日産自動車は10月5日、新日本製鐵、神戸製鋼所と共同で引張強度1.2GPa（ギガパスカル）級の高成形性超ハイテン材（高張力鋼板）を開発したと発表した。

　ハイテン材はこれまで強度が高くなればなるほど、伸びにくくなり成形性が低下し、さらにスポット溶接強度を確保しにくいという特性があった。そのため複雑な加工を伴う車体構造部材の冷間プレス用には、980MPa（メガパスカル）級ハイテン材の適用が限界だったと言う。

　今回開発された超ハイテン材は、従来のハイテン材と同性能を保ちつつ鋼板を薄くできるため、1台あたり約15kgの軽量化が可能となると言う。また、1台あたりの鋼板の使用重量を少なくできるほか、冷間プレスが可能なため量産に適するとしている。そのため、生産コストを含めた車両トータルでコストの上昇を抑えられるメリットが生まれる。

　この超ハイテン材は、2013年に発売する新型車から採用。使用個所はセンターピラーレインフォース、サイドルーフレール、フロントルーフレールなどとなっている。

　なお、超ハイテン材を使用するにあたり、高い成形性とスポット溶接強度の確保を目的に、材料の組織を極限まで微細化させる技術とともに、新たなスポット溶接パターンを確立している。