハイウェイテクノフェア 2010」リポート 首都高が初出展 |
高速道路技術の展示会「ハイウェイテクノフェア 2010」が東京ビッグサイト(東京都江東区)の西4ホールで、11月11日~12日まで開催されている。入場料は無料。
高速道路調査会が主催するこのハイウェイテクノフェアは、NEXCO東日本(東日本高速道路)、NEXCO中日本(中日本高速道路)、NEXCO西日本(西日本高速道路)の高速道路会社3社が共催となり、高速道路で使われている整備、管理、運用などの各種技術の展示が行われるものだ。
今年のハイウェイテクノフェアは、展示面積を1.5倍に拡大。出展企業も126社となり、首都高速道路が初めて展示を行った。ただ、高速道路で使われている技術展示のため、1年で格段の進歩があるというものではなく、昨年と同様の展示も多く見かけた。本リポートでは、高速道路会社の目立った展示を紹介する。
これから冬へと向かう季節のためか、各社とも雪に対する対策や警告関連の展示が目立った。NEXCO東日本のブースでは、すでに新潟県や北海道で運用を開始している、GPS車両管理システムを展示。このGPS車両管理システムは、除雪車や標識車にGPS車載端末を搭載することで、各車両の現在位置を管理事務所で把握。各作業車両の作業間隔などを管理事務所から指令でき、効率的に除雪作業などが行える。
以前NEXCO東日本の湯沢管理事務所を取材したときに見たものより画面が変更されており、年々改良を加えているとのこと。管理システムも、Windows 7上で動作していた。
また、2008年6月より聴覚障害者に対して運転免許が交付されるようになったことから、聴覚障害者でも利用しやすい新型非常電話機が展示されていた。この新型電話機は、タッチパネル式のディスプレイを持ち、どのようなトラブルが起きたのか、パネルで選択できるようになっている。これにより、高速道路会社側で迅速な対応が可能となり、健常者、聴覚障害者双方とも使いやすいものとなっている。現在、長岡管理事務所管内のSA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)への設置が予定されており、一般に目にすることもできるだろう。
NEXCO中日本は、LED照明装置をはじめ、各種工事をサポートする器具などを展示していた。LEDや太陽光パネルなど低エネルギーを意識したものが多く、風力発電を利用した横風注意表示板なども展示されていた。また、上海万博に出展した、スバル(富士重工業)との共同開発によるトイレ掃除ロボットがハイウェイテクノフェアに初めて展示された。
NEXCO西日本は、新型発進制御装置を出展。これは料金所入口に設置されるゲートの新型機で、従来は上方に移動した制御棒が斜め上方に移動するというもの。従来のタイプでは、車両がゲートを突破した際に制御棒が前方に折れ曲がるため、定位置に戻すには係員の作業が必要だった。新型であれば、ゲートオープン時と同様、斜め上方に開くのでリモコンで復帰が可能となっている。これにより、係員の安全性を確保し、速やかな復帰ができる。
そのほか、遠赤外線を使った融雪装置など、雪対策関連の展示などがあった。
初出展となった首都高では、高速道路に使われる鋼床板の非破壊検査装置を展示。この非破壊検査装置は、超音波を利用し鋼床板を移動していくことで、内部の問題点を見付けていく。
NEXCO中日本の横風注意表示板。風が強く吹くと発電され、「横風注意」の文字が出る | NEXCO中日本がスバルと共同開発中のトイレ掃除ロボ。SAやPAのトイレ掃除の省力化などを図る |
NEXCO西日本の新型発進制御装置。斜め上方に制御棒が動作する | ||
従来の発進制御装置。車両が突破したときには、前方に折れ曲がっていた | 遠赤外線を利用した融雪装置 | 首都高は、超音波を利用して鋼床板の検査を行う非破壊検査装置を展示していた |
高速道路会社以外の展示社は、逆光対策を施した道路看板、各種マーカー類、コンクリート類、道路シミュレーターなどを展示し、来場者に技術説明を行っていた。建築技術関連などの展示が中心となるため、一般の高速道路利用者にはあまり縁のない展示会と言えるが、高速道路を支える技術に興味のある方は、一度訪れてみてはいかがだろうか。
(編集部:谷川 潔)
2010年 11月 11日