写真で見るスズキ「アルト」 |
初代アルトが誕生したのは1979年5月。気軽にかつ多用途に使えるクルマとして誕生した。当時の軽乗用車やボンネットバンが50万円~60万円という価格帯設定だったのに対し、「全国標準現金価格47万円」という低価格設定がうけ、ベストセラーとなった。その後も経済的に、そして気軽に使えるモデルというアルトの本質を突き詰め、代を重ねるごとにクルマとしての基本性能に磨きをかけた。
そのアルトも今年で誕生30周年を迎え、新型を投入した。コンセプトは「省資源・低燃費で気軽に使え、世代を超えて愛される軽自動車」。買い物、通勤、家族の送迎と、クルマを毎日使うユーザーが満足できるモデルとし、「優れた環境性能と経済性」「愛着がわく、フレンドリーなデザイン」「基本性能の向上と、使い勝手への配慮」の3点を特長とする。
エンジンは直列3気筒DOHC 660ccで、ガソリンの燃焼効率を高めるとともに低燃費に貢献するVVT(可変バルブタイミング)機構を採用。とくに低速域でのトルクを高めることで、発進時における加速性能を向上。さらにインテークマニホールドやエアクリーナーの吸気効率を改善し、燃費性能も高めた。最高出力は40kW(54PS)/6500rpm、最大トルク63Nm(6.4kgm)/3500rpm。
トランスミッションはモデルによって5速MT、4速AT、CVTが組み合わせられ、CVTは新型パレットで初採用された副変速機構付きのもの。駆動方式は全グレードに2WD(FF)車と4WD車を設定する。FF車でCVTを搭載するモデルの10・15モード燃費は24.5km/h(4速AT搭載車は22.5km/h)。
また、先代モデルよりも軽量な高張力鋼板を使用し、さらにその使用エリアを拡大したことで、2WD車(FF、5速MT)の場合で約10kgの軽量化に成功し、車重を710kgとした。また、風洞実験やコンピュータ解析を幾度となく行ったことで、Cd値も低減していると言う。
エクステリアデザインは、世代を超えて受け入れられるフレンドリーなデザインをベースに、ウェッジを効かせたプレスライン、広さ感とスタイリッシュ感を両立させたキャビン造形を特徴とする。ボディーサイズは3395×1475×1535mm(全長×全幅×全高、4WDの全高は1545mm)、ホイールベースは2400mm。
インテリアは明るいベージュにブラウンの組み合わせ。ベージュは開放的なカラーで非常に人気があるそうだが、一方で汚れが目立ちやすいというデメリットがある。そこで手がよく触れられる個所には濃いめのブラウンを配置し対処した。また、スピードメーターは大きく見やすいものとし、ハザードスイッチを視線移動の少ない場所に配置するなど、デザインもさることながら使い勝手も重視したものとなっている。
グレードはE、F、G、X(今回の撮影車両はX)。「環境対応車普及促進税制(エコカー減税)」については、E/FのFF車(5速MT)とG/XのFF車・4WD車(いずれもCVT)は自動車取得税と自動車重量税が75%減税されるほか、その他のモデルも50%減税と、全グレードが対象になる。
先代モデルから車両全体の板厚を見直し、軽量かつ剛性の高い高張力鋼板を採用。これにより2WD車(FF、5速MT)で約10kgの軽量化に成功した。それぞれのグレードにFF車と4WD車を設定 |
ボディーカラーはシャイニーグリーンメタリック、エアブルーメタリック、ミルクティーベージュメタリック、マルーンブラウンパール、シルキーシルバーメタリック、スペリアホワイトの全6色を設定 |
車体の防音構造や、吸音材、遮音材を見直し、従来モデルより静粛性が向上したと言う。インテリアカラーはベージュを基調としている | ハンドルにはオーディオなどを操作するスイッチ類はなく、シンプルなデザイン | 大型スピードメーター |
スピードメーター内の液晶画面はトリップメーターのA/B切り替えのほか瞬間燃費・平均燃費・航続可能距離の表示ができる |
全グレードともシートはファブリック表皮とし、カラーはベージュの1色。Xのみ運転席シートリフター、分割可倒式のリアシートを採用する。さらにGとXの4WD車は運転席にシートヒーターを標準装備 | ||
Xの後席シートは5:5の分割可倒式とした |
後席用のドリンクホルダー | ラゲッジスペース下部にはスペアタイヤ、ジャッキ、工具などを収納する |
(編集部:小林 隆 Photo:堤晋一)
2009年 12月 17日