レビュー

【タイヤレビュー】ブリヂストンのSUV向け新タイヤ「アレンザLX200」試乗 静粛性、乗り心地、ハンドリング性能のバランスの高さ光る

新ブランド「フィネッサHB01」も試してみた

SUV向けプレミアムタイヤ「ALENZA LX200」に試乗

LX100から突起乗り越し時の衝撃を22%、静粛性を16%低減

 ブリヂストンのプレミアムSUV向けのタイヤブランド「ALENZA(アレンザ)」がモデルチェンジを行なった。旧製品は「LX100」というサブネームが与えられていたが、新製品は「LX200」となる。コンセプトとしてはこれまでと変わらず、重量級で重心の高いプレミアムSUVをしっかりと支え、快適性と運動性能を両立させようというもの。

 さらに環境性能まで視野に入れ、低燃費タイヤのラベリングでは全23サイズ中21サイズがAA-a、2サイズがA-aを取得。転がり抵抗は旧製品に対し18%も低減している。また、快適性能も高め、乗り心地は突起乗り越し時の衝撃を22%低減。静粛性も16%低減したという。

 こうした性能アップはまず、トレッドパターンの見直しが大きいようだ。LX100ではリブの中にレゾネーターを設け、両サイドの主溝が発する音を低減するダブルブランチ型消音器を採用していたが、新型は1つの主溝からレゾネーターに導くシングルブランチ型消音器としたところが目新しい。リブの剛性は従来よりも引き上げられたかのように見える。また、ショルダーへと抜ける突き通しサイプを設けていることも特徴だ。これらによって消音効果とパターン剛性を両立させている。

 さらにケースの構造やラインもこれまでとは違っているLX-tech Comfort設計を与えたところもポイントの1つ。入力をタイヤ全体で受け止めるようになり、しなやかな変形が可能となり、乗り心地やロードノイズの低減につながっているのだという。

今回試したのは2026年2月より発売となったSUV向けプレミアムタイヤ「ALENZA LX200(アレンザ エルエックスニヒャク)」。発売サイズは175/80R16~235/50R21の全23サイズ展開。タイヤラベリング制度での転がり抵抗係数は「AA」~「A」、ウエットグリップ性能は「a」となり、従来品の「ALENZA LX100」と比べて静粛性を16%低減、ウエットブレーキ制動距離を15%短縮、転がり抵抗係数を18%低減
「静かでなめらかな走り」を提供するため、構造・形状の最適化と新パターンを採用し、乗り心地・運動性能・静粛性を向上。「LX-tech Comfort設計」を適用し、従来品「ALENZA LX100」の強みである走行中の小さな振動の吸収をさらに高めた上で、凹凸のある路面を乗り越える際の大きな衝撃も吸収することに成功。また、コーナリング時の車両の揺れを少なくし、ハンドリング性能とふらつきにくさを両立したのもポイント。振動入力を抑えることで、荒れたアスファルト舗装路でのロードノイズを従来品比で16%低減したのも見逃せない。そのほか「ALENZA」ブランドロゴをプレミアムな美しさと鮮やかなコントラストで表現するため、サイドの文字・デザインをより黒く際立たせる微細加工技術「LUXBLACK」を広範囲に適用した

プレミアムSUV向けと謳うだけのことはある性能

まずはクローズドコースでスラロームなどを試した

 まずはクローズドのスラロームコースで新旧比較を行なってみる。LX100を体感したのちにLX200に乗ると、まず感じるのは全体的にしなやかさが増していたことだった。ステアリングの切り始めにクセがなく、一定した反力を得ながら切り込んでいけるイメージで、タイヤがきれいに潰れていく感覚にあふれている。乗り心地もマイルドであり、プレミアムSUV向けと謳うだけのことはある性能だ。

 だが、走りを失っているような感覚はない。狙ったラインをしっかりとトレースし、リアの追従性もよくコーナーを立ち上がっていく感覚がある。旧型の一見スポーティだが、切り込んでいくと応答が甘いような感覚がないところがうれしい。

LX200ではクセのないハンドリングとマイルドな乗り心地を実感しつつ、走りを失っているような感覚がないところがマル

 この仕上がりは明らかに「REGNO(レグノ)」から採用した「ENLITEN(エンライトン)」技術が効果を発揮しており、「薄く・丸く・軽く」というキーワードで仕立てられたであろう感覚が伝わってくる。ちなみに今回乗ったタイヤで一輪あたり500gほど軽くなっているそうだ。これは簡単に言えば「REGNO」の大型版、それがLX200ということではないだろうか?

凹凸のある路面も試すことができ、LX100よりも衝撃を吸収してくれる感覚があった

 それを確信したのは一般道における静粛性や乗り心地の良さを感じたから。パターンが発するはずのノイズは全くといっていいほど気にならず、さらに有料道路の継ぎ目など、瞬間的な入力に対するいなし方もとにかくマイルド。それでいてハンドリングが気にならないのだからかなりバランスは高い。重量級のSUVをしっかりと支えつつも、こんな感覚が得られたのはさすがだ。

有料道路でもマイルドな乗り心地とハンドリングのバランスの良さが光った

フィネッサHB01もチェック

新ブランド「FINESSA(フィネッサ)」ブランド第1弾となる乗用車用タイヤ「フィネッサ HB01(エイチビーゼロワン)」を試すこともできた

 今回の試乗会では新たなブランド「FINESSA(フィネッサ) HB01」もお披露目された。このタイヤはウエット性能や静粛性をターゲットとしたバランス重視のモデルで、従来から存在する「ECOPIA(エコピア)」と「REGNO」の中間というポジショニングとなる。

 トレッドパターンは左右非対称となり、アウト側にはスプラッシュラグなる、アウトへ向けて広がるラグ溝を与えたところが特徴的。縦溝もスクエアな形状とすることで、すり減ったとしても溝体積をできるだけ失わないようにするなど、ウエットを重視したことが伝わってくる。

 また、リブはスリットが入れられ剛性調整を行なうことで静粛性を生み出しているようにも見受けられる。けれども走りを失わないよう3D-M字サイプIIを与えることでブロックの倒れ込みを抑制。ケースはALENZAと同じくケースラインの最適化により、均一な接地形状を実現している。

フィネッサ HB01の発売サイズは155/65R14~245/45R19の全55サイズ。「AA-a」が28サイズ、「AA-b」が8サイズ、「A-a」が6サイズ、「A-b」が13サイズと、全サイズ低燃費タイヤとなっている。安心・安全(SAFETY)を軸に、より快適で心地よい(FINE)車内空間を提供し、豊かなカーライフを届けたいという想いを込め、FINEとSAFETYを組み合わせ「FINESSA」と命名された
フィネッサ HB01では新パターンのショルダー部に採用した「スプラッシュラグ」が主溝からの排水性を向上したほか、主溝に「スクエアグルーヴ」を適用することで、摩耗しても溝体積の変化をより小さく抑え、高い排水性の維持を実現。また、新パターンに搭載される「スリットサイレンサー」で走行中のノイズを気になりにくい音質へとチューニング。スムーズなアスファルト舗装路でのパターンノイズを「エコピア NH200」対比で7%低減し、静かでより快適な車内空間を両立している

 今回は「ECOPIA」で走ったのちに「FINESSA HB01」に乗り換えたのだが、比較してまず感じたのは高周波ノイズがかなり軽減されていたことだった。「ECOPIA」よりも1つ上にいるというポジショニングはたしかに感じられる。

 走りについても「ECOPIA」は倒れ込んでから一気にグリップするかのような感覚があるが、「FINESSA HB01」は「REGNO」や「ALENZA」のようなクセのない潰れ方が感じられ、すっきりとしたハンドリングが得られるところがマル。乗り心地もベーシックなモデルとしては十分に満足できる仕上がりだった。

「ECOPIA」よりも高周波ノイズがかなり軽減され、すっきりとしたハンドリングが好印象

 残念ながら自慢のウエット性能については確認できなかったが、近々行なわれる次なる試乗会でそれが試せるとのこと。近年、乗り心地から走りまでかなり変化してきたと思えるブリヂストン。今後の動きに注目したい。

橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。2019年に「86/BRZ Race クラブマンEX」でシリーズチャンピオンを獲得するなどドライビング特化型なため、走りの評価はとにかく細かい。最近は先進運転支援システムの仕上がりにも興味を持っている。また、クルマ単体だけでなくタイヤにもうるさい一面を持ち、夏タイヤだけでなく、冬タイヤの乗り比べ経験も豊富。現在の愛車はユーノスロードスター(NA)、MINIクロスオーバー、フェアレディZ(RZ34)。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:高橋 学