写真で見る BMW「X6 M」 |
BMWは「M」を特別なモデルと位置づけている。今回取り上げる「BMW X6 M」も、普通に考えればファストバックスタイルのSUVである「X6」シリーズの高性能上位モデルにあたるはずだ。しかしBMWは、あくまで“MシリーズのなかのX6 M”と位置づける。Mシリーズは、BMW M社が手がけたモデルのこと。M社の「M」はモータースポーツの意味であり、フォーミュラカーを含め、モータースポーツ用車両の開発や生産を行なっていた。それだけBMWにとって意味のあるのがMシリーズなのである。
X6 Mに搭載されるパワーユニットは、ツインターボチャージャー付きの4.4リッターV型8気筒エンジン。最高出力は408kW(555PS)を得ている。これはベースモデルにあたるX6(xDrive50i)の300kW(407PS)に比べて36%もパワーアップされており、量産型BMWのなかでもっとも高出力なエンジンでもある。
トランスミッションは専用に開発された6速オートマチック。ステアリングに設けられたパドルシフトでマニュアル操作も可能。オートマチックは2モードあり、「エフィシェント」では早めのシフトチェンジで燃料消費量を軽減し、「スポーツ」はダイナミックな走りを楽しめる設定となっている。駆動は「xDrive」と呼ばれる電子制御前後駆動力配分方式の4輪駆動を採用している。
サスペンションには車高を10mm低く設定した「アダプティブ・ドライブ」を装備。コーナリング時のボディーのロールや揺れを抑える。走行状況に応じて左右のリアホイール間の駆動力を最適に配分する「ダイナミック・パフォーマンス・コントロール」、ホイールのスリップ量を一定限度まで容認し、物理的な限界に近づいた場合のみDSC(横滑り防止装置)が介入する「M ダイナミック・モード」なども装備している。
主なスペックは、4875×1985×1675mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2935mm、トレッド前1660mm/後1670mm、車両重量2360mm、最小回転半径6m。価格は1490万円である。MシリーズのSUV車としては、2ボックススタイルの「X5 M」も用意されている。ホイールベースやトレッド、搭載されるエンジンも同じ。価格は1440万円と、X6 Mよりわずかに安い。
腰の高い4輪駆動型SUVのスタイルだが、特徴的なのはルーフがテールに向かってなだらかに下がるファーストバックスタイルを取っていること。セダンの5シリーズに対してクーペの6シリーズが設けられているのと同じように、2ボックスのX5 Mに対してX6 Mが存在するとも言える |
(西尾 淳(WINDY Co.) / Photo 石川 智)
2010年 5月 31日