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写真で見る ホンダ「N-BOX スラッシュ」

 2011年に発売された本田技研工業の軽ハイトワゴン「N-BOX」。「N」シリーズがこれからの軽自動車のベースになるというアナウンスどおり、「N-BOX+」「N-ONE」「N-WGN」と、着々とラインアップの充実が図られてきた。2015年を間近に控えた2014年12月、新たにそのラインアップに加わったのが「N-BOX SLASH(スラッシュ)」だ。

 N-BOX スラッシュの開発は、もともとスケジュールに組み込まれていたものではなく、エクステリアデザイナーが描いた1枚のスケッチがきっかけ。それがほかの開発陣の目に触れると「それなら」とばかりにインテリアが描かれ、開発の予定がないのに原寸大モックアップまで作られてしまった。最終的にはその存在が役員の耳にも届き、開発にゴーサインが出されたのだという。マーケティングを元に数年スパンでの綿密な計画スケジュールを行うクルマづくりが主流の現在、なかなか珍しい生い立ちのモデルと言える。

 車名からも分かるように、当然ながらベース車はN-BOX。そこから大胆に100mmもルーフをカットするとともに、リアに向かってルーフラインを下げつつ、逆にウインドーのボトムラインをキックアップ。ショルダーラインから下はN-BOXのスタイルながら、2ドアクーペのようなシルエットを演出している。同時にフロントグリルをはじめ、ルーフモール、フューエルリッド、Cピラーのビレット調ガーニッシュなど、ディテールにメッキパーツを多用してアメリカンカスタムカーのような雰囲気を醸し出している。

 インテリアもエクステリア同様にカスタム色の強い仕上がり。前後ドアのビレット調ガーニッシュや随所に配置されたベアメタル(むき出しの金属)調のシルバー加飾はもちろん、オプション設定する合成皮革を採用したシート表皮、さらに同様の表皮を使ったドアトリムなど、市販状態でも一般的な軽自動車と一線を画す仕上がりとなっている。

 趣味性の強い仕上がりだけにオーナーを選びそうだが、5つのスタイルを用意することでニーズを吸収しているのも特長の1つ。黒を基調とする「ストリートロッドスタイル」、ベージュを基調とする「ブライトロッドスタイル」のほか、上級グレードではオプションで1960年代のダイナーレストランを彷彿とさせる「ダイナースタイル」、さわやかなサーフテイストの「グライドスタイル」、重厚なリビングを思わせる「セッションスタイル」を用意して、計5パターンから選択することが可能となっている。ボディーカラーもベースカラー8色、ルーフカラー3色の組み合わせから18パターンが用意されており、自分だけの1台に仕上げていくことができる。

 エンジンは直列3気筒DOHCの「S07A」で、自然吸気とターボを用意。スペックは前者が最高出力43kW(58PS)/7300pm、最大トルク65Nm(6.6kgm)/4700rpm、後者が47kW(64PS)/6000rpm、最大トルク104Nm(10.6kgm)/2600rpm。トランスミッションはCVTのみとなる。このようにパワートレーンはN-BOXを踏襲しているが、インジェクターの噴霧特性やECUの最適化、CVTのファイナルギアレシオ変更など、N-BOX スラッシュに合わせた変更が行われており、加速性能や燃費の向上を実現している。その結果、燃費はJC08モードで自然吸気の2WD車が最高25.8km/L、ターボの2WD車で最高24.0km/Lとなっている。

 グレードはベースとなる「G」と、装備充実の上級仕様「X」の2タイプが用意される。さらにGでは「シティブレーキアクティブシステム」などをセットにした「あんしんパッケージ」を標準装備する「Aパッケージ」、Aパッケージに加えてターボエンジン搭載の「ターボ Aパッケージ」の2つを用意。あんしんパッケージが標準となるXには「ターボパッケージ」がオプションとして設定されている。なお、駆動方式は全モデルで2WD(FF)と4WDを選ぶことができる。価格は138万円~188万円。ルーフカラーを変更する2トーンカラースタイル選択時は151万9400円~193万9400円。

ボディーカラーは2トーンカラースタイルのプレミアムホワイト・パールII&レッド。インテリアカラーはオプションのダイナースタイル
アメリカンカスタムカーのようなチョップトップスタイルを採用。ルーフカット100mm&ローダウン10mmで、全高はN-BOXより110mm低くなる1670mm(4WD車は1685mm)
低速域衝突被害軽減ブレーキシステム「シティブレーキアクティブシステム」をオプション設定。装着車はフロントウインドー上部にセンサーが付く
リアドアのアウターハンドルをウインドーガーニッシュと一体化することで、クーペのようなスマートな印象を演出
ウインカーを内蔵する電動格納式リモコンカラードドアミラーが全車標準。ピラー内側の「ピタ駐ミラー」で運転席からは見えづらい場所も確認可能
ドアの解錠・施錠がワンタッチで行えるスマートキーシステムも全車標準
Cピラーにはビレット調のピラーガーニッシュを装着
フューエルリッドにはクロームメッキの加飾が付く
アンテナは長めのロッドタイプ
LEDリアコンビランプはクリアとメッキのコラボ仕上げ
S07Aユニットの自然吸気版。グレードを問わず自然吸気とターボを選択できるのが嬉しい
自然吸気エンジン搭載車は14インチスチールホイールを標準装備。Xグレードはカラードディッシュ仕様。タイヤサイズは155/65 R14で、撮影車両はダンロップ・エナセーブEC300を装着
ダイナースタイルのインテリアはホワイトとレッドのコーディネート
合成皮革のトリムやビレッド調の加飾など、“吊しの状態”とは思えないほど細部まで凝った仕上がり
ステアリングも2トーンカラー仕様
助手席側にはチェッカーフラッグ模様の加飾パネルが付く
プラズマクラスター搭載のフルオートエアコンが全車に標準装備される
ダイナー、グライド、セッションの各インテリアカラーパッケージを選ぶとキーも専用柄になる
ダイナースタイルのシート表皮は、鮮やかなレッドの合成皮革にチェッカーフラッグ柄をアクセントに使う
こちらの撮影車両はXのターボパッケージ。ボディーカラーがスマートブラック、インテリアカラーがブラック(ストリートロッドスタイル)の組み合わせ
64PSを発生するS07Aのターボ仕様。N-BOXよりボディー剛性が高められたことで走りも向上している
ターボモデルは15インチアルミホイールが標準。タイヤはブリヂストンB250でサイズは165/55 R15
ブラックにクロームメッキの加飾を使い、シンプルながら華やかさのあるインテリア。ディスプレイオーディオはXグレードにメーカーオプション
ターボエンジン搭載車はパドルシフト付の本革巻ステアリングを装備。自然吸気エンジン搭載のXグレードはパドルシフトレスの本革巻仕様
Xグレードはブルーのイルミネーションが基本
プッシュエンジンスタート/ストップスイッチは全車標準。制振シートや吸音シート、吸音ウレタンにより静粛性、制振性を高める「ピュアサウンドブース」をオプション設定。装着車にはシフトレバー部にバッヂが付く
Xグレードはシートヒーターや「qi(チー)」対応のワイヤレス充電器を標準装備。メーカーオプションのディスプレイオーディオ装着車はUSB&HDMI端子を備える
標準モデルのシート表皮はファブリックで、アレルギー対策を施したアレルクリーンシートを採用
ブライトロッドスタイルのインテリアはベージュ系のカラーになる
撮影車両はX。ボディーカラーは2トーンカラースタイルのサーフブルー&ホワイト。インテリアカラーはオプションのグライドスタイル
ホワイトとライトブルーを組み合わせるグライドスタイルは、車内が明るく開放的なイメージ
Xグレードのステアリングはヒーターを内蔵。寒冷地でも快適に運転できる
インパネ中央にはシフトレバーとエアコンの操作パネル(写真はブライトロッドスタイル車)
オプション装着の「ナビスペシャルパッケージ」に、ディーラーオプションのプレミアムインターナビ「ギャザズ VXM-155VFi」の組み合わせ(写真はブライトロッドスタイル車)
USB端子はグローブボックス内に設置
グライドスタイルのシート表皮はホワイトとライトブルーの合成皮革
リアシートのリクライニングは座面後端が沈み込むスタイル。5:5の分割可倒式でアームレストを内蔵
セッションスタイルのインテリアはダークブラウンを基調とした落ち着いたイメージ
ダイナースタイルとセッションスタイルはメーター照明がブルーではなくレッドになる
CVTなので2ペダル。フットレストも装備
パーキングブレーキは全車スイッチ操作の電子制御タイプ
ステアリングコラム右側にはカップホルダーのほか、低燃費モードに切り替える「ECON」スイッチ、パワーステアリングのアシスト力切り替えスイッチなどを設置
ステアリングコラム右側下部にもスイッチが並ぶ
サウンドマッピングシステムを装着するXグレードでは、センターコンソール下部に「FOSTEX」と共同開発した17cmのバックロードホーン型サブウーファーを装備
サウンドマッピングシステム装着車はリアシートにも12cmスピーカーとツィーターを装備(写真はブライトロッドスタイル車)
ディーラーオプションナビ装着車はメーカーオプションのディスプレイオーディオ装着車とは端子類が異なる
バニティミラー付サンバイザーは全車標準
ターボ車とXグレードのマップランプはLED
サングラスホルダーはXグレードのみ装備する
リアシートのスライド量は190mm。最後方まで下げると足下にはかなりの余裕ができる
リアシートはスライドだけでなくチップアップも可能
セッションスタイルのフロントシート。シートの前後位置を合わせるとベンチシートスタイルになる
高いクオリティを感じさせる運転席ドアガーニッシュ。500mLのペットボトルだけでなく紙パック飲料も置くことができる
リアドアガーニッシュも高級感あふれる仕上がり。ドアポケットには1Lのペットボトルとボックスティッシュも収納可能
リアシートを最前部まで前進させた状態。4人乗車時でも296Lの容量を確保
リアシートを最後方まで後退させた状態のラゲッジスペース
リアシートを左右別にスライドさせたところ
リアシートは5:5の分割可倒式。シートバックに加えて座面も前方にダイブダウンする
両側をダイブダウンさせればラゲッジ容量は最大で743Lまで拡大。ラゲッジフロア下にはサブトランクを用意。全車スペアタイヤレス仕様でパンク修理キットを搭載する

(安田 剛)