ビー・エム・ダブリュー、「MINIクロスオーバー」の期間限定特設ショールーム開設 MINIクロスオーバーの技術の詳細を説明 |
ビー・エム・ダブリューは、「MINIクロスオーバー」のコンセプトを表現する体験型ショールーム「MINIオープンハウス」を、1月29日と30日に、東京都江東区の青海K街区特設会場に開設する。開場時間は10時~18時で、入場無料。来場記念品としてMINIオリジナル卓上カレンダーが用意される。
開幕に先立つ1月18日、報道関係者向けに特設会場を公開し、MINIクロスオーバーの詳細を説明した。
MINIオープンハウス。MINIクロスオーバーとの生活をイメージしたセットが設けられている |
■期間限定MINIクロスオーバーの体験型ショールーム
MINIクロスオーバーは1月13日に発売されたMINIブランド初のSUV。ハッチバック、カントリーマン、コンバーチブルに続く4つ目のMINIとなる。
MINIで初めて4枚のドア(リアハッチを含めると5枚)を備え、初めて全長が4mを超えるほか、初めて4WDモデルがラインアップされる。一方で立体駐車場の使用を勘案して、日本仕様は全高を1550mmに抑えるといった対策も施されている。
ゆとりのある車内空間と増えたドアと4WDシステムがMINIブランドへの敷居を下げ、「あらゆる年代のシングル、カップル、ファミリー」(同社MINIマーケティング バートラム・シュネック本部長)と、幅広いユーザーが想定されている。
MINIクロスオーバーが持つ従来のMINIとは異なる特長を、実車と展示で体験できるのが、MINIオープンハウスだ。
MINIクロスオーバーが都会でもアウトドアでも使いやすいことを表現するため、特設されたテントには都会のスタイリッシュな部屋と、海や山などをイメージしたスペースが用意され、それぞれにMINIクロスオーバーを置く。展示車には乗り込むことができ、従来のMINIよりも広い室内空間や、さまざまなアクセサリーを取り付けることができるセンター・レール・システムを体感することができる。
またMINIクロスオーバーに搭載されたテクノロジ-を説明する展示や、MINI関連グッズの販売も行われる。
さらに会場では「4DOOR×4WD×4LUCKY!」と銘打ち、ミニチュアカーペインティング、ベビーレーサーゲーム、ゴールキックゲーム、クイズラリーの4つのゲームに参加するとプレゼントが貰えるイベントが行われる。
佐藤毅チーム・リーダー |
■伝統と革新はボディー全体に
報道関係者向けの公開は、「MINIクロスオーバー・エクスペリエンス・イベント」と名付けられた。発売日の1月13日にも発表会が開催されているが、エクスペリエンス・イベントでは、MINIクロスオーバーについてさらに突っ込んだプレゼンテーションが披露された。
同社MINIマーケティング MINIプロダクト・マネジメント・チームの佐藤毅チーム・リーダーは、MINIのスタイリングにおける、「伝統と革新」を説明。これは1月13日の発表会でも採り上げられたテーマだが、ここではより詳細な解説が加えられた。
発表会ではフロントグリルとヘッドライトの形、円と楕円で構成されたインテリアが、MINIらしさの表現とされていたが、今回はこれに加え「地面と平行なルーフラインと、後方へ向かって上昇するショルダーライン」「ボディーにグリーンハウスを重ね、ルーフからショルダー、ショルダーからホイールにかけて滝の流れのような線が描かれるカスケードライン」「最大限の室内空間と、最小限のエンジンルーム」を、伝統的なMINIのスタイリング要素として取り上げた。
また、MINIクロスオーバーで初めて採用された要素として、Cピラーでルーフが下がり、ウインドーグラフィックに変化をつける「ヘルメット・デザイン」と、ボディーサイド下部のキャラクターラインを紹介。ヘルメット・デザインは「Cピラーより後ろにポイントを置いて4ドアであることを強調し、同時に4ドアでもMINIらしいプロポーションを保つ」、キャラクターラインは「他のMINIより全高が高くてもシャープさを出す」という効果があると説明した。
さらに、前方から見ると円形だが、サイドから見ると涙滴形状になる立体的な造形のヘッドライト、やはり立体的に盛り上げられたテールランプ、テールゲート中央に移され、ゲートオープナーの役目も負うMINIのエンブレム「バード・ロゴ」も、革新的な要素にあげた。
インテリアで特長となるセンター・レールは、標準では前後席のレールが繋がった、4シーターとなるが、無償オプションで5シーターも用意。5シーター仕様では後席センター・レールが無くなるが「5シーターでも後席でセンター・レールを使えるシステムを、今後展開する」としている。
ハッチバック(左)とクロスオーバー(右)のグリルはほぼ同じ形 | ||
サイドビューのルーフラインとショルダーラインの関係もハッチバック(左)と同じ | カスケード・デザインも継承 | |
最大限の室内空間と最小限のエンジンルームはクラシックMINIからの伝統 | クラシックMINI(上段)、MINIハッチバック、MINIクロスオーバーの3台に、同じデザイン・アイコンが使われている |
ハッチバックのインテリア(左)とクロスオーバーのインテリア。ほぼ同じ | |
円と楕円で構成されたインテリア |
ルーフのヘルメット・デザインやサイドのキャラクター・ラインなどはMINIクロスオーバーで初めて取り入れられた手法 | ||
センター・レール・システムは、標準では前後席のレールが繋がったタイプだが、4シータースプリットタイプも用意。無償オプションで後席のレールがない5シーターにもなる |
ネビヨ・マンツェ本部長 |
■ALL4でコーナーリングのスタビリティも向上
MINIクロスオーバーのメカニズムについては、同社エンジニアリング・ディビジョンのネビヨ・マンツェ本部長が説明した。
最初に説明されたのは、MINI初搭載となる4WDシステム「ALL4」。フロントに横置きされたエンジンとトランスミッションからの出力は、デファレンシャルと各種ギアを組み合わせた「パワー・テイク・オフ」と呼ばれる部分で前輪と後輪に振り分けられる。後輪へのプロペラシャフトの、パワー・テイク・オフの直後には、「スリップ・イン・チューブ」と呼ばれる部分が設けられている。スリップ・イン・チューブは前後方向に伸縮する性質を持つドライブシャフトで、乗員に伝わる振動を軽減し、衝突時にはショックを吸収する役目を持つ。
前後のトルク配分を制御する多板クラッチ「ALL4クラッチ」は、リアデファレンシャルの前に配置する。前後トルク配分は通常約50:50だが、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール:横滑り防止装置)のデータを元に、必要であればリアに100%の駆動力を配分する。発進・停止がしやすくなったり、路面状況が変わっても安定して走行できるだけでなく、コーナーリングや障害物の緊急回避時のスタビリティも向上するという。
このほか、ブレーキ・エネルギー回生システムやマッピング式オイルポンプ、切り替え式ウォーターポンプ、電動パワーステアリング、スタート&ストップシステム(MTのみ)といった「ミニマリズム」ブランドで総称される環境技術もアピールした。
シュネック本部長 |
MINIマーケティングのシュネック本部長は「MINIは自動車業界の常識を打ち破ってきた」と、MINIの歴史を振り返った。コンパクトカー=安価で単純なデザインという常識がはびこる中、「プレミアム・カーはサイズが問題なのではないと証明した」「アレック・イシゴニスが革新的なFFコンセプトの最初のMINIを設計したときから、MINIはパイオニアでありつづけた」と、MINIがプレミアム・コンパクト・セグメントを創り出したとアピール。
またMINIは「ライフスタイルを提案するクルマ。常に新しく自らを作り替え、飽きられず、画一的にならない。トレンドの最先端を行く。MINIを購入するということは、クルマを“装う”ということ」「MINIは単なるクルマではなく、ライフスタイルの表現であり、生活空間である」と、MINIが単なる移動手段を超えた、自己表現のためのツールであるとした。
(編集部:田中真一郎)
2011年 1月 18日