NEXCO東日本、東北地方の無料地方措置変更後の動向
定例記者会見を実施、GWの渋滞予測も

NEXCO東日本 代表取締役会長兼社長 佐藤龍雄氏(中央)、管理事業本部長 長尾哲氏(左)、事業開発本部長 窪寺克次氏(右)

2012年4月26日開催



 NECXO東日本(東日本高速道路)は4月26日、今年度第一回となる定例会見を開催。営業概要や東北地方の高速道路の無料措置変更後の状況について、GWの混雑予測と対策について、また、新たに開通した日本海東北自動車道 あつみ温泉IC(インターチェンジ)~鶴岡JCT(ジャンクション)、および常磐自動車道 南相馬IC~相馬ICの利用交通動向について発表した。

営業概要
 管理事業本部長 長尾哲氏によると、3月の日平均の通行台数は298万4000台で前年比39.6%と大幅増となった。しかし昨年は東日本大震災により一般車両の通行止めなどが行われた影響があるためで、一昨年と比較した場合では16.2%増に留まるとした。一方3月の料金収入は439億6200万円で、前年比25.2%増。こちらも一昨年と比較すると89.7%と1カ月で約50億円の減収となっている。これは一昨年は休日特別割引、地方部1000円という割引をやっていたためで、今年はそれがなくなっており、さらに東北地方の無料措置を行っていた。その関係で通行台数は大幅に増えつつ料金収入が減ったとした。

 また事業開発本部長の窪寺克次氏によれば、SA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)の3月の売上高は、約127億3000万円で前年比で32.7%の増。こちらも震災の影響があるため、一昨年と比較した場合だと11.4%増になると言う。分野別で見ると飲食・商品販売で一昨年比2.3%増、ガソリンスタンド関係は一昨年比で39.1%増となった。飲食・商品販売収入の増加については、一昨年もETCによる割引があったが、今年は無料化により東北地方を中心にさらに利用者が増えたためだと言い、ガソリンスタンド収入の大幅な増加は、ガソリン代自体の高騰と、被災地に向かう大型車の給油量が増えたためだとした。

主要区間の断面交通量の変化IC出口の交通量の変化4月28日から無料措置の見直しが行われる

東北地方無料地方変更後の動向
 昨年12月から実施された東北地方無料措置は、原発事故で避難している人を除き、3月末で終了している。この無料措置前後での交通量の変化について、長尾氏が説明した。3月と4月の日平均交通量で比較すると、都心に近い東北自動車道の浦和~岩槻間や常磐道 三郷~流山間などでは6~7%の減少に留まっているのに対し、東北道の仙台南~仙台宮城間では38%減、いわき中央~いわき四倉で49%減と大幅に減少している。また、ICでの交通量を見ると、被災者支援・観光振興対象エリア内の133個所のICの合計交通量では、3月にくらべ4月は46%減、無料での通行車の割合も71%から3%に減少した。また、原発事故で避難している人を対象とした無料措置対処IC(13個所合計)では、交通量が45%減、無料通行車の割合も88%から15%に減少している。「こうしたことで現在行っている本格復旧工事による渋滞やIC出口での渋滞がなくなってきている」とした。

 また、無料措置の対象が4月28日から変更されると言う。利用者としては、新たに「居住地が特定避難勧奨地点の設定を受けた人」も対象に加わり、ICでは東北道の郡山南IC、郡山IC、常磐道のいわき湯本IC、磐越自動車道の会津若松ICが追加される。また福島県双葉郡双葉町に居住していた人に限り、東北道 加須IC、常磐道 桜土浦ICも対象となる。

GW期間中の渋滞予測について
 GW期間(4月27日~5月6日)の渋滞予測について長尾氏は「10kmを越す渋滞は昨年108回に対し今回111回と予測している。このうち30kmを越す渋滞は、下り線が6回、上り線が4回と予測。最大の渋滞は下りで5月3日の午前中で関越自動車道 花園ICを先頭に約45km、上り線は5月4日と5日の午後に関越道 高坂SA付近で45kmと予想している」とした。

 「当社のWebサイトでは、路線ごと、日にち、時間帯ごとに渋滞の予想を掲載しているので、お出かけの際には確認し、できるだけ渋滞するルートや時刻を避けてお出かけいただければ」とした。また、渋滞が発生するところは緩やかな登り坂が続くところが多いので、スピードの低化に注意してもらいたいと言い、NEXCO東日本でも上り坂での速度低下の防止や渋滞後尾での追突防止の注意喚起、またSA内での渋滞を緩和させるため、大型車専用駐車マスを用意したり、駐車誘導員の配置、仮設トイレの設置といった対策をするとした。

GW中に30km以上の渋滞が予測される個所GW期間の主な渋滞予測

新規開通路線の利用交通動向について
 3月24日に開通した日本海東北道 あつみ温泉IC~鶴岡JCTの開通後1カ月間の状況について、日平均交通量は当初の予測では700台程度と考えていたが約1200台になっていると言う。周辺の庄内空港~鶴岡JCTの交通量は、無料化社会実験実施前の一昨年と比べると48%増となり、着実にご利用いただいていると考えているとした。

 4月8日に開通した常磐道 南相馬IC~相馬IC間の開通後2週間の状況については、9月30日まで料金無料のため、日平均4300台の交通量となっている。また、南相馬IC~相馬IC間は本来は常磐富岡ICからまとめて開通できる場所だったが、「原発の関係で常磐富岡IC~南相馬IC間は手が付けられていない。除染をしてからの作業となる」と述べた。

ドライブマナーに関するアンケートや各種割引パスの販売など
 NEXCO東日本では、2月13日~15日に東日本地域在住1000名を対象にしたドライブマナーに関するアンケートを実施。その結果、もっとも気になるマナー違反は「急な車線変更」(26.2%)になったと言う。次いで「無理な追い越し」(22.7%)、「あおり運転」(22.5%)が続く。また、自分がやってしまったマナー違反については、他の答えを大きく引き離し「追越車線を走り続ける」が28.4%でトップになったと言う。

 そのほか、北関東自動車道全通1周年記念として、福島、茨城、栃木、群馬、新潟の5県の大部分の高速道路が乗り放題となる「北関・磐越ぐるっとパス」や、北海道の夕張、むかわ穂別、占冠、トマムのいずれかのICで乗り降りしても通行料が変わらない「夕張・むかわ・占冠 立寄りパス」、東北復興観光支援として東北地方の高速道路が定額で乗り放題になる「東北観光支援パス」を現在発売している。また、東北復興支援として、5月26日、27日に岩手県盛岡市で開催される「東北六魂祭2012」にブースを出展するほか、「耳カー」で集めた被災地への応援メッセージなどを会場に届けるとした。

(瀬戸 学)
2012年 4月 27日