レビュー

【タイヤレビュー】ブリヂストンの新ブランド「フィネッサHB01」、雨に強いは本当か? ウェット路面のテストコースで試した

新ブランド「フィネッサ HB01」のウェットグリップ性能をテストコースでたしかめた

エコピアNH200との違い

 2月1日より販売を開始したブリヂストンの新ブランド「FINESSA(フィネッサ)HB01」は、「ECOPIA(エコピア)」と「REGNO(レグノ)」の中間というポジショニングとなるタイヤだ。特徴となるのはウェット性能で、今回はそれを試すためにテストコースで走ることになった。

 トレッドパターンは左右非対称となり、アウト側にスプラッシュラグというアウトへ向けて広がるラグ溝を与えたところが特徴的だ。これにより直線的なラグ溝よりも排水性が向上したという。またスタッドレスタイヤなどでよく見られる3D-M字サイプIIを与えることでブロックの倒れ込みを抑制していることもポイントの1つ。

 さらに縦溝は底部までスクエアな形状とすることで、すり減った際に溝体積をなるべく保つことを狙っている。ケースについては近年の上級モデルと同じく、ケースラインの最適化を行ない、均一な接地形状を実現したそうだ。結果として「エコピアNH200」に比べてウェットブレーキを短縮することに成功。新品時で15%、摩耗時であっても新品の「エコピアNH200」より12%短く止まることが可能だという。

2月に発売となった乗用車用タイヤ「フィネッサ HB01(エイチビーゼロワン)」は155/65R14~245/45R19の全55サイズを設定し、価格は1万2980円~6万2150円/本。新パターンのショルダー部に採用した「スプラッシュラグ」が主溝からの排水性を向上したほか、主溝に「スクエアグルーヴ」を適用することで、摩耗しても溝体積の変化をより小さく抑え、高い排水性の維持を実現した
フィネッサ HB01では「エコピアNH200」対比でウェットブレーキ制動距離を15%短縮。2万km走行後の「フィネッサ HB01」でも新品時の「エコピアNH200」対比で12%短縮に成功したという。さらにスムーズなアスファルト舗装路でのパターンノイズは「エコピアNH200」対比で7%低減している

 ちなみに以前ドライ路面における試乗をした際には「エコピアNH200」との比較試乗を行なったのだが、タイヤがきれいに潰れていくことが特徴的だと感じた。倒れ込んでからグリップを発揮するのではなく、ステアリングを切り始めた瞬間から狙ったラインをトレースすることが可能なこと。さらには主溝とラグ溝を繋ぐスリットサイレンサーの効果もあってか、静粛性についても優れており、高周波ノイズがカットされたことは明らかだった。

ウェットもドライもかなりバランス良し

さっそくウェット路面でチェックしてみます

 さて、本題となる「フィネッサHB01」のウェット性能はいかなるものか? テストコースのウェットハンドリング路を走ってみる。スタンディングスタートをμが低い路面で試してみると、わずかなスリップで収めながら確実に速度を重ねていく。コーナーに入ればステアリングには確実な反力が感じられ、少ない操舵角で駆け抜けていく。狙ったラインを外さずに走れる安心感はなかなかだ。ブレーキングにおいてもABSの介入が少ないように感じた。

 同じ路面を「エコピアNH200」で走ってみると、スタンディングスタートの時点からまるで違う。スリップがいつまでも続く印象があったからだ。コーナーにさしかかりステアしてみると、インフォメーションは薄く、ドライで感じたようにタイヤがヨレきってから食いつくような感覚がある。結果としてライントレース性はわるい。リアが追従する感覚も薄く、ブレーキング時にはABSでアンダーステアが出る傾向にあった。もちろん静かに走れば走れなくはないのだが、限界域ではこんな顔が出てくることを忘れずにいたほうがいい。

ウェットハンドリング路では「エコピアNH200」と比べ限界域での挙動の違いが体感できた

 続いてはウェットの円旋回で「フィネッサHB01」の摩耗品と「エコピアNH200」の新品を比べてみた。印象的だったのは滑り出す感覚が「フィネッサHB01」のほうがジワリと始まり、結果的にコントロールしやすいということだった。「エコピアNH200」は滑り始めが唐突であり、一気にグリップを失ってしまう。排水性だけでなく、コンパウンドや接地形状など、トータルで「フィネッサHB01」の性能は引き上げられているのではないだろうか?

ウェットの円旋回でも「フィネッサHB01」のコントロール性の良さが光った

 最後は改めてドライ路面でスラローム的な走りをやってみたが、「フィネッサHB01」は少ない操舵角でキビキビと駆け抜けていくところが好感触。リアの追従性もよく、結果として軽いクルマに乗っているかのような軽快さがあった。

 このようにウェットもドライもかなりバランス良く仕立てられた「フィネッサHB01」なら、どんな車種にもマッチングしてくれそうだ。

「フィネッサHB01」はドライもウェットも好感触
橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。2019年に「86/BRZ Race クラブマンEX」でシリーズチャンピオンを獲得するなどドライビング特化型なため、走りの評価はとにかく細かい。最近は先進運転支援システムの仕上がりにも興味を持っている。また、クルマ単体だけでなくタイヤにもうるさい一面を持ち、夏タイヤだけでなく、冬タイヤの乗り比べ経験も豊富。現在の愛車はユーノスロードスター(NA)、MINIクロスオーバー、フェアレディZ(RZ34)。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:安田 剛