エヴァンゲリオンレーシング、SUPER GT第2戦富士で表彰台へ
波乱のレースで、過去最高の2位を獲得


 5月4日、2012 AUTOBACS SUPER GT第2戦「FUJI GT 500km RACE」の決勝レースが富士スピードウェイ(静岡県小山町)で開催された。今回はCar Watchの読者に人気の高い、エヴァンゲリオンレーシングの各セッションの詳細をお届けする。

 SUPER GTの決勝レースは通常300km。今回の第2戦の富士500kmと第5戦の鈴鹿1000kmは耐久色の濃いレースとなる。当然、300kmのレースとは異なる戦略が必要だ。

 経済状況や震災の影響で、富士で行われるシリーズ第2戦が500kmで戦われるのは2008年以来4年ぶり。2008年の決勝レース、紫電は16位からスタートし3位表彰台を獲得している。

 SUPER GTは今年もパワーで勝るFIAーGT勢の優位は変わらず、特に直線の長い富士スピードウェイは2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電(高橋一穂/加藤寛規)には厳しいコースだ。苦手なコースだが、昨年9月のレースでは3位表彰台を獲得しているし、過去にも表彰台に上がるなど結果が出ていることも事実。エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電としては、燃費のよさとそれを活かすピット戦略が上位進出の鍵となる。

5月3日 練習走行、予選
 決勝前日は朝から雨となった。特に練習走行が行われた午前中はかなり強い雨となり、4号車 GSR ProjectMirai BMW、5号車 マッハGoGoGo車検Ferrari458がクラッシュするなど路面コンディションは最悪の状況となった。

 2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電は、セッション開始早々はリスクを避け走行を見送った。翌日の決勝は晴れが予想されており、燃費など豊富なデータを持つチームとしては無理をする必要はなかった。セッション開始から45分ほどして加藤選手からコースイン、9周ほど周回して高橋選手に交代した。高橋選手も7周ほどで周回を終えセッションは終了した。

練習走行は雨が強く少なめな走行でセッションを終了した

 午後の予選は少し雨が弱くなったが路面が完全なウエット状態。今回の予選はスーパーラップ方式。予選Q1の上位10台がスーパーラップに進出し、Q1の10位から順番に単独走行でタイムアタックを行いQ1トップのマシンが最後に走行をする方式だ。

 昨年まではQ1で2人のドライバーがアタックし、2人とも基準タイムをクリアしたチームの、どちらか速い方のタイムでスーパーラップ進出が決まった。今年はQ1とスーパーラップは別々のドライバーがアタックを行う方式に変わった。

 2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電はQ1を加藤選手がアタックし10位以内を獲得。スーパーラップを高橋選手がアタックし、運がよければ1つでもポジション上位を狙う作戦だ。

 Q1の時間は15分間。通常のウエット路面は走行するマシンにより水がはけ、徐々に路面状態がよくなっていく。加藤選手は他のマシンよりやや遅れてコースイン。路面が状態がよくなったところを狙ってタイムを出す作戦をとった。

予選Q1。オイルはフロントガラスにまで油膜を作るほどでスーパーラップ進出を逃した

 ところがこの日はこの作戦が裏目に出た。セッション早々にオイルを撒いたマシンがあり開始数分で路面コンディションは悪化。加藤選手がタイムアタックをする頃には各車のラップタイムは5秒近く遅くなっていた。

 実際に各車のこのセッションのベストタイムは参加23台中15台がコースイン2周目(アタック1周目)、6台がコースイン3周目に出したタイム。その後各車のタイムは急速に遅くなりタイム更新できていない。

 滑る路面の中、7周目に1分57秒952を出すが17番手、マシントラブルのない予選としてはワーストとなる順位に終わった。当然スーパーラップ進出はならず決勝は後方から追い上げを狙うこととなった。


ピットウォーク、キッズウォーク、グリッドウォーク
 今回も予選日、決勝日にピットウォーク、予選終了後にキッズウォーク、決勝スタート直前にグリッドウォークが行われた。エヴァンゲリオンレーシングの人気は高く、いつもどおり多くのファンが集まった。

キッズウォークでファンのサインに応じる高橋選手と加藤選手雨の中行われたキッズウォーク
今回は5人のレースクイーンが勢揃い多くのファンが集まった決勝直前のグリッドウォーク
スーパーラップ進出を逃し早々に整備終了。キッズウォークの頃にはマシンは作業することなく展示された決勝に向けコースインを待つ加藤選手決勝1時間前のウォームアップ走行でピットインする2号車

5月4日 決勝
 決勝日の天気予報は晴れだが、ゴールを迎える夕方に雨の予報。苦手な富士スピードウェイなので、天気が荒れると勝機あり。決勝は波乱の予感がした。

 今回のレースは500km、110周の長丁場。ピットインとドライバー交代は2回が義務付けられている。前回500kmで争われた2008年は1回のピットイン作戦が許されていたので、燃費性能に優れる紫電は1回ピットインの作戦で表彰台を獲得している。

 110周という周回はGT500クラスの周回数で、2008年のGT300クラス優勝のカーズレーシング、ライトニング マックィーン apr MR-S(平手晃平/国本京佑)は101周でゴールを迎えている。3位の紫電も101周を周回し、スタートドライバーを務めた加藤選手は56周を周回している。

 今年のGT300クラスは2008年よりパワーアップしラップタイムも向上しているので、予想される周回数は104周くらい。パワーアップした分だけ燃費はわるくなっている。ルール上2回のピットインは行うが、FIAーGT勢に対し作戦の幅は広いと考えられる。

 2人のドライバーで争うSUPER GTでは規定周回数の2/3を超えて1人のドライバーが走ることはできない。今回のレースでは110周の2/3=73周が1人のドライバー最大の周回数だ。最低周回数の規定はないので104周でゴールするならもう1人のドライバーは31周を走ればいいこととなる。

 タイヤマネージメントと搭載燃料を軽くすることを優先するなら104周を1/3ずつ分割するのがベスト。ドライバーの負担を優先するなら第1、第3スティントを短め、第2スティントを長めにすると両ドライバーの周回数の差が小さくなる。

 ラップタイムが速いドライバーにより多くの周回数を任せるなら第1、第3スティントを長めにし、第2スティントは31周と短めにする作戦もある。実際のレースは単独走行するわけではないので、早々にピットインを済ませ空いた空間でタイムを稼ぐ作戦なども考えられる。1回のスティントを長くするには燃費性能が要求される。燃費のよいマシンは作戦の選択肢が多くなるが、燃費のわるいマシンは限られた戦略で戦わざるを得ない。

 レース終盤の雨は天気予報で想定していたが、スタート直前になってポツリポツリと予想外の雨粒が落ちてきた。これにより通常のフォーメーションラップ+ローリングスタートがセーフティーカー(SC)先導によるスタートに急遽変更された。

 1周目はスリックタイヤのまま充分走れる程度の雨量と思われたが、1周終了時にピットイン、レインタイヤに交換するギャンブルに出たマシンがあった。GT500クラスの36号車 PETRONAS TOM'S SC430と、GT300クラスの88号車 マネパ ランボルギーニ GT3、30号車 IWASAKI MODAクロコ apr R8、86号車 Verity BOMEX ランボ RG3の4台が早々にタイヤ交換を行い隊列の最後尾に並んだ。

 SC導入2周目になると状況は一変。コース後半、ヘアピンの先300Rからダンロップコーナー付近は水が浮きスリックタイヤでは厳しい路面状況となった。2周目には多くのマシンが一斉にピットイン。加藤選手もここでピットイン、ピットロードの渋滞に巻き込まれたが18位のポジションでコースに復帰した。

SC先導による1周目の周回2周目のダンロップはすにでウエット路面となったレインタイヤに交換しコースに復帰

 SC先導3周目の順位はスリックタイヤのままステイアウトした3台、20号車 Racerbook Audi R8 LMS、22号車 R'Qs Vemac 350R、4号車 GSR ProjectMirai BMWがトップ3。その後ろに1周目にピットインした3台が並んだ。スリックのままが正解なのか、早々のレインタイヤへの交換が正解なのか、4周目にSCはピットに退き事実上のレースがスタートした。

4周目のオープニングラップ、1コーナーは18位で通過

 この周は順位をキープ。続く5周目から加藤選手のパッシングショーが始まった。まず61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTをパス、さらにスリックタイヤで走行する2台が大きく順位を落としたため16位にポジションアップ。6周目には52号車 GREEN TEC & LEON SLSと360号車 RUNUP CORVETTEを抜き14位。7周目にはスリックタイヤのもう1台、22号車 R'Qs Vemac 350Rを抜き13位。8周目には30号車 IWASAKI MODAクロコ apr R8、43号車 ARTA Garaiya、87号車 JLOC ランボルギーニ GT3を次々と抜いて10位。9周目には31号車 apr HASEPRO PRIUS GTも抜き9位までまで浮上した。


5周目の1コーナーで61号車に並びかける8号車が4号車に追突した後方、61号車を抜き17位に浮上雨は止み日差しが出てきた。61号車を引き離しさらに上位を追う4号車
52号車に続き360号車もパスし14位へ8周目の1コーナーで30号車を抜き43号車を追う
9周目の1コーナーで31号車をパス4号車の後方には31号車、87号車、43号車、360号車が続く

 すでに路面は乾きレインタイヤに交換したマシンがピットインし、スリックタイヤに戻し始めた。加藤選手はレインタイヤのまま走行を続け10周目に7位、11周目に6位、12周目に5位、13周目に4位、14周目に2位、15周目にはトップまで登り詰めた。

ついにトップに浮上。はるか後方にスリックタイヤに戻した15号車が見える

 スリックタイヤに戻し2位を走る15号車 ART TASTE PORSCHEのラップタイムは加藤選手より6秒速い。その後方にはスリックタイヤでステイアウトした22号車 R'Qs Vemac 350Rがギャンブルに成功し3位まで順位を戻していた。加藤選手はここでピットイン、給油、ドライバー交代も行い高橋選手がコースに戻った。

 突然の雨で各チームの戦略は当初の予定から変更された。多くのチームがここではドライバー交代を行わず残り2ピットストップ、合計4ピットストップの作戦を選択したが、上位陣では0号車 GSR 初音ミク BMW、43号車 ARTA Garaiya、そして2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電がドライバー交代を行い残り1ピットストップ、合計3ピットストップの作戦を選択した。

 加藤選手がここまでレインタイヤのまま走行したのは残り周回数を逆算し、1回のピットインで最後まで走りきるためだった。燃費のわるいマシンはこの段階で満タン給油をしても残り2回の給油が必要となる。紫電は4年前には56周を周回しているので、パワーアップにより燃費性能の落ちた今年のマシンでも残り90周を1回給油で充分に走りきれる計算だ。

 燃費のわるいマシンはピットインで1分近く静止する。ここで順位を落としても上位のマシンが2度目の給油をした段階で逆転し、一気の上位進出を狙う作戦だ。

 17周目、高橋選手は10位でコースに復帰するが、コースイン直後の冷えたタイヤですぐに87号車 JLOC ランボルギーニ GT3に抜かれ11位となった。23周目に20号車 Racerbook Audi R8 LMSと61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTに抜かれ13位。24周目には31号車 apr HASEPRO PRIUS GTにも抜かれ14位まで後退した。

16周目にピットイン。66号車、0号車、88号車がストレートを通過していった高橋選手に交代しコースへ向かう2号車コースインすると87号車が並びかけてきた
87号車が先行、20号車、61号車との攻防が始まった数周にわたり20号車、61号車と競り合う。その後方は4号車31号車に抜かれ14位に後退

 しかし、ここから高橋選手の快進撃が始まった。30周目に20号車 Racerbook Audi R8 LMSを抜き返し13位。その後も着実な走りを続け、上位を走るマシンのトラブルやピットインで35周目には11位、40周目には9位、45周目には6位とポジションを上げた。

20号車を抜き返し13位11位に浮上。後方は4号車
抜かれた61号車との差を縮める2号車6位までポジションアップ。5位の66号車を追う2号車

 44周目にトップを走る66号車 triple a Vantage GT3がピットインを行いドライバー交代。代わってトップに立った11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSも50周目にピットインしドライバー交代。この2台はこれが1回目のドライバー交代なので、上位6台は全て残り1回目のドライバー交代が必要だ。この時点の順位は0号車 GSR 初音ミク BMW、15号車 ART TASTE PORSCHE、43号車 ARTA Garaiya、66号車 triple a Vantage GT3、11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS、2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電の順。2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電とトップの0号車 GSR 初音ミク BMWとの差は1分23秒。最後に接戦となる66号車との差は32秒。レースはまだ折り返し。後半の展開次第で表彰台の可能性は充分ある。

 レースが折返しを過ぎた59周目に大きなアクシデントが発生した。15号車 ART TASTE PORSCHEがトップに立った直後のストレートでコントロールを失い、ピット出口付近のガードレールに激しくクラッシュ。跳ね返ったマシンはコースを横切りアウト側の芝生で停止した。

 ここでSC導入となった。43号車 ARTA Garaiyaはアクシデントの前の周に最後のピットインを行いドライバー交代。コースインしようとする目の前でアクシデントが発生した。0号車 GSR 初音ミク BMWはアクシデントの直前にピットイン。こちらも最後のピットインを済ませた。

 SC導入後、各車は一旦メインストレートで停止し隊列が整えられ、66号車 triple a Vantage GT3を先頭にスロー走行。2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電はSC先導でスロー走行が続く61周目に最後のピットイン、高橋選手から加藤選手に交代し隊列の後方に並んだ。順位は8位に後退したが、通常のラップであれば1分以上となるタイムロスがほとんどないまま64周目にレースは再開となった。

 トップの66号車との差は23秒。元々30秒以上の差がありピットインで1分以上のロスがあれば、本来1分30秒以上に開く差がSC導入により大幅に小さくなった。このタイミングでピットインを行った0号車 GSR 初音ミク BMW、43号車 ARTA Garaiyaも同様で、逆に割を食ったのは66号車 triple a Vantage GT3と11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSだ。この2台は見かけ上は1位、2位だがもう1度ピットインをする必要があるので、SC導入で築いたマージンをはき出してしまった。

 50周目からSC導入を挟みレース再開後の64周目までのタイム差をグラフにしてみた。興味のある方は見ていただきたい。0号車 GSR 初音ミク BMWを基準とし、グラフの線が下にあるほど順位が上となっている。

 11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(茶線)が50周目にピットイン。給油量が多い11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSは、29秒先行していたが1分18秒後方へ後退している。57周目に43号車 ARTA Garaiya(赤線)がピットイン。58周目に15号車 ART TASTE PORSCHE(青線)がクラッシュ、0号車がピットインを行ったため他の車両のグラフは大きく下に振れている。66号車 triple a Vantage GT3(オレンジ線)が他車を大きく引き離したように見えるのはセーフティーカーが入った位置によるもの。隊列が整えられるとその差は一気に縮まった。

50周目から64周目までのタイム差

 61周目に2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電がピットイン。本来は43号車 ARTA Garaiyaのように大きくグラフが上に跳ねるはずだが、SC導入によりラップタイムが3分くらいまで落ちているため、大きなタイムロスがないまま隊列に並びトップの66号車の23秒後方でレース再開となった。

 加藤選手は着実に順位を上げていく。73周目に87号車 JLOC ランボルギーニ GT3がピットインし7位。74周目に31号車 apr HASEPRO PRIUS GTを抜き6位。75周目には911号車 GAINER DIXCEL R8 LMSがピットインし5位までポジションアップ。前を行く4台のうち66号車と11号車はピット義務を残しているので実質的には3位での走行となる。

レース再開後31号車を追う2号車

 79周目のプリウスコーナーでGT500クラス18号車 ウイダー HSV-010が0号車 GSR 初音ミク BMWに追突し0号車 GSR 初音ミク BMWはスピン。加藤選手はまた1つポジションを上げ4位、実質2位まで浮上した。

 83周目にトップを走る66号車 triple a Vantage GT3がピットインし5位へ後退。代わってトップに立った11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSも86周目にドライバー交代を行い加藤選手は2位となった。トップの43号車 ARTA Garaiyaとの差は-5秒、3位0号車 GSR 初音ミク BMWとの差は4秒。残り20周弱、表彰台の位置を決める決戦が始まった。

 80周目あたりからポツリポツリと降り出した雨が徐々に強くなりレースを大きく動かすこととなった。FIA-GT勢はABSなどの電子デバイスを搭載しているためウエット路面でのアドバンテージがある。90周目には雨量が増え各車のラップタイムにも影響が出てきた。

 表彰台のポジションを争う上位3台はほぼ同じ時期にタイヤ交換をしているが、すでに30周近くラップを重ねているのでタイヤマネージメントによる差がある。0号車 GSR 初音ミク BMWには電子デバイスによるアドバンテージがあるので最も有利だ。

 0号車 GSR 初音ミク BMWは93周目には加藤選手を抜き2位にポジションアップ。さらに96周目には43号車 ARTA Garaiyaも抜いてトップに座を奪回した。95周目あたりから雨はかなり強くなりスリックタイヤでの走行は難しくなってきたが、ここでピットに入るのは残り周回数を考えてもリスクは大きい。

0号車が迫ってきた0号車に抜かれ3位に後退

 タイヤの限界がきたのか、43号車のペースがガクッと落ちたところを加藤選手が抜き、98周目に再び2位のポジションに浮上した。ピットストップで大きく後退した66号車 triple a Vantage GT3もここに来て上位との差を急速に縮め始めた。

 90周目には40秒あった加藤選手との差が95周目には29秒、100周目には11秒まで縮まってきた。電子デバイスによるアドバンテージに加え、10周ほどしか走行していない新しいタイヤの利もあり、上位陣の中でも他を圧倒するラップタイムで走行を続けた。

 101周目には43号車 ARTA Garaiyaを抜き3位に浮上。加藤選手との差は残り3周で8秒。残り2周で6秒、残り1周で3秒。最終ラップにもその差を縮め1.5秒まで迫ったところでチェッカー。ギリギリで加藤選手が逃げ切り2位でゴールした。

ペースの落ちた43号車に一気に迫る加藤選手最終ラップのヘアピン進入。66号車が迫ってきた

 80周から最終ラップまでの上位陣のタイム差と85周から最終ラップまでのラップタイムのグラフを用意した。タイム差のグラフは加藤選手を基準としている。グラフを見ると43号車 ARTA Garaiya(赤線)が雨が強くなった96周目から急速に遅れていったことが分かる。66号車 triple a Vantage GT3(オレンジ線)が一気に加藤選手との差を詰めた様子もうかがえる。

80周目からゴールまでのタイム差グラフ

 ラップタイムのグラフでは、90周目から各車のタイムが落ち始め、95周目からさらに遅くなったことが分かる。その中でも43号車 ARTA Garaiya(赤線)が大きくラップタイムを落としている様子も見て取れる。逆に66号車 triple a Vantage GT3(オレンジ線)が他車より速いラップを刻んだこともうかがえる。

85周目以降のラップタイムグラフ

 2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電は昨年9月の第6戦富士以来の表彰台。エヴァンゲリオンレーシングとしては過去最高位の2位となった。雨で荒れたレースを3ピット作戦という燃費性能を活かした戦略で乗り切り、レース中盤のSC導入という幸運にも恵まれ苦手な富士スピードウェイで価値ある2位を獲得した。

 開幕戦に続く入賞でポイントランキングも0号車 GSR 初音ミク BMW、11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSに続く3位。昨年は序盤でノーポイントが続き苦しいシーズンとなったが、今年はシリーズチャンピオン争いに絡める走りが期待できそうだ。

 次戦はマレーシア・セパンサーキット。コーナーリング性能を必要とするサーキットで2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電が得意とするサーキットだ。2戦連続の表彰台。できれば優勝を勝ち取りたいレースだ。

表彰台に立つ加藤選手と高橋選手加藤選手は子供を一緒に表彰台に立った高橋選手にはレースクイーンから熱い声援が送られた
ピットに戻りファンと喜ぶ両選手ファン、レースクイーンと一緒に記念撮影エヴァンゲリオンで飾られたピットをバックに2位を喜ぶ両選手

(奥川浩彦)
2012年 5月 17日