ニュース

ブリヂストン、最新鋭タイヤ成型システム「EXAMATION(エクサメーション)」説明会

彦根工場に導入し、タイヤの真円性を15%以上向上

2016年5月25日 発表

バーコードによって高度に管理されているブリヂストンのタイヤ。最新鋭タイヤ成型システム「EXAMATION(エクサメーション)」説明会では、このタイヤの成型工程について解説が行なわれた

 ブリヂストンは5月25日、最新鋭タイヤ成型システム「EXAMATION(エクサメーション)」を発表。同システムに関する説明会を開催した。エクサメーションの発表内容については関連記事「人工知能(AI)を実装した最新鋭タイヤ成型システム『EXAMATION』」を参照していただきたい。

 説明会には、ブリヂストン タイヤ生産システム開発本部長 三枝幸夫氏、消費財プロセス開発部長 藤原裕之氏、IT・ロボット技術改革部 IT技術革新ユニットリーダー 佐々木英二氏の3氏が参加。主な説明は三枝本部長が、質疑応答については3氏が答える形で実施された。

右から、株式会社ブリヂストン タイヤ生産システム開発本部長 三枝幸夫氏、同 消費財プロセス開発部長 藤原裕之氏、同 IT・ロボット技術改革部 IT技術革新ユニットリーダー 佐々木英二氏

 現在、ブリヂストンは国内に10のタイヤ工場を展開しており、その中でも最先端の技術が投入されているのが彦根工場になる。この彦根工場では日産5.3万本の乗用車用タイヤを生産。ブリヂストンの中でも乗用車用タイヤを生産する最大の工場となっており、小ロット・多サイズ生産システム「BIRD(バード:Bridgestone Innovative Rational Development)」(関連記事:「BIRD」を報道公開)によって、プレミアムタイヤ「REGNO(レグノ)」が作られている工場でもある。

ブリヂストンのICT活用

解説は主に三枝本部長が担当

 三枝本部長は、ブリヂストンのICT(情報通信技術:Information and Communication Technology)に関する取り組みから解説を始めた。ブリヂストンでは工場の“見える化”を進めており、現在は多くのデータが取得できている状況にあるという。その上で、「たくさん見えている課題をどう処理するか、このデータをどう活用するかが問題となった」ということがICTの取り組みの出発点になっているという。

 そのデータを活かすために作り上げたのが、「BIO(Bridgestone Intelligent office)」と「BID(Bridgestone Intelligent Device)」という仕組み。生産に伴うデータを峻別・解析し生産アルゴリズムを作る部分をBIO、そのアルゴリズムによって生産コントロール(品質、プロセス、エネルギーなど)を実際に行なっていく部分をBIDと定義。BIOで生成されたアルゴリズムを、BIDのAI(人工知能)制御モジュールでコントロールしながら実際に生産していく。

 生産解析・改善は、「フィールド情報のセンシング技術」「アルゴリズムを生む解析・予測技術」「高精度加工技術」というサイクルで回しており、この価値創造サイクルを高速に回していくことで予測精度を向上し、業務品質/スピード改革を行なっていくという。

生産体制の考え方
国内生産体制
乗用車用タイヤの変遷
生産技術の変遷
ICTの取り組み
BIOとBID
開発サイクル

最新鋭タイヤ成型システム「EXAMATION(エクサメーション)」

タイヤは高分子化合物のノウハウによって作られるものであり、そのノウハウをデジタル化していきたいという。写真は加硫前の生タイヤの一部

 最新鋭タイヤ成型システムであるエクサメーションは、最新鋭の生産システムが採り入れられている彦根工場に導入されたものになる。タイヤ製造の特徴として、トレッド、サイド、ベルト、プライ、ビードなどを各工程で並列に作り、それらを持ち寄り成型工程でタイヤのもと(生タイヤ)を作製。その後、加硫工程で熱と圧力を加えてトレッドパターンなどを作りだし、一気に製品タイヤとして仕上げている。そのタイヤ生産のキモとなる成型工程に採り入れられたのがエクサメーションになる。

 これまでは、トレッド、サイド、ベルト、プライ、ビードは1つのドラムに人が手作業で貼り付け生タイヤを製造していた。エクサメーションでは、プライ、インナーライナー、サイドなど3つのドラムを使い、並行で進める工程を実現している。また、このドラムに素材を巻き付ける際の精度が重要となるが、ビデオカメラで素材の送り出しを監視し、素材の送り出し位置のセンタリングを自動化。素材の巻き付け結果なども確認している。

開発経緯
製造工程
エクサメーション
エクサメーションのICT
ユニフォミティについて

 これにより、約2倍の製造能力と15%以上の真円度向上という品質向上を果たした。ちなみにBIOの予測シミュレーションでは20%の品質向上、実際の品質向上が15%~20%とのことで、シミュレーション精度も非常に高いことになる。

 このエクサメーションを採り入れた成型工程では2倍の生産性を達成しているものの、前工程、後工程などもあり、全体では1.4倍の生産効率を達成。彦根工場では2月からこの真円度が向上(生産品質のばらつきが減少)したタイヤを生産しているという。

エクサメーションの効果

 真円度はユニフォミニティとして表わされるが、この真円度が向上したタイヤはとくにブランド化されず、通常の生産工程での精度向上に反映されているという。また、今回のエクサメーションは主に17インチ以下のコンパクトカー向け量産タイヤに用いられており、大径プレミアムタイヤはこれまでの小ロット・多サイズ生産システムであるバードが用いられていくとのことだ。

 生産効率が向上し、成型工程での省力化も進むことから、人員削減に関する質問も出たが「現在、彦根工場は人員不足」とのこと。生産工程をやりくりしている状態で、エクサメーション導入が人員削減につながることはないという。単位時間あたりの生産能力が向上したことや製品のばらつきが減ったことからコスト削減にはつながるとのことだ。

(編集部:谷川 潔)