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フォード、低速時自動ブレーキシステムを備える新型「フィエスタ」発表会
発表会場では今年発売を予定するコンパクトSUV「エコスポーツ」も展示
(2014/1/10 00:00)
フォード・ジャパン・リミテッドは、新型「フィエスタ」を2月1日から発売する。プリクラッシュセーフティシステムなどを装備を充実させ価格は229万円。ステアリング位置は右のみ。
フィエスタはBセグメントのコンパクトカーで、日本市場には5ドアハッチバックのボディーにターボ付き1.0リッターエンジンと6速DCTを組み合わせた「1.0 エコブースト」1グレードのみを導入する。JC08モード燃費は17.7km/L。
先代フィエスタは2004年から2007年ごろまで日本市場に導入されていたが、本国で新型に切り替わったタイミングから日本導入は途絶えていた。今回導入される車両は、2012年に発表されたマイナーチェンジ以降のスタイルとなったモデル。エンジンはターボ付きの1.0リッターエンジンを搭載し、トランスミッションはDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせる欧州コンパクトカーの最新トレンドに沿ったものとなった。
搭載されるエンジンは、2012年と2013年の2年連続で「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー」を受賞した直列3気筒DOHCの「1.0 エコブースト」。排気量は997ccで、吸排気独立可変バルブタイミング機構の「Ti-VCT」、インタークーラー付き直噴ターボチャージャーなどを備え、最高出力74kW(100PS)/6000rpm、最大トルク170Nm(17.3kgm)/1400-4000rpmを発生。一般的な1.6リッターエンジンと同等以上の性能を持つとしている。使用する燃料は無鉛プレミアムガソリン。
このエンジンに、フォードが「PowerShift」と呼ぶゲトラグ・フォード製6速DCTを組み合わせて前輪を駆動する。サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット、リアがツイストビームトレーリングアーム。日本仕様に標準装備されるタイヤは195/45 R16で、アルミホイールも標準装備。
ボディーサイズは3995×1720×1475mm(全長×全幅×全高)で、重さは1160kg。ボディーの55%には高張力鋼板と超高張力鋼板を採用し、Aピラー、Bビラーにはボロンスチールを使用している。
エクステリアはフォードのデザインコンセプト「キネティックデザイン」を進化させたコンセプトカー「Evos Concept」から継承したフロントマスクを使用。高めに位置する台形のフロントグリル、シャープで切れ長のヘッドライト、「パワードーム」と呼ばれる隆起のあるエンジンフードでフロントマスクを構成する。
さらに、サイドに力強く施されたプレスラインとリアに向かって跳ね上がるベルトラインで躍動感を演出。リアにはフロント同様の台形モチーフを取り入れている。さらに日本仕様ではフロント、サイド、リアにボディーキットを装着し、ルーフ後端には大型スポイラーを標準装備する。
インテリアも先進性を感じさせるデザインを採用。メーターパネル中央にはカラーディスプレイを搭載する。デジタルオーディオプレーヤーやスマートフォンをBluetoothで無線接続し、ステアリングホイールのリモコンや音声入力(英語)による操作が可能なドライバーコネクトテクノロジーの「SYNC」を搭載し、音楽再生や携帯電話でのハンズフリー通話を可能としている。
安全装備も充実しており、車両間の相対速度差が15km/h未満の状況では追突を回避する低速時自動ブレーキシステムの「アクティブ・シティ・ストップ」や、独自の車両安定化技術「アドンバンストラック」を標準装備、さらにDCTの不得意分野である坂道発進をサポートする「ヒルスタート・アシスト」、後退時の安全確認をサポートするリアビューカメラと障害物を検知して警告音を鳴らす「リバースセンシングシステム」も標準装備となる。
エアバッグは運転席と助手席をはじめ、前席乗員の胸部を保護するSRSサイドエアバッグ、頭部を保護するSRSサイドカーテンエアバッグ、ドライバーの脚部を保護するSRSニーエアバッグまで多数装備する。
ドイツ・ケルン工場製の車両を国内導入。テレビCMも展開
1月9日に実施された発表会では、フォード・ジャパン・リミテッド マーケティング部ディレクターの木下洋氏が新型フィエスタの説明を行った。
木下氏はフィエスタというモデルの歴史をまず説明。1976年に初代モデルがヨーロッパで発売され、約40年で1500万台以上を販売する「フォードの誇るヒット車種」と説明した。当初はヨーロッパ市場での販売だったが、世界的に広がるコンパクトカーニーズの広がり、ワンフォード戦略の中でのグローバルモデルの拡大から、2009年から世界中に供給されるモデルとなった。
グローバル展開の成果もあって、ある調査会社のデータでは「2012年にコンパクトカーの中で世界で最も売れたクルマ」となったと紹介。さらにその調査データでは、全セグメントでも第6位となっているという。ちなみにそのときに全セグメントで販売台数1位になったのはフォード・フォーカスだったとしている。
木下氏は販売台数は尺度のひとつと前置きするものの「フィエスタが世界で評価されている証である」と強調。さらにフィエスタのキーとなるポイントは、「新世代のグローバル・デザイン」「Ford EcoBoostテクノロジー」「ドライビング・パフォーマンス」「スマート&セーフティ」の4つあると説明した。欧州仕込みのハンドリング性能やクラストップレベルの先進安全性を備えていると語り、エンジンでは17.7km/Lと省燃費化を進めながらも動力性能は両立しているとアピール。「低燃費化によって運転が退屈になっては意味がない」と言い切った。
フィエスタの開発拠点はドイツのケルンが中心となっているが、車両の生産は世界6個所で行われている。日本に導入するフィエスタに関しては、開発拠点でもあるドイツのケルンで生産された車両が輸入されるとのこと。
フィエスタの発売は2月1日で、販売店における統一展示会は2月1日、2日を予定しているが、その前にテレビCMも展開する。フォードがテレビCMを展開するのは10年以上ぶりのことで、フィエスタはフォードとしてはかなり力を入れた広告展開を実施するという。
2014年後半にコンパクトSUVの「エコスポーツ」を導入してラインナップ完成
発表会では、フォード・ジャパン・リミテッドの代表取締役社長兼最高経営責任者の森田俊生氏が、世界や日本におけるフォードの基本方針などを説明した。
グローバルでは「2013年は収益、販売シェア拡大において歴史的な成長を達成」とし、販売においては「すべての地域で販売の拡大、または維持を達成する見込み」と好調さをアピール。2014年は「過去最多となる23車種の新型車を世界で導入」とした。
日本国内では、2013年は新型フォーカスと新型クーガを投入して6車種をラインアップし、販売店は4つの販売会社が新規参入して7店舗がオープン。この結果、「2010年以降、4年連続で前年超えの販売を達成できた」と好調を訴えた。
2014年も1月に大阪で新しい販売店がオープン予定。その後にフィエスタが導入され「これが日本における起爆剤になることは間違いない」と期待を込めた。さらに森田氏は、2014年後半にコンパクトSUVのニューモデル「エコスポーツ」を導入することも発表している。
「現在、日本におけるフォードのビジネスの大きな柱はSUVの販売。強固なSUVのラインアップに新型エコスポーツを加えることで、さらに強固なものになっていくと確信している」「輸入車をお買い上げいただくお客様が選ぶことのできる商品郡をほぼ取り揃えることになる」とエコスポーツ導入後の展開を示し、「エコスポーツの導入をもって、フォードのラインナップは完成します」と宣言した。