レビュー
ポタ電を短時間でクルマ充電できるAnkerの走行充電器「Anker Solix オルタネーターチャージャー」を使ってみた【充電と利用編】
2026年5月14日 07:00
最近、注目度の高いアイテムとして、ポータブル電源の走行充電器がある。ポータブル電源(ポタ電)をシガーソケットからの何倍も早く充電でき、ドライブの行き帰りの時間でも充電ができてしまうというアイテムだ。
取り付けに注意が必要なのは【設置編】で説明したとおりだが、設置が済んだら早速充電をしてみたい。
アプリで初期設定が必要。設置は外部に依頼してもユーザーのアプリで設定する
操作に必要なアプリのインストールとアカウント登録、走行充電器のAnker Solix オルタネーターチャージャーのアプリへの登録、そしてポータブル電源の登録については各自でアプリの説明などを見て行なう。
また、走行充電器の初期設定項目としてクルマのバッテリ電圧が12Vか24Vか、バッテリの種類の選択も終わらせないと、走行充電器は動作しない。クルマへの設置をプロに任せたとしても、アプリの設定や操作はユーザーのスマートフォンとアプリで行なう必要がある。
そこまで終わっていれば、エンジンをかけ、走行充電器の本体ボタンを長押しするとLEDが青く光るはずだ。
次に、ポータブル電源を接続するが、この段階ではまだ充電は開始しない。アプリの走行充電器の「オン/オフ」のところの電源ボタンをオンにする必要がある。
それでも、オンした瞬間に充電が開始されるわけではない。まずは走行充電器が発電状態を確認し、充電してもよいと判断してから充電が開始され、徐々に出力が大きくなっていく。
この制御がまさに走行充電器の肝。見ている限りでは、クルマのバッテリの電圧を確認しながら出力を上げていき、バッテリの電圧が下がったところでいったん出力を下げる。非常に細かい間隔で制御を繰り返し、エンジンがかかっている間は問題が生じない範囲で最大電力を搾り取っているようだ。
なお、走行充電器をオフしたい場合は、本体のボタンを長押しするか、アプリで「シャットダウン」を選択すると電源が切れる。また、使っていないときにシャットダウンするタイマーも12時間から24時間まで設定できる。ただし、一度切れると電源投入は本体のボタンを長押しして起動するしかなくなる。
エンジンの状態をバッテリの電圧から判断するが、バッテリの健康状態は重要
この走行充電器はバッテリとだけ接続し、アクセサリー電源端子などを接続していない。キー位置やエンジンの状態について、走行充電器に直接伝える手段はない。そのため、エンジンがかかっていないのにクルマのバッテリから電気を吸い取ってしまい、バッテリ上がりで始動不可になるのではと心配になるが、その可能性はなさそうだ。
それは、クルマのバッテリの電圧を見ながらエンジンの始動や停止を判断しているからだ。
ところが、それがちょっと悪さをすることもある。実は、最初に走行充電器を動作させたとき、エンジン停止時や、エンジンが回っていても信号停止などでエンジンの回転が急に落ちたときにエラー表示が出ていた。本体LEDが赤く光り、アプリでは「ケーブル接続不良」となったのだ。
表示のとおり本体やケーブルの不良を疑ったが、最初に設置したときは10日以上クルマを使っていない状態、つまりバッテリの充電状態が悪い状態だったことを思い出した。そこで、バッテリ充電器をつないでクルマのバッテリを再充電したところエラーが全く出なくなった。
この走行充電器はエンジン停止時もバッテリの電圧を定期的に監視し、電圧の変化を読み取り、エンジンの始動か停止を判断しているようだ。そのため、弱っているバッテリでは、想定以上に電圧が下がり、バッテリと正常に接続されていないと判断し、エラー判定をしていたと思われる。
最近ではドライブレコーダーの駐車監視機能をオンにしているため、何日も放置するとバッテリの電圧が以前より下がっていることに気づいていたが、走行充電器にも影響があるとは思わなかった。あまり使わないクルマながら、駐車監視のドライブレコーダーなど常時電源を使うクルマや、バッテリ容量が小さい軽自動車の場合、バッテリの弱り具合には注意する必要がありそうだ。
充電のドライブに出る
では、テスト充電がうまくいったところで、早速、本格的な充電のためのドライブに出発だ。
今回、充電のために接続したのは同じアンカーのポータブル電源「Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station」。充電残量を数%まで減らしておき、充電のドライブに出発した。
アプリで見る限り、エンジンをかけるとすぐにアイドリング状態では500Wを超える充電電力になることがある。そして、クルマを発進させると充電電力がまず下がる。エンジンの回転数が上がるとプラグで点火することやインジェクターの燃料噴射に電力を使うせいか、走行充電器が電力を取ろうとすると電圧が下がってしまうため、充電電力を控えるものと思われる。
加速後に定速巡行になるとまた電力が上がってくる。そして、信号で停止する際、惰行からなだらかに減速するのではなく、直前で信号が変わって強めの減速でクルマが停止すると、走行充電器からの充電電力がゼロになることがある。おそらく、電圧がしきい値以下まで下がったため、充電を止めたのだろう。
エアコンを付けても充電電力は下がる。空調のファンモーターの電力消費もそうだが、エアコンコンプレッサーを回すためにエンジンの負荷が大きくなる。その状態で充電電力を上げれば発電機の回転数が下がり、発電電圧に変化があれば、充電電力も変化するものと思われる。
そして、エンジンが十分に温まったあとはアイドリングは最低回転数になる。そのときも走行充電器は最大電力を搾り取ろうとするため、負荷を上げると、発電機の回転抵抗が大きくなりエンジン回転数が下がる。そうすると、今度はエンジン制御のほうでアイドリングを維持するためアクセルを開いて回転数がわずかにアップする。
このとき、微妙にエンジンの回転数が上がったり下がったりを繰り返す。まるで走行充電器とエンジンの間で会話をしているようだ。
走行フィールはあまり変化がない不思議
今回設置した軽バンでは最大でも約600Wの充電であり、Anker Solix オルタネーターチャージャーの最大800Wの充電電力まで達していない。それでも、軽自動車の小さなエンジンから600Wも絞り出しているのだから優秀だ。
そうなると気になるのは走行フィールだ。結論から言えば、ほとんど気にならない。エアコンをオンしたときのようなぐっと力が落ちる感じはなく、充電中でも踏めばきちんと加速していく印象だ。
これは、エンジンに負荷がかかると充電電力を下げる制御がうまく効いていて、普段はしっかりエンジンの力で発電し、エンジンに負荷がかかれば素早く充電電力を制御しているため、加速力が鈍ったことを感じさせないようだ。
それでも、充電のオン/オフを繰り返して比べると、走り始めのアクセルの踏み具合は大きくなっているように感じるし、エアコンと充電のダブルで負荷をかけたときの加速はさらに鈍くなっているようにも感じる。試したのは4月下旬から5月にかけてだが、エアコンを常時オンにする時期になると、また印象が変わってくるかもしれない。
走行充電器でたっぷり電気を搾り取ると、燃費はどうか?
走行フィールはあまり変わらなかったが、問題は燃費だ。通常よりもプラス数百Wの電力を取り出しているのだから、発電機には負荷がかかり、エンジンにも負荷がかかり、燃費もその分だけ悪化しているはずだ。
そこで、OBD2ポートから燃料消費データと、走行距離データを引き出して比べることにした。走るコースは30kmを少し超えるくらい。連続して2回走って充電なしと充電ありで燃費を比べてみた。
道路の混み具合もほぼ同じで、エアコンもファンもオフで窓開けで走行。渋滞のない郊外の一般道で比較した。
その結果は以下のとおり。同じコースでも車両が検知する走行距離に少し差が出てしまったが、燃費に大きく変化が出た。
充電なし:走行距離32.3km、燃料消費1.78L、燃費18.1km/L
充電あり:走行距離32.5km、燃料消費2.13L、燃費15.3km/L
この結果から、充電をすると燃費は約15.9%悪化した。この間の充電量は1000Whのポータブル電源の電池容量が9%から43%へ34ポイント回復。およそ340Whの電力量を取り出したときの結果だ。
もちろん、車種、走行状態、上り坂や下り坂などによって影響は変わってくるので、いつも15.9%程度ダウンとなるわけではないが、発電をすればそれだけ燃費が悪化することは間違いなく、走行のついでならタダで充電できるわけではない。
ポタ電をクルマで使う人は、走行充電器は便利すぎる
現在のところ、Anker Solix オルタネーターチャージャーは、値段がちょっと高い。そして、取り付けをプロに依頼した場合、ケーブルの引き回しでボディ加工なども伴ってくれば総額で結構なコストがかかってくる。
それでも、クルマでポータブル電源を使うような人にとっては非常に便利だ。数日にわたるクルマ旅行で、旅先でポータブル電源を充電する場所がない場合、例えば車中泊で日本を巡回するようなときには非常に役立つと思われる。
取り付けのコストや手間は、ほかの電装品とまとめて加工するなら気にならないかもしれない。この便利さとコストを天秤にかけ、便利さが勝つなら、導入することをおすすめしたい。




















