志賀会長、エコカー減税の延長、エコカー補助金の復活、自動車重量税の軽減に「深く感謝」 12月定例記者会見より |
自工会(日本自動車工業会)は12月15日、定例記者会見を行い、志賀俊之自工会会長から第42回東京モーターショー、政府の2012年度税制改正大綱についての意見が述べられた。
12月2日~11日に東京ビッグサイトで行われた東京モーターショーは、総入場者数が目標の800,000人を上回る842,600人(前回比137%)となり、大成功に終わった。その理由について志賀会長は、「これはすべての国内メーカーと、多くの海外メーカーが参加し、世界一のテクノロジーショーに相応しい展示内容となったこと、東京開催による利便性の向上、平日の開場時間の延長、ナイター券の新規導入、さらには臨海副都心をあげての盛り上げ策、加えて主催者テーマ事業『SMART MOBILITY CITY 2011』でクルマ、都市、人々の暮らしに結びつく先進技術を発信したほか、特別企画として実施したプロの運転による同乗試乗会など、これらさまざまな施策が奏功し、成功に結びついたと考えている」と振り返った。
2012年度税制改正における自動車に関わる主な結果 |
一方、12月10日に政府から2012年度税制改正大綱が発表された。これまで自工会を含む自動車税制改革フォーラムおよびJAF(日本自動車連盟)は、税制の公平確保、空洞化防止、雇用の確保の観点から自動車取得税と自動車重量税の廃止、および燃料課税の抜本的見直しを政府に要望してきた。
この2012年度税制改正大綱では、自動車重量税および自動車取得税の廃止は見送られたものの、自動車重量税については一定の基準(現時点では平成27年度燃費基準等)を満たしている自動車(それ以外の自動車も軽減措置がとられる)には減税措置をとるとの内容が盛り込まれている。また、エコカー減税の3年間延長とともに、第4次補正予算においてエコカー補助金(環境対応車普及促進対策費補助金)の復活が打ち出された。
こうした内容に対し、志賀会長は「我々の要望にご理解をいただき、円高・空洞化対策としてこれらの策が打ち出されたことに深く感謝を致します」と述べ、自動車業界としてこれらの策を活用して市場活性化を行っていくとした。
しかし、自動車重量税、自動車取得税の抜本改革は先送りされたことから「この点で自動車ユーザーの期待に応えるものにはなっていない。我々は税制の公平確保の観点から、すでに課税根拠を失った自動車重量税、自動車取得税についてその廃止を政府に引き続き訴えていく」とし、廃止に向けて尽力していくことを語った。
なお、今回が2011年最後の会見となることから、志賀会長は今年1年を振り返った。2011年は歴史的な超円高、タイの洪水問題もさることながら、東日本大震災が発生した。その震災について「自動車メーカーもサプライチェーンの寸断により、一時はほぼすべての自動車国内工場が生産停止となったが、復旧に向けて企業の垣根を越えた取り組みにより、1カ月には一部だが生産が再開でき、日本のモノづくりのたくましさを改めて感じ取ることができた」と述べるとともに、「原発事故による電力需要抑制に向け、自動車総連や各自治体の理解と協力を得て休日シフトを実施するなど、危機を克服するために業界一丸となって取り組むことができた。我々は震災から得た多くの教訓を糧に今後の成長につなげていきたい」と総括。また、2012年は現時点で明るいニュースがないものの、自工会として日本のモノづくりを守り、成長させていきたいと来年の抱負を述べた。
(編集部:小林 隆)
2011年 12月 15日