アップリカ、チャイルドシート新基準完全移行を前に衝突体験

シートベルトコンビンサーで事故の衝撃を体験した

2012年6月28日開催



 アップリカ・チルドレンズプロダクツは6月28日、都内に1~5歳の子供とその保護者を集め、チャイルドシート親子教室として、セミナーと衝突体験機を使った衝突体験会を開催した。

 このイベントは、チャイルドシートの新安全基準への移行期間が終わり、7月1日に新しい基準であるECE基準に合致したチャイルドシートの着用が完全に義務付けられることに合わせて実施されたもの。警察庁とJAFが2012年6月に発表したチャイルドシート使用状況において、依然として低い着用率だったこと対して啓発する狙いもある。

 集まったのは、10組の1~5歳の子供たちと保護者で、子供たちはあまりチャイルドシートを好んでいない。衝突体験の前にチャイルドシートの重要性についてセミナーと意見交換会が開催された。

 セミナーでは同社のマーケティング本部の松本忠治氏がチャイルドシート着用について警察庁とJAFが発表した調査結果や、同社が昨年調査した「ジュニアシート着用に関する日米比較調査」を紹介した。冒頭で警察庁とJAFの調査結果で装着率が58.8%だったことについて「あまりいい数値ではない」と装着率が高くないと評価、年齢が高くなるにつれ、着用率が下がっていることも指摘した。

 松本氏は日米でのチャイルドシート(ジュニアシート)に対する意識の大きな違いも指摘、日本では短時間の乗車では着用しない傾向が高く、反対にアメリカでは短時間でもチャイルドシートの着用率が高く、15分を超えて30分未満の乗車では100%着用しているとした。

 アメリカではチャイルドシートのない友人のクルマに乗せてもらって外出することがあると答えた人はわずか9.5%なのに対し、日本では41.5%がシートなしで外出してしまう。松本氏は、アメリカではチャイルドシートなしでクルマに乗せることは“虐待”との見方もあるとした。

 チャイルドシートに上手に乗せる工夫としては、「例外を作らずチャイルドシートに乗るまで発車しない」「チャイルドシートは子供専用の椅子と認識させる」「車専用のおもちゃを用意」などが挙げられた。参加した保護者からは、「ベルトをしないと危険・怖いということを、低速からの急ブレーキで体験させて教える」「きょうだいでシートに座る早さを競わせる」などの工夫も発表された。

 セミナーでは、アップリカからは、チャイルドシートに乗るための提案として、ポイントカードとシールが配られた。このポイントカードは家族内で使うもので、チャイルドシートに座った場合にシールを貼り、全部貼れた場合に“ご褒美”を与えることで、着用の促進するものとした。

チャイルドシート親子教室は、同社のマーケティング本部の松本忠治氏が講師を務め、勧められた会場には親子で参加し、たいへんな賑わいをみせた短時間乗車でのチャイルドシート着用率はアメリカが高い
チャイルドシートに乗せるための工夫
アップリカが配布する家族内のポイントカードとシール

 続いて、場所を屋外に移して行われた衝突体験会では、シートベルトコンビンサー(衝突体験機)による時速5kmからの衝突の衝撃を再現した。人形を使った実験では、チャイルドシートをしない場合、身長が小さい子供はシートベルトによって首が締め付けられることや、車内で立ち上がっている場合は激しく前方に叩きつけられることなどが目の前で再現された。

 参加した保護者や一部の子供も実際に衝突体験機に乗り、衝撃を目の当たりにした子供たちの中には不安な表情を浮かべる子もいるなど、参加者たちはそれぞれにチャイルドシートの必要性を体感していた。

 体験会には地元の月島警察署から警官が参加、体格に合ったチャイルドシートの着用や後部座席のシートベルトの着用を訴えた。

子供のダミーの首にシートベルトがあたり、衝撃で首が大きく圧迫された後部座席に立っていた子供のダミーは衝突でフロントシートに強く押し付けられた5km/hでも大きな衝撃に参加者は驚いていた
子供もチャイルドシート付きで実際に体験。強がっていたが不安な表情も見せていた月島警察署の警察官も参加、チャイルドシートや後部座席のシートベルトの着用を訴えたアップリカのチャイルドシートが展示された

(正田拓也)
2012年 6月 28日