トヨタ車体、廃天ぷら油で走るランクルでダカールラリーに参戦 100%バイオディーゼル燃料で市販車部門6連覇に挑戦 |
トヨタ車体は12月6日、「ダカールラリー2011 アルゼンチン・チリ」への参戦を発表、千葉県木更津市のガッツ木更津エンジョイスポーツランドで、報道関係者向けにトヨタ「ランドクルーザー200」をベースとした参戦車両を公開した。
廃天ぷら油から精製されたBDFを使用する |
■廃天ぷら油7000Lで参戦
「パリ・ダカ」で知られるダカールラリーだが、同社は2005年から5回連続で参戦(2008年は大会中止)しており、今回が6回目となる。また5回ともガソリン車を含む市販車部門で優勝しており、前人未到の6連覇を目指すことになる。
チーム名は「TLC」(チームランドクルーザー・トヨタオートボデー)で、森達人監督の指揮のもと、2台のランドクルーザー200を走らせる。
TLCのランドクルーザー200は、バイオディーゼル燃料(BDF)100%を使用するのが大きな特長。植物性油から作られたBDFは、植物の成長過程で吸収されるCO2が、BDFの燃焼で排出されるCO2を相殺するため、CO2排出量ゼロとみなされる。
また、TCLが使用するBDFは、廃天ぷら油7000Lから精製されたもの。廃天ぷら油は小学校~大学の学生、近隣地域、スポンサー、同社取引先、従業員の家庭や会社食堂から回収された。チーム代表であるトヨタ車体の太田力 執行役員は発表会で「自動車に関わる企業として、お客様にさまざまな環境のもとで、安全で快適な自動車ライフをお届けするとともに、環境先進企業として地球環境に配慮したクルマのあり方を提案することも、大切な使命だと考えている」と述べており、同社が環境に配慮しつつモータースポーツに取り組む姿勢をアピールし、人々が環境について考える契機とするのが、BDF使用の狙いだ。
前回は通常の軽油に20%のBDFを混合して使用したが、今回は100%。廃天ぷら油100%での参戦は、過去に片山右京選手が挑戦し、完走している。TLCが狙いどおり市販車部門優勝を遂げれば、初の快挙ということになる。
森監督によると、100%BDFには、「スラッジが増え、燃料供給系のトラブルが増える」などの懸念があったと言う。このため、TLCは前回のダカールラリーでアシスタントカーのランドクルーザーに100%BDFを使用。16日間約9000kmを走破し、問題がないことを確認した。
100%BDFは通常の軽油と同じ使い方が可能で、車両もノーマルのまま。ドライビングやチーム運営、戦略等も変わらない。ベンチテストでは軽油よりも2~3%出力が落ちる一方で、熱効率がよいために燃費がやはり2~3%よくなることが確認されていると言うが、実際にランドクルーザー200に使用してみると「通常の軽油とフィーリングは変わらない」そうだ。
■6連覇に向けてチームを編成
TLCチームは2台のランドクルーザー200をエントリーする。1号車は日本を代表するクロスカントリードライバーの三橋淳選手がドライバー、ダカールラリー参戦歴25年のアラン・ゲネック選手がナビゲーターとして乗り込む。三橋選手は2007年からTLCに参加、2007年、2010年にダカールラリー市販車部門で優勝している。
2号車のドライバーは、さまざまなラリーレイドの出場経験を持つ寺田昌弘選手。ナビゲーターはトヨタ車体の社員ナビゲーターであり、2011がダカールラリーデビューとなる田中幸祐選手が務める。
同社はトヨタ自動車とともにランドクルーザー200を開発・生産しているが、その性能の高さを証明するため、ダカールラリーに参戦している。今回はエースドライバーの三橋選手以外はドライバー、ナビゲーターを一新。2号車は、1号車のサポートに加え、社員ナビゲーターの育成というミッションも負う。
「6連覇」「ナビゲーター育成」「100%BDF使用」を前提に、チーム編成を見なおしたと言う森監督。「6月のモロッコでの訓練、先だってのファラオラリー参戦とチームで準備を重ね、11月にはパリで最終シェイクダウンをした。ここまでは順調に来ていると確信している。このまま南米に乗り込んで、メンバーが自分たちの力を発揮してくれれば、6連覇は必ず達成できると思っている」と、自信をのぞかせた。
ダカールラリーの優勝トロフィー(左)とロードブック(右)。ロードブックはその日のステージをゴールすると、次の日の1冊が主催者から渡される | |
太田代表 | 「自分としても次は3度目の優勝。6連覇の記録を持ち帰りたい」と話す三橋選手 |
(編集部:田中真一郎)
2010年 12月 7日