ニスモ、「GT-R クラブトラックエディション」のレーシングスクール開催
水野氏は2012年モデルのエンジン出力向上を示唆

GT-R クラブトラックエディションのレーシングスクールは富士スピードウェイで行われた

2011年7月28日開催



 NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)は7月28日、サーキット走行専用のGT-R「Club Track edition(クラブトラックエディション)」のレーシングスクールを富士スピードウェイで開催した。

 クラブトラックエディションはNISMO大森ファクトリー、ノバ・エンジニアリング、ノルドリンクの3社で販売されるサーキット専用モデル。標準モデルのGT-R Pure editionをベースに、70kgの軽量化、ビルシュタイン製の専用車高調整式サスペンション、ロールケージ、スリックタイヤ、6点式シートベルトといった数々のサーキット専用品を装備。

 エンジンは標準モデルと同じく、390kW(530PS)/6400rpm、612Nm(62.5kgm)/3200~6000rpmを発生するV型6気筒DOHC 3.8リッターターボエンジン「VR38DETT」を搭載する。

 このクラブトラックエディションを購入すると、レーシングスクールプログラム(別途年会費と年間委託料が必要)に参加することができる。レーシングスクールでは、GT-Rの開発ドライバーを務める鈴木利男氏を筆頭に、NISMO契約ドライバーの田中哲也選手、藤井誠暢選手といった豪華講師陣による先導走行や同乗走行のほか、データロガーや車載映像、GPSなどを活用した講習が用意される。

 また、車両保管料(各サーキットへの輸送を含む)や点検代は年間委託料に含まれており、ユーザーはレーシングスクールが行われる各サーキットに出向けばよい。さらに年間委託料にはスリックタイヤ、ブレーキローター、ブレーキパッドといった消耗品の無償交換(1回/年)を含むほか、専用ECM(Engine Control Module)、専用TCM(Transmission Control Module)、専用ABS/VDCユニットの提供を受けることができ、その都度コスト等を意識することなくサーキット走行を楽しめるようになっている。

 5月に袖ヶ浦フォレストレースウェイで行われた車両引渡し式(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20110516_446085.html)でも、プラクティス走行を主としたレーシングスクールが開かれた。今回ははじめに座額講習が行われ、富士スピードウェイの攻略法について鈴木氏が紹介。その後プラクティス、タイムアタック、模擬レースというプログラムが用意され、より実践的なプログラムが組まれていた。

GT-R開発責任者の水野和敏氏も参加講師陣はGT-Rの開発ドライバーを務める鈴木利男氏を始め、田中哲也選手、藤井誠暢選手らが務める鈴木氏は富士スピードウェイの攻略法などについて紹介
富士スピードウェイのコース図ダンロップコーナーから13コーナーまでのコース取りプリウスコーナーからパナソニックコーナーまでのコース取り
田中選手、藤井選手はコースへ出る前にシートポジションについてのレクチャーを行っていた走行後はデータロガーや車載映像を使った講義も行われる
田中選手、藤井選手による同乗走行も行われていた

「これがないと落ち着かない」と、ホワイトボードを使って2007年モデルと2011年モデルの荷重のかかり方の違いについて説明する水野氏

 その座額講習の前に、GT-R開発責任者の水野和敏氏がクラブトラックエディションの開発を現在も継続して行っていることを明らかにした。「(ベース車両の)GT-Rというクルマは毎年進化する。今年も開発を行っており、先日も2日間みっちりやってきた。それに合わせて皆さんのクラブトラックエディションも2012年バージョンにアップできるプログラムを用意する」と述べ、GT-Rのデビュー以来、毎年行っているバージョンアップを今年も実施することを明言。その改善点はブレーキ、エンジン、ボディー補強など多岐にわたり、「一部雑誌に書かれているが、間違いなく2012年モデルのエンジンはパワーアップするでしょう」と、現在の530PSを確実に上回ることを示唆した。

 また、「皆さんのドライバーズスキルが上がるにつれ、もう少しダウンフォースが欲しいとか要望が出てくるはず。その要望に応えるアップグレードキットも開発していきたい」と述べ、クラブトラックエディション向けのパーツ開発を検討するとした。

 また、同レーシングスクールをインターナショナルなイベントにしていきたいとし、まずはイギリスとオーストラリアで開催できないか交渉している段階とした。プログラムのラストにニスモフェスティバルでショートレースを開催する予定だが、「イギリスやオーストラリアの上位何名かをニスモフェスティバルに呼んで、皆さんとレースをしてもらう。そんな体験ができるよう数年以内に実現したい」と述べた。

 なお、当日はあいにく雨模様の天候だったが、参加者は富士スピードウェイの攻略法をはじめ、雨天時の走らせ方などを講師陣からレクチャーを受けており、実りある1日を過ごしていたようだ。

今回のレーシングスクールに参加したクラブトラックエディション。当日はあいにくの雨模様だったため、スリックタイヤではなく標準モデルに装着されるダンロップ製の純正タイヤを装着していた。またボディーペイントは自由で、中にはマイケル・ジャクソンを偲ぶカラーリングを施す車両も

(編集部:小林 隆)
2011年 7月 29日