SUPER GT第5戦鈴鹿は、ウイダー HSV-010がS Road MOLA GT-Rを振り切り優勝
GT300では、R&D SPORT LEGACY B4が鈴鹿を連覇

今季2勝目を挙げたウイダー HSV-010

2011年8月21日決勝開催



 8月21日、2011 AUTOBACS SUPER GT第5戦「第40回 インターナショナル ポッカ GT サマースペシャル」の決勝が鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催された。雨が降ったり止んだりする難しい天候の中、GT500クラスは1号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル)が46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)の追い上げを振り切り今季2勝目、GT300クラスは62号車 R&D SPORT LEGACY B4(山野哲也/佐々木孝太)今季初優勝し夏の鈴鹿2連勝を飾った。

 例年は灼熱のレースとなる夏の鈴鹿決戦だが、今年は前戦のSUGOと同様、太陽が1度も顔を出さない週末となった。土曜の公式練習と予選Q1は曇り、Q2、Q3は雨。日曜も朝のフリー走行は雨、決勝も時折降り出す雨で路面コンディションが刻々と変わる難しい天候のレースとなった。

 以前は1000km、一昨年から700kmで行われたポッカ GT サマースペシャルだが、今年は震災の影響もあり500kmに短縮となった。短くなったとは言えほかのレースが250kmなので倍の距離を走ることとなる。2度のドライバー交代が義務付けられていることも普段のレースとは異なっている。

GT500クラス
 GT500クラスは前半の4戦を終えてGT-Rが3勝、HSV-010が1勝。ドライバーズポイントは46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)が41ポイントを獲得し頭一つ先行している。2位以下は混戦模様となっている。

SUPER GT第4戦SUGOまでのポイントランキング

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)41
2位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)30
3位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)26
4位1号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル)24
5位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)24
6位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)23
7位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー/中嶋一貴)23
8位24号車 ADVAN KONDO GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)22
9位12号車 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)20
10位39号車 DENSO SARD SC430(石浦宏明/井口卓人)20
11位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)15
12位19号車 WedsSport ADVAN SC430(片岡龍也/荒聖治)14
13位32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)12
14位8号車 ARTA HSV-010(武藤英紀/小林崇志)5
15位35号車 D'STATION KeePer SC430(脇阪寿一/アンドレ・クート)1

 GT500クラスはここに来てタイヤメーカーの勢力図に大きな変化が見られた。圧倒的に強かったブリヂストンタイヤに対しミシュランタイヤ、ヨコハマタイヤ、ダンロップタイヤが一気に攻勢をかけてきた。前戦のSUGOではミシュランが1位、2位、ダンロップが3位、ヨコハマが4位。例年より涼しく、雨の影響も大きい今年の鈴鹿はタイヤ選択が勝敗を左右する可能性が高い。

GT500スタートシーン(Photo:Burner Images)

 予選でポールポジションを獲得したのは46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)。SUGOに続き2戦連続で雨の予選を制した。グリッド3列目までにGT-Rが3台、HSV-010が3台となりSC430のトップは39号車 DENSO SARD SC430(石浦宏明/井口卓人)の7位が最高位となった。

 スタート直前まで降っていた雨が止み、路面はウェット、空は曇りの状態でレースは始まった。最初の1コーナーを制したのはポールポジションの46号車 S Road MOLA GT-R(ロニー・クインタレッリ)。ミシュランタイヤがウェット路面にフィットし序盤から後続を引き離しあっと言う間に独走態勢を築いた。


46号車がトップをキープ2周目で2位以下を引き離す46号車

 ペースが上がらないのは17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘)と23号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)。後続を押さえ込みそれぞれ2位集団と5位集団の先頭を塞ぐ形となる。

5位の23号車は後続から攻められる46号車は3周目には一人旅状態

 ところがマシンが舞上げる水しぶきが減り出すと、浅溝のレインタイヤでスタートした23号車 MOTUL AUTECH GT-Rがペースを上げ、後続を振り切ると2位集団との差を一気に縮める展開となった。

 23号車 MOTUL AUTECH GT-Rは5周目の逆バンク立ち上がりで1号車 ウイダー HSV-010(ロイック・デュバル)、直後のヘアピンで17号車 KEIHIN HSV-010を抜き3位へポジションアップ。7周目の1コーナーで12号車 カルソニック IMPUL GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)も抜き2位に浮上した。

路面が変化し、23号車は後続を振り切る17号車、1号車を抜き3位へ浮上
2位の12号車との差を縮める12号車を抜き2位浮上

 後方ではもう1台快進撃を見せるマシンがあった。前戦SUGOで3位表彰台を獲得した32号車 EPSON HSV-010(道上龍)が14番グリッドのスタートから着実に順位を上げてきた。3周目に13位、4周目に11位、5周目に10位、6周目に9位、8周目に8位とダンロップタイヤとウェット路面の相性のよさを見せつけた。

 さらに9周目には2台抜いて6位、10周目のスプーン立ち上がりで39号車 DENSO SARD SC430(石浦宏明)の背後に付き西ストレートで抜き5位までポジションアップした。どこまで順位を上げるのかと注目が集まった瞬間にアクシデントが発生した。

 5位に浮上し最終コーナーを駆け下った32号車 EPSON HSV-010がそのままコースアウトしスポンジバリアに激しく衝突。幸いすぐにコースに戻り、緊急ピットインすることなく走行を続けられたが、順位は13位まで後退してしまった。

32号車も後方から順位を上げてきた35号車を抜き9位へポジションアップ
5位争いの集団に追いつき、この後全て抜き去り5位に上がるがクラッシュしてスポンジバリアの破片をノーズに付けたまま走行を続けた

 32号車 EPSON HSV-010はその後も快走を続け、レース後半では4位まで浮上したが、終盤にもスピンを喫し結果は残せなかった。しかしウェットでのダンロップタイヤの速さは印象に残るレースとなった。

 46号車 S Road MOLA GT-Rは4周目には2位の12号車 カルソニック IMPUL GT-Rと8秒差を付け独走するかに見えたが、2位に上がった23号車 MOTUL AUTECH GT-Rがその差を一気に詰めた。12周目には1秒以下に迫りテール・トゥ・ノーズの争いに。15周目の2コーナーでGT300の車両に引っかかり行き場を失ったところをパスされ2位に後退。ついに23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが首位に浮上した。

23号車が46号車に追いつき攻め立てる
2コーナーでGT300にラインを塞がれた46号車ついに23号車がトップ浮上

 トップに立った23号車 MOTUL AUTECH GT-Rは1周3秒ほど速いラップタイムで後続を引き離し20周目には13秒、25周目には32秒の差を付け独走態勢を築いた。一時は雨が止み、このまま路面はドライへ向かうかと思われたが、25周目あたりからまた雨が降り出し、先が読めない天候となった。

 浅溝のレインタイヤで快走する23号車 MOTUL AUTECH GT-Rを見て早々に深溝から浅溝に切り換えたのが36号車 PETRONAS TOM'S SC430だ。21周目にピットインしアンドレ・ロッテラー選手から中嶋一貴選手にドライバー交代、後方から追い上げる作戦に出た。

 26周を消化したあたりから上位陣のピットインが始まった。26周目に1号車 ウイダー HSV-010、28周目には23号車 MOTUL AUTECH GT-Rと12号車 カルソニック IMPUL GT-R、31周目には46号車 S Road MOLA GT-Rもピットインしドライバー交代、給油、タイヤ交換を行った。

 各車が浅溝のレインタイヤを選択する中、トップを独走する23号車 MOTUL AUTECH GT-Rは逆に深溝のレインタイヤに変更。はたして雨は強くなるのか。第2スティントのドライバーはレース周回の1/3の走行が義務付けとなるため、最低でも29周を消化しなければならない。第1スティントのように、作戦を変更して早めのピットインはできないので、ここでタイヤ選択を間違うと大きく順位を落とすことになる。

 1回目のピットインが終わった段階の順位は23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲)が18秒の差を付けトップ。2位以下は36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)、1号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史)、12号車 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生)、100号車 RAYBRIG HSV-010(山本尚貴)、46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝)、39号車 DENSO SARD SC430(井口卓人)となった。

 早めにタイヤ交換を行った36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)と100号車 RAYBRIG HSV-010(山本尚貴)が順位を上げタイヤ交換を遅らせたチームは順位を落とした。

 第2スティントで速さを見せたのは1号車 ウイダー HSV-010だった。2位の36号車 PETRONAS TOM'S SC430を攻め立て、39周目のデグナーで36号車 PETRONAS TOM'S SC430がコースアウトし順位を入れ替えた。逆に第2スティントでペースを落としたのは深溝のレインタイヤを選択した23号車 MOTUL AUTECH GT-R、大量のマージンをあっと言う間に吐き出してしまった。

深溝のレインタイヤでペースを落とし1号車に迫られる23号車

 23号車 MOTUL AUTECH GT-Rと1号車 ウイダー HSV-010の差は30周目には34秒もあったが、35周目には17秒、38周目には9秒、40周目には3秒と縮まった。タイヤ選択を誤った23号車 MOTUL AUTECH GT-Rにはなす術はなく43周目のデグナー手前であっさりと順位を入れ替え1号車 ウイダー HSV-010がついにトップに立った。

 100号車 RAYBRIG HSV-010と39号車 DENSO SARD SC430も第2スティントで速さを見せていた。12号車 カルソニック IMPUL GT-Rを抜き100号車 RAYBRIG HSV-010が4位、39号車 DENSO SARD SC430が5位まで順位を上げ、さらに上位との差を縮めたところで大きなアクシデントが発生した。

セーフティカー導入

 100号車 RAYBRIG HSV-010がペアピンからスプーンへ向かうところで2輪用のシケインの縁石にタイヤを乗せてスピン。そのまま200Rで激しくクラッシュしスポンジバリアに乗り上げる形でマシンが停止。ドライバーの山本尚貴選手は無事だったがセーフティカーが導入されレースは一旦リセットされることとなった。

 レース再開後は1号車 ウイダー HSV-010が逃げ、23号車 MOTUL AUTECH GT-Rは後続に次々の抜かれ順位を落とした。1号車 ウイダー HSV-010はシケインで2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電(高橋一穂)との接触でスピンし一時的に2位へ後退するがすぐに1位を取り返し62周目にピットイン、最後は浅溝のレインタイヤでゴールを目指すこととなった。


再開すると1号車が後続を突き放す2位の23号車は後続を抑える36号車、39号車が23号車を抜いていった
12号車も23号車をパス1号車のスピンで36号車が一瞬トップに立った

 2回目のピットインで上位陣は浅溝のレインタイヤを選択する中、スリックタイヤを選択したのが46号車 S Road MOLA GT-R(ロニー・クインタレッリ)だ。序盤はトップを走るも、事実上の7位まで後退していたのでギャンブルに出た。

 路面が乾くにつれ46号車 S Road MOLA GT-Rのペースが上がっていく。67周目には6位、69周目には5位、70周目には4位と順位を上げ2位争いをする36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)と12号車 カルソニック IMPUL GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)の背後にピタリと付いた。

 残り10周となる78周目のスプーンで36号車 PETRONAS TOM'S SC430と12号車 カルソニック IMPUL GT-Rが接触。36号車 PETRONAS TOM'S SC430がコースアウトし順位を落とした。46号車 S Road MOLA GT-Rは2位になった12号車 カルソニック IMPUL GT-Rを追い回し80周目のS字で抜き、残る1号車 ウイダー HSV-010を猛追することとなった。

終盤、2位争いをする36号車と12号車2位になった12号車を攻め立てる46号車46号車は2位に上がり1号車を追う

 1号車 ウイダー HSV-010と46号車 S Road MOLA GT-Rはピットアウト直後は1分以上の差があったが、70周目には51秒、75周目には25秒、80周目には12秒と一気にその差は縮まった。87周の決勝レースは残り7周で2台のマッチレースとなった。

 ここで46号車 S Road MOLA GT-Rに1つ不利な情報が出てきた。このレースは500km、87周で争われるが、レース時間の制限もありゴールは18時30分までとなっている。ドライのレースであれば3時間弱でゴールするので18時ごろにレースが終了すると予想されたが、ウェットレースとセーフティカー導入により87周より先に18時30分の時間制限が先に来そうだ。逃げる1号車 ウイダー HSV-010は1周でも早くレースが終わってほしいのでやや有利な展開となった。

 2台の差はさらに縮まり、81周目には8.277秒、82周目には4.337秒、83周目には3.122秒となった。周回数は1周短縮され86周でゴールとなった。ここで46号車 S Road MOLA GT-Rに2つ目の不利な条件が加わった。残り4周あまりで雨が降り出したのだ。84周目に2台の差は1.802秒まで接近するが、残り2周は路面が濡れ始め浅溝のレインタイヤを履く1号車 ウイダー HSV-010がその差が5秒、6秒と広げてチェッカーを受けた。

46号車は最後に雨が降り逆転はできなかったウィニングラップを走る1号車と46号車GT500クラス表彰台(Photo:Burner Images)

 変化する路面コンディションとタイヤ選択が難しく、何度もトップが入れ替わるレースとなった。勝った1号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル)は今期2勝目、2位の46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)はポイントリーダーを死守した。

最終順位(GT500クラス)

順位マシン名(ドライバー名)
1位1号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル)
2位46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)
3位12号車 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)
4位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)
5位39号車 DENSO SARD SC430(石浦宏明/井口卓人)
6位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー/中嶋一貴)
7位35号車 D'STATION KeePer SC430(脇阪寿一/アンドレ・クート)
8位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)
9位8号車 ARTA HSV-010(武藤英紀/小林崇志)
10位24号車 ADVAN KONDO GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)
11位19号車 WedsSport ADVAN SC430(片岡龍也/荒聖治)
12位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)
13位32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)
14位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)

 今季のドライバーズポイント争いは、全戦でポイントを挙げている46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)がかなり有利な展開となってきた。

ポイントランキング

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)56
2位1号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル)44
3位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)34
4位12号車 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)31
5位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)30
6位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー/中嶋一貴)28
7位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)27
8位39号車 DENSO SARD SC430(石浦宏明/井口卓人)26
9位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)23
10位24号車 ADVAN KONDO GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)23
11位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)15
12位19号車 WedsSport ADVAN SC430(片岡龍也/荒聖治)14
13位32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)12
14位8号車 ARTA HSV-010(武藤英紀/小林崇志)7
15位35号車 D'STATION KeePer SC430(脇阪寿一/アンドレ・クート)5

優勝した1号車 ウイダー HSV-010
2位の46号車 S Road MOLA GT-R
3位の12号車 カルソニック IMPUL GT-R

GT300クラス
 GT300クラスは性能調整の効果もあり前戦SUGOでは国産車勢が表彰台を独占した。4戦を終えた時点の上位陣のドライバーズポイントは、11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458(田中哲也/平中克幸)、4号車 初音ミク グッドスマイル BMW(谷口信輝/番場琢)が頭1つリードしているが、勢力図が変わったことで、今後はポイント差が縮まる可能性は高い。

SUPER GT第4戦SUGOまでのポイントランキング

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458(田中哲也/平中克幸)49
2位4号車 初音ミク グッドスマイル BMW(谷口信輝/番場琢)39
3位74号車 COROLLA Axio apr GT(新田守男/国本雄資)29
4位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)28
5位66号車 triple a Vantage GT2(吉本大樹/星野一樹)23
6位43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)22
7位14号車 SG CHANGI IS350(折目遼/アレキサンドレ・インペラトーリ)20
9位25号車 ZENT Porsche RSR(都筑晶裕/土屋武士)19
10位27号車 PACIFIC NAC イカ娘 フェラーリ(山岸大/山内英輝)17

 予選はQ1は曇り、Q2、Q3は雨の中で行われ前戦のSUGOと同じく43号車 ARTA Garaiyaがポールポジションを獲得した。43号車 ARTA Garaiyaはドライで行われたQ1でタイムが伸びず予選敗退と思われたが、上位に予選基準タイムをクリアできないドライバーがいるチームがあり、それらのチームの失格により繰り上がりでQ2に進むことができた。雨となったQ2以降では好調な走りを見せ、2戦連続のポールポジション獲得となった。

GT300クラスのスタートシーン(Photo:Burner Images)

 雨は止んだが路面はウェットコンディションの中決勝レースがスタートした。いきなり33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美)が43号車 ARTA Garaiya(高木真一)にアウトから並びかけたが順位は変わらず、43号車 ARTA Garaiyaがトップをキープしてレースは始まった。


43号車が2コーナーの攻防を制しトップ徐々に後続を引き離す独走態勢を築くかと思われた

2位争いが始まった

 路面が濡れていた序盤は43号車 ARTA Garaiyaが後続を4.8秒引き離しこのまま独走になるかと思われたが、路面の水しぶきが上がらなくなると徐々に後続との差は縮まっていった。

 序盤から好調な走りを見せたのは、昨年の鈴鹿の覇者、62号車 R&D SPORT LEGACY B4(佐々木孝太)だ。スタート直後から33号車 HANKOOK PORSCHEを攻め立て、4周目の2コーナーでインに飛び込む。そのまま短いストレート、S字一つ目までをサイド・バイ・サイドで競り合い、次の右コーナーで突き放した。


2コーナーでふくらんだ33号車のインに62号車が飛び込みサイド・バイ・サイドでS字まで競り合い62号車が2位浮上

 62号車 R&D SPORT LEGACY B4は2位に上がると1位との差を徐々に詰め、9周目に入るストレートで43号車 ARTA Garaiyaを抜き去りトップに浮上した。

トップの43号車に62号車が近付いてきたテール・トゥ・ノーズの争いへストレートで抜き62号車がトップ浮上

 後方からいつもどおりの追い上げを見せたのは2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電(加藤寛規)だ。予選11番手からスタートし1周目に10位、2周目に9位、4周目に8位、7周目に7位、10周目に6位、11周目には4位までポジションを上げてきた。

27号車を抜き9位へ87号車を抜き8位へ25号車を抜き7位へ
4号車に追い付き、S字で並びかけ、逆バンクで6位浮上

 25周あたりから上位陣のピットインが始まった。5位まで後退した33号車 HANKOOK PORSCHEが24周目にピットイン、トップの62号車 R&D SPORT LEGACY B4が31周目、次の周に43号車 ARTA Garaiyaがピットインし、2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電が代わってトップに立った。

 100号車 RAYBRIG HSV-010のクラッシュでセーフティカーが導入されると同時に2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電が38周目でピットイン、5番手でコースに復帰した。仕切り直しとなった段階の順位は1位が62号車 R&D SPORT LEGACY B4(山野哲也)、2位が43号車 ARTA Garaiya(松浦孝亮)、3位が前戦SUGOで優勝した14号車 SG CHANGI IS350(アレキサンドレ・インペラトーリ)、4位が88号車 JLOC ランボルギーニ RG-3(井入宏之)、5位が2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電(高橋一穂)となった。

レース再開62号車は43号車を引き離す

 レースが再開すると後方から33号車 HANKOOK PORSCHE(藤井誠暢)が徐々に順位を上げてきた。53周目に入るストレートで43号車 ARTA Garaiyaを抜き再び62号車 R&D SPORT LEGACY B4とのバトルへと発展した。

後方から33号車が順位を上げてきた43号車を抜き2位浮上

 58周目にトップを争う2台が同時にピットイン。スリックタイヤで最後のスティントに臨んだ。早くタイヤに熱が入ったのは33号車 HANKOOK PORSCHE。ヘアピンの進入で62号車 R&D SPORT LEGACY B4を抜きトップに浮上した。

 タイヤの暖まった62号車 R&D SPORT LEGACY B4は逆に33号車 HANKOOK PORSCHEを攻め立て1秒以下の争いが6周にわたり繰り広げられた。71周目のスプーン立ち上がりから62号車 R&D SPORT LEGACY B4が並びかけサイド・バイ・サイド。130Rの進入で先行しトップに返り咲いた。抜かれたに33号車 HANKOOK PORSCHEは130Rをオーバーラン。すぐにコースに戻ったがここで勝負は決まった。

33号車は62号車を抜きトップへ再び62号車が抜き返した

 残り8周は雨が降り始め両者とも徐々にペースダウン。62号車 R&D SPORT LEGACY B4が昨年の鈴鹿以来1年ぶりに優勝を飾った。2位には33号車 HANKOOK PORSCHE、3位には粘り強く走った87号車 リール ランボルギーニ RG-3(余郷敦/織戸学)入り表彰台を獲得した。43号車 ARTA Garaiyaは2回目のピット作業後にダンロップコーナーでマシンから火が出てリタイヤとなった。2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電はレース再開後に1号車 ウイダー HSV-010と接触しスピン、5位でチェッカーを受けた。

最終順位(GT300クラス)

順位マシン名(ドライバー名)
1位62号車 R&D SPORT LEGACY B4(山野哲也/佐々木孝太)
2位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)
3位87号車 リール ランボルギーニ RG-3(余郷敦/織戸学)
4位11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458(田中哲也/平中克幸)
5位4号車 初音ミク グッドスマイル BMW(谷口信輝/番場琢)
6位2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電(高橋一穂/加藤寛規)
7位74号車 COROLLA Axio apr GT(新田守男/国本雄資)
8位14号車 SG CHANGI IS350(折目遼/アレキサンドレ・インペラトーリ)
9位25号車 ZENT Porsche RSR(都筑晶裕/土屋武士)
10位86号車 JLOC ランボルギーニ RG-3(坂本祐也/青木孝行)

ウイニングラップを走る62号車GT300クラスの表彰台(Photo:Burner Images)

 重いウエイトハンデながら粘り強く4位、5位に入った11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458、4号車 初音ミク グッドスマイル BMWがランキング1-2を死守した。

ポイントランキング

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458(田中哲也/平中克幸)57
2位4号車 初音ミク グッドスマイル BMW(谷口信輝/番場琢)45
3位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)43
4位74号車 COROLLA Axio apr GT(新田守男/国本雄資)33
5位62号車 R&D SPORT LEGACY B4(山野哲也/佐々木孝太)26
6位87号車 リール ランボルギーニ RG-3(余郷敦/織戸学)26
7位66号車 triple a Vantage GT2(吉本大樹/星野一樹)23
8位14号車 SG CHANGI IS350(折目遼/アレキサンドレ・インペラトーリ)23
10位43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)22

優勝した62号車 R&D SPORT LEGACY B4
2位の33号車 HANKOOK PORSCHE
3位の87号車 リール ランボルギーニ RG-3

 このレースの模様はテレビ東京系列で毎週日曜23時30分からの「SUPER GTプラス」(BSジャパンでは毎週日曜10時30分から)で放送される。次戦は9月10日、11日に富士スピードウェイ(静岡県小山町)にて開催される。

(奥川浩彦/Photo:奥川浩彦、Burner Images)
2011年 8月 25日