BASF、塗装技能大会「ベストペインターコンテスト 2011」開催
世界大会連続優勝を狙う

決勝大会に出場した8名の選手

2011年11月18日~19日



 BASFコーティングスジャパンは、「ベストペインターコンテスト 2011」の決勝大会を、18~19日に神奈川県横浜市の同社リフィニッシュコンピテンスセンターで開催した。

水性塗料に特化した塗装技能大会
 同社の自動車補修用水性塗料「R-M オニキスHD」のユーザーが、塗装技術を競うイベント。出場資格は、オニキスHDを80%以上使っていることと、オニキスHDの専任ペインターであること。塗装技術の向上を目指す技術者、工場への水性塗料の導入を進める経営者を支援するのがこのコンテストの目的だ。

 自動車メーカーがサービス技能コンテストを開催する例は多いが、塗装での技能コンテストはBASFが初めてと言う。

 またこの大会は、2013年に開催されるベストペインターコンテストの世界大会の日本代表を決める場でもある。前回、2010年の世界大会に日本代表として出場したホンダボディサービス栃木の永塚伸洋選手は、見事優勝するという快挙を成し遂げた。

 7月から10月にかけ、北海道、東北、関東、中部、関西(中国、四国含む)、九州の各ブロックで予選を行い、これを勝ち抜いた8名が決勝大会に臨んだ。

リフィニッシュコンピテンスセンターの塗装ブースで競技が行われた

5つの種目
 競技の内容は、「ボカシ塗装」「効率的塗装」「カラーリーディング」「カラーマッチング」「筆記試験」の5つ。また、採点の対象外となるが、「クリエイティビティ・タスク」という種目もある。

 ボカシ塗装と効率的塗装は、実際に車体のパーツを塗装する種目で、会場の塗装ブースで行われた。

 ボカシ塗装はフェンダーを交換した車両の塗装を想定し、フェンダーからドアにかけてボカシ塗装をする(新しく色を塗ったフェンダーは、すでにあるドアとは微妙に色が異なるため、フェンダーからドアへグラデーションを施し、色の違いが目立たないようにする)。効率的塗装はフロントフードのブロック塗装だ。どちらも仕上がりの優劣だけでなく、作業時間や使用した塗料の量、安全衛生も評価される。塗装工場を運営するにあたっては、工場の経営を考慮する必要があるため、なるべく少ない塗料と短い時間で、最良の仕上がりを目指さなければならない。

 また効率的塗装では、塗料の廃棄量、VOC(揮発性有機化合物)の排出量も評価される。

塗料を調色するところから競技は始まるブースの外から中の様子を伺うのは、審査員のロニー・レイメーカー氏。レイメーカー氏はR-Mのトレーニングマネージャーであり、ベストペインターコンテスト世界大会の責任者でもある
効率的塗装の様子
ボカシ塗装。フェンダーを交換した車両のフェンダーを、ドアと同じ色に塗装するが、微妙な色の違いが目立たないよう、フェンダーに使った塗料をドアにもグラデーション塗装するまずはドアをマスキングし、フェンダーにベースを塗る
ペインターによって、ベースの色も、塗装の手順も異なる

 カラーリーディングは、カラーパネルから出題に適した色を選ぶ競技。色についての知識を問われる。

 カラーマッチングは、調色、つまりいくつかの塗料からターゲットとする色を作り出す競技だ。

 クリエイティビティ・タスクは、ペインターのクリエイティビティを見るもの。今回は「日本」というテーマを、エアブラシによるデザイン画で表現するという課題が与えられた。

クリエイティビティ・タスクの様子。採点には入らないが、この競技で優勝したのは北海道マツダ販売の多喜久貢選手(写真右)

世界大会連勝を狙う
 決勝大会に出場したのは、北海道マツダ販売の多喜久貢(北海道ブロック)、山本自動車の渡邊優二(東北ブロック)、ホンダボディサービス栃木の池田文彦(関東ブロック)、二戸自動車工業の古藤隆太(関東ブロック)、オートサービス中北の熊澤崇(中部ブロック)、新和自動車の菅原健二(関西ブロック)、宮崎トヨタ販売の津口貴幸(九州ブロック)、熊本カーハイテクセンターの山本彰(九州ブロック)の8選手。

 2日間に渡る戦いを制したのは、オートサービス中北の熊澤崇選手。熊澤選手は「初日にいい結果が出なかったので、今日は冷静に冷静にと自分に言い聞かせてがんばった。昨日があったから、今日がんばれたのかもしれない」とコメント。

 日本代表は新和自動車の菅原健二選手。本来は日本大会の優勝者が日本代表になるのだが、世界大会は若手育成のイベントとして位置づけられており、出場できる選手が30歳未満に制限されている。一方日本大会は、水性塗料ペインターを幅広く育成するために年齢制限を設けていない。したがって、優勝者が30歳以上の場合は、30歳未満の出場者から別に日本代表を選出するのだ。菅原選手は「日本では1位になれなかったが、世界では1位になる」と力強いコメントを披露。2013年の世界大会に向け、トレーニングに入る。

 このほか特別賞が宮崎トヨタ販売の津口貴幸選手に贈られた。

優勝した熊澤選手左から、BASFコーティングス 自動車補修塗料本部の久保田克彦 本部長、日本代表の菅原選手、優勝した熊澤選手、特別賞の津口選手、BASFコーティングスの佐藤昭彦 代表取締役社長熊澤選手にはさまざまな副賞が贈られたが、その1つがアネスト岩田の最高級スプレーガン。ピニンファリーナがデザインした
世界大会が開催されるフランスへのチケットを持つ菅原選手。菅原選手の左が、2010年の世界大会で優勝した永塚氏レイメーカー氏と

(編集部:田中真一郎)
2011年 11月 21日