東名、中央道、関越道をつなく東京外かく環状道路着工式
「東京だけでなく、日本全体の流通を改善するもの」と石原都知事

国土交通大臣や東京都知事らが出席した東京外かく環状道路着工式

2012年9月5日開催



 東京都や国土交通省らは9月5日、東名高速、中央自動車道、関越自動車道をつなく東京外かく環状道路着工式を開催した。着工式は、東名JCT(ジャンクション)の建設予定地である、東名高速高架下(東京都世田谷区大蔵地先)で開催され、主催者の東京都知事や国土交通大臣らによる挨拶、関係者による鍬入れ式が実施された。

関係者らによる鍬入れ式が実施された

羽田雄一郎国土交通大臣

 はじめに登壇した羽田雄一郎国土交通大臣は、「国交省では東日本大震災の経験を踏まえ、災害時の避難、物資輸送ルートの確保、国際競争力の強化、交通渋滞の緩和等を図るため、諸外国に比べて遅れている大都市圏の環状道路整備を積極的に進めている」と語り、そのためにも、首都高速道路中央環状線(中央環状)、東京外かく環状道路(外環)、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の首都圏三環状道路の開通が必要であると言う。

 また、この開通は、「我が国の浮沈を握る大きな課題」とし、着工に対する期待を述べた。羽田国交大臣は、「環状道路としての機能を最大限に発揮するために、湾岸部までをつなぐ東名高速以南の計画を、地域の皆さんの意見をうかがいつつ、具体化させていくべく、関係者との検討の場を立ち上げたい」とも語り、外環の延伸への意欲も見せていた。

 外環の東名、中央道、関越道をつなく区間は、1966年(昭和41年)に都市計画として決定されたものの、東京でも有数の住宅地を貫くことから用地買収が進まず、1970年(昭和45年)に建設計画を凍結。1999年(平成11年)の石原都知事の外環現地視察によって、着工へ向けての再スタートが切られ、用地買収の必要な高架構造から、用地買収を最小限にすませることが可能で、環境への影響も少ないとされる大深度地下工法に切り替えての着工となった。

石原慎太郎東京都知事

 国交大臣の挨拶を受けて登壇した石原慎太郎東京都知事は、「外環道路は東京の道路ではなく、国家の道路」と言い、この道路は東京の一番のハンディキャップである渋滞を解消し、「東京だけでなく,日本全体の流通を改善するものである」と語った。そのような道路がこれまで着工されていなかったのは、「日本の国家の官僚に都市計画がなかったからである」とし、「(外環の完成に)一歩踏み出したことは、うれしいことであるし、日本全体の経済の活性化に絶対に必要なこと」と、自分が着工のきっかけになった道路であるだけに、思い入れもあるようだった。その後、石原都知事の発言は尖閣問題に移ったが、外環の着工とは直接の関連がないので本記事では割愛する。

 外環建設の概要については、国交省 関東整備局長 下保修氏が説明。今回の着工区間は約16kmであるものの、完成することで災害に強い道路ネットワークを構築できること、直径約16m片側3車線の大断面シールド工法を採用することなどが語られた。

大深度地下空間に直径約16mのトンネルを2本通す

 なお、この着工区間においては、今でも反対運動が行われており、着工式会場外では、反対住民による抗議活動が行われていた。

着工式は、東名高速の高架下で開催された東京高架橋A-2の西寄りの位置になる着工式会場外では、反対派の抗議活動が行われていた

(編集部:谷川 潔)
2012年 9月 5日