NEXCO東日本（東日本高速道路）は9月22日、定例記者会見を開催した。この定例記者会見では、7月、8月の売上げ状況のほか、東北地方無料措置後（3カ月後）の状況、那須高原SA（サービスエリア）、市原SAに設置される「ドラマチックエリア」などについての発表が行われた。

■東北地方の無料措置で大幅減収
　8月は定例記者会見がなかったため、管理事業本部長 長尾哲氏から、7月、8月、2カ月の交通量や料金収入について発表があった。7月の通行台数は289万3000台（対前年比：0.4％減）、料金収入は437億4200万円（12.5％減）、8月の通行台数は307万5000台（0.7％減）、料金収入は516億8800万円（12.1％減）。いずれも交通量は微減ながら、料金収入は大幅減となっており、7月で約62億7100万円、8月で約70億8800万円に達する。

　交通量が大きく減っていないのに、大幅な減収となったことについて長尾氏は「中型、大型、特大が増えており、これらの無料措置を8月末まで行ったことから減収につながった」と言う。問題視しているのは、9月も同様の傾向が続いていること。NEXCO東日本では東北の高速道路で、罹災証明・被災証明を料金所で見せると無料通行を可とする措置を行っているが、この発行枚数が8月になっても増えており（7月末時点で計353万枚、8月末時点で計409万枚）、結果として利用者も増えている。「本来は津波で家が流されてしまった人など深刻な被害の個人を対象とした措置。停電や断水の人への発行も行われており、それが営業車でも使われている」と言う。この無料化措置は、同社独自の施策となっており、国庫からの補填などは行われない。50億円を超える減収が、経営に深刻な影響を与えているものの、この無料措置については「もう少し様子を見守っていく」（長尾氏）とした。

ETC利用率の変化。無料化措置を行った区間では、証明書による通行が増えたため、ETC利用が大きく減っている	無料利用のUターンで問題となった水戸ICの交通量変化。9月になっても大型の無料利用者が多数存在する

　また、台風15号の被害についても触れ、「9月21日24時の段階で670km、82区間が通行止めとなったが、現在はほとんど回復している。通行止め区間は、二本松～福島西IC（インターチェンジ）のみ」と語った（19時時点で、二本松～福島西IC間の通行止めは解除されている）。

事業開発本部長 窪寺克次氏

■ドラマチックエリアを2個所新設
　事業開発本部長の窪寺克次氏からは、東北自動車道 那須高原SA（下り）、館山自動車道 市原SA（上り）を、施設コンセプトを持つSA「ドラマチックエリア」とすることが発表された。那須高原SAは12月に、市原SAは来年の夏にグランドオープンする。

　すでに同社は、ドラマチックエリアとして上信越自動車道 横川SA（上り、下り）、常磐自動車道 友部SA（上り、下り）、東北道 菅生PA（パーキングエリア、上り）、関越自動車道 赤城高原SA（下り）を展開しており、それらに続く7番目、8番目の施設となる。

　それぞれの施設は、地域の特色を活かした施設コンセプトを持つが、那須高原SAでは「那須高原の『旬』を五感で感じる～旬感リゾート～」を、市原SAでは「房総を食べて旅するマーケット」をコンセプトとしてリニューアル。12月にグランドオープンする那須高原のショッピングゾーンでは、スイーツ専門店「那須高原チーズガーデン」など、こだわりのスイーツと充実のお土産をラインアップする。

　また、同社はイオンクレジットサービスとの提携を行う。同社は独自のクレジットカードを発行しているが、イオンクレジットとの提携カードの発行を行い、イオングループが展開している電子マネー「WAON（ワオン）」のSAなどでの利用を協議していく。当面は、カードや電子マネー分野に関する提携のみとなり、イオングループが大規模店舗を出店するなどの計画はないとのこと。

ドラマチックエリアとなる、那須高原SA（上図）と、市原SA（下図）

　そのほか、同社では被災地食材応援イベントして、超人シェフ倶楽部と連携した、被災地の食材を使用したメニューの販売イベントを実施している。今後は、9月23日の東北道 国見SA（下り）をはじめ、4個所が予定されている。