米国トヨタ、CESで車載用新マルチメディアシステム「Entune」公開 Linux OSを搭載し、外部アプリケーションの利用が可能 |
センターコンソールを模した状態でのデモ |
トヨタ自動車の米国法人TMS(Toyota Motor Sales)U.S.Aは1月4日(現地時間)、翌々日より米国ネバダ州ラスベガスで開催されるInternational CESに先立ちプレスリリースを発行し、同社が米国で導入を計画している新マルチメディアシステム「Entune(エンチューン)」を今夏出荷に向けて開発中であることを明らかにした。また、International CESの報道関係者向けのイベントである「CES Unveild」においても、製品のサンプルを展示した。TMS USAでは今年中に発表するモデルにオプションとして設定する予定になっている。
Entuneは、いわゆるIVI(In-Vehicle Infotainment)向けの製品で、従来は道案内の機能が中心となっていたカーナビに、データ処理機能を追加したもの。ユーザーはEntuneを利用して、アプリケーションベンダーから提供されるアプリケーションをインストールして機能を追加することなどが可能になる。
■スマートフォンがクルマのコンソールに入った「Entune」
Entuneの機能を一言で説明するのであれば、“クルマのコンソールにスマートフォンが統合された”という表現がぴったりくるだろう。システムは、スマートフォンで標準採用されているARMアーキテクチャーのプロセッサー上でLinux OSが動作しており、その上にトヨタ独自のアプリケーション用のプラットフォームが用意される。
このアプリの開発には、トヨタが契約ベースで提供するSDK(ソフトウェア開発キット)が必要であり、開発されたアプリは、同社の承認を受けたものだけが、同社の開設する予定のアプリケーションストアを通じてユーザーに提供される。
エンドユーザーはトヨタのアプリケーションストアを通じてアプリを手に入れ、Entuneの機能を拡張することが可能になる。説明員によれば、現在のところアプリケーションストアがどのようなビジネスモデルになるかは検討中であるが、スマートフォンで採用されているのと同じような仕組みになる可能性が高いとのことだった。
なお、標準状態ではマイクロソフトの検索サービスである「Bing」を音声で利用できるアプリや、交通情報やガソリン価格情報を知ることができるアプリがインストールされており、今後も対応アプリケーションはどんどん増やしていくということだった。
自動車業界はこうしたモバイルアプリケーションの仕組みに取り組んでおり、フォードもMicrosoft Syncをベースにしたシステムを開発していることをすでに明らかにしている。トヨタが同様な取り組みを発表したことで、米国ではこのようなシステムが日本よりも一足先に普及していくことになりそうだ。
Bingアプリでの検索画面 | Android OSベースのタブレットデバイスでも、Entuneのデモは行われていた。これはベースが同じLinuxであるためで、市販のタブレットデバイスでも動くという訳ではない |
(笠原一輝)
2011年 1月 5日