SUPER GTとフォーミュラ・ニッポン夢の競演「JAF GP」開催
富士スピードウェイで激しいバトルが展開

決勝スタート前のオールグリッドウォーク。フォーミュラ・ニッポンとSUPER GTマシンが富士スピードウェイのメインストレートに並べられた

2010年11月12日~14日開催



 「JAF Grand prix SUPER GT & Formula NIPPON FUJI SPRINT CUP 2010」が11月12日~14日に富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催された。SUPER GTとフォーミュラ・ニッポンが同時開催される初のイベントで、両レースとも100km(22周)のスプリント形式となっている。

 SUPER GTは通常はGT300クラスとGT500クラスが混走し、ドライバー交代を行うレース形式だが、今回はGT300、GT500が別々に走行。レース中のドライバー交代は行わず、各ドライバーは土曜、日曜に行われる第1レース、第2レースを1人で走りきる形式となっている。

 予選は金曜日に行われ、土曜日にフォーミュラ・ニッポンの第1レース、GT300クラスの第1レース、GT500クラスの第1レース、日曜日にフォーミュラ・ニッポンの第2レース、GT300クラスの第2レース、GT500クラスの第2レースが行われた。通常SUPER GTはローリングスタートが採用されているが、今回は静止状態からスタートするスタンディングスタートとなっている。

 フォーミュラ・ニッポンではユニークな予選方式が採用された。予選中の最高速をストレートエンドで計測し、第1レースのスターティンググリッドは速度順、第2レースのグリッドはラップタイム順で決めるという方式だ。ラップタイムの予選で上位進出が難しい下位チームは、ダウンフォースを減らし最高速重視のセッティングを行うことで第1レースのポールポジションを狙いに行くことが可能になっていた。

フォーミュラ・ニッポン第1レース
 最初の決勝レースはフォーミュラ・ニッポン第1レース。予選でウイングを寝かせ最高速を記録しポールポジションを獲得した7号車 ケイ・コッツォリーノ選手(Team LeMans)がどこまで逃げ切るかに注目が集まった。

 スタートで飛び出したのは36号車 アンドレ・ロッテラー選手(PETRONAS TEAM TOM'S)。7号車 ケイ・コッツォリーノ選手は出遅れ、6位までポジションダウンしてしまった。2位には16号車 井出有治選手(MOTUL TEAM 無限が6番グリッドからイン側をすり抜けジャンプアップ、3位に37号車 大嶋和也選手(PETRONAS TEAM TOM'S)、4位に10号車 塚越広大選手(HFDP RACING)、5位に32号車 小暮卓史選手(NAKAJIMA RACING)という展開でレースは始まった。

フォーミュラ・ニッポン第1レースのスタート1コーナーを36号車、16号車、37号車、10号車の順で抜ける
ポールポジションのコッツォリーノ選手は6位に後退1周目のコカ・コーラコーナーでロッテラー選手は後続を引き離す

 2周目の1コーナーで37号車 大嶋和也選手が16号車 井出有治選手を抜き2位に浮上、PETRONAS TEAM TOM'Sが1-2体制を築いた。3周目には10号車 塚越広大選手も16号車 井出有治選手を抜き3位に浮上した。

2周目に大嶋選手が2位浮上3周目には塚越選手が井出選手を抜き4位へ

コッツォリーノ選手の後方から抜け出せない平手選手

 後方では7号車 ケイ・コッツォリーノ選手を先頭に6番手争いが激化した。ラップタイムで勝る20号車 平手晃平選手(Mobil1 TEAM IMPUL)だが、直線が速いセッティングの7号車 ケイ・コッツォリーノ選手を簡単には抜くことができない。

 レースの折り返しとなる11周目のヘアピンで20号車 平手晃平選手が7号車 ケイ・コッツォリーノ選手を抜き、ようやく6位に上がった。さらに13コーナーで後続の2号車 伊沢拓也選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)も7号車 ケイ・コッツォリーノ選手を抜き7位にポジションアップした。

 このレースでパッシングショーを見せたのは、31号車 山本尚貴選手(NAKAJIMA RACING)だ。スタートで出遅れ、さらにダンロップコーナーでコースオフし13位に後退するが、4周目のヘアピンで19号車 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(Mobil1 TEAM IMPUL)を抜き11位、最終コーナーで18号車 平中克幸選手(KCMG)を抜き10位、ストレートで平中克幸選手に抜き返されるが、オーバーテイクボタンを押し1コーナーで再び抜き返した。

 山本尚貴選手の快進撃は続いた。8周目の1コーナーで3号車 松田次生選手 (KONDO RACING)を抜き9位。残り10周のプリウスコーナーで7号車 ケイ・コッツォリーノ選手を抜くがストレートで抜き返される。ルーキー同士、2台のバトルは続き、残り7周のヘアピンでついに8位に浮上した。


ルーキー同士のバトル。コッツォリーノ選手を攻める山本選手山本選手がコッツォリーノ選手を抜き8位へ

 残り5周、5位を走る32号車 小暮卓史選手に20号車 平手晃平選手が迫った。平手晃平選手がストレートでアウトから並びかけ、サイド・バイ・サイドで1コーナーを抜け、コカコーラの進入でインをとり5位のポジションを確保した。

残り5周。小暮選手とのバトルを制した平手選手

 トップのアンドレ・ロッテラー選手は安定した走りで独走、2位に10秒近い差を付け優勝した。2位には同じPETRONAS TEAM TOM'Sの37号車 大嶋和也選手、3位には10号車 塚越広大選手が入った。

ウィニングラップを走るロッテラー選手フォーミュラ・ニッポン第1レースの表彰式

GT300第1レース
 SUPER GTはGT300、GT500の決勝レースが別々に行われる。ドライバー交代はなし。加えて通常ローリングスタートを採用するSUPER GTとしては異例のスタンディングスタートでレースは行われる。

 土曜日に行われたGT300第1レースは、心配されたスタートでの混乱はなく全車無事スタートした。ポールポジションの43号車 ARTA Garaiya(高木真一)は1コーナーでややふくらみ74号車 COROLLA Axio apr GT(国本雄資)と併走となるが、コカ・コーラコーナーで先行しトップをキープした。

GT300クラス第1レースのスタート43号車 ARTA Garaiyaがふくらみ74号車 COROLLA Axio apr GTに並ばれる43号車 ARTA Garaiyaはコカ・コーラコーナーの進入で1位をキープ

 好スタートを切ったのは66号車 triple a Vantage GT2(吉本大樹)。5番手から3番手にジャンプアップして1コーナーを通過した。ヘアピンで46号車 アップスタート MOLA Z(阿部翼)に抜かれるが2周目のコカ・コーラコーナーの進入で抜き返した。

2周目の1コーナー。3位の46号車 MOLA Zと4位の66号車 triple a Vantage GT274号車 COROLLA Axio apr GTがトップに浮上

 4周目の1コーナーで74号車 COROLLA Axio apr GT(国本雄資)が43号車 ARTA Garaiya(高木真一)を抜きトップに浮上。ペースの上がらぬ43号車 ARTA Garaiya(高木真一)は5周目のコカ・コーラコーナーで66号車 triple a Vantage GT2(吉本大樹)に抜かれ3位に後退。8周目には9号車 911GT3Rポルシェジャパン(安岡秀徒)にも抜かれズルズルと後退していった。

43号車 ARTA Garaiyaは66号車 triple a Vantage GT2にも抜かれ3位に後退

74号車を抜きトップに立った66号車 triple a Vantage GT2

 2位に上がって勢いに乗る66号車 triple a Vantage GT2(吉本大樹)は11周目のストレートであっさり74号車 COROLLA Axio apr GT(国本雄資)を抜きついにトップに立った。

 スタートで出遅れながら徐々に順位を上げたのは11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(平中克幸)だ。予選3番手からスタートし1コーナーは4位で進入したが、3号車 HASEMI SPORT TOMICA Z(星野一樹)にプッシュされランオフエリアにコースオフ。その後も順位を落とし、1周目で12位までポジションを落としてしまった。


スタート直後の1コーナー。7号車 RX7の後方でコースを外す11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430後方から追い上げを開始した11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430

 自力にものを言わせ4周目には11位、8周目には8位にポジションを回復。9周目のコカ・コーラコーナーの進入で7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(折目遼)を抜き7位、続くヘアピンで前を走る33号車 HANKOOK PORSCHE(藤井誠暢)がコースオフ、さらにダンロップコーナーの進入で46号車 アップスタート MOLA Z(阿部翼)を抜き5位に浮上。10周目には43号車 ARTA Garaiya(高木真一)を抜き4位、13周目には9号車 911GT3Rポルシェジャパン(安岡秀徒)も抜き3位にポジションアップした。

43号車 ARTA Garaiyaを抜き4位さらに、9号車 911GT3Rを抜き3位に浮上

 勢いに乗る11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(平中克幸)は残り6周のストレートでトップを争う2台に追いついた。残り5周のコカ・コーラコーナーの進入で74号車 COROLLA Axio apr GT(国本雄資)を抜き2位。ついにトップを争う位置までたどり着いた。

トップ争いに追いついた11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F43074号車を抜き2位浮上1位の66号車 triple a Vantage GT2に迫る11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430

 残り3周のストレートエンド。11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(平中克幸)はトップを走る66号車 triple a Vantage GT2(吉本大樹)とサイト・バイ・サイトとなった1コーナーの進入、イン側に66号車 triple a Vantage GT2(吉本大樹)、アウト側に11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(平中克幸)。

 11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(平中克幸)がわずかに先に出るが、コーナー立ち上がりは66号車 triple a Vantage GT2(吉本大樹)が半車身先行。短いストレートで2台は軽く接触、直後に66号車 triple a Vantage GT2(吉本大樹)がマシンを寄せ強めに接触し自ら姿勢を乱す。マシンを立て直す間に11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(平中克幸)が先行し勝負が着いた。ついに11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(平中克幸)がトップに浮上した。

2台は1コーナーから併走。途中2度接触し姿勢を乱した66号車 triple a Vantage GT2が遅れ11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430が1位に浮上

 トップに立った11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(平中克幸)はそのまま快走を続け1位でゴール、66号車 triple a Vantage GT2(吉本大樹)は74号車 COROLLA Axio apr GT(国本雄資)を抑えきり2位でゴールしたが、11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(平中克幸)との接触にペナルティが下り30秒加算で13位となってしまった。

トップに立ちダンロップコーナーを抜ける11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(平中克幸)ウイニングラップで観客に手を振る11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430の平中克幸選手

GT300第1レースの表彰式

 74号車 COROLLA Axio apr GT(国本雄資)が繰り上がりで2位、予選15番手からスタートし徐々に順位を上げ4位にフィニッシュした33号車 HANKOOK PORSCHE(藤井誠暢)が3位表彰台に立った。


GT500第1レースのスタート

GT500第1レース
 GT500クラスも普段とは違うスタンディングスタートでレースは始まった。スタートで出遅れたのは予選4位の18号車 ウイダー HSV-010(ロイック・デュバル)。エンジンがストールしかかり後方集団に飲み込まれてしまった。ポールポジションの38号車 ZENT CERUMO SC430(リチャード・ライアン)は好スタートを決めトップをキープ、その後方もデュバル選手以外の上位陣は順位をキープして1コーナーを通過した。

 1周目のダンロップコーナーの下りで6号車 ENEOS SC430(ビヨン・ビルドハイム)が1号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)を抜くが、1号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)が抜き返そうとして接触、2台ともタイヤを傷めスローダウン、ピットインし戦線から脱落した。


38号車 ZENT CERUMO SC430は後続を引き離し1コーナーを通過2位争いは4台。1周目で1号車と6号車が接触し戦線離脱する
スタートを失敗した18号車 ウイダー HSV-010は後方集団に飲み込まれたコカ・コーラコーナーに進入するGT500マシン

 予選9番手スタートの17号車 KEIHIN HSV-010(塚越広大)が序盤から快走を見せた。1周目を7位で終えると3周目の1コーナーで24号車 HIS ADVAN KONDO GT-R(安田裕信)を抜き6位、4周目の1コーナーでも23号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)を抜き5位、6周目には39号車 DENSO DUNLOP SARD SC430(アンドレ・クート)を抜き4位に浮上した。

24号車 HIS ADVAN KONDO GT-Rに迫る17号車 KEIHIN HSV-010(塚越広大)24号車 HIS ADVAN KONDO GT-Rを抜き6位浮上。23号車 MOTUL AUTECH GT-Rを追走する

 勢いは止まらない。8周目の13コーナーで12号車 カルソニック IMPUL GT-R(ロニー・クインタレッリ)を抜き3位、さらに9周目のダンロップコーナーの進入で35号車 MJ KRAFT SC430(石浦宏明)も抜き、2位まで浮上した。抜かれた35号車 MJ KRAFT SC430(石浦宏明)は直後のプリウスコーナーで12号車 カルソニック IMPUL GT-R(ロニー・クインタレッリ)に抜かれ、その後もズルズルと後退していった。

12号車 カルソニック IMPUL GT-Rを抜き3位に浮上した17号車 KEIHIN HSV-010

 スタートで出遅れた18号車 ウイダー HSV-010(ロイック・デュバル)は11位から追い上げを開始した。4周目には8位、6周目の1コーナーで23号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)を抜き7位、10周目のダンロップコーナーの進入で35号車 MJ KRAFT SC430(石浦宏明)もパスし6位、続く13コーナーで39号車 DENSO DUNLOP SARD SC430(アンドレ・クート)も抜き5位に浮上した。

 13周目の1コーナーで24号車 HIS ADVAN KONDO GT-R(安田裕信)も抜き4位。このまま表彰台圏内に浮上かと思われたが、激しい追い上げでタイヤを消耗したのか、ここからペースが落ち残り5周で24号車 HIS ADVAN KONDO GT-R(安田裕信)に抜き返され、その後は徐々に順位を落としてしまった。


24号車 HIS ADVAN KONDO GT-Rに迫る18号車 ウイダー HSV-01024号車 HIS ADVAN KONDO GT-Rを抜き4位まで浮上した

GT500第1レースの表彰式

 38号車 ZENT CERUMO SC430(リチャード・ライアン)は2位以下と距離を保ち、安定した走りで逃げ切り優勝した。2位には17号車 KEIHIN HSV-010(塚越広大)、3位には12号車 カルソニック IMPUL GT-R(ロニー・クインタレッリ)が入った。


フォーミュラ・ニッポン第2レース
 日曜日も土曜日と同様フォーミュラ・ニッポン、GT300、GT500の3レースが開催された。フォーミュラ・ニッポン第2レースはポールポジションの36号車 アンドレ・ロッテラー選手(PETRONAS TEAM TOM'S)がスタートからトップの座をキープ、2番手は前日に続き好スタートを決めた16号車 井出有治選手(MOTUL TEAM 無限)が予選8位からジャンプアップ、3番手は予選6位の31号車 山本尚貴選手(NAKAJIMA RACING)が浮上した。

フォーミュラ・ニッポン第2レースのスタートロッテラー選手がトップをキープ。井出選手と山本選手が2位3位にジャンプアップ
4位以下の集団は混戦模様4位以下の集団は伊沢選手を先頭にコカ・コーラコーナーを抜ける

 後方では7号車 ケイ・コッツォリーノ選手(Team LeMans)と19号車 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(Mobil1 TEAM IMPUL)がコカコーラコーナーで接触。オリベイラ選手はフロントウィングを失いピットイン、戦線から脱落した。


山本選手が井出選手を抜き2位浮上

 2周目の13コーナー。2位を走る16号車 井出有治選手を31号車 山本尚貴選手が抜き2位に浮上。ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した山本選手は第1レースに続き好走を見せた。

 3周目の13コーナーで7号車 ケイ・コッツォリーノ選手(Team LeMans)と32号車 小暮卓史選手(NAKAJIMA RACING)が接触。コッツォリーノ選手のマシンが浮き上がり、そのままランオフエリアに停止しリタイヤとなった。

 後方では多くのバトルが見られた。9周目のストレートエンドで3号車 松田次生選手 (KONDO RACING)のアウトに20号車 平手晃平選手(Mobil1 TEAM IMPUL)が並びかけサイド・バイ・サイド。そのまま1コーナーを併走し、コカコーラコーナーの進入は松田次生選手が制し順位をキープしたかに見えたが、続くヘアピンの進入で平手晃平選手が先行し順位を入れ替えた。

 残り8周の1コーナーでは、1号車 ロイック・デュバル選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が2号車 伊沢拓也選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)のインをとりサイド・バイ・サイド。そのままコカコーラコーナーまで併走しイン側になった伊沢拓也選手がチームメイト同士の攻防をしのいだ。

1コーナー進入でデュバル選手が松田選手を抜いた。各所でバトルが見られた

 後方でのバトルを尻目に、上位3台は順位をキープしてゴール。36号車 アンドレ・ロッテラー選手は連勝、2位に入った31号車 山本尚貴選手はフォーミュラ・ニッポン初表彰台を獲得、16号車 井出有治選手も久々の3位表彰台をゲットした。

ロッテラー選手は山本選手を引き離し独走でゴールした

 フォーミュラ・ニッポンの第1レース、第2レースを連勝した36号車 アンドレ・ロッテラー選手がJAF GPを獲得した。総合2位は第1レースで4位の3ポイント、第2レースで3位の4ポイントを獲得した16号車 井出有治選手、総合3位は第2レースで2位表彰台を獲得した31号車 山本尚貴選手となった。


GT300第2レース
 GT300の第2レースはドライバーを入れ替え日曜日に開催された。前日のエンジンブローで9号車 911GT3Rポルシェジャパン(佐々木雅弘)が出走取り消し、予選3番手の26号車 CINE CITTA'タイサンポルシェ(密山祥吾)はフォーメーションラップにマシントラブルが発生しピットスタートとなった。

 土曜日に行われたGT300第1レースでは、心配されたスタートでの混乱はなかったが、この日の第2レースは混乱のスタートとなった。予選1位の43号車 ARTA Garaiya(新田守男)はブラックアウトとなる直前にマシンが動き慌てて停止、つられて予選2位の5号車 マッハGOGOGO車検408R(黒澤治樹)も動きフロントロー2台がフライングスタートを犯してしまった。2台は早々にペットスルーペナルティで戦線から離脱した。

スタート直後の1コーナー。5号車 マッハGOGOGO車検408Rと43号車 ARTA Garaiyaはフライングスタート事実上のトップは46号車 アップスタート MOLA Z。後方で31号車がクラッシュ
スタート直後の1コーナーでクラッシュしリタイヤした31号車 MAGICAL CARBON apr Axio(嵯峨宏紀)2周目の1コーナー。43号車はこの後ピットインするので46号車、3号車、25号車、11号車、7号車の順となった

 第1レースで後方から大逆転優勝した11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430が第2レースでも快走を見せた。11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(田中哲也)は11周目の1コーナーで3位の25号車 ZENT Porsche RSR(土屋武士)に並びかけコカ・コーラコーナーの進入で先行し3位に浮上し、首位争いをする2台の追い上げを開始した。

 トップ争いは46号車 アップスタート MOLA Z(横溝直輝)と3号車 TOMICA Z(柳田真孝)。同じ日産Z同士の争いとなった。残り9周の1コーナーでトップを走る46号車 アップスタート MOLA Z(横溝直輝)のインに3号車 TOMICA Z(柳田真孝)が飛び込み順位を入れ替えた。

46号車 アップスタート MOLA Zと3号車 TOMICA Zの日産Z同士の首位争い3号車 TOMICA Zがトップに立った

 11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(田中哲也)の快走は続き、首位争いをするZ2台の背後に迫った。ストレート速度に勝る11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(田中哲也)は、残り6周のストレートエンドで46号車 アップスタート MOLA Z(横溝直輝)を抜き2位に浮上。

11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430がZ2台に迫る46号車を抜き3号車に迫る11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430

 今回のレースで11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430の速さは圧倒的で、続く残り5周のストレートで3号車 TOMICA Z(柳田真孝)をあっさりオーバーテイク、そのままゴールまで走りきり第1レースに続き第2レースも優勝した。2位は3号車 TOMICA Z(柳田真孝)、3位は46号車 アップスタート MOLA Z(横溝直輝)となった。

3号車も抜きトップに立った11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430ウィニングラップを走る11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(田中哲也)

 第1レースと第2レースの総合結果で争われるJAF GPは2連勝した11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430が文句なく獲得。総合2位には3号車 TOMICA Z、総合3位は74号車 COROLLA Axio apr GTが獲得した。


GT500第2レース
 3日間のJAF Grand Prix SUPER GT & Formula NIPPON FUJI SPRINT CUP 2010の最後のレースがGT500第2レースだ。

 スタート直後の1コーナーをトップで抜けたのは予選2番手からスタートした6号車 NEOS SC430(伊藤大輔)。その後方で24号車 HIS ADVAN KONDO GT-R(J.P・オリベイラ)が38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)に追突。38号車 ZENT CERUMO SC430はスピンし100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也)も巻き込む多重クラッシュとなった。

スタート直後の1コーナー。1位は6号車 ENEOS SC430。24号車 HIS ADVAN KONDO GT-Rが38号車 ZENT CERUMO SC430に追突。38号車はスピンし100号車 RAYBRIG HSV-010も巻き込む多重クラッシュとなった
混乱をすり抜けコカ・コーラコーナーへ向かう。順位は6号車、12号車、24号車、18号車の順

 混乱の中、18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史)は予選12番手から4位にジャンプアップした。1周目の順位は6号車 NEOS SC430(伊藤大輔)、12号車 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生)、24号車 HIS ADVAN KONDO GT-R(J.P・オリベイラ)、18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史)、35号車 MJ KRAFT SC430(大嶋和也)、17号車 EIHIN HSV-010(金石年弘)、32号車 EPSON HSV-010(道上龍)。

 このレースでも各所でバトルが見られた。2周目の1コーナーで4位の18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史)が24号車 HIS ADVAN KONDO GT-R(J.P・オリベイラ)を抜き4位に浮上。3周目の最終コーナーでは35号車 MJ KRAFT SC430(大嶋和也)も24号車 HIS ADVAN KONDO GT-R(J.P・オリベイラ)を抜き4位。

 序盤から好調なペースで周回する35号車 MJ KRAFT SC430(大嶋和也)が前を走る18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史)に迫った。4周目の最終コーナーで35号車 MJ KRAFT SC430(大嶋和也)は18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史)のインに並び、そのまま長いストレートを両者一歩も譲らず併走し1コーナーへ。

 2台はそのまま1コーナーも併走、コカ・コーラコーナーの進入まで併走しイン側になった18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史)が順位をキープした。

最終コーナーで35号車 MJ KRAFT SC430が18号車 ウイダー HSV-010に並びかけそのまま1コーナーへ。2台はコカ・コーラコーナーまで併走し18号車 ウイダー HSV-010が3位をキープした

 タイヤをいたわり首位をキープする6号車 NEOS SC430(伊藤大輔)の後方ではバトルが続いた。7周目の1コーナーで6位の32号車 EPSON HSV-010(道上龍)は24号車 HIS ADVAN KONDO GT-R(J.P・オリベイラ)にアウトから並びかける。2台は接触し32号車 EPSON HSV-010(道上龍)がはじき出されそうになるが、24号車 HIS ADVAN KONDO GT-R(J.P・オリベイラ)もブレーキングが遅れラインがふくらむ。そこを逃さずクロスラインで32号車 EPSON HSV-010(道上龍)がが抜き5位に浮上した。

 9周目の1コーナーでは18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史)が12号車 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生)を抜き2位へ。11周目の1コーナーでは35号車 MJ KRAFT SC430(大嶋和也)が、タイヤのを傷めた12号車 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生)を抜き3位に浮上した。

 残り5周。序盤のバトルでは抜ききれなかった35号車 MJ KRAFT SC430(大嶋和也)がプリウスコーナーで18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史)のインに飛び込み2位となった。その後方では32号車 EPSON HSV-010(道上龍)が12号車 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生)を抜き4位となった。

2位の18号車 ウイダー HSV-010に迫る35号車 MJ KRAFT SC43035号車 MJ KRAFT SC430が2位に浮上4位の12号車 カルソニック IMPUL GT-Rに迫る32号車 EPSON HSV-010

優勝した6号車 ENEOS SC430

 優勝は6号車 NEOS SC430(伊藤大輔)。トヨタに移籍後、初めてトップでチェッカーを受けることになった。2位には35号車 MJ KRAFT SC430(大嶋和也)、3位は18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史)となった。

 第1レースと第2レースの総合結果は6号車 ENEOS SC430と38号車 ZENT CERUMO SC430が同ポイントとなったが、第1レースおよび第2レースの所要時間を合算し、短い時間を要したものを優先するという規定により、6号車 ENEOS SC430が1位、38号車 ZENT CERUMO SC430が2位となった。3位には35号車 MJ KRAFT SC430(大嶋和也)が入った。

 初開催となったJAF Grand Prix SUPER GT & Formula NIPPON FUJI SPRINT CUP 2010。開催前は100kmのスプリントレースなので、スタートしたら順位の入れ替えもなくそのままゴールするのではとの声も聞こえたが、ふたを開けてみると各レースでバトルが勃発し、エキサイティングなレース展開となった。

 特にSUPER GTはタイヤ温存、後半勝負といった駆け引きが少なくなり、目の前のマシンを抜くという単純な展開がいつも以上のバトルを生む結果となった。年間に8~9戦行われるSUPER GTの1~2戦は、今回のようなスプリント形式のレースを組み込んでも面白いと思われた。

 フォーミュラ・ニッポンはSUPER GTと同じ日に観戦すると、圧倒的な速さを感じることができた。SUPER GTと比べ観客動員で苦戦するフォーミュラ・ニッポンだが、1戦くらいはSUPER GTと同時開催し、その速さと迫力を多くの観客に見てもらったほうが集客につながるのではと感じられたJAF GPであった。

(奥川浩彦)
2010年 11月 19日