トヨタ、2011年上期は、対前年比71.8%減の2076億円減益
超円高の状況でも国内生産300万台を維持

2012年3月期第2四半期決算説明会を行う、常務役員 早川茂氏(写真左)、取締役副社長 小澤哲氏(写真右)

2011年11月8日発表



 トヨタ自動車は11月8日、2012年3月期第2四半期の決算を発表、東京本社内において、説明会を開催した。同社 常務役員 早川茂氏と取締役副社長 小澤哲氏が出席し、決算に関する説明は、主に小澤氏から発表が行われた。

 小澤氏は2011年上半期の連結販売台数が前年同期比で、68万9000台減の302万6000台にとどまったことに関して、「震災による影響がとくに大きかったことから大幅に減少した」としつつも、アジアでは、インド、タイ、インドネシアでは販売数を伸ばすことができ、小型車「エティオス」が好調であると言う。

地域台数増減
日本79万7000台28万8000台減
北米68万9000台35万2000台減
欧州36万1000台7000台減
アジア61万5000台4000台増
その他
(中南米、オセアニアなど)
56万4000台8万2000台減
合計302万6000台68万9000台減

 連結決算については、2011年上半期の売上高は、前年同期比で1兆6625億円減(17.2%減)の8兆159億円。営業利益は、赤字に転じ-326億円。当期純利益は、2076億円減(71.8%減)の815億円となった。

第2四半期累計
(2011年4月~9月)
今期前年同期増減増減率
売上高8兆159億円9兆6784億円1兆6625億円減17.2%減
営業利益-326億円3231億円3557億円減
税金等調整前
当期純利益
-14億円3920億円3934億円減
当期純利益815億円2891億円2076億円減71.8%減
為替レート80円89円9円の円高
ユーロ114円114円

連結販売台数連結決算要約連結当期純利益増減要因
所在地別営業利益(6カ月累計)金融セグメント営業利益持分法投資損益
単独決算要約(日本基準、6カ月累計)株主還元

 数字がこれだけ悪化したことに関しては、「震災の影響が総額で3200億円あり、急激な円高による影響もあった」と言い、そのほか販促費用の金融水準が高かったことも影響したと言う。しかしながら、日本を除くアジア地域では、震災の影響を軽微にとどめることができ、販売台数を増加させることができた。

 純利益が出ており、配当がもっとも大切な株主還元策であると考えていることから、中間配当を昨年上期同様の1株あたり20円(総額627億円)で実施する。

 また、通期見通しについては、前回決算時(8月2日の第1四半期決算)に発表した営業利益見通し4500億円から、タイの洪水による影響のため発表できない状態になったと言い、状況を精査でき次第、速やかに発表するとした。タイの洪水に関する影響は、グローバルで約15万台の影響、うち国内が4万台の影響と見ているとしたものの、詳細を発表できる状況にないと言う。

 第1四半期(4月~6月)の3カ月は、震災の影響で、当初計画に比べ76万台のマイナス影響があったが、9月には生産が正常化。見通しよりも2カ月早く全地域で生産が正常化した。第2四半期(7月~9月)では、生産は12万台増と挽回のフェーズに入っていたものの、タイの洪水により、第3四半期はその影響を避けられない状況になっている。

 小澤副社長は、現状の為替レートを「超円高」と表現。この超円高の進行により、「挽回に向けたコスト削減などの努力で500億円の収益改善効果を見たものの、結果として326億円の営業欠損となったことは極めて残念」と語った。

石にかじりついても国内生産
 このような円高が進む状況については、「3月9日のグローバルビジョン発表会において、為替1ドル85円、生産750万台、連結営業利益5%で1兆円、単独営業利益プラスマイナスゼロという目標を示した。上期はそのオンライン上にある」とし、為替問題がなければ順調に目標を達成しつつあると言うものの、それを超える75円という水準は「大変つらい状況にある」と語った。

 この状況に対応するには海外生産へのさらなるシフトということも考えられるが、「生産750万台、国内300万台というビジョンの中で、社長が“石にかじりついても国内300万台は維持をする”と明言している。そのような中で、財務の役割を実践しているわけだが、どのように石にかじりついていくのか、石へのかじりつき方が重要になる」と言い、国内生産のあり方を変更する可能性について言及した。

 具体的には、現在国内生産300万台は、国内130万台、輸出170万台という構造になっているが、国内販売を引き上げ、国内150万台、輸出150万台という比率に持って行きたいと言う。それには、昨日自工会など自動車関連22団体が訴えた、自動車関連諸税の減免が重要になると述べた。

 また、トヨタの総生産台数750万台の内、300万台が国内生産となるが、エンジンなどのユニットを海外に輸出しており、このユニット類に関しての現地生産化を進めていく。自動車部品に関しても、材料など日本から支給しているものがあり、現地の設計に切り替えながら、現地調達を進めていくとし、「これが、石へのかじりつき方だと思っている」と語った。

 また、トヨタだけが努力するのではなく、「80円を割るような円高は、資源のない日本にとって、貿易立国、輸出立国の形を崩壊するようなレベルにある。政府・日銀に対しては断固たる対応を採っていただきたい。ユーロ安、ウォン安を背景に、ドイツ車、韓国車が伸びている。同じような環境で戦える状況を作っていただきたい」「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)はまさにそういうことであろうかと思う。(米韓)FTAの交渉が遅れており、挽回するチャンスかなと思っている。断固たる決断をお願いする」と、TPPの締結に期待する立場を明確にした。TPPに関する国内の対立状況については、「輸出産業と農業の対立であるかのような、報道もなされているが、日本の農業のあり方を真剣に考えて、両方が成り立つような方法はあるように思う」と語った。

 タイの洪水については、すでに生産調整などで納車遅れが発生している。「納車の状況が分かりしだい、販売店を通じてお客様に丁寧な説明をしていく」と言い、今後発表予定の新車の投入時期の変更に関しても「決してそのようなことのないよう、全力を尽くす」と、できる限り最小限の影響にとどめると言う。


(編集部:谷川 潔)
2011年 11月 8日