レビュー
クルマでポタ電を短時間で充電できるアンカーの走行充電器「Anker Solix オルタネーターチャージャー」を使ってみた【設置編】
2026年5月14日 07:00
クルマで車中泊をしたり、車中泊とまではいかなくても車内で長く過ごしたりする場合に、必須の装備となりつつあるのがポータブル電源(ポタ電)。充電が必要となるが、クルマのシガーソケットから電源をとったのでは満充電になりにくい。
そこで注目されているのが走行充電器で、ポータブル電源メーカーから相次いで登場している。今回はアンカーの走行充電器「Anker Solix オルタネーターチャージャー」を設置して試してみた。
今回はクルマに装着するまでの【設置編】。設置したあとの使用については【充電と利用編】としてまとめている。そちらもぜひ参照いただきたい。
シガーソケットは力不足。走行充電器は最大限電力を搾り取る
クルマでポータブル電源を充電するなら、シガーソケットでいいのでは? と思うかもしれない。実際、多くのポータブル電源にはシガーソケットから充電するためのケーブルが付属していて、それを使えば追加投資もクルマの加工もなく一応は充電できる。
しかし、シガーソケットでは大きな問題がある。それは電力が小さく時間がかかることと、劣化していると安全上の不安があること。電力で言えばせいぜい100W。シガーソケットの電流は最大でも15Aで、構造も電極がバネでちょっと密着しているだけ。90Wだとすれば12Vで約7.5Aが連続10時間も流れる。大電流が長時間流れるのは少し不安がある。
シガーソケットから順調に充電できたとして、アンカーの容量1000Whクラスの「Anker Solix C1000 Gen 2」の場合、90W程度での充電になる。充電回路の損失などをすべて無視した単純計算では、1000Whのポータブル電源を充電するのには90Wでは約11時間となり、実際にはもっとかかることがアプリでも表示される。容量が倍の2000Whクラスになると丸1日走っても電力をゼロから満充電まで回復するのは絶対に無理ということになる。
そして、さきほどの安全上の不安とは、もしシガーソケットの電極を汚してしまい、そこに0.1Ωの抵抗分ができたとすると、そこで電力を失うとともに熱になり、1時間で50ccの水が沸騰するくらいの熱量になる。そこに可燃物があると……なんて想像したくないことになる。
そこで走行充電器の出番となる。発電機やバッテリに直結して大電流をもらい、大電力でポータブル電源を充電するため短時間で充電できる。アンカーの説明では約7倍の電力で充電でき、アンカーの2000Whクラスのポータブル電源は「約3時間で満充電」となっている。
高価な走行充電器を買わなくても、バッテリから太い線でポータブル電源に直結すればいいと考えるかもしれない。ところがそもそもの問題として、直接つないだところでシガーソケットと電圧的には変わらないため、充電が早くなることはない。
走行充電器は大電力を送り込めるようにさまざまな制御をするわけだが、単純に大電力をクルマから拝借したのでは、エンジンを動かすための電力まで奪いかねず、まともにクルマが動かなくなる可能性があるばかりか、クルマのバッテリが上がってしまう恐れや、最悪、クルマの故障につながることもある。
そこで、走行充電器はクルマの発電などの状態を見ながら、連続的にポータブル電源に充電する電力を調整する。つまりポータブル電源に向かう電圧を変化させながら、安全にできるだけ多くの電力を充電にまわせるよう調整する機能を持っている。
走行用充電器には大電流を流せる極太の電源ケーブルを引き回す
Anker Solix オルタネーターチャージャーの出力は最大で800W。12Vで800Wということはケーブルに60A以上流れることになる。そのため、取り付けの最大の山場は、60A以上を流せる極太のケーブルを、バッテリから本体までいかに引き回すかということになる。
ここで、Anker Solix オルタネーターチャージャーに入っているものを確認する。本体、クルマのバッテリに接続するための7mのケーブル、そしてポータブル電源へ接続するためのケーブル。さらに取り付け用のプレートとネジになる。
付属品のなかでもクルマのバッテリへのケーブルはとくに重い。60A以上を連続して流すことができる電線を2本束ねていて長さが7mあるのだから、それは“銅の塊”であって重くなるのは当然。電線の種類は説明書などに記載はないが、電線の外径が約7.5mmで60Aが長時間流せることから太さはAWG6(14スケア)と思われる。
さらにプラスとマイナスで2本束ねたうえにナイロンの編組チューブがかぶさっている。これを通すためには最低でも直径16mm程度の穴が必要となる。
プラス側には先端にヒューズボックスが付いていて、実測したところ21mm×27mmの太さで、長さは100mm。さらに大きな穴でないと通らないが、説明書の注釈には「バッテリ接続ケーブルのヒューズホルダーは取り外し可能」とあるので、ネジを外してヒューズを外せばヒューズボックスが通る大きな穴をあける必要はない。
今回、取り付けるクルマは、軽バンである三菱自動車製の日産自動車「クリッパーバン」。現行のスズキ製とは違うクルマで、幸いなことにバッテリは後部右の床下にある。本体を右リアの壁に取り付けた場合、リアタイヤの後ろの内側に穴をあけるだけでバッテリまでの経路が確保できそうだ。
そして、重要なのはあけた穴を通すためにはなんらかの保護部材が必要になる。開口部のフチが鋭利にならないようヤスリで処理するのはもちろんだが、振動にさらされるクルマだけにボディの金属部がケーブルの被覆を傷つけて中の導体に接触しないようにしないといけない。
今回は防水をかねて電気工事用の内径16mmのPF管を保護管として使い、リアタイヤ横の開口部からバッテリの金属ケースまでをつないだ。PF管は自己消化性と耐候性があるため、下回りで風と泥はねが当たる部分には適していると思われる。
配線を通した管は、絶対に下に垂れてこないように確実に固定する必要がある。クルマの航送用フックと思われるところに結束バンドで固定しているが、状況によってはもっと強固に取り付けたほうがいいかもしれない。
そして、リアタイヤ付近の開口部と管との間にコーキング剤を充填したので、ケーブルが外気にも泥はねにも触れないようにできた。しかも、PF管はそのままで、ケーブルだけ引き抜いて入れ替えることもできる。
PF管にケーブルを通したらヒューズボックスを介してバッテリと接続する。なお、最近のクルマによっては一度バッテリを外すとさまざまなものがリセットされて大量の再設定や一時的な不具合が生じる場合もある。ケーブルを取り付ける際はその辺も注意しながら進めたい。
バッテリからの放出ガスに注意。大電流なのでショートには最大の注意を
ここで注意。走行充電器は仮設では絶対に使ってはいけない。動作確認程度なら仕方がないが、本格的な充電は仮設で行なってはいけない。
やりがちなこととして、バッテリのフタにすき間をあけたまま使うことがある。クルマの鉛バッテリは充電時、つまりエンジンがかかっているときは水素ガスが発生する。このため、バッテリの設置場所は必ず人間がいる車室内とは空気の流れが分断された場所にある。
なかにはバッテリが車室内に通じたラゲッジスペースに設置されているクルマもあるが、バッテリ部分が密閉されているか、バッテリから外気までチューブがつながり、ガスが室内に入らないようにしているはずだ。
今回の軽バンの場合もバッテリの部屋は荷室とはスポンジのパッキンのあるフタで空気的に分離している。フタをちょっとずらしてケーブルを通して動作させることはできるが、そうしてしまうと車室内とバッテリ室の空気が分離されず、バッテリから発生したガスが車室内の空気と混ざる可能性がある。すぐに具合がわるくなるものでもないが、長時間、内気循環をしているとどうなるかわからない。
これが、バッテリが運転席の下付近にある車種で、本来密閉されたフタをケーブルを通すためにすき間をあけたまま使用するとどうなるか想像してみてほしい。水素ガスがドライバーの近くに入ってくる可能性はさらに高まる。
そして、設置は確実にして、ケーブルに無理な力がかかったり、被覆に傷がつくような配線はしない。付属のケーブルはバッテリに接続する直後にヒューズがあるためケーブルの途中でショートがあれば保護されるが、中途半端に接触するとヒューズが切れずに発熱だけが発生することもある。大電流が流れるケーブルだけに、絶対に損傷することのないような設置が必須だ。
さらに、ケーブルの引き回しについても、説明書に束ね方が書いてあるように発熱にも十分に注意したい。
なお、説明書では言及されていないが、このケーブルは本体側のコネクター部分以外は、プラスの先端のヒューズがあるだけのただの太い電線だ。ケーブルの先端の丸型端子の加工ができるなら短くしてしまうのもあり。自己責任ということになるが、大電力の電装品を取り付ける技術のある人なら、ケーブルを切断せずに元の7mのまま束ねておくか、適正な長さで切断して丸型端子を付けなおすのと、どちらが安全か総合的に判断して施工できるはずだ。
本体は壁に固定、手の届くところに設置
説明が前後してしまうが、配線をする前には本体の設置場所を決めておく必要がある。
設置場所はケーブルの届く範囲ということになるが、本体には冷却ファンがあるので熱がこもらないところ、そして本体のボタンを押しやすい場所が望ましい。ポータブル電源側の電源ケーブルはそれほど長くないため、ポータブル電源の置き場所も想定したうえで設置場所を決定したい。
実際の固定だが、軽バンの場合はリアの壁が薄い板のパネルになっていることが多く、そこに簡単にビスで固定できる。
付属のビスは軽バンの薄い壁に固定するには長すぎる。また、木ビスであるため、壁の中にとがった先があることになるため、先端に保護材を付けておいたが、場合によっては適切な長さのビスとナットに交換したほうがいいだろう。
取り付けが終わればいよいよポータブル電源の充電だ。
配線が済んだら、起動させてアプリ設定
本体を設置してクルマのバッテリと接続が完了したら試運転だ。クルマのエンジンをかけて異常がないか確認し、本体のボタンを長押しするとAnker Solix オルタネーターチャージャーが起動してLEDが点灯する。しかし、このままではポータブル電源をつないでも充電は開始しない。
まず、Ankerのアプリを使って走行充電器の初期設定をする。そのうえで、充電の開始はアプリから充電オンにする必要がある。
アプリの細かい手順はアプリの説明を見ていただくとして、おおまかな手順はアカウントを作成したうえで本体と接続し、さらにネット接続と初期設定項目としてクルマのバッテリ電圧が12Vか24Vを選び、バッテリの種類を選ぶ。通常なら「鉛蓄電池」で大丈夫だ。
そして、エンジンをかけ、アプリで「オン/オフ」のところの電源ボタンをタッチすると充電が開始される。
アプリがオンになったあとは、走行充電器が状況を判断しながら充電を進めていくため、少し間を置いて充電が始まる。アプリからAnker Solix オルタネーターチャージャーとポータブル電源の充電電力が確認でき、エンジンや走行状態に応じて充電電力が連続的に可変していることが確認できるはずだ。
安全第一、自信がなければプロに頼みたい
今回、取り付けの説明にかなりの文量を割いてしまったが、安全のためにもケーブルの引き回しは慎重になってもらいたい。取り出す電力が大きいだけではなく充電中は連続的に大電力を取り出すため、電装品のなかでも電力が多めのカーナビや、ピーク時だけ数百Wのカーオーディオの大出力パワーアンプよりもリスクは高いからだ。
加えて、空気的に遮断されたバッテリと極太の電線を接続する関係からクルマに大きな穴をあけなければならないこともある。そこで、自信がないなら技術を持ったプロに頼むことをおすすめしたい。
なお、実際の充電は【充電と利用編】として使い心地をお知らせしたい。

































