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NNG、カーナビ、スマホ、クラウドを円滑に繋げる「NavFusion Platform」発表
新しいユーザー・エクスペリエンスを追究して「将来的にはナイトライダーの世界を目指す」
(2015/10/20 12:30)
- 2015年10月19日発表
ハンガリーに拠点を置くナビゲーション・ソフトウェア・プロバイダーのNNGは10月19日、最新プラットフォームとなる「NavFusion Platform」を発表。都内で記者説明会を開催した。
発表会ではハンガリーから来日したNNG 取締役会長のヤコブ・ハルペリン氏から同社の概要やこれまでの取り組み、世界と日本での近年の活動などについて解説されたあと、NNG 日本オフィスの代表取締役である池田平輔氏から新たに発表したプラットフォームなどについての紹介が行われた。
池田氏はまず、2012年から2022年の10年における自動車とカーナビの販売台数の推移と将来予測を紹介。グローバル市場では成長が見込めるものの、成熟市場となっている日本においてはどちらも減少傾向に転じる予測となっていることを明かし、今後の日本におけるカーナビ市場では「コネクティビティ」がキーワードになっていくと解説。
ここ数年で新車販売されるクルマにおいてインターネットなどとの接続を持つモデルが増えており、何年か先にはほとんどの新車がネットワークとの関係を持ち、池田氏はこれを「言い替えれば、クルマがIoT(Internet of Things:もののインターネット)の一部になる。インターネット空間に吸収されてしまうと言える」と表現。今後はスマートフォンやテザリングなどの技術から普及が進んでいき、その普及において現在のVICSやITSに代表されるような正確な交通情報、鮮度の高い地図情報などが市場から要求されるだろうとの市場予測を披露した。
日本市場におけるNNGの戦略としては、各種メーカーとのパートナーシップを基軸に、欧州メーカーとして海外市場でニーズの高いシンプルな操作感を重視したNNGの製品のポリシーは維持しつつ、日本式の多機能なカーナビで実現している機能の取り込み、NNGの開発力を生かした自動車業界が抱えている問題点の解決、NNGが得意としているコンテンツ(地図データや周辺スポット情報など)の集約に加え、クラウドの活用といった新しいソリューションまで集約した提供などを新しいプロモーションの柱にしていきたいと池田氏は語る。
この戦略を実現するため、自動車業界が持つ課題として「ユーザー・エクスペリエンスの強化」をキーワードとして紹介。近年ではスマートフォン市場で飛躍を続けているGoogleやアップルといった企業を引き合いに出し、スマートフォンを活用したナビゲーションアプリがユーザーの支持を集めていることを語りつつ、一方で画一的な表現に固定され、スマートフォンという出力機器を使うようになると、自動車メーカーごとのブランディングやユーザーごとのパーソナライゼーションが損なわれがちであると指摘。また、自動車メーカーにとってもビッグデータをGoogleやアップルに奪い取られていく一方になってメリットがないとしている。
こうした課題の解決策として提案するのがこの日に発表したNavFusion Platformで、通信の中心にスマートフォンを使いつつ、メーカーごとにカスタマイズした独立するプラットフォームとして、独自の地図データをドライビングにフォーカスした形で組み合わせて製品を構築していく。具体的には車載器とスマートフォンで同じ地図データを使う「コンパニオンアプリ」を用意し、スマートフォンが自宅などのWi-Fi環境でデータ通信量を気にしなくて済むときに自動的に地図データの更新を実施。クルマに乗って車載器と接続された段階で車載器の地図更新を行ったり、イナゴの「netpeopleアシスタントプラットフォーム」と連携した対話形式でのカーナビ操作や音声入力、車載器に与えられているクルマのCAN-BUSデータをスマートフォンのアプリなどでも活用できるようにするAbaltaの「WEBLINK」連携などを備え、先進的なIT機器と車載器の連動によって新しいユーザー・エクスペリエンスを生み出していけるとしている。
このほか、池田氏によるプレゼンテーション後に行われた質疑応答で、池田氏は新しいNavFusion Platformが車両側と合わせたカスタマイズが前提になっている製品で、現時点では具体的なプロジェクトは存在していないことを明かし、一方ですでにベースとなる部分の開発はすべて終わっており、カスタマイズに関してはプロジェクトを進めていく段階で、相手側との契約などにかかる時間より短く製品化までの時間に影響を与えないことと解説した。また、既存製品でも似たような取り組みが行われているなかで普及が進んでいかない現状への対策では、現実的な判断として昨今の技術ではユーザーに対して大きくアピールできるレベルに至っていないと明かし、イナゴの技術と連動する自然対話型の音声入力には自信を見せつつもなかなかユーザーに分かってもらえないと語る。
さらに池田氏は「しかし、だから止めるのかと言えば、そうではないですよね。ここで続けていかなければ技術がよくなっていかないので。インターネットを見ると、正直に言って嫌な書き込みもありますが、“アーリーアダプター”と呼ばれる初期の段階で使い始めるお客さまの声をフィードバックしてよりよくしていくというのが、プロセスとして大事なのだと考えています」「昔、アメリカのTVドラマで『ナイトライダー』という作品がありましたが、たぶんゴールはあんなクルマなのだと思っています。あれぐらいのレベルにまでいかないと、爆発的に普及はしないと思います」とコメント。自分たちが目指している方向性が間違っていないと口にしている。